【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話 作:しゅーがく
こんなに人に囲まれたのは初めてかもしれない。俺はそう思った。
今俺は、フラッシュが当たる先にいるからな。
「海軍の女の園にいらっしゃる感想はっ?!」
「鎮守府の暮らしはどうですか!?」
「スリーサイズを教えてくださいっ!」
さっきの俺の心の声、分かってくれたか?今俺は取材陣に囲まれている。何故そんな事になったかというと、数時間前に遡る。
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「バレちった☆」
「おい、機密管理くらいしっかりしろ。」
白瀬さんはそう言って手を頭にこつんとして言った。なんか腹立ってきた。
「んで?バレちったとか言ってるけど、それでどうしたんだよ。」
「あぁ、この前の海軍大将様(笑)がどっかで喋ったらしくて、メディアにバレた。」
「最悪だ......。」
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色々端折ったがそういう訳で、今に至るんだが、一応ここって軍の施設だよね?
凄い人いるんだけど。全員女だけどもさ。つうか最後の、男にスリーサイズ訊いてどうするよ。
「あーあー、もう順番に応えるから......ったく、白瀬さんの馬鹿野郎。」
俺は小声で悪態を付いてちゃんとメディアの質問に答えてやった。と言っても1社につき1つだけな。
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「あ"ー疲れた。疲労で死ぬ......。」
「お疲れ様です。」
俺はやっと解放されたメディアの猛攻による疲れを甘味処で取ろうと思ってどうしようかと思っていたら大和が居たのでついて来てもらった。だって一人だと怖いんだもん......、自分で言ってて気持ち悪かったわ、今。
「どこ行ってもメディアってのはクソだな。」
「そうなんですか?」
「そうだろう?」
俺はぐだーっとなりながら大和に話しかける。
「ラムネ、飲みますか?」
「おぉ、ありがと。」
大和からラムネを貰って飲むと、のどを炭酸が刺激して甘い味が口の中ではじける。
というかいつも思うんだが、大和ってどこからラムネ出してるんだ?まぁいいか。
「まぁメディアに解放されてもあまり変わらないんだけどな......。」
「そう、みたいですね......。」
そう言って俺は顔を上げて周りを見渡した。辺りには艦娘が見える範囲で15人くらいいる。怖いっす!皆、目が血走ってますっ!!
「でも押し寄せてこないだけいいか。」
俺はそう言ってラムネの瓶を傾ける。
中でビー玉が転がり、甲高い音を鳴らした。
「あっ、そう言えば、また足柄さんが武蔵に挑むみたいですよ。」
「マジで?」
「はい。たぶん始まると思うので、見に行きますか?」
「あぁ。」
急になに言い出したかと思うと、どうやら足柄がまた武蔵に勝負を挑むみたいだ。
また一発で堕ちるか見たいから見に行くことに。
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緊張で張り詰めた雰囲気の中、2人の艦娘が睨み合っていた。一方は身体が大きく、褐色の健康的な肌で白髪の艦娘。もう一方は黒髪でウェーブのかかった髪を纏めていて、身体はそれ程大きくないが、闘志に満ち溢れた目をしている艦娘。
「どこからでも掛かってくるがいい。」
褐色の艦娘はどんと構え、仁王立ちをしている。その艦娘にもう一方の艦娘は言い放った。
「倒して見せるっ!手に入れるためにっ!!」
そう言い放った艦娘に褐色の艦娘は答えた。
「ふんっ!やってみるがいいさ......。私に挑んでも結果は変わるまい。」
そう言い切った直後、艦娘は走り出し、攻撃を仕掛けた。両手足を自在に使い、攻撃を繰り出す。だがそれを褐色の艦娘は避ける事も無かった。
「ハエが飛んでいるのか?」
「......舐めてもらっちゃ困るわねっ!!」
艦娘は一歩引くと、助走をつけてさっきと同じ構えをした。それを見た褐色の艦娘は体勢を買えなかったが、艦娘は直前で攻撃を変えた。最初に手を出すと思いきや、足を出した。その足は褐色の艦娘のすねに当たり、ドンと音を立てた。そしてその場所を集中狙いをする。次々に繰り出される攻撃は全てすねに集中し、褐色の艦娘も遂に動き出した。
「やるなっ!だが、私を動かしてしまえばお前はもう負けだっ!」
そう言い放った褐色の艦娘に答えた。
「それはどうかしらっ!」
その艦娘は狙っていたかのように同じすねを狙った。だが今回は違う。これまでは自分のすねや足の甲で攻撃をしていたが、身体を逆回転させ、すねに当たったのはかかとだった。
これまでに出なかったゴンと言う音を立て、艦娘は立ち上がり褐色の艦娘を見た。
褐色の艦娘は額に脂汗を流し、動きを止めている。
「そんなっ......まさかっ?!」
「重装甲でも片舷狙いなら数撃ちゃいいのよ......。」
そう言った艦娘は俺の方を見た。そして走り出す。
「勝ったわ~!遂に勝ったぁ~!!!金剛く~んっ!!」
そう言って飛び上がってこっちに飛んできた艦娘を俺は見逃さなかった。
隣にいた艦娘の襟を掴み、
「ひえっ?!」
あと数センチという距離でその艦娘の後ろに入った。
ドサーと音を立てて滑っていくその艦娘を見て俺は思った。
「今度は躱させて貰ったぞ。」
そう言ってその艦娘を起き上がらせて、取りあえず離れてた。
その艦娘は戦いには勝ったが、勝負には負けたのだ。
「うぅ......後がないのにっ......。」
その言葉を聞いた者は誰も居ない。だが、寒気はしたと言う。
唐突の番外編です。
まぁ......うん。何も言いません。
あと、シリアスな本編から一変したこっちのカオスな感じは結構和みますね。
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