狩人闘恋万華鏡〜迅竜の恋情と覇竜の傷跡〜   作:ドーントレス

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どもども皆様おはこんばんにちはドーントレスです。

えー、突然ですが重大発表です…

狩人闘恋万華鏡第2弾制作決定!!!٩(^‿^)۶

ということで皆さんに読んでいただき、大した評価も得られないカス作者の第2弾、方針等は近々活動報告で発表させていただきます!

…へ?それだけ?全然重大発表でもなんでもない?

ふっ…
その通りさ!では本編をどうぞ


第38話「とある炎。そして…」

 

sideセニア

 

ハンゾウさんが作ってくれたお粥(ローザにだけど…)を平らげ、遅れて一階に降りるともう既に美味しそうなお夕飯の準備が出来ていた。

 

…さっき(量こそ少ないけど)お粥食べちゃったしなぁ…ここに少しだけど滞在するみたいだし、お腹を減らすためにも少し歩いておくのもいいかなーなんて軽い気持ちでロックさんに散歩に行くことを伝えると、これまた軽くOKが出た。

 

「あ、んでもあんまり遠くさ行かんでよ?土地勘もねぇ娘っ子一人で出てって、吹雪にでもあったら探しに行けんし。山の天気は変ぁわりやすいかんねぇ!」

「…あ、はーい」

 

ま、元よりそのつもりだったしね。

念のために武器は持って行っておこう…なんか私が寝てる間にブランゴの群れに襲撃されて、大変だったみたいだし…

 

外に出て最初に飛び込んできたのは一面の銀世界、まだ昼過ぎで太陽からの光が雪の乱反射で目に刺さる。

これは、ちょっと目が慣れるまで時間かかるなぁ…私、基本闇属性だし

「あ、やっと出てきたー、ヤッホー!元気だった?」ーー?

 

まだ慣れてない細い目で声のした方を見る。

姿全体が黒っぽい声の主は、小屋の出入り口のすぐ隣に座りこみながらこちらを見上げ、目が合う。

 

いや、多分…目があった…?

でも…なんだろう…この声を聞いてると胸がざわついて、すごく嫌な予感がする。

 

「…えぇっと、どちら様で?」

「質問に質問で答えるとテストが0点になるよ?」

「えぇ…テスト0点はやだなぁ…でも聞く。どちら様?」

 

いよいよ目が眩しい世界に慣れてきて、徐々に視界がはっきりしてくる

 

「やだなぁ、ボクのこと忘れちゃったの?」

 

そして私の視界が完全復活し、声の主を認識した瞬間

 

 

身体中から嫌な汗が噴き出る感覚を覚えた。

 

 

「ボクだよ。君の中にいた“(ゴア)”さ!」

 

 

そして、いつかの海岸でのことを鮮明に思い出す。

同時に逃げ出したいという感情に襲われるが、体はピクリとも動かない。

 

 

「いやぁ、ありがとうね!ボク等の主様の近くまで来てくれたおかげで、もう一度キミとこうして話すことができるくらいに力を取り戻せたよ!」

 

 

いつの間にか、あんなに眩しいと感じた銀世界は、暗く深い闇に堕ち…

 

 

「でも小屋には結界みたいなのでは入れないようになってるし、この体でいられるのにも時間が限られてるしで正直途方に暮れてたとこだったんだよ。でも、セニアが自分から出て来てくれてラッキーラッキー!」

 

 

けれど子供のようにはしゃぐ(ゴア)という存在…それが巨大な鉛のように私の心にのしかかる。

 

 

「じゃ、手短に済ませるね!ボクも次の仕事詰まってるし、それじゃあ、セニアお姉ちゃん!」

 

 

動けない…声も、息を吐く音すら出ない。

 

 

“契約ハ、モヲ要ラナイヨ!ヰコヲカ!深淵ノ常闇ヘ!ワレラガ故郷、万死ノ暗城【シュレイド城】ヱ!”

 

 

(ゴア)は巨大な黒蝕竜へと姿を変え、顔を私に突きつけるように擡げる。

その口は悪魔のような笑みを浮かべ、微かに見える藍色の濁った眼球に見据えられた瞬間、私の中に強大すぎる冷たい殺意と味わったこともない恐怖が注ぎ込まれる。

暖かさをかき消し、私という存在全てを否定して黒い深い闇で満たしていく。

 

闇の中に立っている私…

 

見えるものは

泣いている昔の自分。

消えていく大切な人々…

 

あぁ…

私…またひとりぼっちになるんだね…

ローザ…マツバさん…お姉ちゃん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンゾウさん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…たすけて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刹那

 

“ギッ!?ギャォアアアアアアアアアアアア!?”

 

闇に、光が…『炎』が落ちる。

 

“ナッ!?ナンダナンダナンダ!?!?ア゛、ア゛ツ゛ヰ゛!!!”

 

炎は、やがて広がり円を描き私の方へと伸びてくる。

 

“ク、クルナァ!!ボクノ世界二、ハヰ゛ッテク゛ル゛ナ゛ァ゛!!!”

 

そして炎は、私を包み込むように身体全体に広がり

 

“ヤ、、ダ、、、ヨ、、マ、ダ、、、消ヱ、、、タ、ク、、ッ!”

 

私の闇を焼き払った。

 

“ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!”

 

すぐ側にあの人の熱を感じる。

決して、私は一人ではないと語りかけるように。

私は抜錨し、右手に青い炎を纏った(・・・・・・・)〔暗夜槍【黒雨】〕をしっかりと握りしめ、目を閉じ、集中する。

槍を持つ手は、強張り震えていたがその手を優しく包み込む暖かさを感じる。

私は余計な力を抜き更に集中する…

 

『さぁ、一撃で仕留めるぞ』

 

耳元で声を感じた。

そして

 

『そぉこだぁ!』

「はぁああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」

 

“ギシャァアアアアァァァアアアアアアアアアアアアァァァ!!!”

 

灼熱の覇気を纏ったその一閃は闇を穿ち、焼き尽くし、銀世界を隠していた暗黒を斬りはらった。

 

『よくやった…頑張ったな、セニア』

 

私は再び声を聞くと、体から彼の熱が離れて行くのを感じ、直後に物凄い疲労感と脱力感に襲われ、意識を手放した…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次に私が見たのは、ローザが今日寝ていたベッドのシーツだった。

どうやらあの後、誰かに運んでもらったらしい…私ちょっと寝相悪いから申し訳ない気分になったけど、とりあえずチョココロネみたいになってる布団をたたんでおこう。

シーツの皺を伸ばし、布団をたたみ終えた頃に扉がノックされる。

 

「セニア〜入んぞ〜」

「あ、ふぁい」

 

丁度欠伸がでたタイミングで返事をしたからへんな返事になっちゃった。

そこを見事にスルーして入ってくるハンゾウさん。マジ大人。素敵。

 

「体はもう大丈夫か?っても5、6時間くれぇしか寝てなかったがな。ローザがすんげぇ心配してたぞ?後でお礼言っとけ?」

「あ、うん…ハンゾウさん」

「んぁ?」

 

「…ありがとう」

「?…お、おう。ってそれはローザに言えって言ったんだよ」

 

ハンゾウさんには、なんのことだかわからないかも知れない。

 

「はぁ、とりあえず大丈夫そうだな。夕飯のじゅんびもう出来てっから、早いうちに降りて来いよ」

「あ、うん…」

 

でも、あれは確かにハンゾウさんだった。

 

「ああ、あとここにもうちょい泊まることになったんだ。それだけ了解してくれ」

「へ?…うん」

 

あの暖かさ、あの強さ…いつか私が本当にひとりぼっちじゃなくなった時に…

 

 

また、その炎に包まれてみたいな。





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