狩人闘恋万華鏡〜迅竜の恋情と覇竜の傷跡〜   作:ドーントレス

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皆々様。明けましておめでとうございます!
えー、2016年も終わり、新しい年が明けちゃいましたねぇ…

新年早々アレですが、更新遅れて申し訳ないです。
はい、これはもう…あれですね。仕事とこんな職場を選んだ自分を恨みます。後ここぞとばかりにイベントをやるソシャゲも笑

というわけで今年もよろしくお願いいたしますという気持ちを込めて第36話始まります


第36話「とある喧嘩」

sideローザ

 

ビートと呼ばれたその男は依然としてハンゾウに殺気を突き刺し、ハンゾウを含めたあたいらは誰1人として動かない。

いや、少なくともあたいは動けない。

彼奴から放たれている殺気は尋常ではなく、同じ空間にいるだけで嫌な汗が全身から噴き出して呼吸がし辛くなるような感覚に陥る。

 

唯一動く目だけでハンゾウを見ると、やはりハンゾウも只々立っているだけの様に見えた。

 

 

 

しかし、その時のあたいは知る由もなかった。

 

 

 

あの時のハンゾウは…

 

 

 

 

 

 

 

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「…おいビート…てめぇ…その殺気の意味を知らねぇで垂れ流してる訳じゃぁねぇよな?」

 

「ったりめぇだ。

さあ、武器を取れよ。喧嘩だぜ?」

 

「…弟子同士での喧嘩は御法度だって師匠に教わってないのか?…それとも、馬鹿すぎて忘れちまったとかぬかすなよ?」

 

「馬鹿はてめぇの方だっての。第一、てめぇをもう兄弟子だなんて思っちゃぁいねぇしな。早くしろ。あの世までぶっ飛ばしてやる」

 

ハンゾウは頭を片手で少し抱える様な動作をすると、右手で拳を作り、それを解くとともに炎を発生させ、その炎がひとりでに形を変えやがて【覇笛ハウカムトルム】が作り出される。

 

「…もっかい確認しておくが、そう意味で本当にいいんだよな?」

「くどいぜ。いいからこいよクズ野郎。その顔面ぶち割ってやるぜ」

 

「あっそ。んじゃぁ、しゃぁねぇ」

 

刹那

 

「面倒いが…遊んでやんぜ」

 

ハンゾウの一撃でビートが前に(・・)吹っ飛ぶ。

ビートは受け身もとれずに硬い地面へ(・・・・・)と突っ込み、反動で浮き上がる。

しかし、ビートは2度目の衝撃を待たずして空中で体を捻り、地に降り立ち続くハンゾウの強烈な横振りをビートはしゃがみこむことで回避し、逆にハンゾウの顎を目掛け得物を突き出す。

ハンゾウは回避が遅れ、顔面にそれをもらうが即座に空いていた左拳をビートの側頭部へとめり込ませる。

しかし、一方のビートも殴られた反動を利用し左にブレた重心をそのまま、右足を地面に突き刺す様に突き出し、更に回転を加えハンゾウに後ろ回し蹴りを食らわせる。

ハンゾウは体勢を崩し、ビートからのフルスイングをもろに体に受け更にビートは追撃を仕掛け…ようとした拳を瞬時に引っ込める。

なぜならビートの追撃を見越したハンゾウのハウカムトルムがまさに今、ビートの左側の地面を叩き割ったからだ。

そして、両者は超至近距離で睨み合う。

 

ここまでの攻防…約2秒。

 

頭の回転もそうだが、動きがお互いに早すぎてあたいの脳みそにはさっきの攻防をこのくらいしか確認できていないのかもしれない。

動体視力は良い方なんだがなぁ…

 

「ほぉ…なかなかやるよぉになったんじゃぁないか?」

「くっ……バケモノめ…!」

 

刹那

 

ビートが片膝をついた。

一体なぜ…あたいはスコープを覗き込み、ビートを見ると同時に息を呑んだ。

 

「…う、うそ……いつの間に…」

「説明した方が良かと?」

「っ!?…ってあんたかい…驚かせないでおくれよ」

 

あたいの独り言を真後ろから拾って投げ返したのは、さっき猿どもに群がられテンパっていたバサル装備の男、ロックであった。

 

ロックが言うには、ビートは最初のハンゾウの攻撃で2箇所の骨にヒビ、3箇所の打撲、ハンゾウが回し蹴りをかまされていた時までには、少なくとも更に7箇所の打撲、5箇所ヒビが入れられ最後の衝撃波でそれらが全て骨折へ変わり、現在進行形で頭の上から覇気による重圧で立ち上がるのを阻止しているのだと言う。

実際あたいのスコープにも変な方向に(歪に)曲がった左腕が映っていたが…

 

「なんで…こんなに…「俺たちの喧嘩ってぇのが直接殺しに繋がるからだ」っ!?」

「本来、弟子同士での喧嘩は御法度。だが、やるなら命をかけてってな…師匠は俺たちにそう教えた。互いが武器を地に落とした時、若しくはその命尽きた時、ようやく喧嘩は終わる。ま、武器を地に落とした時にゃぁ、大人しく首を差し出さなきゃぁならんのだがな…」

 

「は、ハンゾウはそれを分かってて…でも、いくらなんでも自分の弟弟子に…そんな……」

「ハンゾウは分かってた…だが、ビートはそれでもやると言ったのさ」

「……ってえことは…つまり」

 

ロックは静かに頷き、そしてゆっくりと溜息のように言葉を吐く

 

「…真っ赤なそれが見とぉなかったら向こうさ向いとくことね。おれはこれさ見届けねぇと…」

 

思い出したように訛り始めるロックの言葉を聞き終えると、マツバを回収して前回から出番のないセニアが寝ているだろうと思われる竜車へと転がり込むのであった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

程なくしてハンゾウが竜車へと戻ってきた。

その鎧の右腕部にはおびただしいほどの血がこびり付き、あたいはしばらく気を失っていた…らしい。

 

気づけばなんだか心地よい木の香りに包まれた綺麗なベッドに横たわっていた。

元よりどこかの小屋に向かっていた事は知らされていたのであまり不安はなかったが、さすがに状況を把握したいのでとりあえずベッドから起き上がると、タイミングを計っていたかと疑うほどに丁度セニアがお盆を両手に部屋へと入ってきた。

途中息をかけていたあたりとても熱い何かだと想像したが、それがセニア作のものであったなら覚悟しなければならない…

彼女は卵一つから未現物質(ダークマター)を作り上げることのできる能力者だ。

 

「…ローザ、起きた?」

「あ、ああ、心配かけちまったかい?」

「…ううん。これ、顔色まだ良くないから食べた方がいい」

「う…うん」

 

なんてこった…蓋がしてあって中身が分かりゃしない…セニアのそれ(ダークマター)は不思議と無臭なんだよなぁ…

 

「そ、それよりハンゾウ達はどうしたんだい?」

「…なんか、今一階で女の人とお話ししてる」

「(確かロックがあの人って言ってたような…その人なのかな)…そうかい。あたいも会ってお礼を言わないといかんね。そうと決まればさっさといかんとね!」

「…ローザ?こr「んじゃ!ちょっと行ってくるさね!!!」…」

 

あたいはダッシュで突き当たりの階段までの廊下を駆け抜けた。

 

流石にダークマター食べてもう一回倒れる訳にはいかないからね!!!

 

「…ハンゾウさんのお粥食べずに行っちゃった…勿体無いし食べちゃおうかな」

 

 

この後ちょっと食べておけば良かったと後悔したのは秘密だ。




ここからなるべく来るべき3/18(日)に向かってなるべく更新していきたいと思います。

感想とかも書いてくださ…い。お願いします(切実)

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