「ずいぶんと面倒な依頼がきたもんだ」
仕事も安定してきて、最近は固定客も着いてきた俺の店だが、今日は少しいつもと違った依頼が来た。いわゆるプレイヤー間の問題を扱うタイプの仕事だ。
今までも何度かあった。『あのプレイヤーの動きを探ってくれ』だとか『俺とこいつどっちが正しいと思う!?』とか、情報も多少扱っている俺の店だからか、こういった依頼はまれに転がり込んでくる。
大体の客がイライラした状態で店に来るから対応がすごくめんどくさい。プレイヤーの動きを探ると言う依頼も、下手をしたら俺の情報が不味い方法に利用される可能性も有るので、精神衛生上あまりよろしくない。
アルゴはよくこんな仕事をメインでやっていけるもんだと感心するよ。
けど今回の依頼に関しては話が違う。本気で依頼者のために動きたいと思ったし、動かなくてはならないと思った。
ここはいったん店を休止にして、この依頼に全力を注いだほうがいいだろう。
「すまんクレハ、居るか?」
「うん?なんだキリトか。どうした、悪いが今少し忙しくてな。急ぎの用か?」
「え、そうなのか。まいったな、お前に依頼が有ったんだが・・・」
「依頼?」
キリトが俺に依頼だなんて珍しいな。この世界でキリトが困るようなことを俺が解決できるわけがないと思うんだが、わざわざ俺の所に来たってことは、何か特殊なことでもおこったか?
さっきの依頼に時間を割くべきかもしれんが、ほかならぬキリトの頼みだ。話は聞いておこう。
「いや、大丈夫だ。すぐに力になれるかは分からんが、話ぐらいは聞こう」
「そうか、助かる。その前に一人連れが居るんだ。どちらかと言うと、依頼はその子の物といってもいい」
「連れの依頼?」
いつぞやもこんなことがあったな。リズがアスナを連れて依頼に来た時みたいだ。
コレでキリトの連れが男で、『アスナさんが好きなんだがとうしたらいい?』とかいう依頼だったら相当な修羅場が生まれそうだな。それだけは勘弁して欲しい。
「ああ、この子なんだが・・・」
「は、はじめまして・・・シリカっていいます」
キリトに促されて小さい女の子が店に入ってきた。
薄茶色の髪をツインテールでまとめて、赤いリボンを結んでいる。一言であらわすと『小動物』って感じの女の子だった。
・・・・・・・・・・これはこれで修羅場が生まれそうなんだが。
「キリト・・・・お前アスナがいながらそんな小さな女の子に手を出したのか」
「ふぇ!?」
「まてまて何でそうなる!!誤解を招くようなことを言うな!!というか俺とアスナはそういうんじゃなくて・・・」
「ロリコンは皆そういうんだよ」
「だから違うって!!」
キリトは声を荒げて本気で焦っている。
こいつをからかうのは本当に面白いな、常に全力だからリアクションも大きいし。
アルゴやリズをからかうのも面白いんだが、そのあとの仕返しが怖いからなかなか出来ん。アスナにいたってはからかう前から怖い。
クラインとキリトをからかうのが一番楽しいかもしれない。
「まぁ冗談はおいといて、シリカ・・・だっけか、どんな依頼だ?とりあえず話しを聞こう」
「冗談がきつすぎるぞ・・・・。まあいいか、シリカ、クレハに事情を説明してやってくれないか?少し辛いかもしれないが・・・」
「は、はい!大丈夫です。実はですね・・・・」
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「なるほど、それでピナの心を持って47層の思い出の丘に行きたいわけか」
「はい。けどわたしはレベルが足りてなくて・・・・」
「俺もついていくつもりなんだが、少し心配でな。護衛とか慣れてるクレハにも着いてきて貰いたいんだ」
「なるほどねー・・・・」
要約すると、シリカの依頼はこうだ。
35層の迷いの森でパーティの女性とアイテムのことで衝突したシリカは、パーティを置いて一人で森を抜けようとした。けどそれは上手くいかず、3体のドランクエイプに囲まれてしまった。命の危機を通りすがったキリトに助けてもらったが、ビーストテイマーとしてテイムしたピナというドラゴンが死んでしまった。そのピナをよみがえらせる為に47層に行きたいが、レベルが足りない。キリトが護衛を買って出たが一人では不安が残る。そこでキリトの他にもう一人護衛をつけようってことらしい。
「それは結構時間がかかりそうだな・・・」
「できればクレハにも参加して欲しいが、忙しいって言ってたな。やっぱり厳しそうか?」
「・・・・ああ、急いで解決しなきゃならん依頼がある」
「そう、ですか・・・・」
シリカは隠そうとしているが、不安と悲しさが表情に現われている。
どうしたもんか。前の依頼もそうだが、シリカからの依頼も簡単には『うけれません』と言えない様な内容だ。
・・・・・まてよ?
35層の迷いの森で、『女性プレイヤー』と衝突か・・・・・
かなり低いが、すこし気になる可能性が出てきたな。
「一つシリカに確認したいことがあるがいいか?」
「は、はいなんでしょうか?」
「その衝突した女性プレイヤーのこと、もう少し詳しく聞けるか?」
「え?あ、はい。ええっと・・・赤い髪をした槍使いで、『ロザリア』さんっていう背が高い大人の女性プレイヤーです」
「・・・・・・・なるほど」
これはビンゴだな。赤い髪の女性プレイヤーで名前は『ロザリア』
これならうまいこと行けるかもしれないな。
・・・・・・シリカをダシに使うみたいで申し訳ないが。
「わかった、俺も手伝おう。47層くらいなら余裕だろうし、さっさと行って、さっさとピナを生き返らしてやろう」
「ほ、本当ですか?ありがとうございます!」
「けど、いいのか?急ぎの依頼があったんじゃ・・・」
「まあ、問題ないさ。急がば回れっていうしな・・・」
「?」
「気にすんなよ、今日は35層の宿屋で準備と話し合いをして、明日の朝にでも出発しよう」
「・・・そうだなそれがいいだろう」
「ごめんなさい、ご迷惑掛けちゃって・・・・」
「それも気にするな、困った時に頼られるのが俺の仕事だ」
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アインクラッド35層
白いレンガ造りの町並みと、それを照らすオレンジ色の明かりがあたりを包んで、町の中は幻想的な雰囲気に包まれていた。中層プレイヤーが拠点として利用しているからか、夜にもかかわらず街には活気があふれていた。
「やっぱり35層は綺麗なところだな」
「そうだな、リンダースとは違ったよさがある」
「はい!私もお気に入りなんですよ。あそこのお店のチーズケーキが結構おいしくて・・・」
「チーズケーキか・・・・。いいな、今度作ってみるか」
「お、クレハのおやつに新しいメニューが追加されたな。シリカのお手柄だ」
「え?それってどういう・・・。クレハさんはケーキが作れるんですか?」
「ああ、一応料理スキルは完全習得してるからな」
「ええ!?完全習得だなんて、はじめてみました・・・」
「まあそりゃあそうだよな」
中層プレイヤーで料理スキルをあげていて、その上完全習得している奴なんて居ないだろう。というか武器のスキル以外を完全習得しているプレイヤー自体が少ないだろう。
「今度シリカも作ってもらうといい」
「今度といわず今夜作ってやるよ。同じ宿屋なら飯を食う時に俺達の部屋に来ればいいだろうし」
「いいんですか!?うわぁ・・・すっごく楽しみです!」
シリカが笑ったのを初めて見たかもしれない。
相棒が死んでしまった悲しさと罪悪感からか、ずっと暗い顔をしてたからな。
この明るい笑顔シリカの素の顔なのかもしれない。このようすだと普段はさぞ男性プレイヤーに言い寄られただろうな。
「シリカちゃん発見!ずいぶん遅かったんだね、心配したよ」
「今度パーティ組もうよ!いい狩場が有るんだ」
「あ、あの・・・」
ああ・・・・
早速というかなんというか、俺が想像してたようなプレイヤーがでてきたな。
下心みえみえというか、自分をアピールしたい態度が前面に出てるというか・・・・
明らかにシリカが困っているのにも気づいて無いようだし。
「あの、気持ちはありがたいんですけど。しばらくこの人たちとパーティを組むことニしたので・・・・」
「ええー!そりゃないよ・・・・」
口々に不満を声に出しながらそのプレイヤー達は俺とキリトを邪魔な物を見るかのような目で見てくる。
あからさま過ぎるなこいつら、シリカの目の前でよくそこまで不満を言えたもんだ。それを聞いてシリカが不快に思うとか、辛い気持ちになるとか考えんもんかね?
「あいあんたら、抜け駆けはやめてもらえるか!俺達はずっと前から声を掛けてたんだぞ!」
「そうだそうだ!」
「いや、そういわれても・・・」
あーこれはだめだな。
自分が満足する結果が出ないときに周りに文句を吹っかけてくるタイプの奴らだ。
キリトは何も言わずにいるみたいだが、ここで何とかしとかないと後々面倒になる。
「おい、お前らいい加減にしろよ」
「な、なんだよ。抜け駆けをしてきたのはそっちだろ・・・こっちは前から・・・・」
「前からって何だよ、お前らシリカが順番どおりに皆にまわってくるマスコットだとでも思ってんのか?結局お前らは自分の思い通りに行かないことをガキみたいに喚いてるだけだろうが。それともシリカをパーティに入れたい具体的な理由があんのか?」
「ぐ・・・・・それは・・・・」
「無いならどけてくれ、俺達も暇じゃないんだ」
「ぐぅ・・・・・」
シリカに言い寄ってきたプレイヤーは苦い顔をして黙りこくってしまった。
その間に俺達はさっさと宿屋のほうへ向かい、その場を離れた。
プレイヤー達が見えなくなったあたりで、シリカが申し訳なさそうに口を開いた。
「なんだかごめんなさい、わたしのせいで・・・」
「あいつらシリカのファンか?めんどくさそうな奴らだけど、人気があるのはいい事でもある」
「・・・・マスコット代わりに誘われてるだけですよ。それなのに『竜使いシリカ』なんて呼ばれていい気になって・・・・」
シリカはピナが死んだことを思い出したのか、また少し暗い表情に戻ってしまった。
こんな時に気の利いた一言でも言えればいいんだが、残念ながら俺にはそんな度胸もボキャブラリーもないんだよなー。有るとすれば・・・
「心配ないよ」
「え?」
「必ず間に合うから」
「・・・・・キリトさん」
こいつだよな・・・・。
一言でシリカの暗い顔をさっきまでの明るい顔に戻して見せた。こいつはこうやって数々の女の子を落として来たに違いない。シリカもすでにキリトに懐いてるようだし・・・
俺もしかして邪魔物?
「クレハさん?どうかしましたか?」
「いやなんでもない、できるだけ隅っこに居るから気にしないでくれ」
「?」
気を使えばいいのか自然にしていればいいのか分からん。アスナのときはリズが居たからなんともなかったが、こういう2人+俺のときはどうして言いか本当に分からん。
あれ?アスナの依頼を受けた俺としてはシリカを遠ざけたほうがいいのか?あの態度は明らかにキリトに気があるか、なくても時間の問題だろうし・・・・
「・・・・・・うーん」
「えっと・・・ほんとになんでもないんですか?」
「シリカ、気にしなくていいよ。クレハは時々ああなるから」
「人聞きの悪いこというなよ。もういいから、さっさと宿屋に・・・」
「あら?シリカじゃない」
「!」
後ろから女の子声が聞こえた。数人のプレイヤーの中に赤い髪をした長身の女性プレイヤーが居る。聞いたことが有る外見、それに少しおびえたシリカの態度で誰なのかが分かる。多分こいつが・・・
「ロザリアさん・・・・」
「森から脱出できたんだー、よかったわねぇ・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・シリカ、どうかしたのか?」
「・・・・いえ、別に」
キリトもシリカの不安を見抜いたのか、シリカのことを気遣っている。
シリカのことはキリトに任せておいたほうがいいだろう。
そのあいだに、俺はこの女を観察しておこう・・・・
「あら?あのトカゲはどうしたの、まさかぁ?」
「・・・・・ピナは死にました。けど絶対に生き返らせます!」
「そう・・・・じゃあ思い出の丘にいく気なんだぁ。けどあんたのレベルで攻略出来るの?」
「それは・・・」
終止ニヤニヤとしながらシリカが嫌がるような言葉を選んで話してやがる。それに加えて、シリカが思い出の丘に行くことの確認と誘導をしてやがる。
「できるさ、そんなに高い難易度じゃない」
「・・・・。あんたもその娘にたらしこまれたくち? 見たとこ、そんなに強そうじゃないけど」
シリカを庇ったキリトに突っかかるか。プライドと自意識の高さを隠しきれて無いあたり小物臭いな。
これなら間違いなくこいつはもう一度俺達の前に現れる。
・・・・・・一応ダメ押ししとくか。
「若さに対する嫉妬は醜いと思うぜ、オバサン」
「オ・・・オバッ・・・!」
「男に人気のあるシリカが羨ましいわけ?残念だけど、シリカに対抗するのは無理があるからやめたほうがいいぞ。10年遅い」
「あんた黙って聞いてりゃいい気になるんじゃないよ!!・・・・・・・まぁいいわ、思い出の丘で死なないようにせいぜい気をつけることね」
ロザリアは捨て台詞だけ吐いてさっさと消えてしまった。
あれだけ煽ったのに対した反論もせずに帰ったってことは、いよいよ間違いないだろう。おそらく
「おいクレハ、お前何もあそこまでいわなくても・・・」
「いいんだよ。ちょっとした考えもあったからな」
「考え?」
「ああ、お前には後で説明する。ちょっと協力してもらいたいからな」
「・・・? よく分からないが、何かあるなら手伝うよ」
「助かる。さあ、邪魔が入ったがそろそろ飯時だ、宿屋に行こう」
「そうだな。行こうシリカ」
「え?あ、はい!」
俺の行動に面食らっていたのか、シリカはどうしていいか分からないと行った表情で困惑していたが、キリトの声で落ち着いたのか遅れながらもトコトコと俺達の後ろをついてきた。
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「ごちそうさまでした」
「やっぱりクレハの料理は上手いな、さすが完全習得」
「そりゃどうも、チーズケーキは初めてだったから不安だったが、問題なかったみたいだな」
「わたし、こんなに美味しい料理はこの世界で初めて食べました・・・・」
宿屋について俺達は遅めの晩御飯を食べていた。宿屋にもレストランがあるが、各部屋に料理をするスペースがあるため、俺とキリトの部屋にシリカを招いて俺の料理を振舞ったわけだが、なかなか好評でうれしい限りだ。自分が作った物を上手そうに食ってくれると言うのはありがたい。
「食べ物はこの世界唯一の娯楽みたいなもんだからな、店に来てくれればいつでも振舞うよ」
「本当ですか!?」
「・・・・お前の店って万屋だったはずだよな?」
「最近は料理を作る依頼がやたら多くてな。本当に喫茶店になりそうで俺も怖い」
最近では半分ぐらい料理スキルに関する依頼だ。別に不満と言うわけではないが、やっぱり万屋としては複雑な気持ちになる・・・・
「じゃあ飯も食ったことだし、そろそろ明日に備えて47層の話をしよう」
「ああ、このまま俺達の部屋で始めてもいいか?」
「はい、私は大丈夫です」
「なら早速始めよう」
そういってキリトは小物入れ位の大きさの金属製のアイテムを取り出した。
キリトがアイテムをタップすると、立体映像のような形で47層の全体マップが現われ、机全体に広がっていく。小型のプラネタリウムのようでとても幻想的だ。
「わぁ・・・・・綺麗・・・・・」
「これ、ミラージュスフィアか。珍しいもの持ってるんだな」
「偶然手に入れたんだが、売らずに取っておいて正解だったな」
「そ、そんなに貴重な物なんですか?」
「パーティメンバー全員でマップを確認することが出来るし、何より綺麗だからな。店で買えるものでも無いし、需要はたかいな」
「そんな、使っちゃって良かったんですか?」
「俺はソロだし、こんな時じゃないと使わないし、気にしないでくれ」
「ソロのくせにそういうレアアイテムは集めるんだよな」
「いいじゃないか、MMOの醍醐味だ」
こいつはレアアイテムを集めるくせに使わないからな、こういうときでもないと消費する機会がないんだろう。コレクターと言うわけではないから使えるなら使うけど、使わないからといって手放すのは惜しいってタイプだな。
俺も気持ちはわかる。店の倉庫にはいつか使うかもと思って装備しないタイプの武器や防具も眠ってる。レア度が高いとなかなか売りにも出せないし、難しいところなんだよな。この前も・・・・
いやいかんいかん、そんなことより話を進めないと。
「それより47層の話だ。ここが47層の市街地で、思い出の丘にはこの道を通っていく」
「結構距離があるんですね」
「道中はそこまで問題じゃないんだけど、思い出の丘は植物系のモンスターが居て、そいつが・・・・・・・」
「・・・・・? キリトさん?どうしました?」
「静かに・・・・」
キリトは突然立ち上がるとドアのほうに駆けて行って勢い良くドアを開け放った。
「誰だ!!」
キリトが開け放ったドアの向こうには誰も居ない。しかし少し遠くから微かに走るような足音が聞こえる。これはまさか・・・・
「聞かれてたか?」
「ああ、そうみたいだな」
「けど、ノックをしなかったら部屋の中の音は聞こえないはずじゃあ・・・・」
「聞き耳スキルをあげてればそういうわけでも無いんだ。もっとも料理スキルよりマイナーなスキルだがな」
「そんな・・・けど一体誰が・・・・」
「・・・・・・・・・・」
十中八九
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シリカに十分警戒するように伝えてから部屋に返した。心配だがまさか同じ部屋で寝るわけにも行かないし、何かあっても隣の部屋だから危険は無いだろう。
シリカにキリトと一緒の部屋で寝るかと持ちかけたら顔を真っ赤にして慌てふためいてしまったが、決して嫌だとは言わなかったあたりシリカの気持ちがキリトに向いているのが良く分かる。この唐偏木は気が着いていないようだったけど・・・・
「・・・・なあクレハ。宿屋に来る途中に説明するって言ってた事と、さっきの聞き耳を立てていたプレイヤーって何か関係があるのか?」
「どうしてそういう勘だけは鋭いんだろうな、お前は」
アスナの気持ちにもその調子でバシッと気づいてやれば俺もリズも苦労しないのにな。・・・いや、シリカもキリトに気があるみたいだし、気づいたら気づいたで面倒なことになるのか?
「いいから、早く説明してくれ」
「ああ、わかったよ。最初から説明してやるから」
.
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俺はキリトにすべてを話した。俺が受けた依頼のことと、今回のシリカのことで俺が何をしようとしているのか、ロザリアを煽って見せた理由。全部を話した。
「なるほど、お前の事情は分かった。俺もほおっては置けないし、協力するよ」
「助かる。俺一人でも依頼はこなせるが、シリカも居るからな」
「問題はそれだ、シリカを巻き込むとは思わなかったのか?」
「巻き込むとなったら俺も連れては来なかったが、もうすでに巻き込まれてたからな。あいつ等の今回のターゲットはシリカだ。だったら目の届く場所に居たほうがずっと安全だろ?」
「・・・・・それもそうだな。となると、明日はシリカに危険が及ばないようにしないとな」
「ああ、もちろんだ。それだけじゃなくピナを生き返らせることも依頼の一つだからな。そっちもきちんとこなすぞ」
「さすが万屋。頼りになるな」
「うるせーよ」
明日はシリカを連れて思い出の丘に行くことになる。
ピナの復活ともう一つの俺の依頼がスムーズに解決することを祈ろう。
・・・・・・あと、思い出の丘でキリトとシリカがいい感じになったらどう気を使うかも考えておこう。
というわけで第八話でした
お気に入りや評価を付けてくださる方が多く、うれしい反面緊張しております。
マイペースながら速めの更新を目指します。これからもよろしくお願いします。