デスゲームでの日常を   作:不苦労

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中々文章が固まらなくなってきました。

頭に中でどうまとめていいのやら分かりません。
これが俗に言うスランプという奴なのでしょうか。



商人との日常

アインクラッド第74層の攻略は順調に進んでいるらしい。

今日依頼に来たパーティのリーダーからの情報だが、色々なパーティが迷宮区のモンスターの動きや戦闘パターンにも慣れ始めたらしく、レベリングも順調だそうだ。

この分では今週中にはボス部屋を発見する事も可能だという声も上がっているらしい。

 

一時期は攻略に参加できない事を悔やんでいた俺だが、クエストをスムーズに進行させる事でパーティを鍛えたり、中層プレイヤーのレベリングに協力したりと、間接的に攻略に協力をしている状態になっている。

流石にボス戦に参加する事は出来ないが、鞘を使わない戦闘になれたというか、のめりこむほど集中しなくても戦闘のクオリティを高める事が出来るようになってきたので、そろそろ最前線の迷宮区にも顔を出してみようかと考えている。幸いレベルも足りているしな。

 

 

しかし流石にまだ先の話になるだろう。知名度は上がってもいまだにソロで活動している俺が最前線で戦うにはまだちょっと心もとない。毎日の依頼で討伐系のクエストが増えてきても倒れたり頭痛がきたりということはないが、迷宮区の真ん中で一人でぶっ倒れるというのは俺としては中々にトラウマで、もう一度一人でとなるとまだ勇気が出ない。

ひとまずは今の状況を少しずつ変えていくところからはじめよう。

 

 

ということで、今日は依頼が終わった後に一人でレベルに余裕があるフィールドで狩りをしていた。早めに切り上げて今やっと家に帰り着いたところだが、疲れをずっしりと体に感じる。明日は店の定休日だがちょっと無理をしすぎたかもしれない。太陽は傾き始め、窓からはオレンジ色の光が差し込んでいた。

 

こんなときはゆっくりコーヒーを飲んで落ち着くに限る。リラックスして体を休めて、そのままちょっと早めの就寝をしてもいいだろう。ああ、考えるだけでなんか眠くなってきた気がする。さっさとコーヒー入れてゆっくり・・・・・

 

 

 

 

「おい!!聞いてくれよクレハ!!」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

デジャヴだ・・・・・

俺がのんびりしようとするといっつもこれだ。この前はアスナがうれしそうに部屋に飛び込んできたが、今回はその時のような華は全く無い。店に入ってきたのは俺より頭一つ分くらいでかい色黒のスキンヘッドのオッサンだからだ。美少女に邪魔されるならまだしも何で俺の至福の時間をガチムチな男に邪魔されんといかんのか。

 

 

 

「何の用だエギル。俺はお前にかまってる暇なんて無いぞ」

 

「どうした?機嫌が悪いな」

 

「お前が来るまでは穏やかだったよ」

 

 

 

俺の部屋に入ってきたのはエギルだった。黒いTシャツに黒いズボンというかなりラフなスタイルだが、こいつは自分の店でもこの格好だから、何の違和感も無い見慣れた姿だ。

エギルは少し興奮した様子で俺の部屋に入ってきたが、俺の冷めた返事で少し冷静さを取り戻したらしく、いつもの調子でゆっくりと俺の正面のソファーに腰を下ろした。

クラインやキリトとバカやってる時も有るけど、なんだかんだ言ってこいつは常識人だから、こういう対応はすごく助かる。そう考えると今の俺にはちょうどいい話し相手が来たのかもしれない。俺の安らぎタイムを邪魔した事は許さないけど。

 

 

「それで?何があったんだよ」

 

「そうだった聞いてくれよ!」

 

「でかい声ださなくても聞いてるよ」

 

「でかい声も出るってもんだ。ついさっきキリトが俺の店に来てアイテム売ろうとしてったんだよ。何売ろうとしたと思う?」

 

「なんだ?無駄に集めた使わないレアアイテムでも大量に持ってきたか?」

 

 

キリトがエギルに売るものって言ったらモンスターからドロップした物ぐらいだろうが、本気で金に困ったらたまったレアアイテム売りに行くって言ってたし、それじゃないかと思ったが、エギルの反応を見るに俺の回答は不正解だったらしい。

 

 

「そうだったら、いくらかよかったんだがな」

 

「じゃあ違うのか。けどあとキリトが売りそうな物って言ったらモンスタードロップの素材ぐらいじゃないか?」

 

「そう!まさにそれだ、モンスタードロップの素材だよ。いや食材って言ったほうがいいな」

 

「キリトがそんなの売るなんていつもの事だろ、何をそんなにあわてる事が有るんだ」

 

「それがあるんだよ。なにせあいつが持ってきたのは『ラグーラビットの肉(・・・・・・・・・)』だからな」

 

「はあ!?」

 

 

 

ラグーラビットの肉といえばS級食材じゃねーか!あいつなんでそんなもん持ってんだ。いや、忘れがちだけどあいつ攻略組だからレベリングの途中で偶然ラグーラビットを見つけてもおかしくは無いか。にしてもスゲーリアルラックだな、ラグーラビットってかなりレアな部類だったはずなんだが。

 

 

 

「そうなんだよ、キリトの奴S級食材持ってきやがったんだよ」

 

「うらやましいやつだな。けどキリトが売ったって事はエギルが持ってるんだろ?」

 

「いや、結局あいつ売らなかったんだよ」

 

「は? S級食材って料理スキルがそれなりに無いと扱えないだろ。あいつ俺に料理させる気か?」

 

「そうしてくれれば良かったんだがなぁ・・・・」

 

「?」

 

 

キリトがS級食材を売らなかったのは分かったが、結局その後どうなったのかが全く分からん。この様子を見るとエギルとしては不本意な結果になったのだろう。けどキリトから俺に連絡なんて来て無いし、そもそも俺に料理させたほうが良かったっていうのもよく分からない。というかキリトは食材だけもってどうするつもりなんだ?

 

 

 

「おいエギル、さっぱり分からんが結局どうなったんだ?」

 

「ああ、そもそもキリトはラグーラビットのレアさを最初は分かってなかったらしい。だから売ろうと思ったらしいんだが、俺が止めたんだよ。これは食うべきだってな」

 

「そりゃあ賢明な判断だ。そんで、俺に料理させようって話になったとか?」

 

「そうだ。そんでもってついでに俺も一緒に食わせてもらおうと思ってたんだよ」

 

「自分の欲望に正直な奴だな」

 

「でないと商売人なんてやってられないぜ」

 

「そりゃあそうだ」

 

 

キリトに食うべきだってアドバイスをしたのも自分が食いたかったからだろ。しかも1回自分で買ってから俺の所に持って来ようとしなかったってことは、キリトに着いて来てそのまま食うつもりだったな。1回買うとその分キリトに金を払わないといけなくなるからキリトを言いくるめたって訳か。自分が得をする時の頭の回転は速い奴だな。

 

 

 

「けどそれは無理だった。キリトが別の奴に料理してもらう事になったからな」

 

「別の奴?」

 

 

 

 

「アスナだよ。」

 

 

 

 

「あー・・・・・・・」

 

「クレハの店に行こうとしたら俺の店にアスナが来てな、自分が料理するから一緒に食べさせろって事になったわけだ」

 

 

 

なるほど。まとめると、キリトが売ろうとしたラグーラビットをエギルは俺に料理をさせて一緒に食ってやろうと思っていたが、ギリギリでアスナが来て料理人を名乗り出たから、空気を呼んで引かざるを得なかったって事か。アスナとしては最高のタイミングでキリトを誘えたが、エギルとしては最悪のタイミングでアスナが来たって事になる。ちょっと同情するな。

 

 

「流石のエギルもその2人についていくのはキツイか」

 

「そりゃあそうだろ。というかキリトが『エギルも来るか?』なんて言いやがった所為で空気が凍ったぞ」

 

「あいつすげーな・・・・」

 

「丁重にお断りさせていただいたぜ、料理は死ぬほど食いたかったけどな」

 

 

けど、この前やる気を出したアスナは早速キリトに飯を振舞う事に成功したのか。しかも最初の料理がS級食材を使った料理となるとかなりのクオリティになるだろうな。アスナの家に誘うミッションは無事完了だな。これでアスナももっと積極的になってくれればいいんだが。

 

 

 

「飯なら俺が作ってやるから今回の事は我慢するんだな」

 

「ホントかよ!! こりゃあ悪い事ばかりじゃなかったなーおい」

 

「はしゃぎすぎだろ」

 

 

 

飯がおごってもらえるってだけでそこまではしゃぐ年上を見るのもなんだか複雑な気分になるから辞めてほしいもんだ。まああと少しでS級食材が食べられるかもってところでそれがおじゃんになったらそりゃあ落ち込むか。しかも美少女に誘われていく知り合いも見せ付けられてるからダメージは倍増だな。

 

 

「クレハの料理ならS級食材じゃ無くてもかなり美味いからな、テンションも上がるってもんだ」

 

「そりゃどうも」

 

 

『流石にラグーラビットには負けるだろうがな』とは思ったが、それを言うのは野暮ってものだろう。せっかく俺の料理を楽しみにしてくれてるんだし、期待しておいて貰おう。

 

 

 

 

 

.

.

.

 

 

 

エギルが店に来てから結構な時間が経ち、時刻は夕食時に差し掛かりつつあった。

俺とエギルは夕食を食べるための準備を2人でだらだらと進めていた。

 

 

 

「にしても、キリトはアスナから飯を振舞ってもらっているというのに、俺達は男2人で悲しく食事会の準備とは泣けてくる」

 

「クレハでもそういうことを思うんだな。結構意外だ」

 

「そりゃあ思うだろ。流石にクラインみたいに騒いだりはしないが、俺だって人恋しい時は有る」

 

「ファンクラブまで作っといて何いってんだ。人なら有り余ってるだろうに」

 

「俺が作ったわけじゃねえ!」

 

 

ファンクラブがあるから寂しくないわけじゃないだろ。メンバーの顔なんて知らないし、俺には何の影響も無い。むしろそれが有るって事を知ったせいで、私生活とのギャップに悲しくなるくらいだ。『俺ファンクラブとか出来てるくせに1人で飯食ってるよ・・・・』みたいな。

 

 

「けどまあ、俺も嫁さんの料理が恋しいぜ・・・・」

 

「え゛え゛!! エギルリアルで結婚してんのか!?」

 

「言ってなかったか?」

 

「聞いてねぇよ! けどそうか、お前のその落ち着いた雰囲気は妻帯者の余裕って奴か・・・」

 

「なんだそりゃあ」

 

「お前に独り身の気持ちは分からんだろうよ」

 

 

 

ふとした瞬間に襲ってくるものすごく寂しい気持ちを味わう事も無いんだろう。

特に料理してる時がひどいな。何で俺は自分が食う物をせっせと作っているんだろうかって言う疑問が浮かんだら、そこからだんだんとネガティブな発想がわいてくる。

俺は1人でいるべきだって考えていた55層の時が懐かしいなー。あの時は意図的に人と深く関わろうとしていなかったから問題なかったが、その問題が解決してかなり時間が経って未だに1人だと流石に危機感を感じる。

リズとかアルゴとかキリトとかアスナとかクラインとかエギルとか、友達と呼べる奴は出来ているが、それとこれとはまた話が違って来るんだよなー。

 

 

 

「・・・なんか悲しくなってきた」

 

「けどファンクラブに入ってる女性プレイヤーはお前の事を好いているんじゃないか?」

 

「あんなの物めずらしいから観察してるだけだろ。動物園みたいなもんだ」

 

「そんなことはねぇだろ。もっと前向きに捕らえろよ」

 

「前向きに捕らえて勘違いだったら死にたくなるから嫌だ」

 

「・・・・・・・リズとアルゴの苦労が分かった気がするな」

 

「なんでその2人が出てくる?」

 

「ちょっとは前向きに生きてみろってことだ」

 

 

 

よく分からんことを言われてしまったが、マイナス思考なのは事実だから何もいえない。

βテスト関係の問題が解決した時もアルゴにいわれた気がするが、俺は少々ネガティブすぎるみたいだ。いや、自分でも分かってはいるんだが、急にポジティブになれといわれても急には無理だろ。なんかもっとこう・・・・イメージしやすいところで自信を付けていくのが良いのかもしれない。

 

 

 

「じゃあ、クレハに無理やりにでも前向きになるための方法を教えてやろう」

 

「ほう。それは結構興味があるな」

 

「難しく考えるからいけないんだよ、分からないなら聞けばいい。『自分を信頼してくれるか』とかそんな感じで」

 

「いやいや、それは恥ずかしいだろ」

 

「一人で考え込んでうじうじしてるほうがよっぽど恥ずかしいと、俺は思うぜ」

 

「おお、なかなかワイルドな発想だな」

 

 

 

外人の風貌をしているだけの事はある。

前向きというか自信を持っている感じがあって、見ていてすがすがしい。

なるほど、俺はこの逆をしてしまっている訳か。そりゃあ面倒な奴だと思われても仕方が無い。

ここは素直にエギルのアドバイスを聞き入れて見るのも悪くない。

 

 

 

「じゃあエギル。お前俺の事好きか?」

 

「ああ好きだぜ。なんだかんだ面倒見が良いし、とっつきやすい奴だ」

 

「・・・・なるほど。すこし照れくさいが、やっぱり直接そう言ってもらえるとこっちも前向きになれる気がするな」

 

「極端な話かもしれんが前向きにはなれるだろ?」

 

「まあな、けどこれ嫌いだって返されたらどうするんだ?」

 

 

 

今みたいに聞いて、エギルが『正直なところウザイと思ってる』とか言ってきたら多分立ち直れ無いと思うんだが。

 

 

 

「滅多に無いだろうが、その時は自分の何が悪いのか聞いてやればいい。別に直せなくても自分の悪いところを知れれば次に生かせるからな」

 

「ほう。その発想がすでに前向きだが、自分の気持ちを無理やり前向きにする方法としては良いな」

 

「相手の答えがこっちの求めた物でなくてもいいんだよ。不安を口に出して、それを相手に聞いてもらうってのが目的みたいな物だからな」

 

「なるほど」

 

「もっと言えば、これは『これをやったから前向きに慣れるんだ』って思い込みなんだよ。そういうのを1つ持って居るだけでもだいぶ違うぜ」

 

 

腕を組んでにやりと笑うエギルだが、今回はそのにやけ面が少し頼もしく見える。

だまされたと思ってやってみたが、これは確かにいいかもしれない。なにかジンクスを決めて置くことで気持ちを前向きにしようとするって事か。

 

 

 

「おーい。クー坊いるカ?」

 

「ん?ああ、アルゴか」

 

「おっすクー坊。あれ? エギルが居るなんて珍しいナ」

 

「よう、久しぶりだな」

 

 

 

お互いが偶然俺の店に来た事でかなり珍しいメンバーがそろったな。

俺の店が段々とたまり場になりつつあるんだが、いまさら気にしても仕方が無いか。さっきの話じゃないが前向きに捕らえよう。

 

 

「それで? 何の話をしてたんダ?」

 

「ん?そうだな、前向きな気持ちって大事って話だな」

 

「クレハのネガティブ思考をどうするかって話だ」

 

「・・・・・・何だかよく分からないナ」

 

 

いろいろとややこしい話の流れだったから説明が難しいな。

最初からってなるとキリトがラグーラビットの肉をアスナに料理してもらってってところから話さないといけなくなるし、正直面倒だ。

 

 

 

「もっと簡単に説明できないのカ?」

 

「といっても、俺とクレハも結構長い間話してたしなあ」

 

「簡単に、となると・・・・・・」

 

「どうしたクー坊?」

 

 

 

口で説明しようとするから面倒なわけで、これって実際に俺がエギルから聞いた事を実践して見せたほうが早いんじゃないか?

『前向きになるための~』とかを最初にいってもイメージできにくそうだ。

 

 

「じゃああれだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルゴ、お前俺の事好きか?」

 

「え゛え゛!!??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

凄い声出された。

 

 

あれ?さっきエギルが返してきたみたいにしれっと返してくれるんじゃないのか?

いや、アルゴだったらちょっと皮肉った答えくらい返してくれそうだと思ったんだが、不意打ちを食らったみたいに驚いている。

これってもしかしてあれか?最初に俺が不安に思ってエギルに聞いた嫌いだったパターン?まじか、実際にそういう返しが来そうなときってかなりキツイな・・・・

しかもアルゴはのことは結構信頼してただけに本当にそうだと余計にキツイ。

 

 

 

「なあアルゴ、どうなんだ?」

 

「いやっ・・・・あのっ・・・」

 

「嫌なのか!?」

 

「そ、そうじゃなくて!・・・・・・というか近いって・・・・・」

 

 

 

じりじりとアルゴが後ずさりをしている。

俺としては結構な不安が襲ってきているから少し前のめりだ。

アルゴを俺が壁際に追いやっているような状況になっているがさっさとアルゴに返事をしてもらわないと俺の不安がぬぐえないから俺も必死だ。

 

 

 

「やっぱり答えにくいのか?」

 

「・・・・・に」

 

「に?」

 

「にゃあああああああああああああああああああああ!!!」

 

「うわぁ!?」

 

 

 

アルゴは叫びながら全力疾走で部屋から出て行った。顔も赤くして若干涙目になっていて、結局答えを貰う事も出来なかった。

不安がぬぐえないままで凄く気持ち悪いが、この場合から前向きに考えるってできるのか?

 

 

 

「なあエギル。答えてもらえなかった場合はどうすればいいんだ?」

 

「・・・・・・・・・・呆れてなんもいえねぇよ」

 

「言われたとおりにしたぞ」

 

「お前って時々凄いアホだよな」

 

「失礼な」

 

「いいからさっさとアルゴ追いかけて事情を説明して来い」

 

 

 

 

.

.

.

 

 

 

 

素早さに特化したアルゴの全力疾走に追いつくにはかなりの時間がかかったが、何とか追いついて事情を説明してきた。

今まで見たことが無いくらい顔を赤くしたアルゴにめちゃめちゃ怒られたが、なんとかその場を治めることが出来たらしい。結局俺の質問には答えてもらえなかったが、もう一度聞いたら流石に殺されかねないので止めておく事にした。

エギルにも『俺が悪かったからもうあの方法は使うな』と言われてしまったし、俺とは相性が悪かったという事で納得しておこう。

 

それでどう話を付けたかというと・・・・・

 

 

「やっぱ最高だな。完全習得ってここまで変わる物なのか」

 

「クー坊、早く料理をもってこいヨ」

 

「はいはい・・・・・」

 

 

 

最初に言っていたエギルに料理を振舞う時にアルゴも同伴させるってことでいったん話を落ち着かせた。だがアルゴはまだちょっと機嫌が悪いみたいで、若干高圧的になっている。

 

 

「なあアルゴ、俺が悪かったからそろそろ機嫌をだな・・・・」

 

「クー坊は何が悪かったか分かって無いだロ?」

 

「うぐ・・・・」

 

 

さっきから何度か機嫌を直してもらおうとしているが、アルゴが言ったとおりアルゴが怒っている意味を俺がいまいち理解できて無いから解決の仕様が無い。

女の子を怒らせたことなんて滅多に無いからどうしていいのかが分からん。というかそもそも女の子の知り合いがリアルで居ない。

 

 

「なあアルゴ、クレハもああ言ってるしそろそろ許してやってくれ」

 

「エギルも同罪みたいなものだけどナ」

 

「わ、悪かったよ。こいつがここまでバカとは思わなくてな?」

 

「おい罵声がストレートすぎるだろ」

 

 

 

流れ的に俺が悪いってことは明確だが表現が直接的過ぎだ。

 

 

 

「まあクー坊だし、しかたないとは思うかナ」

 

「アルゴもそれで納得しないでくれ」

 

「お詫びにこれからはクレハがアルゴの好きなときに料理振舞ってくれるってよ」

 

「ホントカ!?」

 

「いやいやいや、それは流石に・・・・」

 

「けどそうでもしないとアルゴは許してくれないそうだぞ?」

 

「そうだナー。それ以外だと駄目なくらいナ」

 

「うそだろおい・・・・・・」

 

 

 

エギルが変な提案しやがったせいでアルゴの専属料理人にされてしまいそうだ。

そんな事言ったらこいつはほぼ毎日ただ飯食いににくるようになるだろうが。2人分の食材費を考えると結構な痛手になるから正直キツイぞ。

 

 

 

「俺からアルゴへのお詫びの品だ」

 

「いやー悪いネー」

 

「お前のお詫びに俺を巻き込むな」

 

「じゃあ他に何かいい案があるのか?」

 

「えーと・・・・・」

 

 

なんにもない。

 

 

「じゃあクー坊、明日も来るからな、明後日も来る」

 

「毎日来るんじゃねーか」

 

「にゃはは。何でオレッチが怒ったのかをクー坊が分かったら許してやるヨ」

 

「…りょーかい」

 

 

 

それが分からない限り俺が圧倒的に不利だ。

まあ、機嫌もよくなったしよしとするか。毎日来るなら質問の答えもおのずと分かってくるだろうし、アルゴなら別に飯を振舞うのも苦じゃないしな。

あれ?若干ポジティブに考えれるようになった気がする。

結局のところ、自分が楽になるように考えてみろって事なのかな。

 

 

 

「クレハ、おかわりだ」

 

「お前は遠慮がねえな」

 

「いいじゃねえか、俺のおかげで丸く収まっただろ?」

 

「ホント、良い性格してるよお前は」

 

 

 

多分国籍も違うだろうし、年もかなり離れている。

そんな奴と出会えてこうして飯を食えているって考えると、やっぱりSAOも悪いもんじゃない。

 

 

 

 

ほら、ポジティブに考えれるようになった。

 

 

 

 




というわけで第十四話でした。


今回は原作のくだりをちょっと改造して話しに絡めています。
今後はこんな感じですすめて、最終的にSAOの攻略まで行きたいと思います。

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