僕と天狗の取材録   作:彩風 鶴

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注意
・この作品は東方projectの二次創作です
・不定期更新
・原作とは異なる自分設定
・妄想過多
・にわか故のキャラ崩壊や原作と違う部分
・勉強中の彩風「わーい。たっのしー。(白目)」
以上が苦手な方でも折角ですしゆっくりしていって下さいね!






9章 5話~患部で止まってすぐ溶ける~

「それより、もうすぐ終わりそうですよ。」

 

文さんが微笑を浮かべて見つめる先、弾幕勝負が行われている光景はなかなかに幻想的だ。

あの中に自分が放り込まれたらと考えるとゾッとするけど……。

よく見てみると弾幕の形は全て同じというわけではないようだ……。

 

綺麗な球体もあれば楕円もある。レーザーのように細長いものもあった。

そう言えば僕が出したのは弱々しい細長いものだったっけ…………?

そんな無数に飛び交う弾幕の中で一際目を引く形状のものが一種類。

 

ミサイルのような……銃弾のようにも見える……。

発射された元を辿っていくと鈴仙さんが出す弾幕のようだった。

なんだろう……この形は…………

 

「相変わらず患部で止まってすぐ溶けそうな形してますね。」

 

隣で文さんが呟く。

その瞬間、患部で止まってすぐ溶けそうな形の弾幕が目の前まで迫ってきていた。

すんでのところで何とか避ける。

鈴仙さんの方を見ると怒りの笑みを浮かべながらこちらの方を向いていた。

どうやら気にしているらしい。きっと文さんはそれを理解した上でわざわざ煽るようなことを言ったのだろう。

文さんらしいと言うか何というか……。

しかし結果的にはそれが功を奏したのか、よそ見をした鈴仙さんに一つの弾幕が直撃する。

その後はあっという間だった。

体勢を崩した鈴仙さんを他の弾幕が容赦なく襲う。明らかにオーバーキルだろう……お気の毒に…………。

しばらくすると攻撃が止み、地面に伸びている鈴仙さんの姿が明らかになった。

 

「あぁー…………しっかりやられましたねー……。」

文さんと共に鈴仙さんのもとに駆け寄る。

自分をボコボコにした二人とその他三名に見下ろされる様子は端から見れば不良に絡まれているようにしか見えないだろう。

「うぅ……。」

「だ、大丈夫ですか……?」

鈴仙さんは呻き声を上げて、頭をさすりながら体を起こす。

「さて、それじゃあ説明してもらおうかしら?」

「説明も何もさっき言った通りよ……。師匠に侵入者は追い返すように言われたから私はそれに従っただけ。」

……どうにも状況が読めない。何であの数少ない常識人の鈴仙さんといきなり戦闘が始まったのだろうか?

師匠……っていうのはきっと永琳さんのことだろうけど侵入者って…………。

「雑用には何も知らされてないってわけか。」

「何とでもどうぞ。」

魔理沙さんの挑発に乗ることなく鈴仙さんはそっぽを向いてしまった。何だか拗ねた子供のようにも見える。

どうやら弾幕勝負での勝敗は絶対であるようだ。

「え……えっと……文さん、これはどういう……?」

小声で横に尋ねてみる。

「あー……ここに来るまでの竹林が前と全然違う構造になっていたうえに途中から同じところを回りそうになったでしょう?あれは彼女の……鈴仙さんの能力によるものです。それで理由は分かりませんが我々の行く手を阻んだということで今にいたるわけです。」

「は……はぁ……。」

よく分からないが鈴仙さんによって僕達は竹林を迷うよう仕向けられていたらしい。

それじゃあ、前に僕が迷ったのも鈴仙さんのせい―――

「あ、いや、あのときはただ純粋に鞘が迷っただけです。」

心を読まれた上にバッサリと断言され何ともいえない表情を作る。

 

「それで……永遠停はどっちよ?」

「私があなた達に教えるとでも?」

霊夢さんと鈴仙さんの間に火花が散り始める。

今にも第二ラウンドが始まりそうだ。

「あんた負けたんだから大人しく言うこと聞きなさいよ。」

「私はそんなの知りませんよ。」

「この……あんたが知らないわけないでしょうが!」

声を荒げる霊夢さんに負けじと鈴仙さんも知らぬ存ぜぬを突き通す。

「何だよ……。こんなんじゃ埒があかないぞ……。」

「そうですよね……。」

そう言えばいつの間にか早苗さんが戻ってきている。弾幕勝負が行われている間は姿が見えなかったけど……ちゃっかり避難していたのだろうか?

 

「あんたね……みっともないわよ。」

「…………。」

鈴仙さんの態度を見るにこのまま粘っても吐いてくれそうにない……。

再び竹林をさまようしかないのだろうか?

そんな風に思いかけたそのときだった。

 

「ちょっと良いですか?」

 

全員が文さんの方に注目する。皆の視線を気にすることなく文さんは一歩前へと踏みだし、地面に腰を下ろしている鈴仙さんの前にしゃがみ込む。

するとおもむろに懐から一枚の写真を撮りだした。

それを鈴仙さんの眼前へと突き出す。その瞬間鈴仙さんの顔色が何かの試薬のように真っ青に変わった。

ニコニコと楽しそうな文さんは鈴仙さんに耳打ちする。必死の形相でしきりに顔を縦に振る様子を見ると何だか気の毒になってきた…………。

 

 

「道教えてもらえるそうですよ。」

2分ほど経った後、文さんが僕達に向かって親指を立てた。

その後ろの鈴仙さんは正座しながら地面の方を向いている…………。可哀想に……。

「ここから右にずっと行った先です。」

先ほどに比べると随分と低くなったトーンで右の方向を指さした。

「おぉ、ありがとな!」

魔理沙さんが無邪気にお礼を言う。悪意があるのだろうか?ないのだろうか?どちらにしても質が悪いのには変わりないが……。

「よし、じゃあ永琳のとこに行くわよ。いきなり侵入者を追い返すだとか何考えてるか知らないけど本人に聞けばいい話よ!」

「善は急げですね!」

霊夢さんも早苗さんも特に気にすることもなく鈴仙さんの教えてくれた方向に進み出す。

何というか…………うん……。

言いようのない感覚のまま霊夢さん達の後を追う。

 

「あ!……ちょっと。」

 

去り際に後ろから消え入りそうな声がかかる。

振り向くと、鈴仙さんが文さんに縋るような目で何かを話していた。

微かに聞こえた声の一部。

「あの…………本当にお願いしますね……。」

小刻みに震えながら表情で何かを訴えている。

…………何でだろう……目から水が……。

 

 

 

「あの……文さん?鈴仙さんに何見せたんですか?」

「写真ですよ?」

「いや、まぁ……それは分かってますけど…………。」

何だか迷っていたときに比べてかなり霧が薄くなったようにみえる。

「そうじゃなくて僕が聞いているのは写真の内容についてです。」

鈴仙さんをあそこまで怯えさせる写真……いったいどんな写真なんだろうか…………。

「見たいですか?」

文さんに目を合わせて尋ねられる。一見すると曇りのない綺麗な眼だ。

改めて見たいか?と訊かれれば、見たいような見たくないような複雑だ。

「鞘にはちょっと刺激が強すぎるかもしれないですねー。」

「しげきがつよい?」

…………。

し、刺激が強いっていうのは……?

それは、つまり?そういうこと?

え?いや。どういうことだろう?

鈴仙さんの弱みになるような写真であり、なおかつ僕には刺激の強い写真。

そこから予想できるのは…………。

 

 

「?ど、どうしました鞘?顏真っ赤ですけど……?」

「あ、あ、あ、あ!文さん!?さ、ささ……最低です!!見損ないました!!!!」

「え?」

叫ぶように言い残して少し先を歩く霊夢さん達のところに駆ける。

いくら文さんでもそんな写真を撮って、人を脅すだなんて…………許されない行為です…………。

第一、何で文さんがそんな写真を持っているんですか……。

心内にモヤモヤとした気持ち悪さが膨れ上がってくる。何だろう……コレ…………。

「おー?どうした鞘。」

いきなり走ってきた僕に魔理沙さんから声がかかる。

「い、いえ。別に大したことでは…………。その、永遠亭はもう近いんですか?」

「……。断言はできないけどもう近くまで来てると思うわよ。」

「しっかし永琳は何で侵入者を追い返すだなんだってやってるんだ?」

「何か私達に来られてはマズいことでもあるのでしょうか?」

「どうせろくでもないこと考えてるんでしょ。」

霊夢さんは首を揉みほぐしながらだるそうに歩みを進める。

何だかこう……巫女さんってもっと神聖なイメージがあったけど、実際はそんなものだよね。今更といえば今更だし。

「何?」

「え!?いや、別に何でも!」

何を考えているかを悟られてしまったのか霊夢さんの半眼が刺さる。

 

「うーん……なんだろうな……タイミングから考えても今回のことと無関係とは思えないしな。」

「そうですよね。永琳さんはアンネさん達を看ていたはずですし、そこで何かが起こったのでしょうか?」

「うっ……あ、文さん。」

いつの間にか真後ろには文さんが立っていた。最低だの見損なっただの言ってしまったせいで目を合わせることができない…………。

「何かって何よ?」

「さぁ?そこまでは。」

文さんは肩をすくめてみせる。

「そういえばブン屋は人里に来る前に永遠亭に行ってたんだよな?」

思い出したように言った魔理沙さんの言葉に皆の視線が文さんへと向けられる。

確かに文さんは人里で僕達と合流する前に永遠亭に大ちゃんを預けにやってきていたはずだ。

「はい。確かに来ましたけど特に何かあったわけではないですよ?大妖精を預けただけです。」

「それにしてはちょっと人里に来るの遅くなかった?」

「そうでしたか?」

疑うような声にも動じることなく文さんが答える。

 

「んー……なんだろうな?何か月に関連することか?」

すると魔理沙さんが気になる発言をした。

月?月ってあの空の月だろうか?兎がお餅をついてるあれ?

「……もしかしてエルさんとチールさんは月の住人だったりするんでしょうか?」

月の住人?ど、どういうことだろうか?

頭の中がこんがらがっている僕をおいて話は膨らんでいく。

「エルさんとチールさんは月からの使者で永琳さんと輝夜さんを追って地球にやってきたとか?」

「話が飛躍しすぎよ。第一根拠がないわ。」

早苗さんが楽しそうに想像を巡らせるのを霊夢さんが遮った。

「じゃあ、二人は月からの侵略者で、幻想郷を征服しに来たとか!」

 

「「「…………」」」

 

ジト目が早苗さんに向けられる。

暫く間をおいた後

「勿論冗談ですよ?」

ニコニコとしたまま早苗さんが声を上げて笑う。

…………やっぱり話についていけない……。

 

「まぁ……何にせよ本人に聞けば分かる話よ。ほら、見えてきたわ。」

辺りはさっきとは比べものにならないほど霧が晴れて視界は明瞭になってきた。

「それじゃあ、行きましょうか!」

そして僕は再び永遠亭に足を踏み入れることとなった。

 

 

 

 

          続く……。

 

 

 




はい!どうも!彩風です!!

ねぇ?なんか言うと思った?ネタ言うと思った?

さて、やっとこさ9章を終えることができました。
相変わらず目標である日曜更新にギリギリではございますが私は元気です。


次はおまけ編ですが、おまけ編だといつもよりは捗るのかなー…………。
相も変わらず酷い文章で推敲もろくに出来てはございませんが……皆さんの広い心でお許しください。




「今日の余談はお休みよ」




それでは次回も是非ゆっくりしていってくださいね!!

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