僕と天狗の取材録   作:彩風 鶴

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注意
・この作品は東方projectの二次創作です
・不定期更新
・原作とは異なる自分設定
・妄想過多
・にわか故のキャラ崩壊や原作と違う部分
・2017年も是非僕と天狗の取材録をご贔屓に……
以上が苦手な方でも折角ですしゆっくりしていって下さいね!






おまけ編 2話~あけおめ・そしてことよろ~

「明けましておめでとうございます!!文さん!!」

 

 

窓に映る初日の出を眺めながら横の文さんに話しかけた。

「鞘。前回のあれがあってからいきなりそれをぶっ込んでくるのはどうなんでしょうか。」

心惹かれる美しい太陽の光を浴びながら文さんは失笑をこぼす。

「…?前回というのは?」

「何でもないですよ。」

文さんにそう言ってはぐらかされて何だかスッキリしないまま会話を終える。

 

そうして目の前の景色に意識を移した。

 

 

「改めて文さん!!明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!!」

背筋を伸ばして正座をすると深々と頭を下げる。

「えぇ、こちらこそ今年も宜しくお願いしますね。」

文さんは僕の目線まで屈むとニコッと笑みを浮かべた。

 

「いやぁ………去年はとっても忙しいし内容の濃い一年でした………。」

「新年早々去年の話をするのはどうかと思いますけど…………。」

文さんに半眼を向けられて確かに……と話題を変える。

「文さんは何か今年の目標とかは無いんですか?」

「目標………ですか………。」

う~んと唸ること5秒ほど……懐から手帖を取り出すとサラサラと何やら書き込んだ。

そして、ページを一枚破り僕の前に突き出す。そこには達筆で、

 

『猪突猛進』

 

………。

チラっと文さんの顔を見やると満足げな顔で僕の反応を待っている。

「何というか、こう…………とても文さんらしいですね……!」

とりあえずは思ったことをそのまま伝えておいた。

今年の目標になるのかどうか怪しいけど……。これだったらもう達成してしまっているだろう。

「何事にも全力で取り込むことが成功への一番の近道です!手を抜くなんて言語道断ですよ。」

………何だか格好いいことを言っているけど文さんが言っても説得力が無い気がする。

文さんは兎を狩るときは最低限しか力を出さないタイプの獅子だろう。もしくは爪を景色と擬態させる鷹かな?

あ、でもネタにはなりふり構わず突っ走っていくかもしれない。

「今年はもうネタになりそうなことは何でもして手に入れるぐらいの意気込みで行きますよ!!勿論鞘も。」

「ん?」

今何でもするって……。僕も?

文さんの言葉通りにならないように祈りを込めて大きく溜め息をついた。

 

「それで?鞘の方は何かありますか?今年の目標は。」

「僕ですか?」

文さんにペンと手帖を無理矢理手渡される。同じようにここに書いて示せ。ということなのだろう。

「ん~………目標ですか……。」

目を瞑ってゆっくりと考えてみる…………。フリをしてから思いついたように手帖にペンを走らせた。

きっと訊いたら訊きかえしてくるだろうなと予想していたのだ。

ふふふ……文さんに尋ねる前から答えは準備してある。

丁寧にページを破るとバッと文さんの前に差し出す。

 

『安全第一』

 

「………。」

チラッとこちらを見やる文さんに満足げな表情を見せる。

「何と言いますか………こう………鞘らしいですね。本当に……。」

しかし期待とは裏腹に文さんの反応は思ったことを適当に口にしたようなものだった。

確かに目標としてはありきたりかもしれないけど……去年の経験を生かして僕が最善だと考えた四字だ。

「幻想郷では常識に囚われちゃいけないと学びました!何事にも慎重によく考えて臨むようにしたいと思います!」

「まぁ、いいんじゃないですか?とても大事なことですし。」

そう言う文さんは苦笑いを浮かべている。僕が何か変なこと言っただろうか?

 

「因みに、《安全第一》の次に何があるか知っていますか?」

僕の心配をよそに文さんが人差し指を立てた。

「え?続きなんてあるんですか?」

「えぇ、どう続くと思いますか?」

安全第一のあと……、多分○○第二と続くのだろう。

安全の次だから……健康………とか?

「………健k……。」

ニヤニヤと面白そうに僕の考える様子を見る文さんを見て言いかけた言葉を飲み込む。

果たして本当にそんなに単純なことなのだろうか……。

文さんのことだ…きっと引っかけを用意しているに違いない。

そもそも○○第一なら○○第二なんて簡単な問題を文さんが出すわけがないじゃないか………。

一度思考をリセットする。

 

まず、安全第一って言葉を見かけるのは基本工事現場だ。

そして、その先に続く言葉………。もしかして○○に心がけよう!とか○○に気をつけよう!のような注意を促すような言葉が入るのでは?

その考えが浮かんだ瞬間僕の体に電撃が走った。

そうだ!きっとそうに違いない!!文さんめ……そんな引っかけに足をかけるような前の僕と同じではありませんよ。

じゃぁ、その次に続く言葉は?

工事現場において安全第一……ってことは事故防止ということだろうか?

工事現場の事故………。思い浮かぶことと言えば高い場所で足を踏み外したり鉄骨なんかが上から落ちてきたり……。

色々なケースがあるだろう。

それらをまとめて防ぐように促すような文句…………。

 

「分かりましたよ文さん……!」

「おおー。そうですか……それでどんな言葉が続くと?」

自信満々の僕に文さんは言葉の割には感情が籠もっていない声をあげる。

その様子だとろくな答えが出ないだろうと思っているに違いない。

ふふふ………10秒後、貴様はその考えを覆すことになる………!

「安全第一………」

とりあえず小さく呟く。

文さんはニコニコと母親が子供の言うことに耳を傾けるようにして僕の方を向いている。

意図しているのかしていないのか分からないけどかなり馬鹿にされている気がする………。

しかし!そんな風にしていられるのも今のうちだ………。

僕は大きく息を吸い込み、たっぷりと間を開けてからこう言い放った。

 

「周りに気をつけよう!」

 

ドヤァ。

そんな擬音が似合いそうな自信満々の笑みを浮かべる。

そして数秒の沈黙。

 

「くっ………くくっ………くす………………ブホォ!!」

人をいらつかせるという点にかなり長けている笑いが沈黙を破った。

堪えようとしているのか全く堪える気がないのか良く分からないが何にせよちょっとムッとしてしまう。

「ははは………ひぃ……ひぃ………。」

腹を抱えて笑い出す文さんに頬を膨らませて半眼で応じる。

そのまま数十秒ほど笑い声が止まることはなかった。

 

「満足しましたか?」

「悪かったと思ってますって……よく考えればそんなに変な答えでもないですし……『周りに気をつけよう!(キリッ)』……ブッ。」

「もういいです……!」

「あぁあぁ!!ごめんなさいごめんなさい!」

涙目でそっぽを向いた僕の機嫌を取り戻そうとしているのか僕の周りをシュバシュバと移動しながら謝罪の言葉を述べる。

これは挑発というのではないだろうか?

「それで……答えは何なんですか………?」

ボソッとこぼした僕に文さんはきょとんと首を傾げる。

そして思い出したようにあぁ!と声を上げると僕の正面の椅子に腰掛ける。

「そうでしたね。伝えてなかったですね。」

そう言うと手帖から新たに一枚ページを破った。……そんなに破ってしまっていいのだろうか?

スッと差し出されたそこにはまたまた達筆で

 

《安全第一・品質第二・生産第三》

 

こう書かれていた。

品質……?生産?

○○第二という考えは合っていたのか深読みしなければ良かった。

にしても、品質と生産……って?

 

僕が頭を捻っていると僕が考えていることを察したのか

「この言葉はもともとはとある会社の方針のことだったんですよ。因みに最初は安全と生産の順が逆だったそうですけど。安全は二の次だったってことですね。」

「へ~」

そんな豆知識に何だか気の抜けた声を漏らす。

今年の目標として《安全第一》と掲げた後にそれを聞かされると何だか複雑な気分だ。

別に品質や生産を気にするような1年になるなんてことはないだろう………。よほどのことでもない限り。

 

 

 

 

「とまぁ………そんなことはどうでもいいんです。」

すると急に真面目な顔になった文さんの顔が近くなる。

「ひぇぁ!?」

急のことに思わず変な声を上げる。

触れてみなくても自分の顔の表面温度が高くなっているのが分かる。

 

「改めて!今年も宜しくお願いしますね!!」

 

思わず入っていた力を抜く。

「は………はい。お願いします。」

力ない笑みを浮かべるとそう言ってペコッと頭を下げた。

どこか満足げな文さんはうんうんと頷くと机に視線を落とした。

 

 

さすがの文さんでもお正月くらいは休むのかなと思っていたけどむしろいつもより熱心に机に向かっているように見える。

記事を書いているときは僕に手伝えることは何もない。

「ふぅ………」

力を抜いて椅子に腰を下ろした。

何だか妙に眠い、ちょっと寒いからかな?

眠くてぼやけた視界で外を見やる。

それから曖昧な意識が冴えるまで数えるほどもなかった。

 

「文さん!!」

 

「はい?」

振り向いた文さんに外を見るように指で窓を指す。

促されるままに窓の外を見た文さんも「おぉ……!」と声を上げた。

思わず窓の方に駆け寄って円形の景色を眺める。

 

 

「雪ですよ!!」

 

 

文さんも外を見たのだから当然分かっているだろうけど、ついつい自分の視界を言葉にせずにはいられなかった。

しんしんと降り積もるそれに目を奪われ、仕事場の外に足を踏み出した。

 

 

 

「うわぁ………!!雪です雪!snaw!!」

子供のように両腕を空に向けてはしゃぐ僕を見て文さんが苦笑を漏らす。

「活字じゃないと分からないネタをぶっ込むのはどうなんでしょう……鞘、snawじゃなくてsnowですよ。」

「あれ……?そうでしたっけ。」

そんな間違いを照れ笑いでごまかした。

 

辺りは真っ白な薄いカーペットで覆われ光を反射して幻想的な風景が広がっている。

屈んで触れてみるとふわふわと柔らかいそれはスッと手のひらに溶けた。

新鮮な感覚に何度も手を握ったり開いたりを繰り返していると首もとに何かがぶつかった感覚があった。

「ひゃん!?」

首もとの冷たい何かを一心に払い落とす。

振り向くと文さんが雪玉を片手にニヤニヤと笑みを浮かべていた。

「それぐらい避けてもらわないとこれから先が不安ですねぇ………。」

「………。」

おもむろに周囲の雪をかき集める。

適当に固めると狙いを定めて………投げた。

「覚悟!!」

そこそこの速度で文さんに向かって投げられた雪玉は文さんにぶつか、

ることなく無惨に地面で砕けた。

 

「甘い甘い。」

 

文さんはクスクスと挑発するように左右にステップを踏む。

「むぅ…………。」

すぐにまた弾薬の補充を始めた。

 

 

 

 

      続く………。

 




どうも!初詣は行かない派の彩風です!!

だって人いっぱいなんだもん。


さてさて気を取り直しまして………。
今回も僕と天狗の取材録を後書きまで閲覧いただき本当にありがとうございます!
そしてそして、
投稿日に見てくださっている皆様方……(いるのだろうか?)

あけましておめでとうございます!!!!
今年も宜しくお願いします!!!

いやはやもう2017年ですか………時が経つのは早いですねぇ。
皆さんは初夢はどんな感じでしたか?
彩風は茄子をくわえた鷹が富士山の周りを飛び続ける夢でした。
いやぁ……新年から縁起いいわぁ………幸せだわぁ。

まぁ……この後書き書いてるの2016年なんですけど。

予約投稿って便利。



それでは!このような拙い作者と作品を開いて下さった皆様。
改めて感謝申し上げます!!
そしてそして!
しつこいようではありますが……

今年も『僕と天狗の取材録』を宜しくお願いします!!!


それでは次回も是非ゆっくりしていってくださいね!



Ps.予約投稿で年のバー動かしたの初めてだ……。

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