僕と天狗の取材録   作:彩風 鶴

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注意
・この作品は東方projectの二次創作です
・不定期更新
・原作とは異なる自分設定
・妄想過多
・にわか故のキャラ崩壊や原作と違う部分
・ホラー映画が観たくて借りてきたはいいけど怖すぎて観られない
以上が苦手な方でも折角ですしゆっくりしていって下さいね!






8章 3話~現実なんてそんなもの~

「あぁ!来て下さったんですね!ありがとうございます!!」

屋敷にたどり着いた僕達を迎えたのはそんな明るい声だった。

声の主は若い女性で、後ろで髪を束ねている。

顔には笑みを浮かべているが、その笑顔はどこか陰っている感じがした。

「えっととりあえず中にどうぞ。」

「じゃぁ、お邪魔するわよ。」

そう言って霊夢さんはズカズカと玄関へ足を踏み入れる。

それに続いて早苗さんや千恵さんも屋敷の中に入った。

 

僕は改めて屋敷を眺める。

パッと見ただけでも相当の大きさだと分かる。

個人が住んでいるような感じじゃないから……何だろう?村民が何かのイベントとかで使うんだろうか?

ただ、それにしては里の端にあるみたいだし周りに建物もない。

いったい何のための建物なんだろうか?昔は周りにも建物があったけど今はもうなくなっちゃった………とかかな?

 

「あれ?その方はどうしたんです?」

そんな想像を頭に巡らせているとそんな声に我に返った。

てっきり自分にかけられた声だと思って答えかけたが実際は違うようで……

「あぁ………ここに来る途中で倒れてたんだ。ついでだからここに連れてきたんだよ。」

「え………あぁ、そうなんですか。ありがとうございます。」

魔理沙さんが笑顔で言った答えに女性は申し訳なさそうにお礼を言うと魔理沙さんから抜け殻となった女の子を受け取る。

どうにも浮かない顔に見える………まぁ明るく振る舞えという方が無理な話かもしれない。

「おーい。鞘?どうしたよ?入らないのか?」

「あ…あ、あ!待って下さい!!」

不安げにしている女性から視線を外し玄関へと急いだ。

 

 

「それで、今何人くらいが倒れてるの?」

5人と人を抱えた1人がぎりぎり並んで通れるぐらい広い廊下を歩く。

「えっと………この方で14人目です……。昨日で9人、今日が5人目です。」

その答えに僕は「え!?」と思わず声を上げた。

「あ………ごめんなさい。」

皆に視線を向けられ咄嗟に謝る。

それにしても14人………。そんなにたくさんの人があんな状態になってしまったんだろうか……。

……あまり考えたくないが、今からその人たちが休まされているところに行かなくてはいけないのだ。

「14人か……そりゃまた随分と多いな……。」

「えぇ……。急なことで皆戸惑ってしまって、寺子屋はお休みにしているみたいですけど……全く外に出ない訳にも行きませんから。」

「あなたはこれらのことは病か何かだと?」

「はい。違うんですか?」

質問に質問で返されて早苗さんは答えを迷っている様子だった。

下手に魂のことなんかを口にしようものなら余計に混乱させることになるだろう。

「まだ、なんともいえないわね。もう少し情報がないことには………。」

そんな早苗さんをフォローしたのか霊夢さんがさりげなく話を繋げた。

「そうですよね………。あ、つきました。ここです。」

そんな話をしていると、どうやら倒れた人達がいる部屋に着いたようだった。

 

「じゃ、お邪魔するぜ。」

魔理沙さんは真っ先にドアを開く。

そして僕は自分の見た光景に言葉をなくした。

 

 

耳がうまく働かないせいか、世界から音が消え去ったように静かだ。

 

出来るならばもう目にしたくなかったそれは……。

 

清澄に……そして容赦なく。

 

しっかりと事実として僕の目の前にまた姿を現した。

 

 

そこには老若男女様々な人達がいた。

白髪のお爺さん。若い女の人に、がたいのいい男の人。5歳くらいに見える女の子までいた。

ただ………全員同じように………

「動かない………ですね。なんだか不気味な感じがします。」

隣で早苗さんが口元を手で押さえる。

僕は思わず部屋に背を向けてしゃがみ込んでしまった。

「だ、大丈夫ですか!?」

すぐに駆け寄ってきてくれる声があったがすぐには答えることができない。

現実を見るのが辛くて仕方なかった。

目の焦点が合わず、視界がぼやける。

「は……はい。大丈夫……です。」

作り笑顔なんてする余裕もなく下手な嘘をつく。

「おい……。無理はするなよ?大丈夫なんて様子じゃ―――」

「大丈夫です……。本当です。」

ただ、辛かったのは紛れもない事実だがそれ以上に逃げたくないという思いがあった。

目を覆うことは簡単だけどそうしてしまえば再び視界を開くことができないような気がした。

「いや休んでおけよ、どう見ても―――」

心配してくれたのか僕に休むように言う魔理沙さんを霊夢さんが手で遮る。

魔理沙さんは腑に落ちない様子だったが「無理はするなよ」と、それ以上は何も言わなかった。

その好意はありがたいけど僕にだって意地はある。

 

一度大きく深呼吸をした後、もう一度顔を部屋の中へと向けた。

 

目を背けたがる脳内を必死に黙らせ目の前の惨状を直視する。

そこにいる人たちは皆、一様にピクリとも動くことはない。開かれた眼は虚ろで焦点は合っていないだろう。

布団が広い部屋に所狭しと敷き詰められているからかどことなく災害時の避難場所を思わせる。

「こいつは……本当に年齢もなにもバラバラだな………。」

「症状が起こる人にはこれといった関連性はなさそうですね。」

「まだ詳しく調べてないんだし、なにも言えないわよ。分かる範囲で良いから話を聞かせてもらうわよ?」

「は……はい!」

 

そして、僕達はそこにいる人達一人一人の詳しい情報。具体的には年齢とか職業なんかをききながら倒れた人達を順々に見ていった。

それを経て、分かったことといえば…………。

「なんの統一性もないわね………。」

それぐらいのことだった。要するになにも分かっていないということだ。

霊夢さんにつられて思わず溜め息をつきたくなる。女性に聞いたところ、どうも見た通り倒れた人達に共通している部分はほとんどなく特徴的ななにかがあるわけでもない。

ここにいる人たちで共通しているのは皆人里に住んでいる『人間』であるぐらいだけど、大ちゃんや紅魔館のメイドさんの例があるから人間だけがこんな風になってしまっている訳ではないだろう。

最初の方は女の子だけなのかとも思っていたがここにはお爺さんや若い男の人もいる。

考えれば考えるほどそこに規則性のようなものは見いだせなかった。

「ん~……。」

「ねぇ………あの人………なんか変。」

僕が足りない頭を捻って考えていると横で千恵さんが声を上げた。

千恵さんの視線はただ一方向を見ている。その先には一人の女性……30代半ばぐらいだろうか…………?

見たところ、他の人達と何の違いもないように見えるけど……。

「変って………なにが変なんです?」

そんな問いには耳を貸さず千恵さんはフラフラと覚束ない足取りでその女性の下へ歩いた。

そして、スッと身を屈めると静かに女性の瞳をのぞき込む。

千恵さんの様子を僕達は不思議そうに見つめていた。

伸ばされた白い腕はまっすぐに女性の手に添えられる。

 

そして……。

それが当たり前であるかのように、自然にムクッと。

起きあがった。

 

 

「「「え!?」」」

千恵さんと起きあがった女性以外が声を揃える。

起きあがった女性は頭を押さえて苦しそうに表情を歪める。

「だ、大丈夫ですか!?」

すぐに女性の下に皆が駆け寄る。

肩を揺すられて状況を把握できないというように戸惑っていた。

「どうして急に………。」

「………まぁ……別に悪いことじゃないんだし、いいんじゃないか………?」

霊夢さんと魔理沙さんが呆気にとられている姿はなんだか新鮮だ。

ってそんなことを考えている場合じゃない………。

起きあがった女性を改めてまじまじと見る。

「な………なんなんだい……?」

女性は不安そうに周りを取り囲む僕達を見回した。

「意識はしっかりとしていますか?何処か体に異常とかは……?なにがあったかは思い出せますか?」

起きた直後に質問攻めにあい、更に戸惑ったのか女性は「え?え?」と小刻みに呟きながら退いた。

そんな様子を見ながら僕は前に紅魔館で聞いたパチュリーさんの言葉を思い出す。

 

『ただ、壊れるのが魂ならそれは、『死ぬ』ということではないの。まぁ、限りなく死んでいる状態に近いけれ ど...。魂のみが壊れたならばそれは理論上はただの人形になってしまう…ってこと。生物の記憶や能力なんかは魂が 司っているわ。だから一度魂が壊れてしまえば恐らく、その人が還ってくることはない。といえるわね。』

 

もし彼女が魂が無くなってしまった状態であるならば何故再び起きあがることが出来たのだろうか?

まぁ、それに越したことはないのかもしれないけど……なんだか腑に落ちない。

ただ単にパチュリーさんの情報が間違っていただけ………というのもあり得るけど………。

 

「なにがあったかって………あたしは買い物に行っていて……それで……。」

起きあがった女性は状況が読めないままに訊かれたことに答える。

が、途中で言葉が切れる。そして次の言葉を紡ぐことがないまま時間は過ぎていった。

何かを思い出そうとするように頭を強く押さえながら

「そのあと……。そのあと………………。何であたしはこんなところにいるんだ?」

思い出せない現実を逃避するように質問を返した。

「あ、えっと……あなたは昨日道で倒れているのをここまで運ばれてきたんです。昨日今日とそんな人達がたくさんいたので里では病か何かだと判断して被害にあった方々を隔離したんです。」

「いきなり倒れた…?それに隔離だって?」

急な話に着いていけないのか女性は眉をひそめて説明されたことを復唱する。

 

「倒れたときのことは覚えていないんですか?」

「……あぁ…。買い物から帰ってるところまでは記憶にあるんだが……。」

霊夢さん達はパチュリーさんの話を聞いていないはずだけど、それでもどこかしっくりこないところがあるのか考え込むような様子で起きあがった女性を見ていた。

「本当なら詳しく話を聞きたいところなんだけど……その様子じや、あんまり意味無さそうね……。」

「……………?よく分からないが悪いね……。」

霊夢さんは自分で自分の肩を揉みほぐしながら溜め息をつく。

 

 

 

「うーん…………。なんだか複雑なことになってきたみたいですね…………。」

 

 

突如響いたその声に僕達が振り向く。

そこにはやはり、例のごとく………。

 

「文さん!?」

 

ニコニコと笑みを浮かべる一人の新聞記者が立っていた。

 

 

 

 

    続く……。

 

 

 

 

小さなおまけ~お家に帰るまでが買い物です。~

 

今日はすこぶる天気がいい。

やはり天気がいいと足も軽くなり、いつもと同じ買い物からの帰り道がなんだか普段より鮮やかに見えてくる………気がする。

この分なら家事も捗りそうだ……。

 

ドンッ……。

 

「あっ……すいません。」

「あ、いや大丈夫だよ。」

角を曲がるときに人とぶつかって後ろに尻餅をついた。

しかしぶつかった相手の方はよろめいたりすることなくぶつかった後も直立していた。

「怪我とかはないですか?」

そういって差し出された手を遠慮なく取る。

 

 

そして………暗転。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい!キリンさんが好きですが海獣類の方がもっと好きな彩風です!

今回もここまで見ていただきありがとうございます!
この作品ももう文字数、話数ともにかなり大きなものとなって参りました!
皆さんも暇でs――
皆さんも時間の使い方が上手いですね!見習いたい!
相変わらずの文才ではありますが次回も見に来て下さいれば幸いです。


さて、余談に移りましょうか(満面の笑み)

彩風は先日驚愕しました。
名前は控えますがあの有名俳優さんにコカインを服用していたという容疑がかかってしまいました……。
ショックです。
ショックで死にそうです。

相○好きだったんですがね……。
再放送は大丈夫なんでしょうか………。
やはりあのシリーズ最終回は意味ありげでしたからね……いや、関係ないとは信じていますが………。

まぁ別にまだ決まった訳ではありません!
本人は否定しているそうですし、何事もなく終わってくれることを願っています。



それでは!次回も是非是非ゆっくりしていって下さいね!!





なんてな………それだけで終わると思ったかい?
今日が何の日か私が覚えていないとでも!大丈夫だ忘れていない!


チノちゃん誕生日おめでとーう!!!!

可愛いよ。可愛いよチノちゃん!!
お兄ちゃんが何でも買ってあげるからついてこようね~~。


チノちゃんのジト目に罵られたい。

投稿日当日に見ていない方はお察し下さい……。


それでは!今度こそ次回もゆっくりしていって下さいね!

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