振り向きへホームラン【完結】   作:puc119

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第55話~瀕死の敵へ閃光玉~

 

 

 彼女たちと別れ、ソロで戦うこと12日。

 そしてまた3人パーティーとなってから10日と言ったところ。

 

「っしゃー! 素材揃ったー!」

 

 結局、俺が最後となってしまったけれど、上位のゴアを倒し漸く防具に必要な素材が揃いました。

 頭がゴアSヘルム、胴にゴアメイル、腕にゴアSアーム、腰にゴアフォールド、脚にゴアSグリーヴ。つまりゴアSゴア複合テンプレ装備。発動スキルは匠と挑戦者+2、細菌研究家におまけで火属性弱化。火耐性はまさかの-43とジャギィSと比べ物にならないくらい良く焼けるし、空きスロットも1つしかない。

 

 そんな大きすぎる欠点のある防具ではあるけれど、それ以上に匠と挑戦者+2が美味しい。これだけのスキルがあればダラだって倒すことはできると思う。火属性の攻撃なんて避ければ良いのだ。

 

「おおー、おめでとう!」

 

 そんな元気な相棒の声が響いた。

 この相棒がいなければ尻尾を手に入れるのが、半端じゃなく苦労することになったと思う。俺も彼女も打撃武器。未だジンオウS装備の相棒はなれないけれど、この相棒がいてくれて本当に良かった。

 

「……次は緊急クエスト?」

 

 そして彼女の声。彼女の防具も完成しているし、あとはひたすらHRを上げるだけ。

 MH4はダラを倒してHRの上限解放が終わってからが本当の始まりだと思っている。それまでまだ時間はかかるけれど、少しずつスタートラインが見えてきた。

 

「うん、そうだね。どんなクエストかは聞いてないけど、じいさんも緊急クエストが届いてるって言ってたし」

 

 ゲーム通りならグラビモス亜種なはず。

 もしそうだとすると、俺の装備的に決して相性の良い相手ではない。怒り状態の熱線とか耐えないと思う、まぁ、前回グラビを倒した時のように乗りまくれば良いから、倒すことはできると思うけど。

 それに俺の武器もかなり強くなったのだし、むしろ前回よりは楽かもしれない。武器倍率は30も上がり、防具が完成すれば斬れ味も白ゲージ。

 

「ありがとう。いただきました」

 

 これで長い間お世話になったジャギィS一式ともお別れ。少しばかりの寂しさを感じることはあるけれど、何時までもその装備でいるわけにはいかない。少しずつでも前へ進むのだ。

 

「そんじゃ、帰るか」

 

 はてさて、次の緊急クエストはなんでしょうね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 バルバレへ戻り報酬を受け取ってから直ぐに加工屋へ向かい、防具の作成をお願いした。胴と腰が下位のゴア防具なせいか、何度もそんな装備で大丈夫かと聞かれることに。

 やはりこの世界では複合装備と言う考えはないらしい。説明するの面倒だなぁ、そもそもどう説明すれば良いんだろうか。なんて思っていると――

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

 と、俺の代わりに笛の彼女が答えた。

 いや、確かに問題はないのだけど……そのセリフはダメだろ。ゲームが違います。あと最初から一番良いのをください。

 

 この彼女はたまにぶっ飛ぶから怖い。悪い子ではないのだけど……

 

 

 そんなことがあった後また集会所へ戻り、緊急クエストの内容をじいさんへ聞きに行った。

 んで、例のごとく長ったらしいお話を聞かされた。

 

 そしてHR6へ上がるための緊急クエストの内容は――ブラキディオスの討伐だった。

 

 またお前か。

 

 いや……ホント勘弁してほしい。

 

 

 

 

「ブラキディオスってあのすごく強そうな奴だよね?」

 

 俺の防具が完成したと言うこともあり、今日は打ち上げ。こうして3人で一緒に飲むには本当に久しぶりなんじゃないだろうか? 相棒と彼女は俺と別れたあとも、二人で打ち上げをしたとか言っていたけど。

 

「うん、地底火山で戦った奴と同じだね」

 

 あの時は本当に運が良かった。

 今回もあの時みたく、ハメのような感じとなれば良いけれど、流石にそれは厳しいだろう。下位と上位じゃ相手の体力が全然違うのだし。

 ……今回も罠をフル活用して倒そう。

 

 苦手な相手ではあるけれど、此処でブラキの素材が集まれば俺の武器も強化することができる。丁度良かったと割り切れば良いのだ。

 

「んで、申し訳ないんだけど緊急クエストへ行くの、俺の防具が完成してからで良い?」

「……大丈夫」

「私もいいよー」

 

 ありがとう。

 流石にジャギィS一式で上位のブラキとは戦いたくない。それにゴア装備なら細菌研究家が発動するから、それなりに楽になる。粘菌がつく度、3回もローリングをするのは少々面倒臭い。

 

 新しい防具が揃った時の俺の防御力は198とそれほど高くはない。そして笛の彼女はもっと低いだろう。う~ん、そろそろ鎧玉を使っても良い時期だろうか? コツコツと貯めてきた鎧玉を突っ込めば防御力だって300は超えると思う。それに今度の防具は長く使うことになるだろうし……

 因みに、相棒の装備が一番防御力が高かったりする。まぁ、相棒だけ全部上位防具なのだから、当たり前と言えば当たり前なんだけどさ。

 

「じゃあ、緊急クエストへ行くのは3日後ってこと?」

「うん、そうだね」

 

 防具が完成するのが2日後の夕方。

 出発するのは3日後の朝となりそうだ。

 

 それにしてもブラキかぁ……どうにかサクッと倒せる方法ってないのかね? 下位のブラキですら苦労したと言うのに、相手が上位となればかなりキツい。

 まぁ、このパーティーならなんとかなるか。ソロじゃなくて本当に良かったと心から思う。

 

 結局、その日の打ち上げも相棒は酔い潰れ、俺が家まで運ぶことになった。この相棒も出会った時と比べてかなり成長しているのに、どうしてこればっかりは学習しないのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

「っしゃ! 行くか!」

「おおー!」

「おー」

 

 HR6となるための緊急クエスト。場所は地底火山。ターゲットは歴代パッケージモンスター最強と呼ばれるブラキディオス。

 装備を整えるためHR5で長い時間止まってしまっていたけれど、これからは一気に進むことができる。

 

 ブラキの初期エリアは下位クエストと同じエリア2。今回はちゃんとクーラードリンクを持ってきました。

 

「……耳栓演奏するからちょっと待って」

「うん、お願い」

 

 エリア1でクーラードリンクを飲んでいると、彼女がそんな言葉を落した。パーティーに笛が居てくれるとやはり助かる。ハンマーもそう言うことができたらなぁ。まぁ、そんなことができたとして、それをハンマーと呼べるのかは怪しいところだけどさ。

 

 彼女の演奏を聴き終わり、漸く量産体制へ移ることができた怪力の種を飲み込んでから、エリア2へ。

 これでブラキが狂竜化していたら笑うに笑えないが、ギルドからそんなことは聞いていないし、見つけたブラキもどうやら通常個体らしかった。

 

「とりあえず乗り頼んだ」

「了解です!」

 

 ブラキの初期スタン耐性値は低い。一回でもダウンを取ってもらえれば1回目のスタンは簡単に取ることができる。まぁ、上昇値が高いせいで2回目は結構厳しいんだけどさ。

 

 相棒の飛ばした虫が当たり、此方を振り向いてからブラキが咆哮をあげた。そして両腕を舐め少し後ろに下がったと思ったら、いきなりジャンピング土下座。マジ怖い。

 そんなブラキにとりあえずカチ上げ。ソロであれだけ戦ったおかげか、頭を狙うタイミングは前回よりも掴めている。自分を狙ってくれた時だけだけど。パーティーだと挑発スキルが本当に欲しい。

 

「乗ったー」

 

 ナイス! 超素敵。

 てか、早いな……もしかして、相棒さんまた上手くなった? 最初はアルセルタスの乗りも失敗するようなハンターだったのに……

 嬉しいことではあるけれど、この凄まじいほどの成長速度を見るとなかなか思うところはある。

 

「罠って持ってきてる?」

 

 相棒が乗りを頑張っている間、砥石を使いながら彼女に確認。演奏中失礼。

 

「……うん。2つともある」

 

 了解。それなら俺が罠を2つ使っても捕獲は問題なくできる。

 いや、砕竜の剛拳が欲しいから、討伐じゃなく捕獲したいんですよ。

 

 そして相棒の乗りも無事成功。最近は相棒さんが乗りを全然失敗しなくなった。ちょっと寂しいね。

 

 そんじゃ、罠をフル活用して徹底的にやらせてもらおうか。

 

 

 

 

 

 その後、前回と同じようできるだけブラキに攻撃させないよう、罠とさらに乗りも混ぜながら立ち回った。シビレ罠と睡眠が被ってしまったこと以外は、ほぼ完璧な立ち回り。流石に体力が多いせいか、ブラキに全く行動させなかったわけじゃないけれど、これだけできれば充分。

 落とし穴から出てきたブラキへホームランを叩き込んだところで、2回目のスタン。そのスタンが解けた瞬間ジャンプ攻撃で乗りダウン。ダウンが解け立ち上がったブラキは脚を引きずった。

 其処で逃がしてしまうとエリア9まで行かれてしまい少々面倒だから、閃光玉を投げ怯ませた。絶対に逃がさない。

 そんな怯んだ状態のブラキの足元へ彼女がシビレ罠を設置し、捕獲玉を2回当てた。

 それで捕獲成功。そしてクエストクリアです。尻尾は切れていないけれど、他の部位破壊はできているし上出来と言ったところ。

 

 うん。お疲れ様でした。

 

 それにしても……このパーティー本当に強いかもしれないね。

 ハンマーに笛に操虫棍と決して相性の良い組み合わせのパーティーではないはずなのに、なんとも不思議なものですよ。

 

「え、えと。捕まえちゃったけど、今回のクエストって捕獲でも良いんだよね?」

「うん、討伐クエストじゃなく、狩猟クエストだから捕獲でも良いはず」

 

 捕獲クエストなのに討伐してしまうと失敗になるけど、狩猟クエストなら大丈夫なはず。

 てか、捕獲できるモンスターで討伐クエストってないんじゃないかな? もしかして俺が知らないだけあったりするのだろうか?

 

「じゃあ、これで私たちはHR6ってこと?」

「そのはず」

 

 俺がそう言うと、相棒さんは嬉しそうに笛の彼女と喜んだ。

 HR6かぁ……古龍系やゴリラ、イビルのようなキツいモンスターとはまだ戦えないけれど、振り返ればもうこんなところまで来たんだな。

 とは言え、前も思ったようにモンハンはHRが解放してやっとスタートラインと言ったところ。まだまだ頑張らないとだ。

 

 






これでようやっとHR6となったらしいですね

さてさてこの作品ですが、あと10話もしないうちに最終話を迎えると思います

4頭のモンスターのお話は考えていますが、それ以上は考えていません
50話越えと長い作品となっていますが、もう少しほどお付き合いいただければ嬉しいです

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