艦隊これくしょん〜ブラック提督(笑)の奮闘   作:SKYアイス

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艦娘=感娘以外に誤字があれば遠慮無く報告して下さい。多分自分では気付かないと思います。


第3話

「さて、そろそろか…」

 

書類を片付け終わり、おやつタイムが終了した後。

時刻はヒトゴーサンマル。

提督はある人物を鎮守府に呼び出していた。その人物とは同じ提督業をしている提督である。そしてその鎮守府は、彼の指揮する現場と同じ…そう、世間で言うブラック鎮守府だ。

 

その提督への迎えとして、最古参の一人である響に迎えを頼んでいた。

 

 

「司令官、失礼するよ」

「うむ」

 

扉を叩く音と共に入って来たのは、駆逐艦響とブラック鎮守府の提督であった。

 

「ご苦労響…そしてわざわざご足労かけました。大佐殿」

「そう硬くならないで。僕も君と話してみたかったしさ」

「はい…響、下がっても良いぞ」

「司令官、瑞鶴から聞いたよ?カロ○ーメイトのチョコ味を持ってるって。ならスモークチーズはあるかい?」

「アイスがあるだろう」

「残念だ」

 

何をしたかったのが若干分からなかったが、とりあえず響を退出させた。

 

「どうぞ、お掛け下さい」

「わざわざありがとう」

 

二人の提督がそれぞれ椅子に座り、そして提督はある物を取り出した。

 

「これが例の海域付近の情報です。我が感娘の活躍によって入手する事ができました」

「ふぅん、艦娘がねぇ…君の所の艦娘は優秀みたいだね。僕の所の艦娘は使えなくてね…君が羨ましいくらいだよ」

「大佐殿の感娘は主力艦隊全てが強者揃いでは…?」

「そうだよ。だけど僕の所の艦娘…無駄なのが多くてさ、足を引っ張る奴がいれば狂う奴もいる。可笑しいよね…たかだか姉妹艦が沈むだけなのに、ただ一人いなくなるだけで精神を病む。本当に感情は厄介だよ」

「だからこその艦娘ですか」

「そうだよ、兵器に感情なんていらない」

 

ブラック鎮守府提督は、実力があり今迄数々の海域の解放に貢献した強者の一人だ。だがそのやり方には賛否両論が分かれる。

 

余らせた艦娘を解体するのは仕方ない事。だがこの提督は解体する前に必ず出撃させ、資材や修復材が手に入る海域に向かわせ、資材を回収する。出撃をすれば損傷する事もある。そうなった場合は入渠させる必要があるが、それをせずに解体するのがこのブラック鎮守府の提督だ

 

そして提督に反する艦娘は全て解体される。それは熟練の艦娘とて例外ではない。が…それ以上に提督は残忍だ。

提督に反する艦娘に姉妹艦がいた場合は、容赦無くその姉妹艦をも解体するのだ。

 

万一熟練の艦娘を解体したとしても、直ぐに他の艦娘の無茶なレベリングに向かい、作戦に間に合わせる。それがこの提督のやり方…

 

因みに我らが提督はそれをしない。理由は色々あるが、その中で最も分かりやすいのが非効率的だと考えているからだ。

そして先程の彼女達にに感情がいらないという事…提督は逆に感情があってこそのメリットの方を重要視しているので、これに関しては気にしていない。どちらかというと無関心の方だが…

 

所詮上司と部下の関係。他の鎮守府では彼女達と一線を越える場合もあるらしいが、この提督はそんな感情は持ち合わせていない。彼女達の事は深海戦艦を打破する兵器と見ているからだ。

 

彼女達を指揮する提督。それが自分の仕事なら、与えられた役割を果たすべき、彼女達に与えられた深海戦艦を打破するのが役割ならば、彼女達はそれを行うべき。だからこそ提督は秘書艦を付けない。そういう役割は自分の役割だと割り切っているからだ。

 

「ありがとう少佐、これと僕が持ってる情報を合わせると…うん、思った通りだ」

 

提督が渡した書類を一通り見終わったら、ブラック鎮守府の提督は一つの紙を手渡した。それはブラック鎮守府の提督が集めた例の海域の情報だ。

 

「これは…羅針盤の?一体どうやって…」

 

書かれていた情報の一つに、羅針盤の固定条件が書かれていた。まだ海域に本格的に出撃してないのにも関わらずにだ。だがその理由はすぐに分かった。

 

「捨て艦さ、余った駆逐艦を単身突撃させたんだよ。それ以外にも潜水艦、軽巡、重巡、空母、軽空母、戦艦の余った者も含めて擬似的な連合艦隊も作り出して、何度も何度も偵察に向かった。戦闘記録、羅針盤の結果。羅針盤の固定条件もある程度分かってきたんだ」

 

自分のように軽空母を主体とした編成による偵察ではなく、単純な特攻…いや、情報の為の生贄…。

 

「貴重な情報ありがとうございます」

「この情報の報告は僕に任せてくれ」

「了解です」

「うん…じゃあ僕はこれで」

「そうですか、なら今お送りを」

「いらないよ。道は覚えてるしね」

「分かりました。道中お気を付けて」

 

ブラック鎮守府の提督は帰って行った。そして提督は彼から聞いた情報を整理し、自分の物と照らし合わせてみた。

羅針盤の条件やフラグシップ級のおおよその数と戦闘頻度。姫級系統の深海戦艦の有無…確かに素晴らしい。が自分の情報はまだ不完全…これで満足はしていられない。

 

「しかし捨て艦か…そんなものは時間の無駄だというのが何故気がつかない…?」

 

捨て艦戦法は確かに燃費についての問題は大きく改善するだろうが、それでも出撃は出撃。場所によってはかなりの時間をかけるそれに、どの道解体するのなら直ぐに解体して他の事に時間を使った方が良い。

 

時間は有限で、尚且つどんな物より貴重だと考えている為に、捨て艦戦法は取らなかった。その分の主力艦隊のレベリングに力を注ぐ方が効率的にも優秀だろうと考えたからだ。

 

「まぁ情報については向こうが上か。これは負けられないな」

 

同じブラック鎮守府であるが為、競争意識が芽生えてくる。誰よりも速く制海権を確保する。それを目標にしている為にブラック鎮守府となった。

 

休み無しの訓練や出撃。これにより一人一人の経験を積み重ね、一人一人を確実に強くする為だ。そうすれば速く敵を倒す事ができる為に、時間をより確保する事ができる。何事も小さな積み重ねなのだと考えている。

 

「さて…これだけの情報、確かめなければならないな」

 

羅針盤の固定条件の情報を確かめる為に、自らが赴く必要がある。その為には…

 

「第一艦隊の出撃だな」

 




どちらがよりブラックかは、分かりません。両方ブラックですから。
響は一応ヴェルヌイになってますが、この提督は響と呼びます。理由は名前が変わっても響は響だからだそうです。因みにこれを直接彼女に言った所逃げられたそうです。

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