響になった僕は人の温もりを知る   作:緒兎

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 やっはろー皆さん。電車に乗り間違えて逆戻りしちゃって1時間も帰るのが遅くなってしまったマリオンです。

 皆さんは三人称で物語が進む小説か、ずっと一人称のまま進む小説、どっちが好きですか?マリオンさんはどっちも好きです!


響は悪知恵を身につけた

 「しゅ、しゅごい...」

 

 一発で当てたあまりにもの実力に、僕はそう言うしか出来なかった。

 

 「これくらいできないと...これ以上出来ないと絶対に勝てないわよ?」

 

 「ご、ごもっともです」

 

 聞くと敵である深海悽艦はこの的よりも小さく、更にこの何倍かの距離がある。そして一番大きな違いは、そう───動いているということだ。今の実力じゃ到底当てることすら叶わないということである。もはや至近弾すらないだろう。

 

 「さて、じゃあさっきの感じでもう一度お願いね」

 

 さっきの感じ...腕を固定して、砲をまっすぐ的に向ける。そこに微塵の誤差もなく、正確な角度。50メートルという距離を意識して仰角プラス0.2度。引き金に手を当てるときは狙いが狂わないように細心の注意を払う。

 

 何処か作業的なやり方ではあるが、そのどれもをクリアしていく。

 

 「撃ち方...」

 

 ドクンッと、心臓が跳ねる。

 

 「始め!!」

 

 「当たれぇぇぇええええええっ!!!!!!!」

 

 ズドォォォンッ!!

 

 発車された弾は砲筒内に刻まれた回転する仕組みにより、空気いや大気を引き裂き音速よりも速い速度で飛んでいく。主砲が発車された反動、空気の振動により、海面は僅かに泡立ち、波立った。

 

 ジーンっと腕を貫くかのような衝撃に耐え、収まった頃に目を開ける。

 

 「ひ、響...」

 

 「ふぇ...?あっ」

 

 何故か真っ白な的、そしてその僅か後方に立つ水柱。これが物語っていることはただひとつ。

 

 「外しちゃっ...た?」

 

 思わず声に出てしまうほど衝撃だった。あれほどまでに正確に狙いをつけて撃った弾が、あと僅かのところで上に逸れ、外れてしまった。当てる気だった僕はこの事実にどうしようもなく落ち込んだ。たぶん、撃ったときに少し砲を上げてしまったからだろう。

 

 「ひ、響!?大丈夫よ!!二回目でここまで正確な狙いをつけれる人は早々居ないから...!」

 

 暁ちゃんが僕の様子を見て慰めてくれる。こういうときは立派なレディなのだ。慰めてくれること事態は嬉しい。嬉しいけど、その言い方だと───

 

 「それって艦娘じゃなくて人の話でしょ?」

 

 「っは!!」

 

 僕の言葉に目を真ん丸にして反応する暁ちゃん。その表情はなぜわかったしとでも言いたそうだった。暁ちゃんは少し頭を鍛えた方がいいと思うんだ。あれでバレないと思えるとかある意味神ってると思うよ。艦娘に人って言葉は使わないんだよねぇ~。子だったり娘だったりしか使われないんだよ。

 

 大体人と艦娘を区別するためにそうなったらしいが。

 

 まぁ、でもある意味元気を取り戻した気がする。暁ちゃんを見てると自分が救われたって感じがしていいんだよね。なんだか見てるだけですごい慰められる。こうやって間違っているところを指摘したときの慌てる顔とか最高だよね。...あれ?電ちゃんが弄ってるのってこれが理由?だとしたらこれから電ちゃんのこと悪く言えないや。僕も嵌まりそう。

 

 僕は新しく悪知恵を身につけて、今日の射撃演習を終わるのだった。暁ちゃんにもやってもらったけど、50メートル先にある10cmの動く的を初弾で命中させてたよ!




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。

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