響になった僕は人の温もりを知る   作:緒兎

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 やっはろー皆さん。今日も相変わらず朝だけは寒いですね。

 皆さんは今日も響を愛していますか?


司令官の温もり

 「司令官...」

 

 振り向くとそこには、僕を心配そうに見てくる司令官がいた。先程のことを反省した様子で僕の様子をうかがっているのか、なかなか僕に近づこうとはしない。

 

 「なんで...きたの」

 

 僕は何処か冷たく言う。さっきの件があったからか僕は怖くて仕方がなかったのだ。もしかしたら司令官が僕を嘲笑っているんじゃないか?司令官が僕から離れていってしまうんじゃないか?また...一人になってしまうのか。

 

 「すまなかった!」

 

 「っ!」

 

 勢いよく頭を下げた司令官に僕は驚き後ずさってしまった。司令官の行動の何もかもが怖い。今すぐにでもここを追い出されそうで気が気じゃない。僕の居場所なんて、ここしかないのに...!

 

 司令官はなかなか頭をあげてくれない。謝っているのはわかるが、今の僕には怖いとしか思えなかった。

 

 「響の過去を知っておきながら...俺は!そうだよな...響にとっては笑われること事態にトラウマを覚えてるんだよな。それなのに...それなのに...」

 

 「......」

 

 司令官の思いが伝わってくる。ただ、漠然とすまないと思っていること。自分を責めていること。後悔の念で押し潰されそうなこと。

 

 司令官...そんなこと、言われたら...こっちが悪いみたい...じゃん。

 

 「響が嫌と言うなら俺はもう響とは会わない。響が嫌と言うなら俺は半径50m以内には近づかない」

 

 「もう...いいよ」

 

 「だけどな...響。俺はお前と一緒にいた「そんなの僕だって一緒だよ!!」...響」

 

 「司令官が僕を嫌いになるんじゃないかって...司令官が僕を捨てるんじゃないかって、怖いんだよぉ...ふぇぇ」

 

 司令官に思いをぶつける僕は、ついに泣き出してしまった。もうこの鎮守府にきてから何回目だろうか?泣くのにはもう慣れてきているような気がする。

 

 僕の思いを聞いた司令官は、驚いた様子だった。

 

 「だから...だから僕から...えっぐ、離れないでよぉ...!近づかないなんて、言わないでよぉ...」

 

 「響...!わかった、俺はお前から離れない。離れないなら、近づかないわけにもいかない。ずっとお前の側にいてやる」

 

 「うぐっ...ひっく...ほんと?」

 

 「あぁ、ほんとだ」

 

 言って司令官は僕を抱き締める。そしてなでなでと優しく頭を撫でてくれる。その温もりは僕がこの世界に来てすぐに感じた温もりと同じ、いやそれ以上だった。もう、司令官なしじゃ生きていけない気がする。

 

 僕は司令官の胸に顔を埋めて泣きじゃくる。怖かった、泣きたかった感情を全部そこへとぶちまける。

 

 「うえぇぇっ、しれぇかん...ぼく、すごい怖かったよぉ...」

 

 まるで幼い子供のように泣く僕を、司令官は何処までも優しく撫で続けてくれた。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。

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