響になった僕は人の温もりを知る   作:緒兎

61 / 96
 なんか電ちゃんってよく誰かとぶつかってるから、頑丈そうなイメージがあるんだよね。まぁ、ドジだから仕方ないか。

 あっ、なんかいろいろ感想ありがとうございます。なんだかんだ楽しいです。ちょっと変態しか居ないみたいですけど。


仕返し

 朝が来た。いや、体感的に感じる朝であって、実際に朝かどうかは知らないが。

 

 昨日の夜、僕は頭の痛みにもがき苦しんだ挙げ句、結局一睡もすることなく過ごした。その結果目の下には隈が出来、恐らく見せられないよ!ってくらいに酷い顔をしていると思う。

 

 「んぅ....ぅん?」

 

 もぞっと動いて起きたのは電ちゃん。僕を眠れなくした元凶だ。

 

 電ちゃんはキョロキョロと辺りを見渡し、そして僕に目が止まるとはてなマークを浮かべながらじっと見ていた。うーんと唸るしぐさはなかなかに可愛いのだが、あの仕打ちを忘れていると思うと何だか複雑な気分になってくる。

 

 まぁ、そのうちに気づくだろう。

 

 「電ちゃん、おはよぉ」

 

 「おは....よう、なのです?」

 

 僕の挨拶にきちんと返してくれた。どうやら起きていることは起きているようだね。それにしても何で疑問符なんだろ?挨拶に疑問を抱くなんて、挨拶をする意味がわからないということだろうか?

 

 それにしてももうそろそろ目が覚めてもいい頃なんだけどね。

 

 「って響ちゃん!!?」

 

 ほら来たよ。電ちゃん、なんかその場で跳び跳ねて驚いているみたいだよ。何でだろうね?僕がいたらそんなに困るのかね?

 

 自分でもよくわからないけど、今物凄く怒っています。いやもう火山が大噴火を起こすくらい。

 

 「電ちゃん...」

 

 「ご、ごご、ごめんなさいなのですぅ!!!」

 

 「許すかっ!!お返しじゃぁぁぁあ!!!!!」

 

 涙目で謝る電ちゃんを許さない僕は、頭に全神経を集中して大きく振りかぶる。頭をだが。

 電ちゃんに逃げられないようにしっかりと肩を掴んでおいて、これでもかと言うくらい力を込める。もちろん、頭にも。

 

 そしてそのまま勢いよく頭を降り下ろしていく。まるでスローモーション、過去の自分を振り返っているようだ。走馬灯が見える。って、走馬灯!?

 

 ゴチンッ☆

 

 「ぐはっ...」

 

 「ふぇっ」

 

 そしてまたこのパターンである。僕がやった側なのに一番被害が大きく下品な声を出し、何故かやられた側の電ちゃんは余裕そうに可愛い声をあげている。何だろうかこの敗北感。

 

 バタッ、ボフッと両者共倒れ。僕は幸いにもベッドだが、電ちゃんは固い床。だが、僕の方のダメージは桁違いに高く、早くもその意識を失おうかとしていた。

 

 まず...い。こんなの、かっこ悪い...かも。

 

 電ちゃんに仕返しなどしようと考えたのが間違いだった。そんな後悔が襲ってくるが今さらだ。きっとこれも運命だったのだろう。

 

 「ぐふっ...僕、いつか電ちゃんに仕返し...するんだ」

 

 これが僕の断末魔、なんともかっこの悪い死に様である。死んではいないがな。

 

 今日も今日とて鎮守府は平和である。




 誤字、脱字等があればよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。