響になった僕は人の温もりを知る   作:緒兎

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 もう一つの小説が1800文字くらいだから、こっちが短いように感じる... 。てか書きたいことが収まらない。


その発想はなかったです

 夢を見た。

 

 暗い、暗い海の底で、何かを待つ夢を。ナニかに浸食されるような、食われるような夢を。第六駆逐隊が無くなる夢を。

 司令官が、自分から遠ざかっていく夢を。

 

 「っは!... はぁ、はぁ... 夢... だよね?」

 

 夢... にしてはやけにリアルだった。自分がかつて体験したとでも言うかのように、鮮明だった。

 

 自分の夢なのに、自分じゃない感覚。もう一人、自分という存在がいる妙な感覚。もう一人の... 響。

 はっとする。まだ、自分のなかには響がいる。知覚することも見ることも出来ないけど、なぜかわかる。そこにまだ存在しているということだけが。

 

 なんの... 夢だったんだろう?目を擦りながら体を起こす。その際、目元が湿っていることに気がつく。それは幾度となく流してきた涙。この体にとって、あの夢とは悲しいことであり、思い出なんだと実感する。

 

 「おーい響ぃー!起きてる~?」

 

 「え... あっ、起きてるよ~!」

 

 不意に聞こえたら声に我に返った。どうやら雷ちゃんが朝食に誘いに部屋に戻ってきたみたいだ。

 因みに、朝起きるとすぐに雷ちゃん達は遠征に行ってしまうので、今日みたいに8:00くらいじゃないと朝御飯を食べれない。

 

 取り敢えず、支給されたパジャマを普段着と化している制服に着替え、部屋を出る。

 部屋は一人一人あるのではなく寝室だけなのだが、着替えなどタンスが置かれているのは別の部屋だ。

 

 「あっ、おはよ~」

 

 「うん、今日も元気ね!」

 

 これが普段の挨拶... というまでここで過ごした時間は長くない。寧ろ一週間も経っていないので短いだろう。

 

 僕はそれにもちゃんと返事を返して一緒に食堂へと向かう。どうやら暁ちゃん達はもう食堂へ行って席を確保しているようだ。

 

 「あっ、今日は司令官仕事だから朝御飯執務室でとるって。だから誘うのは無理よ?」

 

 そうだ、すっかり忘れていた。昨日、司令官に秘書艦やらないか?と聞かれたのだが、そもそも秘書艦って何するのかわからないし、僕自信頭は良くないと充分理解しているので、僕には向かないと思っている。

 だけど秘書艦になれば出撃の回数はかなり減るらしい。そして司令官とも一緒にいられるらしいのだが、その時の僕は理解が遅れていたみたいで決めあぐねていた。

 

 だから夜のうちに考えて明日の朝に言おう... と思っていたのだが、どうやらそれは無理らしい。

 

 「そっか... 秘書艦やるかって返事返せないね... 」

 

 なぜか酷く落ち込んだ声が出る。そうとうショックらしい。僕のことだけど。

 

 「へ?返せるじゃない」

 

 「え?」

 

 「え?」

 

 あ、あれ?ドユコト... ?

 

 二人ともなぜ?という顔をして見詰め合う... 方やわからないの?と、方やドユコト?と。

 

 「いやいや、ご飯食べたら司令官のところに行って仕事手伝えばいいじゃない」

 

 「あっ... 」

 

 「.......... 」

 

 真っ赤、真っ赤に染まる。何がって?僕の顔だけども!!?

 

 えっと.... そうです、そんな発想僕には無かったです。どうせ僕の返事は決まっているんだからさっさと手伝いに行けばいいんだった。やはり僕には才能が無いようだ。ただたんに馬鹿なだけだけど。

 

 てかなんでそんなにも可哀想な人を見るの?なんで無言なの?

 

 夢のことなどさっぱり忘れている僕なのであった。




誤字があれば言ってたもう。

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