響になった僕は人の温もりを知る   作:緒兎

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 電の存在を忘れていた件について...
 そして話が進まない件について...

 ああ、ダメだ頭がこんがらがってきた
 てか今日友達に大和を描いてと頼まれて描いたんだが、休憩を挟みすぎて5時間もかかってしまった...まぁ、摸写なんですが...

 追記:1/13 電が帰ってきたことにしました。


その理由

 提督の執務室、そこは提督が書記艦と共に鎮守府ないの全ての書類を整理するところ。

 しかし、そんな執務室で一人怒りに震え、今にも爆発せんとばかりに拳を握りしめている少女と、なにやら複雑そうな顔をしている三人の少女と、悔しそうに、そして悲しそうにしている男が、普段の執務室の雰囲気を変えていた。

 そして電が書類をもって執務室に入ってきたので、電も何事かと聞く体制に入っていた。

 

 「引き揚げられたらそんなにまずいの?」

 

 状況についていけていなかった僕は司令官に何をそんなに怒っているのか、悲しそうにしているのか、その理由となることを聞いてみた。

 すると司令官は僕の方を向き、なにやら哀しそうな顔をして教えてくれた。

 

 「そっか... 響はまだ知らないんだっけか... 。艦娘にとって、引き揚げられるというのは... 」

 

 そこで司令官は言葉を止め、僕と僕以外の三人を見回した。

 

 「...自分が戦って来たということを、たくさんの人を救ってきたということを、無かったことにされることと同じことなんだ」

 

 司令官が放った言葉に茶髪の子達は衝撃を受けたようで、そのくりくりした大きな目を更に見開かせ、驚きを露にしていた。

 だが、相変わらず僕にはわからなかった。

 だってそれはどれだけ否定されようとも自分が仲間のために戦い、そして沈んだことには変わりないのだから。

 人々を救ってきたという事実は消えないのだから。

 

 そんなことを察してか司令官は更に続けた。

 

 「だが、実際に行ってきた事実は消えない。だったらどうして引き揚げられるのが屈辱的で残酷なことなのか」

 

 司令官は僕のわからなかった部分を話し出したため、僕も真面目な顔をして耳を向けた。

 

 「それは...人々から忘れられることだ。いや、正確には深く関わっていないものの記憶から抹消される(・ ・ ・ ・ ・)ということなんだ」

 

 「え...?」

 

 訳がわからない。どうして引き揚げられると深く関わっていないものから記憶が抹消されるのか... 。

 回りを見渡すと、暁は俯いていて拳がプルプルと震えており、涙がポロポロと溢れ落ちていた。

 茶髪の子達は相変わらず驚愕したまんまだった。

 

 「俺のような提督は響と深く関わっていた。勿論、暁もだ。そして事を起こした提督も、ある意味では深く関わった。だから響の記憶はあるが、他のものは皆、響をいなかったものとして過ごしている。」

 

 バンッ!!

 

 急に音がして、吃驚して音がした方を向くと、暁が壁に思いっきり手を打ち付けていた。

 それは今まで溜め込んでいた怒り、悲しみをぶつけるかよような一撃だった。

 現に暁は艤装を着けていないのにも関わらず壁にひびを入らせるという強烈な一撃を出していた。

 

 「で、でも!任務で同行してた睦月って子と如月って子は覚えているんじゃないの?」

 

 僕は暁の怖い雰囲気から逃げるために司令官に問いかけていた。

 実際に僕の体は震え、呼吸が荒かった。

 暁の方を辛そうな目で見ていた司令官は僕の方へと向き、首を横に振った。

 

 「睦月と如月はあくまで任務で一緒になっただけだ。そして響の死を見ただけだ。別に深く関わって居たわけではないんだ。」

 

 「死を見たのは、深く関わった事にはならないの?」

 

 「ああ、死をみるなんてことは何度でもあるからな... 別に珍しいことでもないから、深く関わったということにはならないんだよ。」

 

 死を見ただけだ、死を見ただけで別に深く関わった訳ではない。それは僕に、この世界はどれだけ恐ろしい世界なのか、どれだけの命が失われる世界なのかを、実感させるのには十分な言葉だった。




 誤字、脱字、アドバイス等があれば宜しくお願いします。いや、ガチで

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