コンコン
病室の扉をノックする音がして、目が覚めた。
まだ寝ぼけたままで『はーい』と返事をする。
「失礼する」
入ってきたのは、何処か歴戦の兵士を思わせるイケメンだった。
「...... え?」
誰かが入ってきた?な、なんで?ここは死後の世界とかそういうのじゃないの!?
う、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!何で!?せっかく誰にも会わないで済むような所にいって、自殺までしたのに!!何で... !?何でなんだよ!!!
「ん?どうしたんだ?」
男が近づいてくる。
嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ、嫌だ!来るな、来るなよ!もう嫌なんだ、人と関わるのは!!みんなみんな、僕を虐めてくる。誰も助けてやくれない!
「あ、あぁぁぁ... !?」
ダメだ体の震えが止まらない、動けない... 。何でなのさ!ここで動けなきゃ、逃げられないじゃないか。早く逃げないとまた... 。
「ッ!?」
僕の尋常じゃない豹変っぷりに、部屋に入ってきた男は驚愕していた。
「お、おい!大丈夫か!?」
大丈夫な訳がない!涙が出てくる。もう... やめて!
「... 来ないで... !帰って!!僕の目の前から消えて!二度とここに来ないで!!!!」
そうだ、あいつがこの部屋から出ていけばこの震えは止まる!なのに... なのに... 何でお前は、近づいてくるんだよ... !!
男は僕の拒絶に対し、少したじろいだが、何を思ったのか近づいてくる。
ガバッ
不意に僕の体が、大きくて暖かいものに包まれる。一瞬、思考が止まった。
抱き締められた。そう頭が理解し始めて、さらに恐怖した。僕の体はさらに震え始め、涙もボロボロと大粒の涙を流し始めた。
「や.... めて... はな... して... よ」
もう... ダメ... 。
「大丈夫だ。何も怖いことなんて無いんだぞ。」
そんな言葉で安心できるはずがない!!何が!どこが大丈夫なんだよ!
離して!離して!離してよ!!!もう、止めて...
そう、思っていた筈なのに。
なんで、なんでこんな言葉に、安心なんかできるんだよ... 。なんで?こんな言葉に、安心なんかできる筈もないのに。
「大丈夫だ。」
男がもう一度その言葉を言ったときには、体の震えや、涙が止まっていた。
ああ... もしかして、これが人の温もりなのか。優しさなのか。
僕は理解した。何故なんでもない普通の言葉なのにこんなにも安心できるのかを。
それは温もりだった。僕が今まで感じたことのない暖かさ。それが僕を異常なまでに安心させてくれているんだと。
僕は人の温もりを感じつつ静かに感動していた。
僕は、その温もりを離すまいと男の背中に手を回して、必死に抱きついていた。
そして僕は人の温もり(男に)抱かれながら静かに目を閉じ、安心しきった顔で、眠りについた。
男は、⬛⬛が眠りについたのを感じ、⬛⬛をベッドにそっと寝かした。
そして男は病室を出ようとしたが、⬛⬛が男の服を掴んで離さなかったので、仕方なく男は⬛⬛と一緒に寝ることにした。
その様子は、さながら親子の様だった。
うへぇ、修正って大変ですね。