恋雨~重装護衛艦『倭』~   作:CFA-44

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どうもミナサン、CFA-44です。前話投稿から1ヶ月何してたのかと言うと単に「書こうにも身体の疲労で書く気力を失っていた」だけです、ハイ(シネ)

おかげで5000文字も逝ってませんし、倭達が超兵器とドンパチするのもまだまだ先になりそうです。超兵器側は深海棲艦狩りをやって遊んでますし・・・・・・倭達は・・・・・・

まぁ今回の超兵器は知っている人もいるでしょう。というか初代から態々出張してきたようなので思い出してあげてください・・・・・・改造されてますけどね・・・・・・

※恋雨世界にいる転位組(イレギュラー)には物理法則などが『しーゆあげいん』していますのでご了承ください。


噴煙は突風に揺れた

 

???side

 

 太西洋、そこは今も人類が手を付けていない場所であり、深海棲艦が我が物顔で航行している海。だがそれがどうしたとばかりに9隻の艦が悠然と北上していた。襲い掛かってきた深海棲艦は容赦なく、徹底的に殲滅しながら。

『こちらV3。現在W・DC沖だ。偵察任務終了。本隊に復帰する。』

「こちらT。了解した。不調が生じた場合はすぐに知らせろ。」

男は無線の向こうに居るであろう同僚と会話しつつ窓の外を進む交信相手の同型艦を眺めていた。これから自分達は新たな拠点として指定されたダッチハーバー攻撃に向かう。

『今の所は問題無い。で?その倭ってのは強いのか?』

「みたいだな。俺も交戦した事が無いから分からんが強い事は確実だ。だからこそ太平洋ではなく大西洋からダッチハーバーを目指すのだ。気を付けろよ『突風』。」

『そりゃこっちの台詞だ。そっくり返させてもらうぜ『支配者』さんよ。』

「そうかい。」

 『突風』と呼ばれた男が乗る艦は蒼い大型巡洋艦であり、主砲は少なくとも30cm以上を搭載。中央部には多連装の魚雷や多数の対空砲などが見える。

 『支配者』と呼ばれた方は双胴艦であるが、艦首甲板には固定式大型カタパルトが1基ずつ、そして中央には巨大な甲板が存在し、両舷に島型艦橋を載せている。更に、複数の砲塔やロケット砲が確認でき、極め付けは艦後方が垂直になっている事だ。

 両艦とも雲の切れ間から覗いた陽光をその巨体に浴びながら、自分達に襲い掛かってくる深海棲艦達を石ころの様に蹴散らしつつ大西洋を北上していた。

 

 

 

 

初月side

 

 真夜中に出港して浦賀水道を抜けて単独でトラック泊地へ向かっていたが辿り着く前に燃料が持つかどうか・・・・・・まだ艦を展開する事は出来ない。見つかる可能性が高いし、単独航行をしている時点で怪しまれて通報される。

何とか南鳥島まで辿り着く事が出来れば後はサイパン島から時々やって来る偵察機をやり過ごしながらトラック泊地まで一直線に進むしかない。そこで、背中の荷物から脱出の直前に大淀から貰った今週の補給船団の予定表の写しを元に、船団の行き先を調べていく。

「ほとんど島伝いの移動ルートだな・・・・・・ん?資材輸送?」

 こんな真夜中に出港する船団はほとんど居ないに等しいが、南鳥島行きの資材運搬船団が護衛艦隊付きで横須賀から南鳥島へ向かう事が記されていて、数時間前に出港したようだが、今の位置からなら何とか追い付く事が出来そうだ。この船団は途中で小笠原諸島を経由して南鳥島に到着する予定となっている。到着予定時刻は一週間後の二一:四〇とされていた。

「急がないと・・・追っ手が来るな・・・・・・」

 対潜警戒を厳にしながら慎重に、それでいて少しずつ増速しながら船団の後を追いかけて行く。輸送船団の方もジグザグ航行をしながら進んでいるだろうから追い付くのは容易い。だが、追い付くのは夜中がベストだ。真夜中なら密航するのに最適だし護衛の艦娘達の哨戒任務時の交代の瞬間を突けば簡単だ。

 電探の探知範囲は大体分かっているから引っ掛からない様にしなければならないが、夜になったら回り込む様に接近すれば目視される心配は無い。

 

 

 

 

霞side

 

「初月が脱走した事を何故早く言わなかった!」

「提督はお休みになられていましたし、すぐに見つかると思っていましたので・・・・・・」

 最悪の一日になりそうだ。今日の秘書は私だから朝早くに起きて支度を整えて執務室に行ったら柿本司令官(クズ)が先に来ていて、明石と大淀に怒鳴っていた。

 

『初月の脱走』

 

 これはこの艦隊にとって不祥事であり、クズの醜態が晒されるなら構いはしない。だけど反戦運動や少なからず起きる鎮守府関係者や周辺への圧力や嫌がらせで提督候補生は年々減少している。そのほとんどが在日中国人や在日韓国人が中心になって一連の騒動を引き起こしていると一部では噂されているが、真偽は定かでは無い。

 どちらにしても新人提督不足もあって現場重視のベテラン提督達の大半がブルネイやラバウル、ソロン、トラック、グアム等の最前線へ行ってしまい、中途半端で欲に目の眩んだ提督達(どうしようもないクズ達)が本土に居座るという目も当てられないのが日本軍の現状だった。

「もういい。貴様等は下がれ。代わりに赤城と加賀、それに金剛型4人を呼んで来い。」

「・・・・・・分かりました。」

 二人は無表情のまま執務室を出て行く。初月が上手く逃げられる様に手助けしていたのは私も知っている。私も脱走の為に手助けした1人だから。

「・・・おい、あの駄犬が何処へ向かったか想像出来るか。」

「・・・・・・」

「まぁ良い・・・・・・南鳥島行きの船団護衛に就けた第四艦隊に連絡を入れろ。『現在位置より周囲100km圏内を捜索し、初月を発見次第撃沈せよ。』とな。」

「・・・分かったわ。」

 連絡の為に執務室を出ると、丁度赤城達とすれ違った。6人とも何か言いたそうだったが敢えて気付かない振りをして足早に無線室へと向かう。艦娘でも他の人間でも要らなくなったらすぐに殺すような奴の所為で初月を死なせるわけにはいかない。

「こちら第五艦隊司令部。第四艦隊旗艦鈴谷、応答を。」

『チィーッス。どしたのかすみん?』

「・・・・・・殺すわよ?」

『冗談冗談~・・・で?用件は?』

「現在位置から100km圏内を捜索して初月を発見次第撃沈せよ。以上よ。」コンコン

『了解~って船団護衛どうすんの?放棄?』コンコン

「船団は小笠原で待たせておきなさい。」コンコン

『オッケ~んじゃいっちょやりますかぁ!』コンコン

「連絡は以上よ。最善を尽くすように。」コンコン

『了解~』コンコン

言うだけ言ったし万が一に備えての対策も打った。そして鈴谷はそれに答えてくれた。私達が初月に協力しているのが知られたら私達はきっと・・・・・・

 

 

 

 

倭side

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

どうしてこう俺は女絡みの問題が多発するんだ。何かしら行動するだけで発生する。かといって何もしなくても起きる。謎過ぎるぞ。

っと失礼。今俺は新型カニ光線を粉砕処理中だ。何故かって?前に『カニ光線は粉砕する』って宣言してたから実行しているわけなんだ。強い事に変わりはないが射程・サイズ(何より見た目がふざけ過ぎている)などの問題でどの道解体が決まっていた。

 時雨もそれを見に来ていたんだが・・・・・・ある理由(妖鵞様とのコラボ編の一つ【恋の鈴は夜に揺れる】を参照)で俺に懐いてしまった夜雨の後ろで何時も隠れていた鈴奈という少女と謎の睨み合いが発生してしまった。何故そうなったのか・・・・・・頭を撫でた事と特製カレーを提供して何度もお代わりを要求された事はあったが・・・・・・それ以上の事を俺に聞かれても困るぞ。全く分からないからな。

「・・・・・・解体完了。夕張、使えそうな部品と使えそうに無い部品との仕分けは任せた。」

「はいはい、分かりましたから倭さんはあの2人を何とかしてくださいね~」

「・・・・・・何で睨み合ってんだ?」

「う~ん、取り敢えず馬に蹴られて死ねば良いんじゃないですか?」

「何だそりゃ?」

サッパリ分からん。分からんがちょっとムカついた。・・・・・・取り敢えず解体は終わったので2人の所へ戻る。

「・・・・・・睨み合ってなんになるんだ。というか何故睨み合ってた。」

「「あ、倭(やーくん)。」」

「・・・・・・」

 2人の目を見て何を考えているのか即座に分かった。この後の昼飯でどっちが横に座るかで睨み合いに発展したのか。今日は、いや、今日から俺は窓際席に座れなくなる様だ。

時雨と鈴奈に挟まれながら食事・・・・・・う~ん・・・・・・果て無きトラブル続発の予感しかしない。

「「「!!!!」」」

持っていた無線機から突然鳴り響いた緊急警報(アラート)に、その場に居た誰もが緊張した表情に変わる。一人を除いては・・・・・・

「・・・・・・相変わらず忙しいこった・・・・・・」

 倭だけは顔色一つ変えずにアラートの後、聞こえて来た提督の声を聞いていた。それと同時に執務室へ向かって行き、時雨もその後に続いて小走りで追いかけていく。鈴奈はというと・・・・・・ついて行った。

 

 

 

 

山風side

 

 提督に緊急招集されたから何人かは来た・・・時雨姉さんと夕立姉さん、海風姉さん、江風、涼風、長波(呼ばれたわけじゃないのに何故か居た)、十七駆の人達・・・でも何で倭さんも居るの?

「非番返上になっちゃったけど簡潔に伝えるわ。さっきソロンへ向けて出発した輸送船団が深海棲艦に襲撃されたという救援信号を受信したの。」

「んぁ?あの輸送船団ってソロンからの護衛艦隊付きなんじゃねーのか?」

「・・・・・・長波、連中の荷物はドーラとヨルムンガンド。いくら要塞砲を部品単位で解体(バラ)しているとはいえ相応の重量物。当然輸送船の速度は遅くなり、護衛もそれに比例しているというわけだ。その程度は分かるだろう?」

「いやそりゃあたしも分かってるけどさぁ・・・・・・ソロンから来てた護衛艦隊ってあたしらより精鋭なんだぜ?」

「細かい話は後で頼めるかしら?取り敢えず集まった全員は倭に乗艦。全速で現場へ急行し、敵艦隊は見つけ次第叩く事、以上よ。」

『了解!』

 皆が急いで倭さんの船体に向かって走って行く。私はちょっと走るのは好きじゃないから皆より遅れて・・・・・・行けなかった。

「山風、遅れるぞ。」

「えっ・・・」

倭さんが私を脇に抱えてきた。時雨姉さんは背中にしがみ付いてるし、もう1人の黒髪の女の子も私と同じ様に脇に抱えてる。

「今回は1秒たりともロスは許されない。早く俺に乗らないと手遅れになっちまうから・・・ちょっと本気(マジ)で走るぜ。」

「え?きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!」

 しっかり手を握ったまま倭さんは走り出した。そのスピードは突風に吹かれている吹流しの気持ちが何となく分かるくらい速過ぎて目を回しちゃう・・・・・・

 倭さんの甲板に着いた頃には皆集まってきていた。それを確認するとすぐさま艦内へ入って艦橋に向かう倭さんと艦尾の格納庫に向かう私達は別行動になった。ドックの扉が開き艦は出て、西水道を通って外洋に出た。

『これより一気に160ktまで急加速する。総員、急制動に備え手摺等の固定物に掴まれ。急加速まで後5秒。』

 言われた通りに手近にあった手摺に掴まったけど・・・・・・どんな事が起こるのか分からないから怖い・・・・・・

『4・3・2・急加速、始め!』

 その言葉と同時に後ろに引っ張られる力が急に強くなって・・・・・・私は手摺から手が離れて後ろにすっ飛んでしまった。

「きゃあぁぁ?!」

「へ?ふぎゃっ?!」

 後ろにすっ飛んだ影響で浦風に激突・・・・・・この後、磯風達に叩き起こされるまで私と浦風は意識を失っていたらしい・・・・・・

 

 

 

 

???side

「あ~暇だ・・・・・・手応え無さ過ぎる・・・・・・」

『おいおい・・・目の前に敵が要るだろうが。』

「いや・・・コイツ等哨戒してた奴等じゃん・・・まあシュトゥルムヴィント()の言ったとおりの脆弱さだな。だけど幾らなんでもアラスカ級ベースの俺達に勝てないってのはどうなのよ。」

『いや・・・まぁお前等速力差を考えろよ。』

「ん~それもそうか。俺120ktだもんな・・・・・・」

『やれやれ・・・・・・こりゃダッチ攻略は面白い方法を試してみるとするか・・・・・・』

「あん?何か言ったか?」

『何でもねーよ。兎に角潰せるなら潰してから戻って来い。お前等巡洋艦とはいえ超兵器なんだからよ。』

「巡洋艦っつーか、大型巡洋艦なんだけどな.」

『細けぇこたぁ良いんだよ!手間掛けんな!』

「へ~い・・・・・・って事でここで死んでもらうね~」

「貴様・・・・・・調子ニ乗ルナ!」ドォン

「ル級って言ったっけ?そんな貧弱な火力と装甲で良く生きてこられたね~・・・ま、今日ここで死んじゃうんだけどね!ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!」バシュッ

 

 

 

 




 と、言う事で超兵器はお解かりになったでしょう。彼等は倭と面識はありませんが、仲間達から活躍は聞いているので敵泊地攻略ついでに会えないかな~とか考えてたりしてます。
 後、恋雨世界では大西洋とインド洋の制海権は深海棲艦に掌握されたままです。因みに初期の頃に言っていた『撃沈された独戦艦』とはティルピッツさんです(遅せぇよタコ)・・・そして何故かエニグマ暗号表も持っていたという・・・・・・


(前回書き忘れていた時雨達の改装要項)
◇時雨改二鋼(夕立改二鋼も同装備の為割愛)
船体:駆逐艦Ⅳ
排水量:6400t
機関:駆逐ボイラーε×3・駆逐タービンε×2
機関配置:シフト配置
速力:77.2kt

○武装
・20mm単装機銃×1(要するにエリコンってやつDA)
・25mm連装機銃×10
・30mmCIWS×6
・12.7cm65口径連装×3
・新型超音速4連装酸素魚雷『ゲイボルグ』×1
・特殊弾頭4連装魚雷『デスランス』×1
・噴進爆雷砲×2

○補助
・音波探信儀Ⅵ
・電波探信儀α
・自動装填装置γ
・電磁防壁β
・統合制御装置ε(謎の装置ε)
・統合制御装置ζ(謎の装置ζ)
・バウスラスター


誤字脱字等ありましたら報告の程願います。


次話:予期せぬ共闘



あくまでタイトル通りになるとは限りませんのでご了承ください(ヲイ)

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