恋雨~重装護衛艦『倭』~   作:CFA-44

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ドーモ、ミナサン。CFA-44デス。
いやぁ夜倭を所望された方が大喜びしてくれて何よりでした。Tiwtterの方もちょっと賑わいましたwww

さて、倭にファーストキスをあげてしまった夜雨・・・・・・どうなるんやろな・・・・・・あ、取り敢えず倭は時雨が御仕置き(爪剥がし20枚)をしたそうです。めでたしめでたし。



初月脱走

 

 

笹川side

 

 演習が終わって1週間が過ぎた頃、夜雨ちゃんが到る所でボーッとしている姿を見かけるようになった。話しかけてもほとんど上の空だったりして聞いて居ない事がある。倭と何かあったのかしら?

 私は相変わらず机に山積みにされた書類の山を崩していく作業を続けている。取り敢えず軍令部宛に夜雨ちゃん達の書類は送り出したし、それ以外にやる事は・・・・・・あった。書類の山の中に紛れ込んでいた極秘の指令書。内容は深海棲艦の重要拠点であるダッチハーバー奪回の先駆けとしてアッツ・キスカの両島の基地を殲滅し、周辺海域の敵艦隊を掃討しろとの事だ。

(取り敢えず長距離通信可能な春風を旗艦にして・・・・・・倭と、夜雨ちゃんも出しとこう・・・・・・倭は何時も通り遊撃ポジ・・・・・・夜雨ちゃんには・・・・・・春風達の護衛も兼任してもらいますか・・・・・・)

 書類作成に夢中になっていた所で、ふと時計を見れば既に一二〇〇。丁度終わったし、キリが良いので昼食を取る為に食堂へ向かうと、結構な人数でごった返していた。

「あ、提督。ご注文は何でしょうか?」

「鯖の味噌焼き定食で。」

「分かりました。2番の番号札をお持ちになってお待ちください。倭さん、鯖の味噌焼き定食を一つお願いします。」

「む、分かった。」

 そういえば今日の調理担当は倭と鳳翔だったわね。暫らくして出来立ての鯖の味噌焼き定食を受け取って空いている席を探していると、丁度夜雨ちゃんの隣が空いていたのでそこに御邪魔させてもらう。

「隣、失礼するわね。」

「あ、笹川提督・・・・・・」ボー

「後で執務室に来て頂戴。早速任務を言い渡すわ。」

「分かりました・・・・・・」ボー

 私が食べ始める前には居た筈なのに、彼女の箸はさほど進んでいない。既に冷めてしまっているのは、一緒に配膳されている味噌汁から湯気が上がっていない時点で分かる。

「龍奈さん、夜雨ちゃんって何時からこんな状態に?」ボソボソ

「この前倭を見学に行った時からですね・・・・・・」ボソボソ

「なるほどやっぱり倭が原因か。」ボソボソ

 龍奈さんの話で確信した。夜雨ちゃんがボーっとしてしまっている原因は倭と何かあったからだ。何となく想像が出来るけど・・・・・・あんまりヤラシイ事をしていたならそれ相応に粛清させてもらおう。

 夜雨ちゃんの食事が終わる前に席を立ち、さっさと別の書類を片付ける為に執務室へ戻る。途中で大淀に頼んで放送を掛けて倭を含む数人を執務室へ来るように頼んでもらった。

 

 

 

 

倭side

 

 昼食を食べる間も無く執務室に呼び出された俺の他に執務室に居たのは春風、時雨、龍鳳、高雄、摩耶、能代、矢矧、潮、秋月、照月、弥生、そして夜雨の12人。俺を含めると13隻で出撃する事になる。

「集まってくれたわね。今回皆にはダッチハーバー奪回の先駆けとしてアッツ・キスカの両島攻撃と周辺海域の敵艦隊掃討に当たってもらいます。龍鳳と夜雨ちゃんには艦載機で制空権の確保と基地攻撃に。護衛艦隊旗艦は春風にお願いするわ。」

『了解。』

「・・・・・・」

「倭は遊撃艦(何時も通り)でお願い。」

「・・・了解。見つけ次第殲滅しておく。」

「弾薬はなるべく節約してちょうだい。」

 手渡された資料を見る限りでは基地自体はそれほど大きくないが、事前偵察で確認された周辺に展開する敵艦隊の規模はそれなりにあった。濃霧の中での戦闘を意識しているのか、戦艦の数は少ないが軽空母と重・軽巡、駆逐艦が大量に配備されている。

 それ相応の監視網を警戒せねばならないが、夜襲と遠距離攻撃(アウトレンジ)を仕掛ければ何とかなるかもしれない。

 先に執務室を辞して工廠に向かう道中、大型輸送船数隻が分割された巨大な物体を運んでいくのが見えた。記憶に間違いが無ければあれは大分前に開発したヨルムンガンドとドーラだ。話ではソロン要塞の要塞砲として持ち込まれるそうだ。妖精達は歓喜しても、運用する提督は真っ青になりそうだが、そこら辺はどうでも良い。

 既に整備を終えて戦艦泊地に回航された本体には後で戻るとして、工廠に来た理由は一つ。明石と夕張を待たせているからだ。

「どうだ?」

「進捗度は99%で後は彼女達が乗り込んで承認するだけです。」

「そうか。もうすぐ2人も来ると思う。一つ気になるが、元の船体はどうなるんだ?」

「本来なら元の船体は標的艦として使われますけど小柄な駆逐艦なので解体されます。新しい建造資材としてこちらで使えるものは徹底的に有効活用しますよ。」

 2つの船渠で完成した2隻の駆逐艦を眺めていた明石がピンクの髪を揺らしてにこやかに笑いながらそう答えると、夕張が2人を連れて来た。時雨も夕立も新造された自分達を見て驚愕していた。

「これが・・・・・・僕・・・なの?」

「ほわぁ・・・・・・すご~い・・・・・・」

「船体重量6400t、70kt以上の速力にバウスラスターも搭載したから急旋回も出来るわ。武装なんだけど、魚雷は据え置きにして57mmバルカン砲から12.7cm65口径連装砲3基へ変更。25mm連装機銃と30mmCIWS、噴進爆雷砲2基を追加して対潜能力も強化しておいたわ。防御は無しだけどね。」

 一緒に居た夕張が苦笑しつつ説明しているが、防御装甲に対10cm装甲すら張る余裕が無いくらい速力と魚雷の搭載を優先にしたからだった。そもそもWW2時代の駆逐艦に防御装甲を施すのは厳しい。それ故、前の世界でも特化型の駆逐艦が多数存在していた。

「後は貴女達が変更を承認すればOKよ。」

 夕立はすぐさま艦橋へ移動して承認していたが、時雨はしばらく新造された自分の艤装を一通り見回した後で承認した。彼女達を戦力として強化した事で一つ気掛かりだった事が消えた。

 

 

 

 

時雨side

 前から進んでいた僕達の改良が終わった。僕の入っている船渠では既に注水が始まっていて、夕立のいる隣の船渠でも注水が開始されたばかり。

(今生きているのも、ここに居られるのもきっと(キミ)と出会えたおかげだね。そうでなかったら今頃僕は海の底だったろうな・・・・・・)

 僕が想いを馳せる相手は僕達が進水するのを傍で見てくれている。水位が完璧な位置まで上がり、船渠の扉が少しずつ開き、中と外の海が交わっていく。

「微速前進、3ノット。」

『了解。微速前進、3ノット。』

 ゆっくりと艦が動き出し、そろそろと船渠から出て行く。日の光が艦橋を照らすくらいまで出た時、曳船が解体される予定の時雨(前の自分)と夕立を近くまで運んできていた所だった。

(僕、頑張るよ・・・もう諦めたりしない・・・・・・今まで・・・ありがとう。)

 自分と入れ替わりに船渠へ入っていく時雨だった駆逐艦に心の中で僅かながらの別れと感謝と想いを告げて扉が閉まるまで見ていた。そのまま埠頭で弾薬の補給を行いながらバインダーに挟まれた書類に軽く目を通していく。

 予定通りならこのまま僕と夕立はアリューシャン列島に向かう倭達の護衛に参加する事になる為、前に倭から貰った手作りの防寒着を用意しておいた。これで寒くても平気だね。

見える範囲で倭を探してみたけど埠頭には居ない。多分開発しているかもしれないから工廠かも。ちょっと行ってみよう。

 

~工廠:開発部~

 

「時雨?どうかしたか?」

「ううん。何してるのか見に来たんだ。」

「ただ開発しているだけだぞ。」ガチャン

 赤い取っ手の付いたレバーを降ろしたら扉の向こうでガタガタと音が聞こえた後、搬出用扉が開いていく。中から出て来たのは・・・・・・

 

「蟹?」

 

 目が二つ出ていて大きな鋏の付いた子供のお絵描きにありがちなあの赤いかにさん。それがそのままドーンと鎮座している。

「「・・・・・・」」

 倭も僕も無言だった。僕は何と言ったら良いのか分からないし、倭は倭で物凄い勢いであの蟹兵器?を睨んでるし・・・・・・

「これ・・・なんです?」

 近くに居た夕張が沈黙を破る為に話題を作ったが、意外にも倭はちゃんと返事をしてくれた。

「カニ光線だ。鋏の部分から2本のレーザーを発射して対象を溶断する光学兵器でな。俺達解放軍側はこんな馬鹿げた姿のまま運用してたが帝国側はさっさと無砲塔型に改造してスペースを節約していた。」

「へ、へぇ~」アセダラダラ

「つ、次行こうよ!」

「・・・・・・そうだな。」ガチャ…

 気を取り直して開発を続行した所、これまた変な物が出てきた。これが武器とは思えないけれど・・・・・・

 

「猫?」

 

 初めて見た人はこれが銅像か何かだと思う、というか僕も置物か何かにしか見えなかった。倭によれば、これは『ねこビーム』と呼ばれる光学兵器だそうだ。

 ・・・・・・どう見たって猫の銅像にしか見えないけど・・・・・・あ、目の部分がガラスみたいになってる。あそこからビームって言うのを発射するのかな?

 この後、開発を8回やったけど、変な装備しか出てこなかった。正直どうしたら良いのかと思うような代物ばかりだった。

 

開発で出たのを下にまとめておくね。

 

・拡散プラズマ砲

・荷電粒子砲

・クリプトンレーザー

・αレーザー

・βレーザー

・噴進爆雷砲

・多弾頭量子魚雷(四連装)

・新型超音速酸素魚雷(四連装)

 

 うん、僕は魚雷と爆雷が新しく出た事くらいしか分かんないや。

 

 

 

 

夜雨side

 

「・・・・・・」ボー

 あの一件以来、誰かに何か言われても気が付くのが遅れている。倭を思い出す度、顔が熱を帯びてくる。

(私を演習でボコボコにした相手を?何で?好きな訳でもないのに・・・でも、龍奈さんが倭をボロクソ言った時・・・明らかに怒らせましたよね・・・それなのに階段から落ちた私を・・・・・・自分が下敷きにされる事を覚悟で受け止めて・・・・・・確かに倭は見た目もカッコイイし根は優しいし・・・って違う!//////)

 分からないままだ。本当に私どうしちゃったのかな・・・・・・

「・・・ちょう・・・」

倭にファーストキスをあげてしまった事が脳に焼き付いて離れてくれない。顔を見なくても、後姿を見ただけでもあの時の事が思い出されて・・・・・・

「艦長~?」

「ひゃわぁ?!な、何?」ドキドキ

 何時の間にか呼びに来ていた凪紗ちゃんが私の顔を覗きこんでいたから思わず変な声が出てしまった。

「大丈夫~?顔真っ赤だけど。」

「だ、大丈夫よ。問題無いです//////」カァァァ

(何処が大丈夫なんだろ・・・・・・)

 

 

 

 

初月side

 

 あの日、倭に救助され、ボロボロになって戻ってきた僕に待ち受けていたのは提督の罵声と拳が一緒になったものと仲間達から向けられた憐れみの視線。一応、入渠する事は許可されたが、あまり長い風呂は許可されなかった。

「ふぅ・・・・・・」チャプ…

 そんな事を思い出しながら少し温めのお湯が冷えていた身体をジンワリ暖めていく。一週間くらい前までは姉さん達と入っていた。提督は変な奴だが、姉さん達と過ごせる事が幸せだった。だがその幸せは超兵器に壊された。

僕達は分かっていたんだ。幾ら高練度の水雷戦隊でも超兵器の前では話にならないって。だから主力の戦艦達は僕達の代わりに自分達主力艦隊が出ると食い下がった。だけど提督は水雷戦隊を出撃させる事に固執していた。前回のMI作戦で第五艦隊(ここ)から出撃した島風を旗艦にした第六駆逐隊が超兵器の攻撃で全滅したからかもしれない。その後に超兵器を倭が撃沈したから妬んでいるのだろうか?

「・・・・・・」

 風呂から上がり、制服に着替えて資料室へ足を運ぶ。あそこなら倭に関して何か分かるはずだ。些細な情報でも手に入れば良い。僕1人でも超兵器を倒す方法があるかもしれない・・・・・・

薄暗く湿気の多い廊下を足音一つ立てずに資料室へ向けて歩いていくが、資料室前の廊下には監視カメラが設置されている。一応資料室の鍵を解除する為の道具(キーピック)は明石が貸してくれたが、どうやって監視カメラから逃れるか、だ。

 窓から侵入するか?ガムテープと長10cm砲の予備砲身は持ち歩いていたから道具は揃っているから窓を割って侵入するのは容易い。だが、割ってしまうと警報装置が作動する仕様である為、窓からは侵入出来ない。

 通気孔は・・・却下だ。あんな狭い所は僕では通れない。と、なれば正面から行くしかない。が、道具を使った事が無いから絶対に時間が掛かる。鍵は執務室にある為、そちらから入手した方が早いだろう。

 壁掛けの時計を見れば時刻は長針が12を、短針が11を指している。この時間であれば、間違いなく提督は私室で眠っているはずだ。資料室の位置は執務室前の廊下の角を曲がってすぐの場所にあり、監視カメラには映らない。

 執務室の扉に触れる前に明石が『ドアノブに触れる前にゴム手袋をして。』と忠告していたのを思い出した。あの提督の事だ、ドアノブに触れたら電気が流れる様に細工しているのかもしれない。

「っつ・・・」

未だ腹部に走る鈍い痛み。入渠が終わった3日後、提督の私室に呼び出されて・・・・・・嫌な思い出だ・・・・・・焼却炉があれば放り込んで消炭にしてしまいたい。

 気を取り直してドアノブを回してみると、当たり前のように鍵が掛かっていて開かない。明石から借りた解錠道具を使って適当に鍵穴を弄っていたらカチャリと小さな音が鳴り、鍵が開いた。そっとドアノブを回して真っ暗な執務室へ入り、ウェストポーチに入れておいたペンライトで照らしながら執務机の引き出しの中を探っていく。大淀の情報通りなら・・・・・・

「・・・これだな。」

 目的の鍵を入手した後、再び執務室を出て資料室の近くまで移動する。が、監視カメラをどうやって誤魔化したら良いのか・・・・・・

 段ボールを被って移動するのは・・・どう考えても監視カメラに見つかるから却下だ。透明になれたら苦労はしないし、仮に透明になったとしてもドアが開く瞬間を捉えられてしまう。それに、もうすぐ見回りの憲兵がやってきてしまう。それは何とか避けたい。

 と、手近な場所に段ボールと台車が置いてあるのが目に入る。どう見ても『ここに置いておきましたから使ってください』と言っているような物だ。だが、これは僥倖。提督が憲兵の詰所に予備の鍵を預けているのも大淀や鳥海から極秘に知らされている。

 廊下の向こうから2人の憲兵が歩いてきているのを視界に捉えると、さっさと段ボールに入り込み台車の上で彼等が通りかかるのを待つ。走り書きで『資料室行』と書いた紙を段ボールの上に貼り付けるのも忘れずにやっておいた。

 足音が段々近付いてくる。どうかこの蓋を開けないでくれ・・・・・・どうか何も知らないまま台車ごと資料室に運び込んでくれ・・・・・・

「ん?」

「どうした?」

「いや、こんな所に段ボールなんて置いてあったか?」

「さぁな。資料室行らしいから運んでおくか?」

「詰所に一旦戻って鍵を取ってくる。それまで休憩してて良いぞ。」

「分かった。すまんな。」

 幸い、今回の見回りはマメなヤツらしい。5分か10分くらいか?いやそれ以上に時間が過ぎたのか分からないが、鍵を取りに行ったもう1人が戻ってきて、残って休憩していた憲兵が台車を押していく。

「それにしても最近の提督殿はこの前より殺気立っているな。」

「大方作戦で何か問題でもあったんだろう。そこは我々が聞いてもどうにもならん。」

「それもそうか・・・・・・」

 彼等の会話を聞いていた初月は提督が殺気立っているのは超兵器に自分の艦隊がやられた事に対してだと確信していた。実際には柿本が所属する過激派幹部の倭抹殺計画が全く以って進展しないと突かれ、超兵器を倒す事が出来ない自分自身への怒りでストレスを溜め込んでいるだけであるが、その辺は初月の知らぬ所である。

 そろそろ資料室に到着する頃だ・・・・・・後は憲兵達が僕の入った段ボールを台車ごと資料室に置いて立ち去るのを待つだけ・・・・・・ドアが開く音、そして台車が部屋の中に入っていく。

「この辺で良いか。」

「ああ。まだ開けてないだろうし明日の朝になったら大淀さんが整理しに来るだろ。」

 そう言って彼等は資料室に初月が忍び込んだ事に気付かぬまま資料室の鍵を閉めて去って行った。5分ほどしてから、段ボールを破かないように内側からカッターで切り開いていく。

「ふぅ・・・・・・何とか入れたか・・・・・・」

 再びペンライトを取り出して全ての棚に置かれている資料名に一通り目を通していく。どれも似たような名前だから混乱しそうになるな・・・・・・書類の整理は下手くそなのか?

 そんな事を思いながら一番最後の棚を探していると、

 

【戦闘報告書0号】

 

と書かれた新しい書類が古い書類に紛れてひっそりと置かれていた。

「これか?」

 躊躇う事無く資料を取り出して窓際で隠れるように資料を捲り始めた。この時間なら憲兵が資料室の近くを通るわけでもないから一応は安全だ。【0号】と付くあたり、超兵器関連かもしれない。

 

【超巨大潜水戦艦ドレッドノート】

出現地点、トラック泊地南方約30km地点。当該超兵器は我が軍が初めて交戦した超兵器であり、40.6cm65口径連装砲・誘導噴進弾発射機・大量の魚雷、金剛型戦艦の砲弾を弾く装甲と潜水艦とは思えない火力、装甲を有する潜航型の超兵器である。哨戒艦隊が遭遇し、哨戒艦隊旗艦倭が撃沈。

 

【超高速巡洋戦艦ヴィルベルヴィント】

 出現地点、鉄底海峡付近。最大速力170ktという恐るべき巡洋戦艦である。武装・装甲共に大和型以下であり、艦隊の総攻撃であれば撃沈出来る可能性がある。ガダルカナル島撤退作戦時に襲撃してきた超兵器であったが、警戒艦として行動していた倭が交戦、撃沈している。

 

【超巨大爆撃機アルケオプテリクス】

 出現地点ミッドウェー諸島南方。2つの機首を持つ巨人機であり多数の砲塔を搭載しているが、未確認ながら試製51cm砲でも貫通出来ない程の装甲を有しているとの事。大柄な機体だが、急上昇などの急制動で攻撃を回避する姿が見られた為、機動力も相当なものであると推測。遊撃艦として行動中の倭により撃墜。

 

【超巨大潜水艦ノーチラス】

 出現地点ミッドウェー諸島近海。ドレッドノートの2番艦で、強化されているらしいが詳細は不明。倭型2番艦雨月を中破まで追い込むが、大井との共同戦により雨月が撃沈している。

 

【超巨大ドリル戦艦荒覇吐】

 出現地点ミッドウェー諸島近海。艦首の巨大な回転衝角と舷側の回転鋸が特徴的な一風変わった戦艦。倭と交戦中に接近してきた第六駆逐隊を全滅(尚、倭による救助活動が行われなかった為、妖精達も全滅)させている。

上部構造物が全壊すると同時に反転して艦底部武装と回転衝角等の切削兵装で攻撃を継続する等謎の構造をして倭を中破させるが倭によって撃沈された。

 

【超高速巡洋戦艦シュトゥルムヴィント】

 出現地点八丈島近海。ヴィルベルヴィントの2番艦だが、詳細は不明。撤退中の所を倭が攻撃し、手傷を負わせた模様。現在情報収集中。

 

 

「・・・・・・」

 読んだだけで大体分かった。僕達がどれだけ恐ろしい存在を相手にしていたのかが。だが提督はそれがまるで分かっていない気がする。これ以上此処に居たら僕は危ない気がしてならない。それこそ情報収集と称して提督と同じ事をされるかもしれない。それならば僕を兵器として使ってくれる存在の傍で姉さん達の仇を討つ機会を探りたい。だから、やる事は一つ。ここから【脱走してトラック泊地へ向かう】。

これから僕がやろうとしている事は明らかな軍紀違反、いや捕まれば銃殺刑や解体すらありうる違法行為になる。だが違反を恐れていては超兵器を倒す事など不可能。以前に読んだ資料にあったように倭は何度も命令違反を繰り返し、超兵器を撃沈している。だから僕もそれに習って規則を破る。

提督が超兵器を倒そうと躍起になって僕達をぞんざいに扱っている事は既に周知済みだ。だから準備をするのも容易い。皆を裏切るのは嫌だから僕の勝手を全て説明したら皆は笑って言ってくれた。

 

「行きなさい。」

 

と。だから僕はトラックへ向かう。背中の魚雷発射管を降ろしてまで予備の燃料と携帯食料、その他諸々の必要な物が詰め込まれたリュックを背負う事になった。

出撃時刻は00:00と日付が変わる時。真昼に堂々と出て行くわけには行かないから仕方が無い。

 昼夜を問わず電灯が点いている工廠からそっと脱走させてもらうのだが、当然起きているのは極僅かな人員だけだ。大淀と明石と工廠妖精達、それに整備兵の皆と一部の憲兵達。見んな出港して行く僕を敬礼で見送ってくれていた。

別れは辛いけど帰ってこないわけじゃない。ここに戻って来る時は僕達を暖かく迎え入れてくれる新しい提督が着任している事を願うしかないな。

 

 

 

 

 

 




さあ相変わらずの倭と新生の時雨と夕立に乙女モードの夜雨www

資料室に潜入して情報収集した後、初月が脱走しましたwww尚潜入の仕方については異論は認めません(迫真)


誤字脱字等ありましたら報告の程願います。


次話:噴煙は突風に揺れた



あくまでタイトル通りになるとは限りませんのでご了承ください(ヲイ)

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