倭「・・・・・・取り敢えずバカは放って置いて本編へどうぞ。」
「補給の済んだ機から随時発艦してください。直掩機以外の戦闘機隊は第一打撃艦隊の上空支援へ向かう様に。」
心地良いプロペラ音を響かせて烈風達が次々に飛び立っていく。姉妹艦の瑞鶴からは大分前に開発された陣風が飛び立っていく最中だった。他にも零戦五二型や零戦二一(熟練)が飛び立っていく姿も見える。
「彩雲からの情報はどうですか?」
「今の所当艦隊に接近する艦影も機影も見当たらないとの事ですが警戒しておきましょう。それにしても艦長。宜しいのですか?」
「え?何が?」
「
「ッーーーーーーーー!!い、良いです!やらなくて!//////」カァァァァ
まさか自分が気にしている事を乗組員に見抜かれていたなんて・・・・・・顔に出ていたかしら?恥ずかしい・・・///
「おーい!次発艦する奴は遊撃艦の上空援護だぞ~!」
「おぉ~!遂に愛の告白でもするんですか!こりゃ今晩は赤飯炊かねぇとな!」
「や、やらなくて良いです!って皆さん私の話を聞いてぇ~!!//////」
どうして私の乗組員はこうも言う事を聞いてくれないのかしら・・・・・・超兵器を撃沈したと報告を受けた途端
倭が荒覇吐を撃沈したという報告が春風に届いた頃、第1打撃艦隊は中間棲姫が差し向けた攻撃隊の多さに苦戦を強いられていた。雨月が艦隊へ復帰したものの、ノーチラスとの戦いで損傷したままである為、本来の速力を発揮出来ずに艦隊後方にて三式弾を撃ち続けている。大和も武蔵・長門・陸奥と共に
『雨月、倭の現在位置は?』
『現在我々の後方約56kmの海域に居ます。支援砲撃でも?』
『いや、合流までどれくらい掛かるか知りたいだけだ。』
『巡航速度だと合流推定時刻16:45。日没までには合流してくれるはずです。』
今回の作戦は基地砲撃には現戦力でも十分だが、倭の火力を足す事で徹底的に叩き潰す様に練られた作戦でもある。それに長門さんが『大和型、長門型、倭型が2隻ずつ居るのだ。どうせなら全員揃えて艦砲射撃をしてはどうだ。』と提言し、武蔵や艦隊の皆も賛成した。
合流までに制空権を確保すべく、修理を終えた赤城達から発艦した
しかし、それでも中間棲姫は執拗に攻撃隊を繰り返して制空権を取られまいと徹底抗戦の構えで居る。それを突き崩すには中間棲姫を直接叩ける射程と火力が必要となり、特にこの場に居る誰よりも長い射程と高い火力を有する倭が該当している・・・のだが、倭は艦隊から56km、中間棲姫から約110kmの地点に居り、倭の射程まであと僅か、という距離に居るため、もどかしく感じていた。
中間棲姫も倭型と大和型の脅威度は分かっているのか、かなりの攻撃隊を雨月や私と武蔵に差し向けてきていたが、大抵雨月と照月、初霜、雪風等が連携して殆ど撃ち落としていたので私や武蔵に辿り着いた敵機は僅か数機という有様だった。
「全主砲、薙ぎ払え!」
大和に搭載された51cm60口径三連装砲が再び咆哮し、的確に敵編隊中央部へ三式弾を叩き込む。
(倭や雨月の改三式弾も一度は使ってみたい・・・・・・いいえ、無理ね。私達は彼等みたいに冷酷に成りきる事は出来ないもの・・・・・・)
一度だけならず何度か改三式弾の威力を見せ付けられたが、倭の様に使いこなせる自信は無い。以前に倭が単独で成功させた第六次ルンガ泊地強襲作戦において、軽巡洋艦や駆逐艦相手とはいえ、その集団に向けて改三式弾を叩き込んで壊滅させたという報告に対して純粋に『凄い』と思う気持ちと同時に薄ら寒く感じて居た。
‐もし
そんな事を一瞬だけ考えてしまった。いや、恐らく報告を聞いた艦娘達は少なからずそう考えてしまうだろう。寧ろ考えない方がどうかしているとさえ思う。
世界最強の戦艦として自分は精進してきたつもりで居た。誰にも負けていない“つもり”だった。しかしその自信は異世界からやって来た存在によってへし折られてしまった。
自分よりも高い火力と防御力を備え、島風を鈍足扱い出来る速力を誇る2隻の戦艦が戦艦としての常識を覆し、この世界の常識が通用しない非常識を常識とする存在。これで私達は一気に陳腐化したような気分になっていた。
倭が来て間もない頃、倭に搭載された
それもそうだろう。突然現れた戦艦が自分達より遥かに格上の存在である事をいきなり認める事なんて出来ないが、私達は第六次ルンガ泊地強襲作戦において(ステルス性やその他諸々を含めて)嫌でも彼の実力を認めるしかなかった。
尤も、倭達は接し易い存在でもあった為、すぐに艦隊に打ち解けたのには驚かされた。弟の雨月の方が話しかけ易い雰囲気もあったのが大きな要因だと思うが。
(って戦闘中に何を考えているの私は!)
無理矢理意識を戦闘に戻した直後、新たな敵編隊を視認した。1000機に達するかもしれない程空を埋め尽くして迫る黒点達に艦隊は僅かながら動揺した。だが此処で諦めては何の意味も無い。大和は急いで無線機を取ると、倭へ繋ぐ。
「倭、聞こえますか?大和です。」
『聞こえている。接近中の敵機は既に捕捉した。
「分かりました。・・・武蔵、倭に支援を頼みました。友軍機を一時退避させろとの事よ。」
『分かった。フッ・・・頼れる弟が居るというのは嬉しい事だな。友軍機は当艦隊の上空より急ぎ退避しろ!特大の花火が飛んでくるぞ!』
武蔵の指示で友軍機が退避行動に移ると残った敵機が追撃しようとしたが、雨月と照月、浜風がそれを阻止。直後、私達の上空と敵編隊の眼前で100m級の火球が3~5秒毎に12個同時に出現し、1000機近い敵機はあっという間に撃墜され、僅か10秒程度で十機程度まで減殺された。
艦隊上空に到達した改三式弾12発はギリギリまで友軍機の退路を確保していた派手な色の零戦が離脱した直後に破壊エネルギーを解放。追撃から逃れようとした敵機を容赦無く巻き込み、空を覆い尽くす。その衝撃は少なからず艦隊を揺さぶり、大和もかなり激しい揺れを観測した。艦隊全艦に被害は無く無事だったが深海棲艦側の戦力はほぼ壊滅。
成す術無く撤退して行った敵機を他所に、第1打撃艦隊後方の水平線から倭が接近してくる。何とか無事に合流出来たが、倭の姿はかなり痛々しかった。
第二艦橋と煙突に貫通痕があり、後部両用砲が破損しているのだが、それ以上に倭の右舷機銃群がズタズタに引き裂かれ、舷側や甲板は予備の鋼材で塞いだ跡が残っている。どう見ても中破判定だがそれで倭の戦意が衰える事は無く、戦闘態勢を保ったままであるのだから驚きだ。
『旗艦武蔵より艦隊各艦に告ぐ。これよりミッドウェー島25km沖まで移動。艦砲射撃を実行する。倭、自重せんでも良いぞ!思い切り砲弾を叩き込んでやれ!』
『いやどう考えてもアンタが一番自重すべきだろ。』
『細かい事は気にするな!気にしたら負けだ!』
『お前等落ち着け・・・・・・』
長門さんが溜息を付きながら倭と武蔵に注意している。イースタン島25km沖まで接近するのは倭・雨月を除く戦艦娘達の有効射程圏内に捉えなくてはならないからであり、命中率を少しでも上げる為でもある。倭達の様に撃てば確実に当たるわけでは無いのだ。
「艦隊前方、方位043に島影を視認!当初目標のミッドウェー島です!距離2万5千!」
「主砲、砲撃用意!方位043、三式弾装填!」
『全艦、砲撃開始!』
「第一、第二主砲。斉射、始め!」
『さぁ、行くぞ!撃ち方・・・始め!』
『全主砲斉射!てーー!』
『対地攻撃かぁ・・・選り取り見取りね、撃て!』
『撃ちます、Fire~!』
『主砲、斉射、始め!』
『主砲!砲撃開始!!』
『さぁ!砲撃戦、開始するわよ~!』
私の主砲が発射されたのを皮切りに、武蔵達が次々に基地目掛けて砲撃していく。その中で倭と雨月は砲撃に参加していなかった。どうしたのかと問い掛けようとした瞬間、
『前部砲撃戦。連続砲撃開始。』
『一、二番。連続斉射始め!』
既に穴が開いた滑走路を更に抉って大きなクレーターを形成し、管制塔や残った格納庫も根こそぎ消滅させ、余剰エネルギーは島を囲む形で生えていた椰子の木々をへし折る。そこへ再び三式弾を撃ち込んで更なる攻撃を加えていたが、護衛に就いていた艦娘達は“自分達もあの業火の中に放り込まれたら”と想像して震えていた事を私が知るのは泊地に戻ってからだった。
艦砲射撃が始まる直前、万が一に備えて中間棲姫は管制塔直下の堅固な防空壕に非難していた。自分が繰り出した航空隊の9割強が消滅し、大量にあった砲台群も展開していた味方艦隊も全滅。その上モンスター級2隻を仕留め損なった挙句、基地砲撃に襲来したとなれば堪ったものではなかった。
(ココナラ、奴等ノ攻撃ハ通ル事ハ無イ。18インチ砲ノ直撃ニスラ耐エタノダカラナ。サテ、一体ドウヤッテココカラ脱出スルカダナ・・・・・・ン?何ダ?!)
安堵の息を吐いて如何に脱出するか考えていた中間棲姫だったが、120発もの改三式弾の炸裂によって周囲の地面毎管制塔が吹き飛ばされた事で地上に晒し出されてしまった防空壕周辺に向けて全力射撃を始めた倭と雨月から再度撃ち込まれた改三式弾120発によって一瞬で破壊された。
(馬鹿ナ?!何故奴等ガコノシェルターヲ破レル?!一体何故?!)
艦娘の46cm砲にすら耐えうる設計が成された堅固な筈の防空壕は大穴を穿たれた。中間棲姫は何故防空壕の装甲が破られたのか理解出来ぬまま無数の破片が身体に突き立ち、破孔から一気に流れ込んできた破壊の奔流は中間棲姫をこの世から消滅させた。
長門は妙な気がしていた。このミッドウェー諸島に配備されていた深海棲艦の艦隊にしては規模が大きいが艦隊の数が少なく、練度も機動艦隊以外は然程高くは無かった。
「長門より倭。長距離電探で本土の方向に反応があるか春風に聞いてくれ。」
『分かった。暫らく待ってくれ・・・・・・』
倭に頼んで5分もしない内に報告は届いた。しかしそれは“本土方面に深海棲艦の反応はあるが、索敵範囲ギリギリの位置である為、本土侵攻艦隊であるかは判断出来ない。”という微妙な結果だった。
『倭より武蔵。本艦と雨月は修理の為、泊地へ一時帰投せよとの提督の指示が来た。これより後退する。後は任せた。』
『了解だ。ゆっくり休むんだぞ。衣笠、名取、村雨、春雨、風雲、高波は倭、雨月の護衛に就け。』
『了解。』
艦隊から離脱していく8隻を見送りつつ、残りの島を占拠している砲台型の深海棲艦を倒す為に長門達も動き出した。
(もし・・・本土侵攻艦隊が居たとすれば・・・既に此処を離れて本土に向かったとすれば此処の艦隊の練度が低いのも頷ける。つまり・・・此処で我々を引き付けている間に本土の重要拠点を強襲するつもりか?まさか、な・・・・・・)
この時の長門の予想が的中していたと知る事になるのは、長門達が泊地に帰投した時であった。
‐横須賀鎮守府の何処か‐
円卓を囲んで座る男達。その顔は憎悪と怒りを顕にしていた。送り込んだ筈の刺客が超兵器によって粉砕され、倭と超兵器のどちらにも傷負わせる所か攻撃する暇すら無いままに全滅させられた事が彼等の怒りを募らせていた。
「・・・・・・??君。君は大丈夫と言い切っていたが全滅とはどういう事かね?」
「・・・申し訳、ありません。」
「申し訳無いで済めば我々の消費した資材が戻って来るとでも思っているのか貴様!」
「まあ落ち着け。??君、次で奴を確実に仕留めろ。そして我等の計画を完遂するのだ。急がねば何の為に隣国から資金援助を受けたのか分からんからな。」
「はっ!次こそは必ず・・・・・・」
それぞれが計画の阻害となる者の排除の為に憎悪の炎を燃やし続ける。その後で待ち受ける運命など露ほども知らずに。
‐八丈島から50km南方の沖合い‐
クソッタレ。何で俺が日本本土の威力偵察なんぞやらなきゃならねーんだ。魔神の奴め・・・・・・なーにが『お前の足なら偵察にも向いている』だ!俺は偵察用じゃねぇっつーの!俺は超兵器だぞ?偵察なんて味方の改タイコンデロガ達にやらせときゃ良いじゃねーか!
「播磨のクソッタレェェェェェェェェぇぇ!!」
『やかましいわ!!任務に集中せんかぁ!!』
「ゲェーッ!?聞かれてたぁ!?」
『聞こえとるわこのド阿呆がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
無線の向こうで反応してきた声の主は明らかに怒っていた様だったが、そこまで怒っているわけでは無さそうだった。だからこそ反撃に転じてやった。何時も俺をこき使うから悪いんだぞ。
「だからって俺をこき使うこたねーだろうがぁ!改タイの奴等にやらせとけよ!」
『はぁ・・・・・・もう俺が言った事を忘れたのか?タイコンデロガ達では艦娘達を振り切る事が難しい。もしかすると空爆されるやもしれん。その点、我等超兵器なら人間の攻撃など大した攻撃にもならん。それに貴様は対51cm防御装甲を持っている上に鋼鉄シリーズ最速の艦船型超兵器だ。』
「うおぉぉぉぉぉい?!メタ発言はやめろぉ!!シリーズとか言うんじゃねぇ!!」
明らかに不味い発言が聞こえてきた。魔神の事だ、下手に喋らせてしまうとぶっ飛んだ発言が出てきそうだ。
『おっとこれは失敬失敬。皆にも失礼だったな。』
「待て!それ誰に言ってんだ!?」
『誰だと?決まっている。画面の前の読s』
「ストーーーーーーップ!!それ以上は本当にダメだぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
『何だつまらん・・・・・・まあ、取り敢えず倭に見つかったとしても貴様の足なら逃げ切れるだろう。その辺は抜かりないようにな。』
「・・・・・・分かってらぁ・・・アイツに見つかる前にトンズラするっての・・・・・・ん?」
『敵か?』
「ま、そんな所だろ。ちょっと遊んでやるか・・・・・・」
『なるべく一撃で仕留めてやれ。苦しませる必要は無い。』
「その辺は俺の気分次第さ。」
急に真面目な声に戻った魔神とのやりとりに水を差してきた存在が居た。レーダーに6つの影が映っており、大きさから推定して水雷戦隊だろう。俺に向けて一直線に向かってくるとは良い根性してやがる。
= 超高速巡洋戦艦 シュトゥルムヴィント 強襲開始! =
さ ら ば 中 間 棲 姫 さん。ハイ、基地攻撃なのにまだまだ自重してる改三式弾さんが中間棲姫を粉微塵にしてくれましたよっと。え?私は要らない?成程、お呼びでない、と・・・・・・
倭「良 い か ら 続 き 作 れ。コ ラ ボ 編 も 早 く 書 け や。」
え~ウチの艦息が激怒してるので今回は此処まで、という事で・・・・・・ではまた
|壁)ノシ