恋雨~重装護衛艦『倭』~   作:CFA-44

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短編です。長文を期待された方、申し訳ありません。これは短編です。(大事な事なので2回言いまs(ry
『だが断る』という方はブラウザバック推奨です。倭が普通に寝起きしていても『番外編だから仕方あるまい』と思ってください。

※:今回は2人だけのシーンなので台本形式ではありません。演習編1話の後日談にあたります。




倭とデート(時雨編1)

 

 雨が降っている。それも大粒の雨だ。ようやく風邪も治って非番が重なったから2人きりで泊地や市街地が一望出来る展望台に向かっていたのに、どうやらお天気の神様は僕等に嫉妬したらしく、快晴から突然の豪雨へ切り替えてきた。

雨具は念の為にと倭が持って来ていてくれたから良かったけど、今日の為に作ってきたお弁当が濡れていないか心配だ。特に瑞鳳と鳳翔さんから教えてもらった卵焼きと鮪の時雨煮が崩れていないかが気になる。箱も大鯨から借りてきた重箱だ。幾ら防水布で出来た風呂敷にも限界はあるのか、既に水が滴り落ちてきている。中にまで水が染みてないか心配だなぁ・・・・・・

「山道で焦ると転ぶぞ。」

「そうだね・・・大事なお弁当を無駄にしたくないよね。」

「・・・・・・まぁ、な。」

「どうしたんだい?」

「・・・いや、何でもない。」

帽子を深く被って何でもないと返してくる倭。もしかして雨の日が嫌いなのかな?それはそれでちょっと困るかなぁ・・・・・・

そう思っているうちに展望台に到着し、辛うじて濡れていない席を見つけて座ろうとした。でも濡れていない席は1箇所だけ。元々地面に固定された椅子とテーブルだから動かす事も出来ない。どうしようかと迷っていたら、

「俺はそちらに座ろう。君はこの濡れていない方に座ると良い。」

と、濡れた椅子に自ら腰掛けた。止む無く僕は濡れていない席に着いて風呂敷を解き放つと、中から桜の花びらをあしらった3段の重箱が現れる。本当は4段全てに収まる様に料理を入れたかったけど、教えてもらってから自力で覚えられるまでに予定日の前日まで掛かってしまった。おかげで他にも詰めようと予定していた料理を他の人に聞けなかった。

「む、これは・・・大鯨から借りてきた物か。」

「良く分かったね。」

「潜水艦隊との打ち合わせは大鯨の部屋でやるからな。台所を借りて軽食を作ってる時に偶々見かけたんだ。」

「へぇ~・・・・・・」ジトー

「?」

僕の倭に食事を作らせるなんて良い度胸だよ大鯨・・・・・・後で演習を組もうかな。まぁちょっと主砲で一方的に撃つだけだから酷い怪我はしないはずさ。

「何を気にしているのか分からんが、何を作って来たんだ?」

「あ!そうだね!今開けるよ!」パカッ

ああいけない。今は折角2人きりなんだからこの時間を大いに楽しまないといけないね。今回僕が作ってきたのは、鳳翔さんから教えてもらって作った黒豆、鮪の時雨煮、唐揚げ、ポテトサラダ、金平牛蒡と、瑞鳳が手伝ってくれた出汁巻卵だ。

これが2段分ぎっちり詰め込まれている。それと最後の1段は全てお握りが入っていて、これだけが今の僕がまともに出来る料理というのが最近の悩みどころだ。

 でも倭には何時も舌を巻かされる。調理方法と味をたった1回で覚えて、自分に馴染ませてしてしまう。そのおかげで居酒屋『鳳翔』や甘味処『間宮』を臨時で手伝う事もある。副長さんに聞いた所、後で自分なりにアレンジして妖精さん達に味見をさせているんだとか。

『(処刑用)料理のレパートリーが増えるのは嬉しいですけど増える度に味見させられるのはちょっとキツイですよ。』

少しだけ虚ろな目でそう答えた副長さんの言葉が頭の中で再生された。それに倭の前で隠し事をするとすぐに見抜かれるので余程の自信家か純粋な人でなければ彼に見通されてしまうのだから。

 ほう、と呟いてどれから食べようか迷っている倭に取り皿を渡すと、予想に反してポテトサラダから食べ始めた。

「最初は唐揚げから食べるのかと思ったよ。」

「いきなり肉類より野菜類から食べた方が太らないと本に載っていた。」

「君でも体系は気になるんだね。」

「醜く肥え太りたくはないからな。」

「君の太った姿は想像したくないなぁ・・・・・・」

 ちょっと変な姿を想像してしまった・・・・・・まあ倭は消費量が異常に高いから太りにくいのかもしれないけど。だからと言って高カロリーな食事ばかり摂取していては栄養が偏るからダメだ。

 倭の食生活は大体1ヶ月間ずっとカレーだけだったり、1週間野菜サラダだけだったり、1週間シュールストレミング(世界一臭い食べ物)だけだったりと明らかに身体に悪そう・・・いや身体に悪過ぎる・・・・・・これは僕がちゃんとしないとダメだね・・・・・・

「・・・・・・なるべく高カロリーなのは控えてはいるんだがな・・・・・・」

「取り敢えず食べようよ。大分晴れてきたみたいだし。」

「む、そうだな。それにしても・・・・・・君が全部作ったのか?」

「そうだよ?ど、どうかな?」ドキドキ

「ふむ・・・・・・良い味付けだ。この出汁巻き卵とポテトサラダは瑞鳳、こっちの唐揚げと鮪の時雨煮、金平牛蒡、黒豆は鳳翔から教えてもらったんだな?」

「流石に鋭いね。」

「君等とは短い付き合いだが食に関してはすぐに覚えた。味付けが特徴的な上、君はそれに合わせようとしているのが分かる。君のは少し味が濃い目だからな。」

 うーんそこまで言われるともう少し工夫しないと駄目かなぁ・・・・・・手料理なんておにぎりと簡易的な焼き魚くらいしか出来ないし・・・・・・

「・・・・・・俺にはこのくらいが丁度良さそうだがな。」ボソッ

「え?」

「・・・・・・」

 さっき倭が何か言ったような・・・・・・後でちゃんと聞いてみようかな。

 

~この後時雨だけめちゃくちゃドキドキしながら食事をした~

 

「ご馳走様。」

「御粗末さまでした♪また作るよ♪」

「うむ。今度は味噌汁も頼んでおこうかな。」

「えっ?!///(そ、それって『毎日味噌汁を作ってくれ』って事?!///)」

 倭の発言で僕の言葉で僕は一瞬にして顔が熱くなるのを感じていた。

(その・・・あの・・・そういう(お嫁さんになってくれって)事で良いの・・・かな・・・?で、でも倭の事だから違う意味の可能性も・・・・・・)

 倭の発言は大体僕達をドキドキさせてくる事が多いし、本人にその気が無いのにこっちも下手に勘違いしたら後々気まずくなる。

「なんてな・・・・・・別に無茶を言っているわけじゃない。気が向いたら、でいいさ。」

「あ・・・うん、そうだね。」

 ほらやっぱり・・・・・・でも頼まれたから作らないとね。僕も頑張って沢山料理を覚えないと!

 そう思いながら重箱を片付けて展望デッキに行くと、そこからは春島の北側が一望できた。元々そんなに高くも無い山だから商店街やその近くにある学校、そして僕達の鎮守府と大型ドックが良く見える。埠頭に泊まっている輸送船や駆逐艦のマストには海鳥達が集まって羽を休め、また飛び立っていく。

きっとこの山の反対側に行けば戦艦泊地が見えるけど、今回はやめておく事にした。行くだけでも時間が掛かるから尚更だ。ふと見上げれば何処までも青く澄み切った空と少しばかりの雲。倭もそれに倣って見上げ、また視線を泊地へと戻していた。

商店街では井戸端会議のおばさん達や買い物客の姿が見え、学校の運動場には子供達が走り回る姿が見える。まるで戦争とは無縁の世界。自分自身が戦争をしている事が嘘のように思えてしまう光景。

そんな光景を眺め続ける2人の間を通り抜けた潮風が周りで青々と茂る草や木々をざわつかせながら通り過ぎて行った。

 




 どうも短くなってしまった・・・・・・取り敢えず時雨が倭をデートに誘って手料理を振舞うのを書きたかっただけです・・・・・・しかし酷いなこりゃ(滝汗)

 あ、タイトルに「1」が付いてる時点でお分かりでしょうが続編、というか再度時系列を変更して各ヒロイン達と何度かデートしてもらいます。泊地で散歩する程度だったり、本土まで出掛けて行く程度だったり、部屋から出ないでただただぎゅーっとしてるだけだったり・・・・・・まあ私の妄想の赴くままに書こうかな~と思います。

ではではノシ

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