恋雨~重装護衛艦『倭』~   作:CFA-44

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短編です。長文を期待された方、申し訳ありません。これは短編です。(大事な事なので2回言いまs(61cm砲弾直撃

台本形式で進めるので『だが断る』という方はブラウザバック推奨です。

※倭が普通に寝起きしていても料理していても『番外編だから仕方あるまい』と思ってください。

7/14(木)ちょっと編集しました!


日常編
艦違いその1


‐時雨side‐

朝何時も通り起きてみると食堂の方が騒がしい。横を見ると何時も通り布団の中で丸まろうとしているこの部屋の主を見つけ、少し捲ってみる。

 

倭「……あと5分……というか捲らないでくれ……」ポケー

 

どうやら半分起きていたらしく蒼い瞳でジッとこちらを見て『布団を掛け直してくれと』抗議してくる。だけどそれはちっとも怖くなかった。そして僕がやったのは、

 

時雨「そうだね、じゃあ………折角だから起きようか!」バサァッ

 

掛け直すふりをして思いっきり掛け布団を剥ぎ取り、強制的に起こす事。これなら寝ぼすけモードの倭は嫌でも目が覚める。まあ寝てる時の倭を見るのも良いけど起きてる時が一番カッコイイから仕方ないよね//////

 

倭「まだ寒いんだから布団を剥ぐなよ………仕方ない、起きるしかないか。」ヤレヤレ

 

時雨「早寝早起きは三文の徳って言うじゃないか。」

 

倭「三文って今の金銭に例えると50円くらいだったな。50円の為にそこまでする必要なくないか?」

 

時雨「そういう意味じゃなくて早く起きてご飯食べに行かないと赤城さんが全部食べちゃうかもしれないよ。」

 

倭「分かった分かった。と言うか赤城が加賀を連れてきても俺の分は食べきれないと思うぞ。大和と武蔵に長門か陸奥を加えてようやく食べきれる量だからな。」

 

室内で帽子を被るのはあまり宜しくないと言われているけど倭は全く気にしていない。それ依然に室内に居ても何人かの艦娘も帽子を被っているので口出ししても良くない。癖なのか、被る度に右へ傾けたままにしている。本人曰く『こうしている方が何故か落ち着く。』そうだ。

 2人して食堂に向かう途中、駆逐艦寮に誰も居ない事に気付いて寮長の不知火が居る筈の陽炎型の部屋に行ってみたが不知火までも居なかった。

 

時雨「誰も居ないなぁ…………」

 

倭「もう7時半になるから皆食堂だろう。食堂が騒がしい。」

 

時雨「じゃあ僕等も行こうか。」

 

倭「ああ。『腹が減っては仕事は出来ぬ』だったかな。」

 

時雨「フフフ、それ提督が宴会で言った言葉じゃないか。覚えてたのかい?」

 

倭「そう簡単に忘れる事が出来ない記憶もあるからな。その影響だ。」

 

そして駆逐艦寮を出た瞬間、僕等の頭上に影が差し、僕が影の正体を確認しようとした瞬間、艦息の能力で身体を強化した倭が僕を抱えて横っ飛びに10mほど左へ飛んだ。影はそのまま駆逐艦寮の入り口付近に着地し、こちらを振り返った。

 

倭「……………朝から随分と派手な挨拶だな比叡。」

 

時雨「比叡さん、君はもう少しまともな方法で倭の所へ来ようよ。」

 

比叡「ヒェェ、これでも抑えたつもりだったのにぃ……ってそんな事より倭さん大至急食堂へ!金剛姉様から倭さんに救援要請が出ています!」

 

上から降ってきた影の正体は金剛型戦艦2番艦比叡さん。彼女も倭に懐いた1人だけど緊急時にまで無駄に張り切って倭を呼びに来るのが難点だね。

 食堂で緊急事態が出たって事は間宮さんがぎっくり腰になったとかかな?前に一度やった時は如何しようかと思ったよ。倭が応援に行ってくれたから何とかなったけど。

 

倭「緊急事態?だからこんなに騒がしいと。間宮か鳳翔に何かあったのか?」

 

比叡「別にお2人は何ともありませんよ?問題なのは瑞鶴さんです!腕相撲なんてやって金剛姉様がひっくり返ってしまったので食堂に集まっている大型艦同士で腕相撲大会やり出したんです。」

 

時雨「危ないから止めなよ?!」

 

倭「で、俺にお鉢が回ってきたと。」

 

比叡「はい。倭さん確か馬力が凄く高いはずでしたから瑞鶴さんを一捻りできると思って独断で呼びにきました!」フンス

 

腕相撲大会なんてどう考えても食堂でやる事じゃないよ……って雨月さんは何してたんだろう…………

 

時雨「雨月さんでも十分な気がするんだけど………」

 

比叡「あの人夜間哨戒に出てましたから今多分部屋で寝てるはずですし、疲れてる人を起こしに行くのはちょっと止めておけと長門さんが………」

 

倭「………そんなアホらしい事に付き合ってられん。さっさと飯食って演習に行くに限る。」

 

あまりにも馬鹿馬鹿しいと感じた倭が一抜けしようとした瞬間、比叡さんの目が怪しく光った。まるで『じゃあこれで…』と言わんばかりに。

 

比叡「実はですね、瑞鶴さんが加賀さんに勝っちゃって、勢いに乗って『倭型持って来い!』なんて……ヒェッ?!」

 

時雨「や、倭?」

 

倭「瑞鶴……上等だ……上には上が居る事を教えてやろう………」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

比叡さんの予想以上に倭が怒りを見せたらしく、比叡さんが震えながら僕の後ろに隠れてしまった。勿論食堂へ着く10m手前でそうなったので僕は内心で瑞鶴に合掌するしかなかった。

 

武蔵「ん?今来たのか弟よ。」

 

倭「良い加減まともな服を着ろ脳筋二号。」

 

武蔵「はっはっはっ!そう邪険にするな。私にはこの服が合っている。尤も、非番なら私服で居る事はお前も知っているだろうに。」

 

大和「あら、武蔵も倭も今来たの?」

 

武蔵・倭『そうだ。』

 

食堂に入る直前で大和型と倭型が揃ってしまった。2人は『世界最強の戦艦』、もう1人は『平行世界から来た最強の戦艦』の肩書きをそれぞれ与えられている。成程、本当は瑞鶴さんが言ったのは『大和型』であって『倭型』の事じゃなかったようだ。だからあんなに怪しい顔になってたんだね。

 

時雨(比叡さん、さっきのワザと間違えて伝えて倭に捻らせる気だったんでしょ?)ヒソヒソ

 

比叡(あちゃーバレましたか。さすが幼妻d…冗談ですごめんなさい。)ヒソヒソ

 

時雨(次その言葉を言ったら比叡さん『覚悟』してね?)←ゲイボルグスタンバイ

 

比叡(ゴメンナサイ)即正座

 

倭「何してるんだ2人共。ほら行くぞ。」

 

時雨「うん!今行くよ!」パァァ

 

比叡(乙女の顔だ……)

 

5人が食堂へ入るや否や、視線が一斉にこちらを向いたのがちょっと怖かったけど、その中心で瑞鶴さんが大立ち回りをしているのは言うまでもなかった。少し残念だけど今の僕でも瑞鶴さんの力には対抗出来ない。そもそもの話、空母と駆逐艦が力比べをする方が間違っているとも思っているけど。

 

倭「瑞鶴。加賀達に勝てたとして、俺に勝てると本気で思っているのか?」

 

明石・大淀・鳥海(まぁ瑞鶴さんが勝てるわけないよね………)←倭の機関出力を把握済み

 

瑞鶴「あれ?え?私が呼んだのって大和型2人の方だったんだけど。」

 

倭「紛らわしい言い方をするな。もう面倒だし俺が2人の分も兼ねて相手をしてやろう。覚悟は良いな?」

 

翔鶴「あ、あの……私で良ければ瑞鶴の代わりに御相手しましょうか?」

 

瑞鶴「な、何言ってるの翔鶴姉?!私まだ大丈夫だって!」

 

大丈夫大丈夫と言い張ってもその顔に浮かんでいる大粒の汗は体力を消耗している証拠だと思うんだけど………

 兎に角瑞鶴さんと交代した翔鶴さんだけど、これからやるのは腕相撲だと分かっていても倭と翔鶴さんが手を繋ぐと思うと何だか良い気分にはなれない。この場に居る全員とは限らないが、大抵の人は倭に好意を持っている。特に夕立とか弥生とか金剛さんとか大鯨とか…………

 知らず知らずのうちにそんな嫉妬オーラを全力で叩き出していたのか、翔鶴さんが倭の後ろに居る僕と目が合うと段々青褪めていくのが分かる。

 

時雨(フフフ如何したんだい?さっきみたいに真剣な顔に戻らないと実力が発揮出来ないよ?)

 

翔鶴「や、倭さん、やっぱり止めて良いですか?わ、私ちょっと急に体調が……」ガタガタ

 

倭「は?」←後ろの時雨に気付いていない

 

白露・村雨・夕立・扶桑・山城(何か時雨からどす黒いオーラが………)

 

赤城・加賀・蒼龍・飛龍(翔鶴……南無参)人

 

翔鶴(ひぃぃぃぃぃぃぃ?!時雨さんの目が、目が笑ってない?!滅茶苦茶怒ってる?!)

 

倭(何か翔鶴がかなり怯え出したな……俺何かしたか?と言うかもう翔鶴が半泣き状態なんだが……)

 

比叡「じゃ、じゃあ始めましょう!では力を抜いて……」

 

比叡さんが腕相撲をさせようと手を握らせた瞬間僕の中のナニカが切れた。そう『プチッ』という可愛らしい音だ。

先程より強めの視線を送るとまた気付いた翔鶴さんが全身を震わせて半泣き状態になった。これはこれで見ている僕の方が楽しませてもらっているね……これじゃ不公平だから翔鶴にも楽しんでもらおうか。

 

時雨(あとで演習行こうか。僕と翔鶴さんの2人だけで。)口パク

 

翔鶴(えぇ?!そんなぁぁぁぁ!!)←不幸にも口パクの内容を読み取った。

 

倭・翔鶴・時雨を除く全艦娘s(翔鶴ェ……やっぱり薄幸なんやぁ……)

 

翔鶴(皆から見放された気が?!)

 

比叡「用意!始め!」パッ

 

翔鶴(も、もうこうなったらやるしかないですよね?!きっと倭さんも分かってくれますよね?!)←ヤケクソ気味

 

 始まったはずの腕相撲は開始時と全く変わらず、ピクリとも動いていない。多分倭の事だからワザと拮抗させて遊んでいるだけかもしれない。

 

翔鶴「」(動か…ない……どれだけ桁違いな馬力なの……)グググ……

 

倭(力弱過ぎ……何か小腹空いてきたな……サッサと朝飯食べたいけど終わらせないとダメだよなぁ………というかさっきから加賀から『早く殺れ』って視線が痛い……)

 

倭「はぁ……翔鶴、お前さん本気でやってるのか?」タメイキ

 

翔鶴「え?今全力でやってるんですけど……」グググ……

 

倭「………明石、確か翔鶴型は16万馬力だったな。」

 

明石「そうですよ。まぁ倭さんはその何倍もありますから翔鶴さんがどう足掻いても勝てる見込みは無いんですよね………」

 

衣笠「……大体59万kwくらいですよね?」

 

倭「正確には59万4880kw。過負荷最大出力で60万kwだ。それでも精々60kt程度が限界だがな。」

 

全員『』ポカーン

 

通常出力で59万kwに過負荷出力で60万kwも叩き出せる戦艦はまず居ない。恐らく倭の艦内に搭載されたタービンと13基も積まれた高性能原子炉だからこそ実現した高速性なんだろうね。

 

倭「と言う訳でこれで終わりにして皆で朝飯を頂こうじゃないか。」グイッ

 

翔鶴「ふぇっ?!」

 

全員『あ。』

 

グシャッ、と音を立てて競技台となっていた木箱がこれまでの乱雑な扱いに耐えかねて遂に壊れた。しかも真ん中から。倭と翔鶴さんは巻き込まれる形で倒れていった。大丈夫かと見てみれば………

 

翔鶴「痛た……ってあれ?倭さん?」キョロキョロ

 

倭「翔鶴、済まんが降りてくれ。乗られたままだと流石に息苦しい。」

 

翔鶴「え?ひゃぁぁぁぁぁ!//////」ガバッ

 

多分何時もの庇い癖で仰向けに倒れた倭の腹の上に翔鶴さんが乗っかっていた。さっき起き上がるまで倭に覆いかぶさっていたと理解した瞬間僕の中のナニカが盛大に音を立てて切れた。そうさっきみたいな『プチッ』とかそんな可愛らしい音じゃない『ブツン』という大きな大きな音だ。

 

時雨「翔鶴さん♪演習に行こうか♪」←親指で外を示す

 

翔鶴「ひぃっ?!」ガタガタ

 

時雨「じゃあ行こう。すぐ行こう。」ズリズリ

 

翔鶴「ず、瑞鶴~加賀さん~皆助けて下さいぃぃぃぃ!!」ズルズル

 

瑞鶴「ご、ごめん翔鶴姉……今の時雨に声掛けたりしたら私が殺されかねないから……」

 

翔鶴「そ、そんなぁ~?!」ズルズル

 

倭を除く全艦娘s(翔鶴……御愁傷様………君が居た事は忘れないよ……)

 

首根っこを掴まれたまま時雨と共に食堂から消えた翔鶴は案の定、泊地正面海域にて演習という名目で時雨に雷撃カットインを連続で受けてボコボコにされていた。

以後、戦艦組と空母組は翔鶴の経験を元に腕相撲をしようなどと言い出さなくなったという。

 

 

 

 

‐食堂にて‐

 

倭「で、俺が何故朝飯抜きでお前等の料理作らなきゃならないんだ(怒)」

 

妙高「貴方が作る食事が美味しいのがダメなんでしょうね。」ウフフ

 

倭「妙高…俺をいじめてるわけじゃあるまいな?」

 

妙高「そんな事をしたら私も翔鶴さんの二の舞ですから出来ませんよ。あ、私は鯖の塩焼き定食でお願いします。」クスクス

 

足柄・那智・羽黒「「「私達もそれでお願いします。」」」

 

倭「分かったよ……ったく……鳳翔さん、鯖はまだあったよな?」ヤレヤレ

 

鳳翔「ええ。まだ塩焼き用のがありますよ。もう照り焼きの分はありませんので仕込みをお願いしますね。」ウフフ

 

倭(はぁ……どうにもこの人に乗せられた気がするが………まぁ今楽しめる内に楽しんでも損は無いよな?というか後で翔鶴の見舞いでも行くか……)

 

この後お詫びにとボロ雑巾のようになって入渠していた翔鶴の所へ遅めの朝食を持って行ったが翔鶴の口から何があったのか聞かされた彼はただただ苦笑いを浮かべるしかなかった。

 




やはり翔鶴は薄幸だったよ・・・・・・そして時雨の嫉妬モード突入・・・・・・

初めてこういった日常的なストーリーを書くので駄文確定でしょうが本編以外はこのように台本形式で進めていきます。

異世界からきた戦艦も『お艦』には頭が上がらないようです。倭が鳳翔に頭が上がらない理由はそのうち短編にして投稿しますのでお待ちください。

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