取り敢えず、僕達は教室から出て、辺りを見回すと、チャラチャラした男性。俗に言うチャラ男と目があい話し掛けられた。
「やぁ、どっもす。キミ達も目を覚ましたら、この学園にいたんすか?」
「えっと、そうなるけど・・・キミは?」
「あぁ、俺っすか? 天海蘭太郎っす」
「えっと、私は超高校級のピアニスト。赤松楓です」
「僕の名は苗木誠。あまり自慢もできないし、たいした才能ではないけど、超高校級の幸運だよ。一応、こんなゴミ屑のような才能だけど、キミの先輩にあたるのかな?」
「え? そうっすか」と少し驚いた表情であった。苗木は天海にたいして「ねぇ、聞いておきたいんだけどキミの才能は何かな?」
「あぁ・・・ちょっと言いづらいすね」
「へぇ・・・言いづらいって、例えば・・・超高校級の殺人鬼や暗殺者だから、いいづらいのかな?」
苗木君、にぃっと不気味な笑みで言うと、赤松は驚いた表情で「えぇ、そうなの!?」っと驚き、天海から少し離れた。
「あぁ・・・そんなんではないんす。てっか、赤松さん。俺から離れないで下さいよ。傷つきますよ。後、苗木さん。俺の才能はそんな物騒な才能ではなくてですね・・・」
「・・・なくて? まさかと思うけど、超高校級のナンパ師とかそういう女性をあんなことやこんなことをする才能なのかな?」
「え!? ごめん、天海くん。私の半径5m離れてほしいんだけど・・・子供を身籠りたくないし・・・」
「身籠りませんっすよ!! 本気で傷つくっすよ。俺よりも赤松さんの方が、遊びなれているイメージがあるっすよ」
・・・天海自身、赤松の外見で見た感想を口を滑らしてしまい。「あ、しまった・・・」と言う表情であったが、もう遅い。
「はぁ・・・!? 酷い。人を外見で判断するなんて、信じられないんだけど、どういう神経しているのよ!」
「それ、そのまま赤松さんにお返しします。ハッキリ言ってブーメランっす。俺自身も言いますけど、童貞っすよ」
「え」と苗木と赤松は驚いた表情になり、天海も「変な意味で傷つくっすよ」と言ったのであった。
「取り敢えず、念の為に言っておきますけど、俺自身の才能はヤリ○ンやナンパ師や○V男優みたいなアウトな才能ではなく」
「僕達がこの学園にどうやって連れてこられた記憶と一緒に自身の才能とかが思い出せないんだよね」
「・・・あ、そうっす(新手の後輩に対する嫌がらっせすかね?)。なんっつか俺だけはぶられているようで、嫌なんっすよ。まぁ、こういう状況下ですけど、決して怪しい者ではないことは断言するっす」
「こういう状況下? ってどういうこと?」
「・・・あぁ、そうっすね。他の何人かに聞いてみたんすけど、みんな何時どうやってこの学園に連れてこられたのか覚えていないって言うんで、下手すれば記憶喪失みたいっすね」
「待ってよ。流石に記憶喪失は大袈裟だよ。多分、多分だけど・・・記憶が混乱しているだけで、すぐに・・・」
「ねぇ、赤松さん。何でさぁ、楽観的なのかな?」
「え? 楽観的って?」と赤松は答えると、苗木が「はぁ・・・キミって超高校級なのに、状況が整理できなさすぎるよね」と答え、そのまま続けてくれた。
「ねぇ、天海くんの話しからすると、僕も含めてここにいる全員が、何時どうやってこの学園に連れて来られたってことを覚えていないんだよ。それを記憶が混乱しているだけで片付けるってポジティブすぎないかな?」
「え、そうかなぁ・・・だけど、本当に混乱しているってことも」
「だから、それが楽観的って言っているんだよ」
苗木くんは、少し怒った表情で、そのまま続けてくれた。
「ねぇ、考えてみてよ。一人や二人ならまだしも、僕や赤松さんや天海くんだけなら、記憶が混乱しているって片付けられるけど、それがここにいる全員だよ? ねぇ、普通に考えてみたら異常だとは思わないのかい?」
「そ、そうだけどさぁ・・・流石に大袈裟じゃあ・・・」
「まぁ、赤松さんみたいにポジティブに考えるのもいいかも知れないすっけど、俺も苗木さんの意見には同意すね。下手すれば、何かの犯罪に巻き込まれたか、集団催眠や洗脳といった可能性もね・・・」
「天海くん、怖い事言わないでよ! とりあえずさぁ・・・他の人にも聞いてみて、誰か覚えているかも知れないしさぁ・・・」
「ふぅ・・・ん。まぁ、その可能性も捨てられないね(赤松さんはポジティブが取りえか・・・まぁ、こんな状況下じゃあ、ポジティブは無神経と同じだけどね・・・)」
些細な切っ掛けや発言一つで相手を怒らせる可能性だって高いのだ。特にこういう監禁状態では、幾ら悪気が無くても、最悪の事態とて起こりえるのだ。そう考えると、苦笑いしてしまっていた。
そんなことを苗木が考えているとは知らず、赤松は次に話しかけたのは、ガタイがよく、ムキムキなのにも関わらず、虫かごを持っている人であった。しかも、何故か裸足である。
赤松さんは少し怯えながら「あの・・・ちょっと、いいですか?」と聞くと、「・・・え、ありがとう!」と発言違いの言葉で返されたのであった。
「あはは・・・いきなりどうしてお礼なんて言うのさぁ? 僕達がお礼をされることは一切していないのにさぁ?」
「ご、ごめん・・・ゴン太は見た目が怖いからさぁ、あんまり話し掛けて貰えなかったんだ。だから、紳士的にお礼を言ったんだ」
「ふぅん、そうなんだ。大した才能がない僕が言うのもなんだけど、紳士なら、先に自己紹介をするべきじゃないのかな?」
「あ、そうだね。僕の名前は獄腹ゴン太。超高校級の昆虫博士なんだ」
彼、ゴン太に自己紹介されたので、僕達二人も自己紹介を終えると、「昆虫博士なんだ・・・」と赤松さんは言った。
「君は昆虫が好きなの?」
「えっと・・・(正直に苦手って言うべきかな)」
「・・・まさか、昆虫が嫌いなのかい?」
「えっと、それは・・・」
「どうして! 昆虫が嫌いなんだね!!」と鬼の形相で、赤松さんを睨みつけていた。その迫力には、僕も驚いてしまった。
こんな所で、しかも殺し合いを強要されてもいないのに死人が出ても困るので、「赤松さん。獄腹くんに嘘でもいいから、昆虫が好きっていいなよ」と僕は囁いておく。
「えっと・・・嫌いじゃないよ。むしろ好きだよ」
「・・・そっか、昆虫好きには悪い人はいないからね」
「はぁ・・・もし、昆虫が嫌いなんて言ったら、確実に死人が出ていたね」
「うん、だけど・・・昆虫が嫌いってハッキリと言った人がいたから、つい手が出てしまったんだよ」
獄腹くんのアウト発言を聞いて、よく言えたものだと内心思いつつ、その場を去る事にした。
私達がいるのは玄関ホール付近だろう。すると、男女が喧嘩をしているのであった。流石に、見て見ぬ振りなんて出来ないので、止めに入ることにした。
「ちょっと、止めなよ。二人とも・・・」
「ちょっとアンジーを止めないで欲しいな。神様のことを信じさせようとしているのに・・・」
「はぁ・・・夜長さんさぁ、神様なんているわけないでしょ。もし、神様がいるなら、この状況下を打開してくれるよね?」
「それは凪斗が神さまを信じていないからだよ。神さまを信じれば、この状況を何とかしてくれるから」
「・・・笑わせないでよ。それはキミの設定の話しでしょ? そもそも神さまなんてフィクションの存在が何とかしてくれるなんて期待しすぎているよね。いい加減に現実を直視したら・・・」
そう言われた瞬間であった夜長の表情は真っ赤になり、「凪斗なんて、六親等親族まで罰が当たればいいんだよ!!」と大声で叫んでどこかにいったのであった。
流石の赤松も「ちょっと、何で喧嘩していたかしらないけど、言い方が・・・」と言おうとした時に、「君だって、才能がないくせに偉そうに言わないでよ。○○さん。それに、人のこと信じられない癖に・・・」と言って、どこかに消えたようだ。
「ちょっと、私は赤松であって、○○じゃあ・・・」
「止めておきなよ。赤松さん。狛枝クンは基本あんなのだから・・・」
「狛枝くん? ・・・えっと、じゃあ苗木さんは狛枝さんと同じ?」
「うん、僕と同じで平凡で大した才能のない凡人と変わらない超高校級の幸運だよ。そして、ここの生徒ではもないのもね」
「(苗木先輩みたいに、後ろ向きとかじゃなく、やさぐれ感が半端なかったなぁ・・・) そうなんですか。そんな事よりも、あの子を探さないと」
「あの子? あぁ、白髪の長い女子だよね? 多分、こっちだよ」
「え、ちょっと・・・」と言って、苗木さんの行くところに仕方なく付いていくことにする。
着いた場所は私達が居た教室で、彼女は泣いていた? と言うべきなのだろうか? 多分、お祈りをしているのだろう。
「えっと、なんで彼女がいる場所とか分かったの?」
「まぁ、ほら・・・僕の才能は幸運だからね。運よく、彼女を見つけられたんだよ」
「ねぇ、アンジーはお祈りを捧げているんだ。それとも、どちらかがイケニエになってくれるのかな?」
「えっと、そうじゃなくて・・・その、心配だからさぁ?」
「心配? 心配してくれたんだ。大丈夫だよー。凪斗には、神様が罰を与えてくれるから」
「えっと、そうなんだ・・・(電波系なのかな。ちょっと、距離とか取るべきかな? だけど、クラスメイトになる可能性も高いし・・・)」
「ねぇ、その前にさぁ、アンジーさんだっけ? 自己紹介してくれないと、僕達には、君が誰なのか分からないからさぁ・・・」
「ごめん。じゃあ、アンジーはね。夜長アンジーだよー。超高校級の美術部員なのだー」
「えっと、私は赤松楓。超高校級のピアニスト。で、この人は・・・」
「僕は苗木誠。超高校級の幸運。こんなゴミ屑みたいな才能だけど、君の先輩にあたるんだ」
「ふむふむ・・・そうなんだねー」と言って、何か考えているかの様子であった。
ダンロンV3のキャラのアンジーがすごく書きずらいですね。