今回は短いですが、お付き合いいただければ幸いです。
それではどうぞ!
眼を開けると兵隊さんの行列、その真っただ中だった。
「奴ら、いきなり現れたぞ!?」「魔女の魔法だ!!」「やらないか?」「構わん、殺れ」「野郎、ブッコロシャー!!!!」「ま、MA☆TTE!!!!」と、流れるように鬼ごっこに移行した剣崎が足を緩めず叫ぶ。
「なんでこうなるんディス!?」
「何を言っている!! 怪しい奴らめ!! 貴様らも竜の魔女の仲間か!?」
兵隊の内の一人がそう言って、走りながら剣を俺に向けて来る。
「竜の……魔女……?」
俺は足を止め、気になったワードを聞き返そうとするが、しかし、彼らは待ってくれない。足を止めた俺達の周りをあっという間に取り囲みジリジリと距離を詰めて来る。
乱闘騒ぎは避けられないと感じた俺は、マシュにアイコンタクトをし、迎撃することを伝える。
「仕方ない……マシュ!! 迎撃だ!! みねうちで頼む!!」
「盾で、ですかッ!?」
峰が無いと言葉外に言ってくるマシュ。
「ほら、盾の側面とか!! とにかく頼む!!」
そう言葉を返しながら俺は棒きれを拾い、切りかかって来た歩兵の一人の首筋にトンッと一撃を入れ、気絶させる。一斉に襲い掛かる兵隊を、俺の兵隊を気絶させる流れを見て真似だしたマシュと共に二人、三人と次々に気絶させていくが一考に数が減らない。
「っく、きついな。このままじゃジリ貧だ……」
一人一人の強さもそうだが、それが集団としてくることが厄介だった。
早くも行き詰まりを感じつつ、そう漏らす。そして、何とか次の一手を考えようとした、その時――――
「こっちです!! 早く!!」
声が聞こえた。声が聞こえた方向を見れば、前方の生い茂る森、その木々の陰から人が手招きをしている。
罠かもしれない。ふと、そう考えたがこのままでは事態が好転するとは思えない。
だったら……ここは乗ってみるか!!
「マシュッ、あそこまで何とかたどり着くぞ!!」
「はい!!」
「フォウッ!!」
俺とマシュは森に向けて走り出し、強引に兵隊の囲いを突破する。
……そう言えば、今フォウの声が聞こえたような……?
「フォウ!!」
ひょっこりとマシュの盾の内から顔を出すフォウ。
「なっ、先輩!! フォウさんが私のコフィンに侵入していたようです!!」
「そうか、とりあえずしっかりマシュに捕まってろよ、フォウ君!!」
俺はマシュを引っ掴むと俺達を手招きする人物が潜む場所へと滑り込む。
そして――――
「なにィ!? また奴らが消えた!? 妖術か、魔法か……やはり、奴らは竜の魔女の仲間かっ!?」
俺達は息をひそめる。
「取り逃がしたものは仕方ない……目的通り、あの場所へと進路を急ぐぞ!! ここで、時間をロスしたのは痛い!! 騎乗部隊、全速全進!!」
隊長のような者が一声号令すると俺達を探していた兵隊たちは一斉に集まり、行進を始めた。
しばらく息をひそめていると兵隊たちは完全に去ったようだ。
俺達は今青々と生い茂る大樹の上にいる。
「行ったようですね……」
そう呟いた彼女……金髪の少女に俺は問いかける。
「あんたは? なぜ、俺達を?」
この少女、俺達が森に滑り込んだ瞬間、俺達を抱えて大樹に向かって飛んだのだ。成人男性と少女二人抱えて、だ。こんなことが出来るのは、サーヴァントかアンデッドや怪人達くらい……
いや、人間でも出来る人や出来そうな人が多々居たということを忘れてた……ま、まあ、結局は一部だけだろう。
助けられたとはいえ、ここは特異点……俺達の少しのミスが命取りになりかねない。
何度か裏切りに会ったことがある自分としては、気を引き締めていかなければならないだろう。
「あ、そうですね名乗っていませんでした。私は、ルーラーのサーヴァント、ジャンヌ。ジャンヌ・ダルクと申します」
そう言って、丁寧に頭を下げる。
「貴方達はカルデアの方……ですよね?」
「そうだが、なぜそう思った?」
「そうですね、そのことをお話しする前に少し私の話を聞いていただけますか?」
そして、彼女は自身の事を語り始めた。
まず、この国の現状、自分が今いる経緯、そして、もう一人の自分……竜の魔女と呼ばれている自分の事を。
どうやら、事態は相乗異常にややこしい。
今、このオルレアンで起こっていることは、すべてもう一人の彼女――――ジャンヌダルク・オルタと名乗っているらしい――――によって引き起こされたことであり、村から村へ、街から街へと移動し虐殺を繰り返しているらしい。
ジャンヌ本人も、なんとかそれを止めようとしたようだが、逆に返り討ちに会ってしまったようだ。
それに、もう一つ。ジャンヌ・オルタが虐殺を繰り返しているため、それを止めようとしている本人まで指名手配され、攻撃されていると言うのだ。
そこまで俺に話すと、ジャンヌは自分の今の状態を語り出す。
「どういう訳か、今の私はサーヴァントとしての力は新人レベルにまで落ちています。ステータスもダウンし、記憶もあいまいで、ルーラーとして召喚された時に与えられた人理修復に関しての知識しか持っていない状況です。カルデアの事は、その時……召喚時の知識として与えられたのですが、何分私がこのような状況なのであなた方を頼るしかなく……」
彼女はそう言って一旦区切ると、息を吸い、頭を俺達に向かって下げ、続く言葉を紡ぐ。
「……と言う訳でして、もう一人の私……ジャンヌダルク・オルタを止めるために、私にカルデアから来たお二人の力をお貸しいただけないでしょうか!!」
「なるほど……大変だったんだなぁ……」
俺は今彼女の想いに猛烈に感動し、さっきまで彼女を疑っていた自分を恥じる。
彼女は……祖国のために戦い、裏切られ、処刑された。
その上、あやふやな召喚で前も後ろもわからない状態になり……それでも、それでもなお、この少女は祖国のために立ち上がったのだ。
ならば、ここで協力しない訳にはいかない。
そんな話を聞いてマシュも感じるものがあったのか、一度、グッと拳を握った後、ゆっくりと手の平を開き、ジャンヌの手を優しく取り言う。
「先輩、彼女に協力しましょう!!」
「ああ、もちろん!!」
俺はその言葉にうなずきながらそう言って、マシュの手の上からジャンヌの手を握る。
すると、ジャンヌはうつむき下を向いていた顔をパッと挙げ、躊躇いながら握られた手を見た。
「協力して、いただけるのですか……?」
震えながら発された言葉に俺とマシュは無言で頷き返す。
俺とマシュは、特異点となっている原因を取り除き元に戻す。
ジャンヌは、もう一人の自分を止め祖国をもう一度救う。
ここに、未来を、祖国を取り戻すため、3人が集った。
今は、小さな集団だが、いずれ来る
いかがでしたでしょうか?
就職活動が忙しく、全く文章を書いていなかったので違和感があるかもしれませんが、頑張って書いていきたいと思います。
それではまた!!