ラブライブ! ~寡黙な男子高校生とµ’sの日常~   作:孤独なcat

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ファーストライブの前の話です。


ライブ前日に・・・

 

オレたちは神田明神で練習をしていた。

 

体力づくりに関しては高坂も南も最初の時とは見違えるくらいに成長している。園田と高坂が階段ダッシュをしたときはタイムは園田と大差は無くなっていた。南も非常に良い感じになっている。このくらいの体力があればライブも最後まで歌って踊り続けられると思われる。ダンスに関しても振り付けもほぼ完璧に覚えてきている。素人目線ではあるが、オレは動きがずれてないかとか表情が硬くなってないかを中心にダンスを見ている。

 

休憩中、どこかで見たことのある女子高生がこちらを覗いていた。そう、西木野だ。作曲と編曲の礼を言おうと思って近づこうとしたら・・・

 

穂乃果「西木野さーん、真姫ちゃーん!」

 

何故フルネームで呼んだのか全く分からなかったが、西木野は高坂に大声で突然呼ばれたことに驚いていた。

西木野が高坂のもとへ近づいてくる。

 

真姫「ちょっと!大声で呼ばないで!」

穂乃果「なんで?」

真姫「恥ずかしいからよ!」

 

これに関しては西木野に同情する。フルネームでしかも大声で呼ばれたらオレだって恥ずかしい。そこら辺考えろ、高坂。

 

穂乃果「そうだ!この曲、3人で歌ってみたから聴いてみて!」

 

高坂は音楽プレーヤーを取り出す。歌の練習の時に録音したやつを西木野に聞かせるつもりか?

 

真姫「はぁ!?何でよ?」

穂乃果「だって、真姫ちゃんが作ってくれた曲でしょ?」

真姫「っ・・・私じゃないから!///」

 

はいはい、ツンデレツンデレ。ツンデレは面倒ではあるが弄るには面白い。

 

穂乃果「クーックックゥ・・・・」

真姫「?」

穂乃果「ガォーーーー!」

 

なんと突然高坂が西木野に襲いかかった。高坂がそういう趣味だとは思わなかった。あれが高坂の本性なのか・・・?

 

穂乃果「フヒヒヒㇶ・・・・」

 

この不気味な笑い・・・。もはや不審者のレベルを超えた何かである。流石にオレはこの光景を見ていると全く関係ない人のふりをしたくなる。こんな変質者と関係があるって知られたくないし・・・。西木野があまりにも高坂が不気味だったこともあって悲鳴をあげると高坂は西木野の耳にイヤホンを当てた。

 

なんだよ・・・西木野の耳にイヤホンいれるためだけにあんな変質者のようなことやったのか・・・。もっとまともな方法があっただろうが・・・。

 

 

 

西木野に高坂たちが歌ってみた曲を聴かせた後、オレは西木野に礼を言いに行った。

 

達川「西木野。作曲の件は本当に感謝している。・・・ありがとう」

真姫「だからアレは私が作曲したやつじゃ・・・」

達川「でも・・・西島が西木野からCDを預かったってオレに渡してくれたけどな」

真姫「ヴェェ・・・///」

達川「しかも・・・編曲までするとは思わなかったわ。」

真姫「いや・・・編曲は私じゃないですから!その・・・たまたま知り合いに編曲できる人がいただけです!」

達川「そうか・・・まあ、そうだとしてもオレらは編曲のことまで考えてなかったから・・・とにかく、助かったわ。」

真姫「///」

 

西木野は顔を赤くしながら走り去って行った。

 

オレは高坂に問う。

どうしてあんな変質者のようなことをしたのか気になっていた。もしかしてそーいう趣味なのかもしれない。オレは勇気を持って高坂に聞いてみた。

 

達川「高坂・・・あんたってあーいう趣味だったのか?」

穂乃果「え、ええ!?どういう意味ー?」

達川「いや・・・、だって突然野獣に化して西木野に襲いかかってたじゃん・・・。だから高坂ってそういう人なんかなーって思ったんだが・・・。」

穂乃果「いやいやいや違うよ!アレはその・・・とにかく私はそんな趣味じゃなーい!」

ことり「アハハ・・・」

海未「でも、流石にもっと良い方法があったかと思いますが・・・。」

達川「だろ?高坂。襲うのは外ではやるなよ?変質者だと思われるからな。せいぜい身内か友人くらいにしときな。」

 

高坂がギャーギャーピーピー言ってるがオレは無視する。

 

達川「じゃ、オレ先に学校行くから・・・遅れるなよ。特に高坂。」

 

なんで私だけーって騒ぐ高坂を背にオレは登校した。

 

 

 

 

 

 

海未side

 

達川さんが先に登校した後、私たちは神社の中の一室を借りて着替えていました。

普段、朝練の後、達川さんはそのまま登校し、私たちは副会長の好意で神社の中の一室で着替えを済ませ、そのまま登校しています。

 

今日の話題は達川さんのことになりました。

 

ことり「そーいえば最近達川君変わったと思わない?」

穂乃果「たしかに!」

海未「私もそう感じます。」

穂乃果「なんかね・・・最初の時は私たちに協力はしてくれてはいたけど・・・達川君のほうから話しかけるのはほぼなかったような気がするよねー。」

海未「穂乃果の言うことも分からなくはありません。私たちと達川さんとの間に越えられない壁があって、達川さんはそれを強く意識していたようにも感じました。でも、今では少しずつ壁が無くなってきているような気がします。私たちも壁を無くすよう努力はしてきましたし、達川さんも同じだったのではと思います。」

穂乃果「うんうん!アイドル活動でもっと仲良くなってるよね!」

 

転校初日の時に見た達川さんは正直言って人と話すのを怖がっているようにも見えました。しかし今ではアイドルの活動を通して私たちとの仲も深まっています。どうしてここまで達川さんが変わったのかどうしても分かりません。

 

しかし、私はことりが言った言葉によってほぼ納得しました。

 

ことり「達川君はただ単に人付き合いが苦手なだけだったんだと思うよ。だから最初は私たちと仲良くなりたいけども、いざ話すとなると何を話せばいいのか分からなかったんだよ。でも、こうやってµ'sの活動を通して分かってきたんじゃないかなって思うんだー。だからさっきみたいに穂乃果ちゃんに冗談を言ったりできたんだと思うよ。」

穂乃果「なるほど!つまり達川君が私にあーいう趣味だったんだって言ってきたのは達川君なりに面白いこと言おうとしたってことなんだ!」

 

たしかに、ことりの言う通り、達川さんが私たちと仲良くなりたいと思っていなかったら私たちに協力することなんてありえません。でも達川さんは私たちがアイドル活動を始めた当初から私たちのサポートをしてくれました。正直とても心強かったですし、今頃彼がいなかったらどうなっていたか分かりません。

しかし・・・達川さんに関して分かっていることは剣道と茶道ができるということぐらいで分かっていないことがたくさんあります。それに・・・まだ私たちとの間に壁が残っているようにも感じられるのです。その壁を乗り越えられる日は来るのでしょうか・・・。

 

 

 

 

海未side out

 

 

 

 

 

 

登校して早々、高坂、南に屋上に呼ばれた。

そこには体育座りをして下を向いている園田がいた。

 

どうやらまた壁にぶつかったようである。それは・・・園田が人前に出て歌うことを恐れているとのことだ。

 

海未「やっぱり無理です・・・」

穂乃果「ええー!どうしたのー、海未ちゃんならできるよー!」

海未「できます」

ほのこと「「?」」

達川「・・・」

海未「歌もダンスもあれだけ練習してきましたし・・・でも、人前で歌うのを想像すると・・・」

達川「緊張しちゃうってことか・・・」

 

園田は黙って頷く。

何か良い方法は無いかと考えていたら高坂が先に思いついたようだ。

 

穂乃果「そうだ!そーいうときはお客さんを野菜だと思えってお母さんが言ってた」

海未「野菜・・・はっ!私に1人で歌えと!?」

穂乃果「そこ・・・?」

達川「、、、」

 

園田って動揺してる時はアホになるんだな・・・。

しかし高坂の方法はよく聞くやつだな。しかし・・・野菜だと思おうとしても実際は無理だろ。オレは無理だ。客は人間だし。

 

海未「人前じゃなければ歌えるんです!人前じゃなければ・・・!」

 

それじゃライブの意味がねーだろ。

しかしけっこう致命的な問題だ・・・。なんとかしなければ・・・・

 

穂乃果「色々考えるより慣れちゃったほうが早いよ」

達川「まあ、そうだな。で?何するんけ?」

穂乃果「フッフーン、また放課後にね。」

 

珍しく高坂からまともなことが聞けた気がする。高坂の言う通り慣れたほうが早い。でも何をする気なんだ・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、オレたちが向かった場所は・・・

秋葉原である。そこはとにかく人、人、人!とても多くの人が行き来している。

 

海未「ひ、人がたくさん・・・」

穂乃果「当たり前でしょ、そういう場所を選んだんだから。ここでチラシを配ればライブの宣伝にもなるし、大きな声を出せばそのうち慣れてくると思うんだ。」

 

珍しく高坂の言葉に説得力があるように感じる。

 

達川「じゃ・・・オレそこらへんで見てるし・・・チラシ配り頑張ってー」

穂乃果「ええー!何で!?」

達川「いや、そりゃ・・・男が配っても印象良くねえだろ?それに・・・オレみたいな人相悪いやつが配ったらかえって逆効果だ」

穂乃果「なるほど!わかった。じゃあ、特に海未ちゃんを見ててね。」

 

あそこでなるほど!って言われたのはどうも悲しいけどまあいい。オレは園田を監視しよう。

しばらく園田を見てるとあからさまに目が死んできていることに気づいた。これはヤバい。マジで死ぬやつだ。

 

達川「高坂、南。流石に園田にこの場所はキツすぎるわ。場所変えるぞ。」

ことり「私もそのほうがいいと思うなー」

穂乃果「うーん・・・じゃあ!」

 

と言って学校の正門で配ることにした。

 

穂乃果「ここなら大丈夫でしょ?」

海未「まあ・・・ここなら・・・」

穂乃果「よし!始めるよ」

 

オレはさっきみたいに園田を監視することにした。高坂と南は良い感じでチラシが減っているが、園田は・・・全然減ってない。

かわいそうに思えてきたので声かけてあげることにした。

 

達川「園田・・・大丈夫か?」

海未「うう・・・」

達川「それ配り終えるまで帰っちゃいけんぞ。」ニヤッ

海未「ええっ!?無理です!」

達川「ふーん・・・でも園田はオレらに『やるからには本気でやります!』って言ったよな・・・?流石に言った本人がこれじゃ示しがつかねいよなぁ・・・?」ニヤニヤ

海未「ッ!・・・・わかりました、やりましょう!」

 

すると、さっきとは見違えるように園田は積極的にチラシ配りを始めた。

これで何とか解決したかな・・・?

 

??「あ、あの・・・」

 

と思ってたら後ろから声をかけられた。振り返ると・・・小泉さんだった。

 

達川「おお、小泉さんか。どーしたんだ?」

花陽「あ、はい・・・あの、ら、ライブ・・・見に行きます」

達川「おお、そうか。ありがとう。」

 

弱弱しい声であったが非常に嬉しかった。

 

 

 

 

 

チラシ配りが終わったあと、高坂家にお邪魔していた。

ついに衣装が完成したというのだ。そのお披露目会みたいなのをやることになった。

 

南が来る前にオレたち3人はA-RISEの動画を見ていた。なんだかんだ言って明日がライブなのでA-RISEの動きを参考にしようということである。しかしA-RISEのダンスはキレがあってブレがない。そこらへんはさすがA-RISEといったところだ。西島がそこのファンになるだけある。動画を見ていたらなんとµ’sのランキングが上がっていた。おそらくチラシをもらってくれた人が投票してくれたのだろう。µ’sにもファンがいるってことなのだ。それが分かっただけでも十分である。

 

 

ちなみに・・・今日のおやつは・・・団子か。流石に飽きてきた。まあ・・・うまいから良いけどさ・・・。

 

しばらくすると南が来た。

 

ことり「お待たせー♪」

穂乃果「あっ、ことりちゃん!もしかしてそれ、衣装?」

ことり「うん!さっきお店で竿後に仕上げしてもらって・・・」

 

そう言いながら南は紙袋から衣装を取り出した。

素人目線ではあるが、非常に素晴らしかった。さすがあのアイドルオタクが認めただけはあると思った。高坂はキャーキャー騒いで喜んでいるが、園田は・・・なんか様子が変だぞ。

 

海未「ことり・・・そのスカート丈は・・・?」

ことり「あっ・・・」

達川「なるほど・・・」

 

そういえば園田が南にすっごく怖い形相で南を脅してたな・・・。スカートの丈は絶対膝下ではないと穿かないって・・・。

 

穂乃果「だってしょうがないよ。アイドルだもん。」

海未「アイドルだからと言ってスカートは短くという決まりはないはずです!」

達川「とはいえ・・・もう衣装はできてるから今から直すわけのは無理だろ・・・。」

海未「ならば私は1人だけ制服で歌います!そもそも3人が悪いんです!私に黙って結託するなんて!」

達川「・・・」

 

まあ、そこらへんは何も言い返せない。なんせ事実だから。

 

穂乃果「だって・・・絶対成功させたいんだもん」

3人「「「・・・」」」

穂乃果「歌を作ってステップを覚えて衣装もそろえて・・・ここまでずっと頑張ってきたんだもん。ここまで4人でやって良かったって、頑張ってきて良かったって、そう思いたいもん!」

 

これは高坂の本心だな。勿論高坂のみならず、南だってオレだって、そして園田だってそう思ってるはずである。彼女たちが明日のライブのために一生懸命に練習を重ねてきたのは分かっている。基本的にオレは頑張っているやつは好きだ。だからオレだって彼女たちに協力してるんだ。

 

高坂は何を思ったのか、突然窓を開けた

 

穂乃果「思いたいのぉぉーーーーーー!!!」

 

突然外に向かって叫びだした。

高坂、それくらいに思いは強いってのは分かった。でも・・・今何時かな?明らかに夜なんだし近所迷惑になることくらい考えような?

 

海未「何をしているのですか!?」

達川「高坂、あんたはバカか?・・・バカだったな。」

 

高坂はオレにギャーギャー言ってるようだが敢えて無視する。

 

ことり「それは私も同じだよ。」

海未「えっ・・・」

ことり「私も4人で成功させたい!」

海未「ことり・・・」

 

園田はオレのほうを見てくる。南も高坂もオレを見ている。・・・オレも言う流れなのか。

 

達川「まあ・・・オレはµ’sのサポート役だ。基本的にオレは3人の意見を尊重してそれが実現するよう手伝うだけだ。・・・3人で決めてくれ。」

 

3人は悲しそうな表情でオレを見る。

 

オレはあくまでサポート役だ。多少意見言うことはあっても基本的に彼女らの意見に従ってそれが実現するよう手伝うだけだ。

 

 

 

 

 

と、思っていたのだがあくまでサポート役、されどサポート役だ。ここはきっちり言うべきだなって思ったので再び口を開く。

 

達川「でも、オレは3人がライブをして成功することを願ってここまでサポートしてきた。だから・・・3人で明日同じ衣装できっちりライブをやってもらわないとオレがここまでサポートしてきた意味がなくなってしまうだろ?」

 

高坂と南の表情は明るくなった。

 

海未「いつもいつも・・・ずるいです・・・。わかりました。」

穂乃果「海未ちゃん・・・だぁーーーい好き!!!」

 

高坂は園田に抱き付く。これを見て南は笑い、オレは照れくさくなってフードをさらに深く被り表情を隠した。

 

 

 

 

 

その後、オレたちは神社へ行ってライブが成功するよう祈った。

 

 

 

 

 

 

 




次こそファーストライブの話になります。


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