ラブライブ! ~寡黙な男子高校生とµ’sの日常~   作:孤独なcat

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にこにー編終わります。
いやー、8月中に書き終わってよかった…。


宇宙No.1アイドル"にこ"

にこ「大変申し訳ありません。私、矢澤にこは嘘をついておりました」

 

にこは頭を下げて謝罪した。

 

絵里「にこ、ちゃんと顔を上げて説明しなさい。」

 

にこは顔を上げるが、西島以外みんな怒った顔をしている。

 

にこ「い、いやだな…みんな怖い顔しちゃって…。アイドルは笑顔が大切でしょ?さあ、みんなでご一緒に!にっこにっこにー「にこっち」ウッ…」

 

にこの定番のアレを遮ったのは希だった。

 

希「ふざけてもええんかな?」

 

希はタロットカードをチラッと見せる。そのカードには死神が描かれていた。意味としては死の予兆、終焉、消滅、全滅・・・とにかく死を連想させるものばかり。

 

昌信「にこ…真面目に話せ。」

にこ「…はい。」

昌信「とりあえず…練習休んだ理由は親の出張ってのは分かってるが、バックダンサーってどういうことだ?。」

海未「そうですよ。なぜ私たちがバックダンサーという事になっているのですか?」

絵里「そうね。問題はそれよ」

にこ「うっ、そ…それは」

『それは?!』

 

全員が問う。しかし、よほど言いたくないのかにこは俯いてしまう。

 

にこ「にっこにっこ「にこ、吐け。」ウッ…」

 

例のアレをやろうとしたのでオレは制止した

 

海未「さあ、ちゃんと話してください。」

 

にこは言葉を詰まらせた。でもやっと話し始めた。

 

にこ「…元からよ」

花陽「元から?」

にこ「そう。家では元からそういう事になっているのよ。別に…私の家で私が何を言おうが勝手でしょ?」

昌信「おいッ…」

陽翔「達川、落ち着け。」

 

オレもよほど興奮していたせいか西島に宥められる。

 

にこ「お願い…今日は帰って。」

穂乃果「にこちゃん…」

にこ「・・・」

 

にこは黙ったままだ

 

昌信「分かった。いったん引き上げるとしよう。」

絵里「そうね。」

穂乃果「昌信君…」

昌信「にこ…邪魔したな。」

にこ「…うん」

 

オレたちは帰り支度をしてにこの家を後にした。

 

 

 

 

 

西島を除いて

 

 

 

 

 

 

 

 

陽翔side

 

みんながにこにーの家から出た後、オレだけ少し残った。

 

にこ「陽翔…」

陽翔「まあ…いつかこうなるとは思っていた。」

にこ「陽翔が…みんなに言ったの?」

陽翔「いや、一言も言ってないぜ。」

にこ「そう…。」

陽翔「にこにー。悪いことは言わねえ。でもな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近々ここあちゃんとこころちゃん、虎太郎くんには真実を話さなければいけない時が来るぜ

 

 

 

 

 

それに、そのほうがにこにーも思う存分アイ活ができると思うぜ。」

 

にこ「…」

陽翔「そんじゃ、またなー。」

 

 

 

陽翔side out

 

 

 

~*~

 

 

 

にこの家を出た時、空は夕焼けに染まっていた。オレたちはにこの妹のこころと会ったところまで歩ってきた。

 

凛「はぁ…」

 

なんともいえないため息をつく。

 

真姫「困ったものね…」

ことり「でも元からってどういう事なんだろう?」

 

ことりの疑問にみんな考える。

 

穂乃果「にこちゃんの家では、私たちは元からバックダンサー?」

 

穂乃果がそんな事を口にする。

しかし、にこのことに関しては希がよく知っているだろう。なんせ1年の時からの付き合いらしいし。あと、西島にも聞いてみるとしよう。にこの家に行く前からどうも様子がおかしいから何か隠しているといえよう。

 

昌信「希、西島。何か心当たりあるだろ?」

陽翔「・・・」

希[陽翔君、何か知ってるん?」

陽翔「…まあな。」

昌信「あくまでオレの推測ではあるが、にこが1年の時にスクールアイドルをやっていたことと大きく関係していると考えられるが…どうだ?」

 

オレの推測に希は首を縦に振る

 

希「そうやね。多分、元からスーパーアイドルだったって事やろな」

海未「それってどういう事なのですか?」

 

希の言葉に海未は疑問を投げかける。

 

希「昌信君の言った通り、うちが穂乃果ちゃん達に、にこっちが1年の時にスクールアイドルをやっていた話は前にしたやろ?」

海未「はい…聞いておりますが…」

希「きっとその時に妹達に言ったんやろか?“アイドル”になったって…」

昌信「なるほど。それでダメになった時、ダメになったと言い出せなかった…。そういう事か…?」

希「そうや。だからにこっちの家では、1年の頃からスーパーアイドルのまま…なのかもしれんな…」

 

希が話を終えると海未はなるほどといった表情を見せる。

 

海未「確かに、ありそうな話ですね」

昌信「そういう話になるなら、今、妹たちにとって、にこは1年の時のスクールアイドルをそのまま存続させていて、μ'sはそんなにこの元に弟子入りした存在、っていう認識になるな。」

海未「そういう事になりますね」

真姫「もう…にこちゃんどんだけプライド高いのよ…」

凛「真姫ちゃんと同じだね!」

真姫「茶化さないの!」

 

凛と真姫はまた以前のやりとりをする。すると今度は花陽が口を開く。

 

花陽「でも、プライドが高いだけなのかな?」

昌信「…?」

陽翔「花陽ちゃんの言う通り、プライドが高いってだけじゃなかったんだよ。」

『え?』

 

西島の言葉にみんなが反応する。

 

昌信「ふむ…」

西島「実は、にこにーがまだμ’sに入っていなかった時ににこにーの家にお邪魔したことがあるんだ。」

『ええっ!?』

海未「それって…陽翔もサポート役になってないときですよね?」

陽翔「そう。達川が音ノ木坂(ここ)に入って間もない時ににこにーと知り合ったけど、それ以降アイドル関連のイベントとかよく一緒に行ってたんだ。それでにこにーがちょうどμ’sに入った時くらいに、夜ご飯をご馳走してくれるっていうからお邪魔したのさ。それでその時に知ったんだよ。にこにーが家の中ではスーパーアイドルだったことを。」

 

西島はさらに続ける。

 

陽翔「もちろんオレはこんなことして何になるんだ?って言った。

 

でもにこにーは

 

 

 

 

 

『もちろん分かってる。こんなことしても何の得にもならないことくらい…。でもここで終わらせたくないのよ。私の夢を』

 

 

 

って言ったんだよ。それほどアイドルが大好きだったと思う。」

 

花陽「陽翔君の言う通り、アイドルにすごい憧れてたんじゃないかな?本当にアイドルでいたかったんだよ。私も、ずっと憧れていたから…分かるんだ」

 

西島に続いてそう話した花陽は、どこか達観したような感じだった。

 

絵里「私…1年の時、見た事ある」

 

そう口を開いたのは絵里だった。絵里が言うには、にこがアイドル活動を始めるにあたり校門付近で必死にメンバー募集をし、そして観客が少ないながらも必死にライブをやった。しかしほかのメンバーはにこに付いていけなくなり退部届を出した。それでもにこ1人になっても活動を続けた。

 

絵里「その頃、私は生徒会だったし…アイドルなんて興味なかったから…」

 

そういった絵里は口を噤んで黙り込んでしまう。空もだんだん暗くなり、町の街灯も付く頃になっていた。

 

絵里「あの時…私が話しかけていれば…」

昌信「まあ、過去のことはどうしようもない。気にすんな。」

絵里「ええ…」

昌信「しかし、どうするか…。」

陽翔「にこにーが妹たちにそんな隠し事することなく活動できるようにしたいけどッ…!」

 

全員が悩み、沈黙が続く。

 

穂乃果「そうだ!」

 

しかしこの沈黙を穂乃果が破った。

 

 

 

~*~

 

 

 

翌日

 

いつもの調子で帰ろうとするにこを、オレと穂乃果は校門で待っていた。

 

穂乃果「に〜こちゃん!」

 

にこは穂乃果に呼ばれて、にこはため息をつく。

 

にこ「…練習には出られないって・・・いッ!?」

 

こころ「お姉様!」

ここあ「お姉ちゃん!」

虎太郎「学校…」

 

穂乃果の背後からこころとここあと虎太郎が出てくる。

 

にこ「なんでいるのよ!?」

昌信「連れてきたんだ。オレと穂乃果でな。」

にこ「じゃあ、なんで連れて来てんのよ!?」

穂乃果「だって、こころちゃんたち見たいって言うから。にこちゃんのステージ!」

にこ「ス、ステージ…?」

昌信「とりあえず屋上に行くぞ。絵里と希と西島が待ってるから。」

にこ「…はぁ?」

昌信「いーから、行くぞ。」

にこ「ちょ…ちょっと!?」

 

オレはにこの腕を掴み連行する。にこの抵抗も虚しく、屋上に連れて行かれた。そして穂乃果はこころ達を連れて屋上に向かった。

 

 

 

~*~

 

 

 

昌信に連行されたにこは衣装を渡され、着替えが終わった後には華やかなで可愛らしい衣装を着たにこが佇んでいた。

 

にこ「これって・・・」

絵里「にこにピッタリの衣装を、私と希と陽翔で考えてみたの」

希「やっぱりにこっちには、可愛い衣装がよく似合う。」

にこ「希」

絵里「今、扉の向こうには、あなた1人だけのステージを心待ちにしている、最高のファンがいるわ!」

にこ「絵里…」

陽翔「ほらほら!早く行こうぜ!みんな待ってるからよ!

 

 

 

 

 

宇宙ナンバーワンアイドル!矢澤にこ!」

にこ「陽翔…」

 

そう言って西島は観客席へ急いだ。

 

 

 

~*~

 

 

 

観客側にはこころたち3人とオレ、西島がいた。

 

昌信「西島。言いたいことは言えたか?」

陽翔「ああ☆」

昌信「フッ…そうか。」

 

そして、ついににこがステージに出てきた。μ’sのメンバー全員と一緒に。

 

にこ「こころ、ここあ、虎太郎。歌う前に話があるの」

 

「「「えっ?」」」

 

にこ「実はね…スーパーアイドルにこは、今日でおしまいなの」

 

「「「えぇ!?」」」

 

にこの言葉に3人は驚きの声を上げる。

 

こころ「アイドル、辞めちゃうの?」

 

思わずこころも敬語から普通の言葉に戻ってしまう。

 

にこ「ううん、辞めないよ。これからは、ここにいるμ'sのメンバーとアイドルをやっていくの」

 

ここあ「でもみなさんは、アイドルを目指している…」

虎太郎「バックダンサー…」

にこ「そう思ってた……けど違ったの。これからは、もっと新しい自分に変わっていきたい。この9人でいる時が、一番輝けるの!1人でいる時よりも、ずっと、ずっと…」

 

こころ、ここあ、虎太朗の3人は、黙ってにこの話を聞いている。

 

にこ「今の私の夢は、宇宙No. 1アイドルにこちゃんとして、宇宙No. 1ユニットμ'sと一緒に、より輝いていくこと!……それが、一番大切な夢、私のやりたいことなの!」

 

このタイミングで、他のメンバーは場外に捌ける。

 

にこ「だから、これは私が一人で歌う、最後の曲…」

 

その時、μ’s1人1人のイメージカラーの風船が晴天の空へ登っていく。

 

にこ「にっこにっこ……にー!!!」

 

それは、アイドル顔負けの笑顔だった。

 

昌信「良かったな。」

陽翔「ああ…。にこにーには色々悲しい過去があったけど、これで心を開いたと思うし、思う存分にこにーはアイドル活動できるな。」

昌信「だな。それにメンバーの結束も深まっただろうし。」

陽翔「おう☆」

 

 

 

にこ「(ありがとう…!みんな!)」

 

にこはライブ中そう感じた。




次は凛ちゃん編ですねー。
2年組の修学旅行もあるので色々濃いストーリーになる・・・・・かも。



まあ期待はしないでください


では

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