ラブライブ! ~寡黙な男子高校生とµ’sの日常~   作:孤独なcat

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アニメ本編に基づいたストーリーです。
お楽しみください。


スクールアイドル結成

ある日の朝休み。

ここ数日西島と遊んでいたこともあって高坂さんたちと話す機会がなかった。西島、高坂さんたちとは友達という関係になったが、高坂さんたちは別だ。何故かって?そりゃ、異性だからだ。オレから異性に話しかけるのも少し勇気がいるわけだ。登校初日のときは高坂さんから話しかけてくれたことと西島がいてくれたことによって会話が弾んだのであって、オレだけでは決して無理だったといえる。

 

そういや西島がまだ来てない・・・。遅刻か?西島がいないと話し相手がいないのだが・・・

 

そう思ってると、園田さんと南さんが教室に入ってきた。よく見ると朝から表情が暗い。まあ誰だって朝は苦手だ。学校のために朝早くに起きてここまで歩かされるのも嫌だからね・・・。しかし理由は違っていたようである。

 

海未「はあ・・・、昨日いろいろ案を考えてみましたが結局何も思いつきませんでした。」

ことり「私も考えてみたけど・・・。ごめんね。」

海未「謝る必要は全くないですよ。もう1回考えてみましょう。」

ことり「廃校を阻止する良い案があればなぁ・・・。」

 

なるほど。廃校を阻止する案を考えていたんだな。自分たちの母校が廃校になるのは誰にとっても悲しいものである。学生が廃校を阻止しようと頑張るのは非常に素晴らしいことだ。しかしこれは決して学生が解決できる問題ではない。多少大袈裟かもしれないが、廃校云々の問題は学校だけの問題ではなくその学校が立地している地方自治体や国が複雑に絡んでいると思われるからだ。それに学生が関わることは無理だし決して許されない。だから学生が悩む必要は無いと思うのだが・・・。

 

そう思ってると、南さんが話しかけてきた。

 

ことり「ねえねえ達川君♪、いきなりだけど廃校を阻止するにはどうしたらいいと思う?」

 

本当にいきなりだな・・・。

 

達川「うーむ・・・学生がこの問題を解決できるほど簡単な問題ではないと思う。もしそうだったらとっくに解決してるだろう。」

ことり「でも私たちでできることをやりたいの!」

 

あの脳が溶けるような声(略して脳トロボイス)で言われるとな・・・(困)

 

海未「ことり。達川さんの言うことも正しいですよ。その点はしっかりと覚えておくべきです。」

ことり「うーん・・・。そうだね・・・。」

 

園田さん、フォローありがとうm(__)m

 

ことり「そうだ!達川君、私たちのこと『さん』付けしなくてもいいよ♪友達なんだし♪」

海未「そうですね。よそよそしい感じがしますので呼び捨てで構いませんよ。」

達川「おお・・・、そうだな。すまんな、園田、南。」

 

そうか、なるほど。女子だからって「さん」を付ける必要は無いのか。そのほうが親近感があって印象が良いということなんだな。ならば今後は呼び捨てで呼ばせてもらおう。園田、南、高坂・・・。うむうむ。良い感じだ。

 

そう思ってると高坂と西島が慌ただしく教室に入ってきた。おそらく寝坊だな。

 

 

昼休み

西島が先生からの呼び出しで教室を離れているときに高坂が園田と南にある雑誌を見せていた。少し会話を聞いてみよう。

 

穂乃果「見て見て見てー!」

海未「何ですか?その雑誌は?」

穂乃果「アイドルだよアイドル!スクールアイドル!」

 

なに?スクールアイドル?あのA-RISEと同じ類のやつか。

 

穂乃果「スクールアイドルって最近どんどん増えているらしくて、人気の娘がいる学校は入学希望者も増えてるんだって!それで私考えたんだー!・・・って、あれ?」

 

なるほど。この音ノ木坂でスクールアイドルを結成して人気になって入学希望者を増やそうっていうことだな。まあ、その方法も悪くはないと思うが・・・。あれ?園田はどこに行った?・・・なるほど、逃げたな。すると高坂は園田を追いかけた

 

穂乃果「ちょっと海未ちゃん!まだ話終わってないよ!」

海未「いや・・・私はちょっと用事を思い出したので・・・。」

穂乃果「良い方法思いついたんだから聞いてよー!」

海未「はぁ・・・、私たちでスクールアイドルを結成しようって言い出すつもりでしょ?」

穂乃果「うぉぉぉ!?海未ちゃんエスパー!?」

海未「誰だって想像つきます!」

 

そりゃ、そうだ。流れで何を言い出すかくらい想像できるわ。気づかないほうがおかしい。

 

穂乃果「なら話が早い!今から先生のところへ行ってアイドル部を・・・」

海未「お断りします。」

穂乃果「なんで!?だって、こんなにキラキラしてるんだよ!普通じゃこんな衣装着れないよ!」

海未「そんなことで本当に生徒が集まると思いますか?!」

穂乃果「ううっ、そ、それは人気が出ればだけど・・・」

海未「その雑誌に出てるスクールアイドルはプロと同じくらい努力し、真剣にやってきた人たちです。穂乃果みたいに好奇心だけで始めてもうまくいくはずがないでしょう!」

 

園田の言うとおりだ。物事はそう簡単にうまくいかない。どんなことにしろ裏で計り知れない努力を重ねている。好奇心だけで始めたら絶対にうまくいくはずがないし時間の無駄だ。アイドルのことはよくわからんが、とても大変であることは事実だ。高坂よ、もう少し現実的に考えたうえで案をみんなに発表すべきだ。ただ単に好奇心だけでみんなを巻き込もうとすると大きな迷惑がかかるぞ。それに・・・失敗して心に深く傷がついて落ち込む彼女たちを見たくない。大切な友達だから・・・。

 

海未「はっきり言います、アイドルは無しです!」

 

まあ、そうなるわ・・・。高坂、どんまい。

 

 

 

 

 

 

放課後、オレと西島は屋上にいた。

 

達川「なあ、西島・・・。唐突で申し訳ないが、スクールアイドルって大変なのか?」

 

一度スクールアイドルについて確かめておきたかった。昼休みの一件以来どうも引っ掛かる部分がある。あの時、変なことを色々と考えたが実際はどうなのかその手に詳しい人に聞きたかったのである。

 

西島「んん?もしやスクールアイドルに興味持った?☆」

達川「いや、そういうわけではないんだが・・・ただ気になっただけ。」

西島「まあ、そうだな・・・。アイドルを始めるってなるとダンスの振付を1から考えたうえでのダンスの練習、歌の練習が欠かせないな。あっ、作曲、作詞も自分たちでやらなきゃいけないね。あと編曲してくれる人も探さないとだめだな。衣装も自分たちで作らなきゃいけない。要するに何から何まで自分たちで1から決めて始めないといけないんだよ。そういった大変な過程をこなしたとしても結果的に人気が出ないと意味がない。だから努力が実るとは限らない世界なんだよな。まあ実らないことのほうが多いけどね。アイドルの世界ってものすごーく厳しい世界なんだ。」

達川「なるほど・・・。大変なんだな、アイドルって。」

 

さすがアイドルオタクの西島だ。オレの頭の中でモヤモヤしてた部分がすっきりした。

 

 

 

 

 

 

しばらく何も話さずにいると音楽室のほうからピアノの音が聴こえてきた。

 

西島「何だろう?ちょっくら行ってみようぜ☆」

達川「お、おう・・・。」

 

とてもっていうわけではないがピアノのクラシックの曲なら興味はある。勉強してる時にたまに流していたから自然と曲名とか覚えてしまったのだ。聴いた感じだとクラシックの曲であることには違いない。ということで西島について行くことにした。

 

 

 

 

音楽室付近に着いた。

いきなり入ると驚かせてしまうかもしれないのでドアの窓から覗くことにした。フムフム・・・この曲は・・・サティ作曲の「ジムノペディ」だな。あの静けさを思わせる曲はオレも好きだ。今でも時々聴いてる。

 

しばらく隠れてピアノを聴いてたら流石に気づかれてしまった。

??「もう、誰なのよ・・・。隠れてないで入ってきなさいよ。」

西島「ありゃ?ばれたか☆」

 

とりあえず音楽室に入ることにした

そこには赤い髪の吊り目の女子がいた。リボンの色からして・・・1年生だな。

 

 

 

西木野side

 

ドアのほうを見ると男子2人が私のほうを窓から見ていた。気味が悪かったので音楽室に入れさせた。。

いったい誰なの・・・?

 

西木野「で?あなたたちは誰なの?」

??「あのなぁ・・・、一応あんたよりは学年は1つ上だ・・・。言葉遣いを正せ。」

西木野「ヴェェ・・・ご、ごめんなさい。」

??「まあまあ、達川。そう怒らなくても・・・。でも敬語は使うべきかな。」

フードを被った人が眉間にしわをよせて睨みを効かせて言ってきた。正直ものすごく怖くて背筋が凍ったので注意に従うことにした。もう1人のチャラそうな人が落ち着かせてくれたおかげで何とかなったけど・・・。

 

達川「オレは今年転校してきた2年の達川だ。」

西島「2年の西島陽翔だ。宜しくね。」

西木野「1年の西木野真姫です。」

達川「まあ、その・・・なんだ・・・さっきお前が弾いてた曲はサティの『ジムノペディ』だな?」

西木野「ヴェェ!?何で知ってるの?」

達川「いや・・・まあ・・・、オレも勉強してる時にたまに聞くからだ。上から目線で申し訳ないが、なかなか上手だったぞ。」

西木野「!!!・・・ありがとう・・・ございます。」

西島「へぇ・・・達川ピアノ詳しいんだな」

達川「まあな。なあ西木野さん、『ラ・カンパネラ』って弾けるか?」

西木野「ヴェェ!?それは・・・無理です・・・。」

達川「まあ、そうだな。あんな曲弾けるほうがおかしいわ。」

西木野「ううっ・・・」

 

何よこの人!この私をいじめてるの!?もうっ・・・!

でも、あの達川さんって人はピアノにけっこう詳しそうね・・・。名前は覚えておこうかしら。

 

西島「これ以上いると西木野さんに悪いからそろそろ行かねぇか?」

達川「ああ・・・、そうだな。」

 

すると、西島さんはある方向へ目をやった。

あっ!あれは私がひそかに作曲した曲のほうだわ・・・!バレたらマズイ・・・!とにかく隠さないと!

 

西島「どうしたの?西木野さん?」

西木野「べ、別に・・・、何でもないです!・・・は、早く帰ってください!」

西島「はいはい。そんじゃ、お邪魔しましたー」

 

達川さんと西島さんは音楽室から出ていった。

もう、あの人たち一体何なのよ・・・!

 

 

 

西木野side out

 

 

 

 

 

 

達川side

 

全く・・・、あの西木野さんって人は俗にいうツンデレってやつの類に入るな。最初らへんはツンツンしていたくせに褒めたらデレやがって・・・。わけわからんわ!

 

西島「いやぁー、あの娘漫画に出てくるような典型的なツンデレだったなー☆」

達川「全く同感だ。初めて会ったわ、あんな人に。」

西島「でもなー、達川ー。いくら腹立ったからって1年生にアレはないよー☆」

達川「ううっ・・・、今後気を付ける。」

 

西島も同じこと思ってたか。まあ当然だな。誰が見てもあの娘をツンデレだと思うだろう。

しかし1年生の女子相手にちょっとやり過ぎた感はあるから自分にも非はあるけど、先輩に敬語を使わなかったあのツンデレも悪い。ちゃんとした言葉遣いができないなんて・・・。親の顔が見たいわ。

 

西島「あっ、そろそろ時間だ。オレ用事あるし帰るけど達川はどうする?」

達川「オレは・・・学校で勉強してくわ。」

西島「くぅ・・・真面目だな☆ そんじゃ!」

達川「おう。また明日。」

 

こうしてオレは西島と別れた。

 

 

 

 

 

 

 

何の勉強しようかなぁ・・・って考えながら図書館に向かっている途中で南と遭遇した。

 

ことり「あっ!達川君だ!」

達川「お、おう。」

ことり「西島君は?」

 

うむむ・・・、どうやら「オレ=西島と一緒」っていうイメージが定着してるのかな・・・?なんだか嬉しいような悲しいような・・・。いや、でもそういう南だって「南=高坂と園田と一緒」っていうイメージがある。まあ、誰だって1人でいることだってあるよね。逆に常に一緒じゃ気持ち悪いし。

 

達川「西島なら・・・用事があるって言って先ほど別れたところだ。・・・そういう南こそ・・・高坂と園田は?」

ことり「海未ちゃんなら弓道部に行ったよ♪穂乃果ちゃんは・・・分からないや。」

 

園田は弓道部に所属していたのか・・・。そのうえ剣道もできるし、たしか日舞もできたんでっけ?とにかく大和撫子そのものだな。高坂は・・・知らん、授業中いつも寝てるし昼休みのときみたいな突発的な行動もあったし・・・、よく分からないね。

 

と思ってると南が口を開いた。

 

ことり「あの・・・この後時間ある?」

達川「ああ・・・、大丈夫だ。」

ことり「ホント!?ありがとう♪」

 

オレなんかに何の用だろうか・・・?まあ、協力できることなら是非とも協力したいし図書館での勉強は一旦置いておこう。

 

 

 

 

 

 

 

オレと南は教室に着いた。いったい何を話すのだろうか?

 

ことり「達川君、昼休みの時あの話を聞いてたよね?」

 

ああ、あのスクールアイドルのことか。正直言ってあれは無しだと思うけどなぁ・・・。でもあの時思ったことをストレートに言ってはかわいそうだし少し柔らか目に言ったほうがいいかな・・・。

 

達川「ああ、・・・もしかしてスクールアイドルをここで結成しようっていう件のことか?」

ことり「うん。」

達川「まあ、あれは園田の言ってることが正しいかなって思う。現実ではアイドルの世界はオレらが思ってる以上にとても厳しいし、努力が報われることのほうが少ないと思う。ダンスとか曲とか歌とかだって1から決めないといけないし・・・、とにかく自分たちで1から決めないといけないことがたくさんある。生半可な気持ちじゃ絶対に失敗すると思う。」

ことり「うん・・・、やっぱりそうだよね・・・。」

 

あっ、ヤバい、泣きそうな感じがする・・・。言い過ぎたかな・・・。ここで嫌われたらオレの音ノ木坂ライフはこの学校の廃校よりも先に終わってしまう。なんかフォローしないといけない・・・。

 

達川「まあ、今の話はオレのダチの入れ知恵だけどな・・・。でも諦めない気持ちさえあれば・・・可能性はあると思う。なんていうか・・・人間って誰しも未知の世界に踏み込むには相当な覚悟がいる。アイドルだったら尚更だ。でも、未知の世界で降りかかる様々な困難に立ち向かうだけの覚悟があるんだったら・・・やってみる価値はあると思う。」

ことり「そうだよね!難しいかもしれないけどやっぱり諦めないことが大事だよね♪」

 

良かった・・・。機嫌がよくなってくれた。

 

ことり「今から海未ちゃんのところに行こう!」

達川「・・・へ?」

 

いやいやいや、何故今から園田のいるところに行くの?

 

達川「え?なんで?」

ことり「いいからいいから♪」

 

何だか怖いけど従うとしよう。

 

 

 

 

 

 

弓道場に着いた。少し覗いてみた。

 

ことり「ほら、あそこに海未ちゃんがいるよ!」

達川「あ、ああ・・・、あの人が園田?」

 

オレには園田が倒れている姿が映っているが・・・、大丈夫なのか?

 

海未「ああっ・・・!いけません!余計なことを考えては・・・!」

 

奥のほうにある的を見てみると、的に1本も矢が刺さってなかった。なるほど、雑念によって弓を射ることに集中できず思うように当たらないってことか。そりゃ項垂れるわ。まあ、原因はわからないけど。

 

ことり「海未ちゃぁ~~ん!ちょっと来てぇ~。」

 

 

 

 

 

 

 

 

南は園田を連れてどこかへ向かった。

 

海未「穂乃果のせいです。全く練習に身が入りません。」

ことり「てことは、ちょっとアイドルに興味があるってこと?」

海未「えっ!?いえ・・・そんなことは・・・」

 

えっ?何?高坂にあれだけ「アイドルは無しです!」って言ったのにその本人がアイドルに興味持ってるの?うーむ・・・園田さんって案外素直じゃないのかもしれない。

すると園田が話題をオレに逸らしてきた。

 

海未「そ、そういえば!どうして達川さんもいるのですか?」

達川「それは・・・オレもよくわからん。ていうか・・・オレのことはどうでもいい。園田・・・アイドルに興味あるのか?」

 

オレに話題を逸らすなって思いながら話題を無理やり戻した。

 

海未「・・・やっぱり上手く行くとは思えません。」

 

まあ、そうだな。園田は現実的に考えたうえで意見を述べている。その点では園田はとても素晴らしいといえよう。しかし極端なリアリズムは前に進むことを妨げる。オレの経験上どうしても現実的に考えすぎてる人は現状維持するだけでなかなか前に進まない。勿論それが悪いわけではない。でも廃校云々の問題を解決しようってことになると誰も思いつくことがないような画期的なアイデアが必要となる。・・・そう考えると高坂が言ったようなアイドル結成ってのはある意味画期的だ。これを聞いた人はとても驚いただろう。実際オレも驚いていた。

 

そう1人で考えてたら南が口を開いた。

 

ことり「でも、こういうのはいつも穂乃果ちゃんが言い出していたよね?私たちがいつも尻込みしちゃうところを穂乃果ちゃんが引っ張ってくれて。」

海未「そのせいでひどい目に何度も遭ってきたではないですか。穂乃果はいつも強引すぎです。」

 

何だと・・・?過去にも前例があるだと・・・!?新しいことを始めるにはもちろん緻密な計画が必要となる。でもそれと同時に大胆さも必要だったり多少の強引さも必要だったりする。いや、むしろ後者のほうが重要かもしれない。しかし、高坂には計画性は無くとも大胆さ、強引さが備わっているのか・・・?こんな人には初めて会ったかもしれない。そして、高坂の暴走のストッパー役として園田と南がいるわけか。なんてバランスの取れたグループなんだ・・・。

 

ことり「でも海未ちゃん、後悔したことある?」

海未「えっ・・・」

 

なるほど。高坂によって色々と振り回されてはいたけれども後悔はしたことは無いんだな。園田には高坂のようなフロンティア精神に欠けている。だから高坂に引っ張ってもらうことが多かったけどそれは園田にとってすべて有益だったわけだ。

 

 

 

 

気づいたら校舎裏にいた。そこでは誰かの掛け声が聴こえる。

 

ことり「海未ちゃん、達川君、見て」

 

その視線に先には高坂がいた。

 

穂乃果「ほう!・・・ハッ!・・・えいッ!」

 

高坂が1人でダンスの練習をしていた。途中何回かこけていたが、何度も起き上って

それを見ていたら南が口を開いた

 

ことり「ねぇ、海未ちゃん・・・私、やってみようかな。」

 

なるほど、これが南の意見だな。昼休みの時何も言ってなかったからどう思ってるのか分からなかったけど、今ここで明らかになった。南も高坂と一緒にスクールアイドルをやりたいんだな。

 

 

 

 

 

放課後になって南と会ってから高坂の意見に肯定的になっている自分にここでようやく気付いた。

もう一度冷静に考えてみよう。スクールアイドルを始めるっていうのはとても画期的だ。素晴らしい。しかしそれは大変なことである。どのスクールアイドルも人気になるまではそれなりの苦労を重ねてきたはずだ。西島の言っていた通り、スクールアイドルはたくさんのことを1から自分たちで決めないといけないし、何よりもその過程が結果に結びつくとは限らないっていうとても厳しい世界だ。それに・・・せっかくできた友人がもしスクールアイドル計画が失敗して傷ついて悲しんでいる様子を見るのはとても心苦しいし我慢できない。

 

では、スクールアイドルは無しか?っていうと答えはNoだ。何かアクションしなければ何も起きないし確実に廃校になる。何もせずに廃校になるのを待つくらいならたとえ可能性が低くても何かアクションするほうが絶対良いし、上手く事が進めば廃校阻止に繋がるかもしれない。勿論、途中で大きな壁にぶつかることがたくさんあるだろう。でもその時はみんなの力で乗り越えるよう努力すれば良い。友人ってそのために存在するだろ?

 

ならばオレは何をすべきか? 答えはただ1つだ。

 

オレはこけて倒れている高坂のもとへ歩いた。

 

穂乃果「た、達川君!?」

達川「・・・高坂。確認したいことがある。」

穂乃果「えっ・・・?」

達川「高坂はスクールアイドルをやるつもりか?」

穂乃果「うん!もちろんだよ!」

達川「スクールアイドルは厳しい世界だぞ。・・・この先数えきれないくらいの困難が待ち構えている。何回も挫折を味わうかもしれない。それでも・・・やる気はあるのか?」

 

高坂たちに協力する。

 

それがオレの答えだ。勿論、アイドルに関する知識は全くない。しかし何かしらの形で彼女たちに協力したい。しかしその前に確認しなければいけないことである。それは・・・高坂自身の姿勢である。協力するのは本気かどうかを確かめてからだ。

 

穂乃果「私はやるよ!一度やるって決めたら諦めないもん!確かにアイドルって難しいかもしれないけど・・・それでもやる!それに、あの学校が大好きだもん!私のお婆ちゃんもお母さんも音ノ木坂に通っていたんだから!だから入学希望者増やして絶対に廃校になんかさせないよ!」

 

オレは高坂の目を見た。そこからは並々ならぬ思いが感じられる。あの言葉は本心だな。それなら話が早い。

 

達川「・・・わかった。ならば・・・オレも協力したい。」

穂乃果「ほ、ホント!?た、達川君、ありがとう!」

 

後ろから園田さんが近づいてきた。すると、高坂に手を差し伸べた。

 

穂乃果「海未ちゃん・・・」

海未「1人で練習しても意味がありませんよ。やるなら4人でやらないと。」

穂乃果「海未ちゃん・・・」

 

園田はニコッと笑った。とても良い笑顔だ。

 

海未「達川さん、達川さんには私たちのサポートをお願いしたいのですがよろしいでしょうか?」

達川「わ、わかった・・・。オレもできる範囲なら何でもやる。何かあったら相談してくれ」

海未「ありがとうございます。」

ことり「ありがとね、達川君♪」

達川「まあ、その・・・3人ともこれからも・・・宜しく。」

穂乃果「うん!!!」

海未「はい!よろしくお願いします!」

ことり「うん♪ よろしくね♪」

 

こうして彼女たちはスクールアイドルを結成した。

メインは3人でオレは裏で彼女たちを支えるっていう形になった。それでよい。オレとしては彼女たちのために何かできればそれで満足だ。この先何が待ち構えているのか全く分からない。もしかしたらとんでもないことが起こるかもしれない。それでも・・・何故だか分からないが、彼女たち3人でだったらこの先どんなことでも乗り越えられる気がするのだ。それって彼女たちが友人であるが故なのか・・・?そうであるならばオレはこの学校ですごいものを手に入れたんだなって思う。

 

そう感じた達川であった。




今回は真姫ちゃんを登場させました。
達川、西島、真姫ちゃんの絡みをどうするか相当悩みました。

あと、「ジムノペディ」と「ラ・カンパネラ」は実在します。非常に良いピアノ曲です。是非聞いてみてください。

次回もアニメ本編に基づいたストーリーにします。
また、エリチカと希ちゃんも登場します。

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