ラブライブ! ~寡黙な男子高校生とµ’sの日常~ 作:孤独なcat
長い道のりでした。
放課後
いつも通り練習をするが・・・珍しく騒がしい。
というのも・・・
絵里「全然ダメじゃない!よくこれでここまで来れたわね!」
穂乃果「す、すみません」
生徒会長のゲキが飛ぶ。よほど怖かったのか高坂はすぐに謝った。
絵里「基礎が出来てないから無駄がでるのよ。足開いて」
生徒会長が星空に足を開くように指示する。
星空は指示されるままに足を開くと生徒会長は星空の背中を押して上半身を倒す。だが星空はさほど上半身を倒せなかった。体が硬いから。
凛「痛いにゃ〜〜〜!!」
星空の叫びが屋上で響き渡る。
めちゃくちゃ痛そう・・・
絵里「これで?少なくともこの状態でお腹に床が付くくらいにならないと」
柔軟性を重視したトレーニングをするわけか。
絵里「柔軟性を上げることは全てに繋がるわ。まずはこれをみんな出来るようにして。このままだと本番は一か八かの勝負になるわよ!」
すると、高坂、園田、南がやってみたところ、南はすんなりできた。園田、高坂は腹が床に着くほどではないがそれなりにできている。まあ『あの手紙』のアドバイスに従っただけど。しかし1年組が入ってからはそこらへんの練習を疎かにしていたのかもしれない。
次のトレーニングメニューは片足立ちをしながらポーズのまま姿勢を保つ練習だ。これは地味にきつい。これに筋トレを加えるという。こりゃ下手したら一般男子でもきついメニューだな・・・。まあ、所詮あの生徒会長だ。狙いは分かっているけど。
そんな中、小泉が限界に達してしまったのか、バランスを崩して倒れてしまう。
凛「かよちん大丈夫!?」
オレも駆け寄って怪我してないか確認する
達川「どこか怪我してないか?・・・保健室行くか?」
花陽「は、はい・・・大丈夫です」
絵里「もういいわ。今日はここまで」
「「「「「「「えっ?」」」」」」」
全員驚きの表情を隠せない。
にこ「何よそれ!」
真姫「そんな言い方無いんじゃない?!」
矢澤さんと西木野は生徒会長に反発しているが、オレは生徒会長が正しいと思ったので
達川「落ち着け・・・。限界以上の練習やらせるバカはいねえよ。これが今のオレたちの現状ってことを知っておく良い機会だと思え。」
その時、生徒会長はかなり驚いていた。まあ今までオレは生徒会長を擁護するどころか罵倒しかしていなかったから驚くのも無理はないかもしれない。
絵里「そうよ、達川君の言うとおり、冷静に判断しただけよ。今日はお終い。自分達の実力が少しは分かったでしょう。今度のオープンキャンパスは文字通り学校の存続が掛かっているの。出来ないなら早めに言って。時間がもったいないから。」
穂乃果「待ってください!」
生徒会長が去ろうとしたところを高坂に止められて振り向く
「「「「「「「――ありがとうございました! 明日も、よろしくお願いします!!」」」」」」」
生徒会長が逃げるようにして去ったところで矢澤さんと西木野が不満を言う。
にこ「ちょっと!なんであんたは生徒会長の肩を持つわけ!?」
真姫「そうよ!なんとも思わないの!?」
まあさっきのやり取りを彼女らが何とも思わないはずがない。
達川「肩を持つ・・・?とんでもない。オレも生徒会長も冷静に判断しただけで、生徒会長は指導者としては上出来だと思う。それに・・・もしこれで無理だっていうならオレたちは所詮その程度だったっていうことになる。生徒会長にそう思われていいのか?」
真姫「それは・・・いいわけないでしょ!」
にこ「それは絶対嫌よ!」
達川「だったら今は耐えてください。」
にこまき「「・・・」」
絵里side
あの時、達川君が私を庇うともお礼を言われるとも思ってもいなかった。私はµ’sの活動を止めようとしているのに。
自宅に帰って亜里沙の様子を見に部屋に入ると、亜里沙はµ’sの曲を聴いていた。
絵里「片方のイヤホン貸して」
私もµ’sの曲を聴いてみる。すると亜里沙が口を開いた。
亜里沙「私ねμ'sのライブを見てると胸がカァーって熱くなるの。一生懸命でめいいっぱい楽しそうで」
絵里「全然なってないわ」
見ていてダンスも上手でもないのにどうして魅了されるのか全く理解できない。
亜里沙「お姉ちゃんに比べればそうだけど…、でもすごく元気がもらえるんだ!それに・・・µ’sの方々も良い人そうだし、達川先輩はとってもいい人だよ!」
絵里「!?」
えっ?どうして達川君が・・・?
絵里「どうして?」
亜里沙「お姉ちゃんを待っているときに変な人たちに絡まれたんだ。でも達川先輩のおかげで助かったんだ!あんなに優しい人がµ’sのサポートをしているからこんなにすごい曲ができるのかなーって思うんだ!」
絵里「・・・」
私は言葉が出なかった。µ’sにとって達川君は必要不可欠な存在なんだって改めて感じた。これまで私は達川君に散々に論破されてきた。達川君の言うことに反論したくても核心をついているせいで言い返せなかった。しかも場合によっては体を張ることもある。µ’sの頭脳でもあり精神的支柱でもある。
『あんたは生徒会長としてではなく絢瀬絵里としてやらなあかんことを考えまっしや。』
『あんたなんかより高坂たちの方がよっぽど輝いているしまともにやってるわ!』
達川君の言葉が脳裏に浮かぶ。
達川君って何なの・・・。
絵里side out
達川side
翌日の放課後
授業後にすぐに練習に向かいたかったが、担任に男手が欲しいと頼まれてオレと西島で先生の手伝いをしていた。そのため少々遅れてしまった。
屋上に向かおうとすると生徒会長と東條さんが何やら話している場面に遭遇した。すこし聞いてみるとしよう。
希「うちな、エリチと友達になって生徒会やってきてずっと思ってた事があるんや。エリチは本当は何がしたいんやろって」
生徒会長は聞かれたくないことを聞かれたような顔をする
希「エリチが頑張るのはいつも誰かのためばっかりで、いつも何かを我慢しているようで、全然自分のことを考えてなくて、学校を存続させようっていうのも生徒会長としての義務感やろ?だから理事長は、エリチの事を認めなかったんと違う?」
そして東條さんは一呼吸おいてもう1回生徒会長に聞く。
「エリチの・・・エリチの本当にやりたいことは?」
しばらく沈黙の間が続く。すると生徒会長が口を開く。
「何よ。なんとかしなくちゃいけないんだからしょうがないじゃない!」
生徒会長は息を荒げながら言う。
「私だって…好きな事だけやってそれだけでなんとかなるならそうしたいわよ!」
生徒会長の声が廊下中に響く。そして生徒会長は涙を流しながら言葉を続けた。
「自分が不器用なのは分かってる。でも…今さらアイドルを始めようなんて私が言えると思う?」
そう言い残して生徒会長は走り去った。
何だよ・・・『絢瀬絵里』としてやりたいこと、あったんかよ・・・・・
素直になればいいものを・・・
オレは今まで生徒会長と対峙するごとに色々と言い争いをしたが、絢瀬さんは生徒会としての義務感・責任感を一人で背負っていたから、『絢瀬絵里』としてやりたいことを封印してしまったのだ。そして今、本物の『絢瀬絵里』が見られたのだとオレは思った。
希「達川君、全部聞いてたんやろ?」
達川「ええ。」
希「エリチのこと、どう思う?」
達川「まあ・・・彼女はとても真面目な人だと思いますよ。だからこそ・・・責任だとか義務とかを一人で背負おうとしてしまい自分のやりたいことさえも封印しようとしてしまう。高坂とは真逆だなって感じましたが?」
すると、東條さんは分かっていたかのように微笑む。
希「フフッ・・・やっぱり君はうちが睨んだ通りの人や。」
達川「・・・意味が分かりませんが。」
この最初からこうなるって分かってたっていう感じで笑われるのもオレとしては気に入らない。
希「うちから達川君にお願いがあるんやけど・・・」
達川「あなたのいうことはだいたい分かってます。生徒会長を助けてほしいとでも?」
希「そうや。お願いや。」
達川「ハァ・・・分かりました。」
オレは生徒会長が去った方向へ走り出した。
達川side out
絵里side
私は教室にいた。
放課後の教室くらいしか1人でいれる場所は無いし、今はそういう気分だから・・・。
外を見ながらぼんやりしていたら急に誰かが入ってきた。
バンッ!!!
教室の戸を開けたのは・・・達川君だった。
何しに来たのかしら・・・
絵里「何の用?」
達川「はい。生徒会長としてではなく3年生の絢瀬さんに用があって来た次第です。」
絵里「?」
言っていることの意味がよく分からなかった。
達川「絢瀬さん、アイドルに興味があるようで?」
絵里「だから何?笑いに来たの?」
達川「いえいえ、とんでもない。むしろオレとしては大歓迎ですけどね。」
すると後ろからまた誰かが入ってきた。µ’sのメンバーと・・・希であった。
絵里「!!・・・あなた達!」
穂乃果「生徒会長・・・いや絵里先輩、μ'sに入ってください!一緒にμ'sとして歌って欲しいです!スクールアイドルとして!」
高坂さんは笑顔で私に勧誘する。
絵里「な・・・何言ってるの?私がそんなことするわけないでしょ。」
私は必死で否定した。やはり私がアイドルなんて・・・
にこ「やりたいなら素直に言いなさいよ」
真姫「にこ先輩に言われたくないけど・・・」
にこ・・・これはにこにだけは言われたくないわ。
絵里「ちょっと待って!別にやりたいなんて・・・。大体、私がアイドルなんておかしいでしょ?」
達川「絢瀬さん!」
絵里「!」
急に達川君に呼ばれたので驚いてしまった。
達川「絢瀬さんが真面目なのは分かってますよ・・・。でも・・・責任感とか義務感とか、そんな重いモノ自分のやりたい事を抑えてまで1人で背負う必要ないと思いますよ。」
えっ・・・・
達川「いいですか?あなたは責任だとか義務とか・・・絢瀬さんだけにあるんじゃないのです。みんなにあるんですよ。ですから・・・もっと周りに甘えましょうよ?」
シュンッ・・・・・・!
その瞬間、私の中にあった重いものが無くなった感じがした。
達川「それに・・・やりたいことがあるなら、深く考えずにやってみませんか?やりたいからやる・・・本当にやりたい事ってそんな感じで始まるものだとオレは思いますよ。」
達川君の言葉にみんなが微笑む。
やりたいこと・・・・・・・私のやりたいことは・・・・・・!
すると高坂さんが手を差し伸べてきた。
私はその手を握った。
絵里side out
達川side
絢瀬さんが高坂の手を握ったことでµ’sに加入したことになった。さて、あと1人。もうすぐそこにいるが。
ことり「これで8人・・・!」
達川「いや、9人だ。」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
達川「9人目は・・・東條さんですよね?」
希「そうや。うちを入れて9人や。」
達川「東條さん・・・µ’sって名前つけたのはあなたですよね?」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
穂乃果「な、なんで!?」
達川「µ’sは9人の芸術の女神って意味だが・・・つまりオレたちグループが9人になる運命だったってことだ。そんな先のことが分かる人って・・・この学校で東條さんしかいないだろ?」
希「フフッ・・・流石達川君や。」
ことり「いつから分かってたの?」
達川「東條さんと話してるうちに分かったんだよ。」
絵里「希・・・全く・・・呆れるわ。」
そう言って絢瀬さんは教室を出ようとする
海未「絵里先輩、どちらへ・・・?」
こちらに振り向いた時の絢瀬さんの顔には、見たことのない笑顔があった
「決まってるでしょ.......練習よ!!!!」
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この
絢瀬さん、東條さんが加入してからµ’sと過ごす毎日がさらに充実したものになった。
まず、絢瀬さんがダンスを見てくれるようになったことでダンスのレベルが素人のオレでも分かるくらいに上がった。勿論、ハードな基礎トレはあの後も続いたが、あの時とは違って楽しさが感じられた。練習後もµ’s全員でマク〇に行ったり、部室で話し合ったりとしたのでメンバー間の絆もさらに強固なものになったと思われる。
こうして迎えたオープンキャンパスの日
9人になって初めての曲が始まった。
オレたちのスタートの曲
『僕らのLIVE 君とのLIFE』
こうしてµ’sは新たなる1歩を歩むのであった。
よっしゃぁぁぁぁぁ!!!
全員揃ったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!
めちゃくちゃ長い道のりでした・・・。
前にも言いましたが、もしかしたらミナリンスキー編あたりでオリジナルストーリー入れるかもしれません。
乞うご期待!
では!