真・恋姫✝無双 新たなる外史   作:雷の人

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第十四話:双子と三角、覇王の書状

桃香たちが平原に赴任して一ヶ月が経った、青焔と紫牙の指導の下、政務を学ぶ一刀、桃香、愛紗、星、凪、六花、凪、朱里、雛里(単と鈴々に教えるのは三日目で諦め、星は何故か出来た)。

 

ある程度、平原の治安や内政が落ち着いた頃、青焔は市街地の警備にあたっていた。

 

「一ヶ月という時間でまぁここまで出来れば上出来、か」

 

まずまずのできだ、と自負している青焔、少なくとも隣領の袁紹や韓複の収める南皮、業よりも発展させた。

 

「?」

 

ふと、視線の先にうつったのは紫牙だ、確か城外での新兵訓練をしていた筈だ。

 

「帰りか?おーい!!」

 

声をかければ、こちらに気づいた様子、なのだが・・・・妙に移動速度が遅い。

仕方なくこちらからも歩み寄れば、その原因が判明する。

足に二人、少女がひっついていたのだ。

 

「紫牙」

「はい?」

「お前・・・・そっちの趣味があったのか?」

「殴りますよ」

 

マジ顔で言われたので訂正してから、話を聞く。

どうやら足にひっついている少女二人は知り合いを訪ねてこの平原を訪れたらしいのだが、人の波に飲まれて場所も分からなくなり、不安になって泣きそうになった時に、紫牙に声をかけられたのだそうだ。

 

「で、一緒に人探ししてた、と」

「ええ、新兵訓練も終わって暇でしたので」

「なる程な、まぁ俺も警邏中だが手伝おう」

「あ、ありがとうございます」

「・・・・ありがとう・・・・・・ございます」

 

ペコリ、と頭を下げる二人の少女、双子、だろうか、髪の色と眉の色が白黒真逆である事を除けば瓜二つだ。

 

「それで、探し人の名を教えていただいても?」

「はい、私塾の先輩でして・・・・」

「諸葛亮と、鳳統」

「ん?」

 

聞こえてきた言葉の断片を集める、頭の中で整理した。

 

「諸葛亮と・・・・」

「鳳統?」

 

コクコク、と頭を縦に振っている。

 

「珍しい事もあるもんだな」

「ええ、全く」

 

笑い合う青焔と紫牙、その様子に、少女二人は首を傾げる。

 

:平原太守府:第二執務室

ギィ、と扉を開ければ、一刀と朱里、雛里が仕事をしている。

 

「朱里、雛里、客だぞ」

「へ?」

「お客・・・・ですか?」

 

首を傾げる朱里と雛里。

 

「二人共、こちらです」

「朱里さん!」

「雛里さん」

『芹菜ちゃん!?薺ちゃん!?』

 

驚いた様子の二人、話を聞けば、この二人・・・・黒髪白眉の馬良と白髪黒眉の馬謖こと芹菜と薺は朱里、雛里の私塾の後輩であり、つい先月、卒業したのだそうだ。

早速学んだ事を役立てようとしたものの、仕官にも伝手が無く、どうしようかと迷っていた時に、朱里と雛里がどこかで仕官しているという話を聞き、先ずは訪ねてみようと言う考えに至ったのだと言う。

 

「それで、二人はこれからどうする気なのかな?」

 

と、一刀が問いかければ。

 

「はい、よろしければ・・・・」

「ここで、働きたい」

「うん、いいよ」

 

即答、ふぅ、とため息一つつきながら、頭を抱える青焔と紫牙、やっぱり、といった表情の朱里と雛里。

ちなみにこの後、隣室の第一執務室にいた桃香に同じ事を聞いたところ「歓迎だよー♪」との事。

取り敢えず、芹菜と薺は朱里と雛里の下につくことにしよう、という話になったのだが・・・・

 

「あの、ですね?」

「宜しければ・・・・」

『法正様と一緒が良いです』

 

との申告があったため、紫牙の下で仕事をする事になった。

 

「はわわ・・・・」

 

妙に紫牙へと懐いた芹菜と薺の二人、その姿を見れば、難しそうな顔をする朱里。

 

「どうしたんだろ?朱里」

「んー多分・・・・なぁ?」

「そう、ですねぇ・・・・」

「?」

 

一刀は分からないみたいではあるが、青焔と雛里はその理由に気づき微笑みながらその様子を見守るのだ。

 

「失礼します」

 

そこへ凪が入室してくる。

 

「そちらの二人は?」

「おう、今日から一緒に働く馬良と馬謖だ」

「始めまして、馬良季常です」

「・・・・馬謖幼常です」

「楽進文兼です」

 

と、挨拶をする三人。

 

「で?何かあったか?」

「あ、はい・・・・曹陳留太守より書状です、桃香様、一刀様、青焔様宛に」

「・・・・分かった、すまんが隣から桃香を呼んで来てくれ」

「はい!」

 

駆け出していく凪、それを見送りながら、青焔が一人呟く。

 

「あー、もう・・・・荒れるなぁ・・・・」

 

:四半刻後:会議室

一刀、桃香、青焔、紫牙、朱里の5人が、この場に集まっている。

 

「さて、と・・・・さっき届けられた書状なんだが・・・・」

「華琳さんからって聞いたんですけれど・・・・」

「ああ、会見の申し入れだ」

「会見?俺たちと?」

「正確には俺ら、華琳、雪蓮の三者会談だな・・・・各自主要の者五名づつで来るように、との事だ・・・・まぁ多方察しはつくが」

「という事は・・・・黄固から何か報告が?」

 

黄固(オウコ)は青焔の旧主陳蕃が独自に使役していた間諜組織であり、黄巾の乱の少し前に青焔に接触、陳蕃の遺志により青焔に仕える事になったのだ。

 

「うむ・・・・世間には公表されて無いが・・・・霊帝陛下が崩御したそうだ」

「え!?でも・・・・」

 

そう、漢王朝の象徴である天子の崩御、その報が未だ伝えられていないというのは?と言いたいのだろう。

 

「簡単だ、劉弁殿下と劉協殿下の後継争いが決まってから発表するつもりだ」

「天子様がお亡くなりになったのは悲しい事ですけれど・・・・それと何の関係があるんです?」

「今洛陽に駐屯する董卓が劉協殿下を擁護している、『先帝の遺志に従うならば劉協殿下を推戴すべし』と、だが劉弁派の袁紹がこれを放っておかない・・・・」

「つまり?」

「袁紹が盟主になり反董卓連合を興すつもりだ」

「董卓さんが気に入らない、が理由ですか?」

「あれはそれをまかり通す大馬鹿だ」

「名門相手によくぞそこまで言えるもので」

「バカをバカと言って何が悪い」

 

憮然とした・・・・どころか明らかに嫌なことを思い出した顔をする青焔。

 

「それで、華琳の要件って何なんだ?」

「連合発足後の対応だろ」

「参加するか?って事ですかね」

「違う」

「それでは一体・・・・」

「ま、行ってみりゃ分かるだろ・・・・っつーわけで返答は応諾、で構わんか?」

 

一座を見回す青焔に、一刀、桃香、紫牙、朱里が頷いていく。

 

「んじゃ行く面子だが・・・・俺、一刀、桃香は決定として・・・・」

「星ちゃんと雛里ちゃんでどうかな?」

「ん・・・・それが妥当か」

 

今現在、鈴々、単、凪、六花が治安を担当し、朱里、紫牙は屯田計画などに日々奔走している、芹菜と薺はきっと紫牙から離れないだろう、となれば残る面子はこれしかいないわけで。

 

「では明日朝一で出立する、準備は整えとけ!」

『はい!』

 

華琳の持ちかけた会合は、一体何を話し合うためのものなのだろうか?予想がついているらしい青焔を除く面子の心持ちは、不安だらけだった。




はわわ軍師とあわわ軍師の後輩はあんまり慌てません。
そして(青焔と星により)加速する紫牙の幼女趣味疑惑、彼の明日はどっちだ!?

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