真・恋姫✝無双 新たなる外史   作:雷の人

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第十一話:黄巾の乱・鎮静

決戦の地は広宗、大将軍何進の代理として戦場に赴いた総大将呂布からの通達により、桃香、華琳、雪蓮らは元より、袁紹、張邈、鮑信、陶謙、公孫賛、喬帽、劉岱、劉虞、韓複ら群雄たちも、この地へと集合した、官軍総数30万、うちの三万が桃香、華琳、雪蓮らで、五万が袁紹、ほかは一万から二万ほどの兵力となっている。

 

「大将に呂布、副将に華雄と張遼か」

「まぁ悪くないのではなくて?」

「え?でも軍師とかいないんじゃあ・・・・」

「これだけの勢力を一つにまとめるなんて無理だもの、そしたら朝廷の面目が立てられる武力重視でも良し、ってわけ」

「ほぇー」

 

三軍合同の本営にて、状況を整理する青焔、一刀、桃香、華琳、雪蓮。

 

「さて、この三軍が力を合わせるのは直前までだ」

『へ?』

 

青焔の言葉に、素っ頓狂な声を挙げる一刀と桃香。

 

「ええ、分かってるわ」

「戦場中域までは一緒に、そこからは・・・・・」

「早いもん勝ち」

 

ニヤリと笑い合う三人。

 

「誰が張三兄弟殺っても恨みっこ無しだぜ」

「当然よ」

「当たり前じゃない、ま・・・・私が殺るけどねー」

 

一度、拳をぶつけあえば、それぞれが軍の準備へと向かうのだ。

 

:劉備軍

元々五千という寡兵の劉備軍は、全員が歩兵。

 

「俺、愛紗、鈴々で先頭突っ切るぞ、星、凪、六花はその隙間を突き崩せ、単・・・・後詰は任せたぜ」

「はい!」

「応なのだ!」

「御意!」

「了解です!」

「承知」

「応さ!」

 

僅かな兵と共に、戦場外へと避難する事になった一刀、桃香、朱里、雛里、紫牙の5人。

 

「皆!怪我するなよ!?」

「無事で帰ってこなかったらダメなんだからね!?」

「ご武運を祈ります」

「皆さんなら、きっと大丈夫です」

「・・・・どうか、ご無事で」

 

乱戦の中では如何なる策も用を成さない、そう判断したために置いていかれる非戦闘員扱いの5人は、それぞれに仲間の無事を願うのだ。

 

:曹操軍

ここまでの戦いで七千程までに減ってしまったがそれでも精強さでは群を抜く曹操軍。

 

「桂花、愛理は後退しなさい、真桜を護衛につけるわ」

「分かりました」

「・・・・はい」

「真桜、頼むわ」

「了解です」

 

非戦闘員である桂花と愛理を下がらせ、ほかの将に武力で一歩劣る真桜を護衛として下がらせる。

 

「先陣は春蘭、蒼季!」

「はっ!」

「承った!」

「二の手で秋蘭、唯夏!」

「御意!」

「了承します」

「最後に私と季衣、瑠琉」

『はい!』

「これでこの戦いも最後、各自総力をもって臨みなさい!!」

 

静かなれど気炎万丈、最精鋭曹操軍、出陣す。

 

:孫策軍

大一番を前にして、身をも焦がすような気炎を身に秘めて、孫呉の将兵は、孫伯符の号令を待つ。

 

「我々は、この戦いで偉大なる先君孫文台を失った・・・・黄巾は孫文台の仇である、だがそれ以上に!天下万民の敵!我らが揚州の民に仇なす存在!この戦いで奴らを根絶やしにしてやれ!!」

『うぉおおおおおおおおおおおっ!!!!!』

「先陣を魯子敬!甘興覇!呂子明!」

「応!」

「御意!」

「は、はい!」

「第二陣を潘文珪!馬景信!」

「はい!」

「はっ!」

「最後に私自身が突撃する!!皆の者!奮起せよ!!!」

 

地を揺るがす程の雄叫び。

 

「もどかしいものです、見る事しか叶わぬとは」

「はい・・・・・」

「ならばその力不足を補えば宜しいのです」

「その通りね、これから次第よ、私たちは」

 

尚、香、祈、蓮華は、自身の力不足を嘆かずに、ただこの戦の先を見据えていた。

 

 

 

「全軍突撃ぃいいいいいいい!!!!!」

 

戦場中に響き渡る華雄の叫び声に、諸侯が一斉に軍を進める。

 

「突っ込めぇええええええ!!!!」

「前進!!!」

「行くわよ!!!」

 

同時に、一箇所から突撃する三軍は、中腹あたりまでを、ほぼ同時に進行する。

丁度、黄巾本営との中間地点に差し掛かった頃、三軍が進路を分かれる。

劉備軍はそのまま直線軌道で、曹操軍は斜めに敵軍の隙間を縫い、孫策軍は少し場所をずらしただけで数に任せて突撃を開始した。

 

「っ・・・・・雪蓮殿が矢張り一歩抜け出ている・・・・」

 

紫牙が、呟く。

単純な兵数ならば袁紹が、となるわけだが袁紹軍には主力の将が二人しかいない、数の利を活かしきれないのだ、しかも練度はそこそこ、だがその点、二万の精鋭である孫策軍は数の利を活かしきり突撃を仕掛けている。

 

「いえ、華琳様が雪蓮様を抜きました!」

 

尚が、思わず叫んだ。

どうやら春蘭と蒼季がかなり無茶な攻めを敢行したらしい、曹操軍前の敵軍に大穴が空く、その隙間を逃さず二陣の秋蘭と唯夏がその大穴をこじ開け、後衛の華琳、季衣、瑠琉が、一挙に前へと出る。

そればかりか、大きく遅れたはずの春蘭と蒼季が常識はずれな速度と突破力で再び前衛へと出て行く。

 

「矢張り青焔様は一歩遅れますか」

 

その両軍から一歩遅れた位置にいる劉備軍、いくら最前衛の青焔が規格外の更に上を行こうとも、愛紗、鈴々の武が並外れていても、単騎で駆け抜けられるわけでは無く、兵士の少なさが嘆かれる、妙技とも言える槍術の星、気弾の乱射で敵を撹乱する凪、三節棍で敵の手足を狙い行動不能を誘発する六花、その三者の討ち漏らしを始末する単、個々の力は強いのだが、それでも兵力差は覆せないのだ。

 

呂布率いる何進の名代、董卓軍は本気を殆ど出していないようだ、張遼、張繍の騎馬隊、呂布の本隊を温存し、華雄の重歩兵一万だけが攻めに参加している状態、他にも張邈などは被害を最小限に抑える戦い方をしているし、逆に鮑信軍の鮑忠が劉備、曹操、孫策の三軍に追い縋ろうと無茶な突撃を繰り返している。

 

そして。

 

「張三兄弟!曹操軍が将曹純子和が討ちとったぁあ!!!」

 

その一声で、この戦は終決した。

 

残った黄巾兵の多くが逃げ散り、或いは降伏した。

 

またこの戦いにより、蒼季が偏将軍の地位を賜り華琳も司馬へと昇格し陳留に近い任城の地を受け取った。

 

君主孫堅を失った孫家だったが、美羽の計らいにより今までと変わらぬ領地を、雪蓮が収める許可を得た。

 

そして桃香が平原の相に任命され、劉備軍はようやく、流浪の義軍という形を抜け出す事に成功した。

 

翌日、それぞれ別れを惜しみながら、三軍はそれぞれの本拠へと戻っていく、この後に、新たなる騒乱が待ち受けているとは、一部を除いて誰も予想などしていなかった・・・・




これにて黄巾の乱は終幕となります、次回から何話かは反董卓連合が発足されるまでの間の各勢力の様子を描いていく事になります。
馬忠:灰の字、景信ですが作者オリジナルで付けました、書いてる途中で「一人だけ字無しって語呂悪くね?」と思っての事です。

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