ヘータ・サクラの華麗なる戦歴   作:あきゅおす

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「ヘータ?あいつはなんというか…手のかかる後輩みたいなものかな?」―ブリジット・シュターク


2戦目(省略)と姉御と野菜人と

 ヴァーゼル橋奪還戦―――「春の嵐」作戦はウェルキンさんの奇策(川を戦車で渡る)が成功し、こちらの被害はほぼない状態で橋を奪還することができた。帝国兵から見たらいきなり背後から敵兵が生えてきたように見えるから動揺するのもわからなくもないけど、小国だから見くびられてる感じがする。こちらとしてはそっちの方が被害が出ないからそのまま油断しててほしい。

 

 作戦後は野菜万歳ラルゴさんと姉御肌のロージーさんがウェルキンさんを隊長と認め、万事解決…とはいかず、ロージーさんとイサラの睨み合いが起こっていた。ロージーさんがダルクス人を目の敵にする理由は、帝国のダルクス狩りが村で起こり、それによって母親と弟さんが亡くなったことだ。そのことに関しては逆恨みっていうのを本人は気づいてると思うんだけど落としどころがないんだろうな…と考えていると、喧嘩が終わったのか2人ともふんと顔を背けあい、正反対の方向に歩き出した。その矢先、進行方向にいた自分の前でロージーさんが足を止めた。一瞬辛そうな目でこちらを見た後首を振り、キツイ目つきでこちらをにらみながら凄んできた。

 

「…あんた」

「は、はい?」

「子供がなんでここにいるんだい?」

「旅の途中でウェルキンさんたちに助けられてその恩返しに…」

「恩返しだぁ?ここはガキのいるような場所じゃないんだ。さっさと家に帰んな」

 

 そういうとロージーさんはまた別の方向に歩いて行った。何で毛嫌いされてるんだ?と首を捻っていると、ラルゴさんが苦笑しながらこちらに歩いてきた。

 

「すまんな。いつもはあそこまで当たりは強くないんだがな…。おっと、ラルゴ・ポッテルだ」

「いえ。なんというか口調はきついですけどこっちのことを思って言ってくれたようなそうでないような…。ヘータ・サクラです。よろしくお願いします」

 

 差し出された手を握り返しながら挨拶する。

 

「それはさておき、野菜は好きか?」

「初対面でそれを聞かれたのは初めてですよ…。好きですけど」

「よし、それじゃあ戻ったら食堂で美味しくとれる野菜メニューを教えてやる。野菜をたくさんとれば生き残る確率が高くなるしな!」

「食事のバランスとか考えたらそうですけど、野菜ってそんな直に影響出るほど万能でしたっけ…?」

「新隊長とその妹と同じで一緒で見どころがあるな!」

「聞いちゃいねぇ。っていうかその質問2人にもしたんですか?」

「当たり前だが?」

「さも当然って顔されても…」

 

 そして初対面だけどやっぱり野菜バカなんだなっていうのがラルゴさんの第一印象でした。

 

 

 基地に帰りラルゴさんと野菜のフルコースを堪能した後、腹ごなしがてら散歩していると綺麗な歌声が聞こえた。そちらの方に向かってみるとやはりロージーさんが歌っていた。バレない様に隠れて聞こうとしたけどあっけなく気付かれてしまった。

 

「誰だい?…ちっ、坊やか」

「すいません、歌声が聞こえたんでつい」

「ふん…、まだ出て行ってなかったのかい」

 

 素直に出ていくと舌打ちされて毒づかれた。

 

「で、何か用かい?」

「いや、ラルゴさんからたらふく野菜をおごってもらったのでその腹ごなしに散歩してたところに歌声が聞こえたのでふらっと」

「…あいつの野菜への情熱、どっから来るんだか」

 

 ぼやくように言った後、かぶりを振ってからかう口調で煽ってくる。

 

「で、坊やはいつ家に帰るんだい?」

「いえ、当分帰るつもりはないですけど…」

「はっ、坊やがいてもせいぜい足を引っ張るぐらいしかできないと思うけどね」

「ぐぬぬ」

 

 ロージーさんが煽ってくるけど、言ってること自体は正論だし、何より自分が思っていることだったのでなにも言い返せない。と思っていたらロージーさんが少し考えた後尋ねてきた。

 

「…さっき言ってたけど、あの隊長とダルクス人へ恩返しって何があったんだい」

「ああ、寝ながら魚と一緒に川に流されていたところを拾ってもらいました」

「本当に何があったんだい…っ!?」

 

 いや、本当に言葉の通りだから困る。というかよくおぼれなかったな自分。

 

「そのまま流されてたら死んでたでしょうし、こうして保護までしてもらっているんで。そのまま別れるには申し訳ないと思ってるんですよ」

「…ふぅん。どうしても辞める気はなさそうだね」

 

 そういうとロージーさんは意地の悪い笑顔をしてどこかに歩いて行った。うーん、これはどう捉えたらいいのやら。

 

 

 

 宿舎に戻った後、戦車のことのほかに基礎的な訓練も受けようかと思った自分に突撃兵の訓練も受けるように通達されたのは次の日のことだった。なんで?と思っているとロージーさんの意地の悪そうな笑顔が見えた。あんたの仕業かぁ!

 

 

 

 

「なぁ、ロージー。どうしてあいつに突撃兵の訓練も受けさせるんだ?」

「あいつの根性がどこまであるのか、それを見たくてね。仮に口だけのやつだったら背中を預けられないのさ。それに…」

「それに?」

「…いや、なんでもない」




更新が遅くなりすいませんでしたorz
3とか4の兼ね合いどうしよう…と考えていましたが、とりあえずミスったらあとから修正するか!的な考えで投稿しました。

投稿を誤爆した後慌てて修正したので章とか最新話表示とかがおかしくなっているかもしれませんがボルガ博士、お許しください!

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