ーウェルキン・ギュンターについて、ヘータ・サクラ
「おい、俺たちはこの家に行くぞ」
「どうせガリアの豚どもだ。砲撃の音を聞いてから縮こまってんだろうよ」
獲物を目の前にして舌なめずりは三流のすること、とはよくいったもので。現在、カチャカチャと音をたてながら近づいてきている帝国兵に対してトラップを仕掛けようとしています。
砲撃の重音が聞こえたあと、この家に帝国兵が乗り込んでくるのを思い出したんで、ちょうど荷造りでロープがあったから、兵士が入ってくる瞬間にイサラと2人で玄関の足元にピーンと張るのを思い付いたのがさっきのこと。
「へへっ、ちげえねえ」
「さてと、手柄を立てますか!」
バンッ!
「動くな!」
「おとなしく手をあげ・・・」
「せーの!」
「ろぉ!?」
「のうゎ!?」
兵隊たちがビタァァァン!と音を立ててずっこけ、その拍子に手から銃が離れる。いやー慢心しててくれたおかげで助かった。
「くそっ、ガリアの・・・」
「動かないでください!そのまま伏せた状態で!」
すぐさま帝国兵が立ち上がろうとしたけど、銃を回収したイサラとマーサさんがホールドアップ。その隙に俺が帝国兵を後ろ手に縛る。
「ふぅ、危なかった」
原作通りにするとマーサさんが突き飛ばされて大変だし、兵士たちの罵詈雑言もあるからなぁ…。
はっ!よく考えたらイサラのローリングイベントを横から見るチャンス・・・つまりはパンチr
「みんな!大丈夫…みたいだけど、どうしたんだい、ヘータくん。涙流して」
「いえ、安全を得た代わりに決定的な瞬間を逃しただけです」
「?」
そのあとは原作通り、家の隣にある納屋にあった戦車――エーデルワイス号に乗って風車塔広場を抜けて大通りの門を守っていたアリシア達と合流、敵部隊を一時的に撤退させて時間を稼ぎ、郊外へと脱出した。原作と違うところは、マーサさんの出産が戦闘後の郊外での一休み中に起こったことぐらいだった。俺の方はというと・・・
「…うっぷ」
「ヘータさん、大丈夫ですか?」
「いえ、大丈夫ですよ。あははは…」
戦闘中の戦車の揺れにやられて、戦車を降りたあとでもずっと地面が揺れてる感じがががが。
「…うっぷ。…ふぅ。あー、俺の方は単なる乗り物酔いなんで、マーサさんを見てあげてください」
「分かりました。何かあったら呼んでください」
そういってペコッと頭を下げてイサラはマーサさんの様子を見に行った。さらっと流したけど、助産婦さんもできるって本当に万能すぎるでしょ…。
未来の夫婦はというと、丘から占領された街を見下ろしながら二人で話している。あー、2章の終わりのあれか。
(確かウェルキンが教師になって…って下りだったな)
やっぱり可愛い義妹(と同じ人たち)が虐げられてるのが関係してるのかなーと思いながら、自分も今後の身の振り方を考える。
とりあえずは義勇軍には入るのは確定…ってちょっと待てよ。確か戦ヴァル1は瀕死からの放置だと入院なしで普通に死ぬんだよな。俺がまずイサラの死亡イベまで生き残らないといけないじゃん!無理ゲーとまではいかないけど、ベリーハードはある。そもそもノーヘルにヘッドショットが当たり前の世界で生き残れるかどうか…。どうしよう。義勇軍に入れて比較的安全な役割なんてそんなうまい話ないよな。
「ぐぬぬ…ぬ?」
ちょっと待てよ。今しがた俺が乗っていたのは何だ?ガリアでもトップクラスの性能を持ち、更には主人公補正まで付いている戦車、エーデルワイス号。つまりはエーデルワイスでの役割を確保出来れば少なくとも戦場で死ぬことがないのは確定的に明らか。
「勝ったな、風呂入ってくる」
「何に勝つかわからないけど、逆転されそうな気がするなぁ…。あと何でお風呂?」
「ウェルキンさん。いや、必死で逃げたり戦車に揺られて冷や汗かいたりで」
いつの間にか丘の上での話し合いが終わっていたらしく、赤ちゃんをだっこしながらウェルキンが歩いてきた。イサラとアリシアも一緒だ。
「式はいつ挙げられたんで「ヘッドショットするわよ?」ごめんなさい銃口を突きつけないでください」
「はははっ。…これから僕たちは首都のランドグリーズに向かうけど、ヘータ君はどうする?」
「行く宛がないので、よければ付いてっていいですか?」
「構わないよ。そこからはまた着いてから話そうか」
「…わかりました」
多分、自分達は義勇軍に入るから国外に出なさい、って感じの話なんだろうな。…まぁ、入るなって言われても入るけどね。
「あと、もしよければ戦車の操作方法を教えてもらってもいいですか?僕、興味があります!」
知りたがりの少女みたいにウェルキンにお願いしてみる。中身はあれだけど外見は若いからセーフだと思いたい。
「僕はいいけど、イサラは?」
「私も構いませんよ。お教えします」
という訳で、ランドグリーズへの道中でイサラの熱心な教育を受けることになった。ありがとうございます!
うちのPS3が逝ったので記憶を辿りながら(あと攻略本見ながら)書いています。日本語PC版はまだですかね、SEGAさん