3度目の人生は静かに暮らしたい 作:ルーニー
『おはようございます。朝のニュースをお伝えします。一昨日の夜、警察に○○町にて女性の悲鳴があったとの連絡が入り、警察が捜索をした結果血痕のような跡があったのを発見したことを明らかにしました』
『警察が調べたところ、この跡は動物の物であるとされ、悲鳴は小型の生物が何かしらの虐待を受けた際に出たものではないか、と発表しています』
『ここ最近、この街だけでなく海鳴市内にて数多くのトラブルや事件が多発しております』
『動物病院でのガス爆発事故、人気のない神社での破壊活動、森林公園無差別破壊テロ、少年少女の行方不明事件など、数多くの事件が多発しており、警察は組織的な者の犯行ではないかという見解を示しています』
『警察は人気のない場所へ行ったり夜1人での活動を控えるよう警告しており、夜の巡回等を増やすとしています』
『しかし、こんなことが立て続けに起きるなんて、ホント怖いですね』
『そうですね。SNSを見ていますと夜中に女性の笑い声が聞こえる、犬の顔のような人が墓地にいた、火が宙を漂っているなどといった報告があるようですし、この街で一体何が起きているんでしょうね』
『少年少女たちに関しても、行方不明になった少年少女たちは普段夜に出歩いていることが多い子供たちが被害に遭ってるようですし、市民の不安と警察への不満が出てきているようです』
『一刻も早い解決をしてほしいですね』
朝のニュースでは、最近起きている事件についてが報道されている。どれもこれも家の近くで起きている上に、しんやの嫌いなオカルトの噂すら出てきている。しんやのおとうさんとおかあさんもしんやのこともあってオカルトが嫌いやけど、今は夜勤からまだ帰ってきてないからここにはいない。私としんやの2人っきり。
ここ最近のニュースでは最近起きている原因不明の事故や事件ばかりが流れている。ガス管爆発、テロ、無差別破壊、そして行方不明。どれもこれも原因が分かっていない、この街を恐怖に陥れている事件だ。この事件が起きてから火の玉やゾンビ、声だけの女、空飛ぶ少女と言ったオカルト的な情報が増えてきていることもあり、バラエティでは嬉々として宇宙人が原因だの悪霊が出てきているだのと囃し立てている。
だから最初このニュースを見たとき、また暴走するんやないかと不安やった。動物病院でのガス爆発や神社爆破テロ、森林公園無差別破壊テロでしんやは自分の体や私たちの心配なんて関係なしに動き回っていた。あの時はしんやのおとうさんとおかあさんが止めたからまだそこまで動いていなかったけど、今回は2人とも仕事でおらへんから今すぐにでも出ていくんやないかって、なにもできない自分への怒りと誰かがいなくなる恐怖がわき出ていた。
けど、今にも動くと思っていたしんやは、また無茶苦茶なことをするんじゃないかと思っていたのになんの反応もなく黙々と朝御飯を食べていた。
「…………」
おかしい。いつもなら顔を青くして食べることもせずパソコンにかじりつくのに、今回は全く動じているような感じがせぇへん。
ニュースを見て、何かを考えるように眉間にシワを寄せているけどすぐに立ち上がるような気配はない。なにより、
「……しんや、なんか様子おかしくない?」
このまま無視したら、きっと何か嫌なことが起きる。そう思った私は、しんやが煙に巻くのを分かって聞いてみた。予想通り、しんやは私の質問に、わずかに眉間にしわを寄せた。
「……いつも通りだ」
嘘や。いつも通りなのは嘘やないんやろうけど、さっきの表情から見て何かを隠しているのは間違いない。でも、これ以上追求したとしてもしんやは絶対に何も教えてくれない。しんやの隠しているものは、きっと私が触れてほしくないと思っているものなんだろう。
そう、あの机の中にある不気味なファイルのような、私たちが触れちゃいけないようなものを、追いかけているんだろうから。
あの本を見てから、私はしんやのことを出来る限り止めるように努力してきた。あの本は間違いなく普通でないものやし、あの表情からして普通でないことが妄想であるとは思えない。
しんやのおとうさんとおかあさんにそれを伝えて、強迫性障害って病気かもしれへんからって見てもらってた。けど、それもダメやったみたいで結局切羽詰まったみたいな毎日を送っている。
せやから、一回しんやを止めようとしたんや。学校で体調崩して、家に帰ってきても顔を青くしていて普段とは違って落ち着いていたから今日は大丈夫やって、そう思っとった。
でも、それも間違いやった。私の言葉をきっかけにいつも通りの、いや、いつも以上に切羽詰まった雰囲気を出して、体調を崩していたのに外に出ようとしていた。それを私は必死に止めようとしたけど、邪魔したら何をされるか分からないような、そんな怖い雰囲気があった。そのときの怖さが今でも鮮明に思い出してしまって、止めることができひん。
しんやのおとうさんかあさんに伝えて止めてもらっても、結局夜にも何かしているようなことをしている。
「…………」
ボソリと、しんやが私の様子を見て何かをつぶやく。しんやは考え事が纏まらないと聞こえないギリギリの音量で言葉にして考えをまとめようとする癖がある。けど、それは本当に聞こえないほどの大きさで、近くにいて聞き取ろうとしていないと聞こえない位の大きさやから滅多に聞こえる物やない。
やけど、それでもなんとかしんやを止めるために、しんやの行動を見極めるために呟いた言葉を聞き取ろうとしている。そして今日、その努力が実ったのか、やっとのことで一部だけが聞こえた。
「……グア?いやクァチ……」
グア?カチ?なんなんやろ。全く聞いたことのない名前や。グアで覚えがあるんはグアムやけど、ムまで言ってへんから何とかグアやろうし、カチなんて聞いたこともない。
「……ろ、喚んで消す……」
……よんで、けす?分からん。何をよんでけすのか、意味がわからへん。
でも、しんやの様子から見て絶対に普通なものの訳があらへん。それに、あの目は見たことがある。ドロッとしとって、怖くて、不気味な目は、外に飛び出したあの日のものとそっくりやった。
「……しんや」
怖さのあまり、私は思わず名前を呼んでしまった。呟いた程度の、聞こえていなくてもおかしくないその呟きを、しんやは聞き逃すことなく反応して寝不足でやや血走った目を私に向けていた。
「しんやは、どこにもいかへんよな?」
怖い。今のしんやがこわいんじゃなくて、あの日みたいに私の周りからまた誰かいなくなるんじゃないかという恐怖が、それによって脳裏に木の棺に入っているおとうさんとおかあさんが浮かび上がっていた。
これは直感だったのかもしれない。親の死を体験した私のなって欲しくないがために頭のなかで作り出した妄想なのかもしれない。
でも、それでもどうしてか私は
「大丈夫だ、はやて」
私を呼ぶ声が、思考の渦にのまれかけていた意識を一気に浮上させた。私を呼んだその声は、信じられないことに、しんやは私を見て無器用ながらも笑みを浮かべて私を見ていた。
「はやてと父さん、母さんは俺が守る」
滅多に、滅多にどころか初めて見たんやないかって思うぐらいに見ないしんやの笑顔は、口は笑っていても目が全く笑っていない、歪で不気味な笑みだった。
その笑みは私を安心させるためのものでもなく、威嚇するものでもなく。ただ自分を安心させるための、自分に言い聞かせるためだけのものにしか私には見えなかった。
この時、もっと必死になってしんやを止めておくべきやった。ここで必死に止めて、しんやがやって来たことを理解できたのなら、もしかしたらあの未来を止められたのかもしれない。
でも、私にはそれができなかった。力もなにもない、ただの病人の私には、どうすることもできなかった。
久々にはやて視点というか一般視点。一般から見たら信也くんホント何やってるかわかんないからただただ不気味ですね。
さて。ここまで色々なクリーチャーが出てきましたが、影だけ出ていてまだ出てきてないクリーチャーいるんですよね。いつ出るのかと楽しみにしている人もいるかもしれないですが(そんな人はいないという現実から目をそらして)、正直彼らは無印で出ることはないかと思います。
A'sで出す予定なので待っててね!(それまでにどれだけ時間かかるんだろうか)
神様?さすがに神様はそんなポンポン出せないですよ……。というか出たら下手すれば国1つ滅んでもおかしくないから出したら処理困る……。←
早くA'sかサイドストーリーやりたいなぁ(遠い目)
久々なのでここまで信也くんがやって来たことをダイジェストにまとめてみた。
・魔力の貯蔵(既に1000を超えている)
・魔導書の作成(暗号化済み)
・炎の精を召喚、使役
・星の精を召喚、使役
・一般人(不良)の大量殺人および遺体隠匿
・ティンダロスの猟犬を呼び出す
・猫(管理局員)の殺害
やべぇこいつ本当に(外側だけとはいえ)小学生かよ。