【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
「という訳で、遊勝塾への加入を希望して来た、紫雲院素良君だ。素良、遊勝塾へようこそ!」
「紫雲院素良です!宜しくね!」
「ちょ、ちょい待て、遊矢。何が、という訳で、だ?まるで意味が分かんねェぞ?」
「そうだぞ遊矢、加入希望は嬉しいけど、それにしてもちゃんと説明してくれないと」
「詳しくは前回を読み直してくれ(スパァン!)おうふ」
「これが小説だからって、メタ発言で済ませないで!大体前回を読んでもどうしてその子が加入を希望する事になったか書いていないじゃない!」
柚子も柚子で思いっきりメタ発言しているじゃないかと思うが、確かに柚子の言う通りだ。
沢渡をデュエルという名の制裁でボコした後、フィールドの入り口付近にいた素良を呼び止め、話を聞いてみると、素良は元々LDSへ加入しようと訪れていたのだが、偶々俺と沢渡がフィールドに入って行く所を見かけ、その時の会話で出て来た、ペンデュラムモンスターが気になったとの事。
で、ペンデュラムモンスターについて沢渡の取り巻きに聞こうとしたけど(俺と沢渡は口論でヒートアップしているだろうから、という理由から止めたらしい)、なんやかんやあって聞きそびれてしまい、ならばデュエルを終えた後に俺か沢渡に聞こうと考え、あそこで待っていたそうだ。
で、デュエルの結果は俺の圧勝、その時俺が見せた類稀なプレイングに感銘を受け、更にペンデュラムモンスターにも興味を覚えLDSへの加入を撤回、「僕を弟子にして下さい!」と遊勝塾への加入と俺の弟子になる事を希望して来た。
まあ加入に関してはもうちょっと塾生を増やしたいと丁度思っていた所だし、弟子入りに関しても既にエレンという前例があるから今更「弟子は取っていない」は通じないし、色々理由付けて断るのも気が引ける。
という訳で、此処まで付いて来た、それが事の顛末だ。
「まあ、事情は分かったわ。で、素良君だっけ?遊矢からも聞いていると思うけど、加入するにあたって、ちょっとお願いしたい事があるの」
「はい、僕のデュエルを見たいんですよね!分かりました、それじゃあ師匠、宜しくお願いしま「ちょっと待てやぁぁぁぁ!(ヒュン!)」うわっと!?」
柚子のお願いに応じ、遊勝塾へのフィールドに向かおうとした素良、だがそんな素良へと向かって何かが飛来、それに気付いた素良は何とか回避に成功するも、
「話は聞かせて貰ったぜ!おいお前、遊矢兄ちゃんの一番弟子である俺を差し置いて、遊矢兄ちゃんとデュエルしようだぁ!?生意気な事言いやがって!」
その飛来して来た物、というか奴は、素良に向けてドロップキックを放って来たエレンだった。
「な、なんだい君!?危ないなぁ!」
「敬語使えよこのちんちくりん!弟弟子なら敬うのは当然(スパァン!)痛ぁ!?」
「先輩風を吹かすとか、何時からそんなに偉くなったんだ、エレン?」
全くコイツは、俺との関係となるとリアルファイトも辞さないからな、この癖どうにかならないか?
「けどよ遊矢兄ちゃん、こんなその場のノリで遊勝塾に入ろうとか考える、遊矢兄ちゃんの弟子になろうとか考える奴に、遊矢兄ちゃんたちの指導を受け止められるのかよ?ずっと入りたい言っていたみこっちゃんはともかく、どうせ泣きべそかいてやっぱやめるとか言うのがオチじゃねーの?そんな甘ちゃんが遊矢兄ちゃんの下に付いていたら、遊矢兄ちゃんの師匠としての資質まで疑われちまうよ?そんなの一番弟子である俺には耐えられねぇよ」
成る程な、確かにエレンの言う事も一理ある、だからってリアルファイトは許される事じゃ無いが。
なら、
「だったらエレン、素良の相手はお前がやれ。素良が甘ちゃんかどうか、お前が見極めたらどうだ?」
「え、お、俺が!?」
「僕は誰でも良いですよ、師匠!僕に好き勝手言ってくれたこの子でも」
その答えを、デュエルを通じて見つければいい、そんな提案を、エレン達にする。
その提案に乗り気の素良に対して、戸惑い気味のエレンだったけど、やがて意を決した様だ。
「分かったよ、遊矢兄ちゃん!おいお前、お前のデュエル、俺が見極めてやるよ!」
「お前じゃなくて素良って名前があるんだけどね、まあ良いや、宜しくね!」
2人はフィールドへと足を踏み入れる。
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「戦いの殿堂に集いしデュエリストが!」
「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これぞデュエルの最強進化系!」
「「アクショーン、デュエル!」」
先攻 Sora LP 4000 VS 後攻 Elen LP 4000
「僕のターン!先攻はドロー無し、と。
まずは『ファーニマル・ドッグ』を召喚!」
ファーニマル・ドッグ
効果モンスター
地属性
天使族
レベル 4
攻撃力 1700
素良のフィールドに最初に登場したのは、背中に天使の羽が生えた犬、ファーニマル・ドッグ。
素良のデッキは確か融合を専門とした『ファーニマル』デッキだったな。
その可愛らしい姿に、観客席にいる柚子達女性陣は何処か和んでいる様子な一方、対峙しているエレンは「お前、キショいなぁ」とこぼしていた。
後になって分かるぜ、ファーニマルの、色んな意味で衝撃的な真の姿が。
「召喚されたファーニマル・ドッグの効果発動!
デッキから『エッジインプ・シザー』を手札に加えるよ!
更に手札の『ファーニマル・シープ』を捨てて魔法『ワン・フォー・ワン』発動!」
ワン・フォー・ワン(制限カード)
通常魔法
1:手札からモンスター1体を墓地へ送って発動出来る。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。
「ワン・フォー・ワンの効果で、デッキから『ファーニマル・ラビット』を守備表示で特殊召喚するよ!」
ファーニマル・ラビット
効果モンスター
地属性
天使族
レベル 1
守備力 1200
続いて登場したのは、背中に天使の羽を生やし、肩にポシェットを下げた兎、ファーニマル・ラビット。
「これで準備は整ったよ!魔法『融合』発動!」
「お前融合モンスターを使うのか?」
「そうだよ、なんか驚いていないみたいだね?僕の所はともかく、こっちでは余り知られていないみたいだから、意外だね」
「まあな。遊勝塾でも結構流行っているし」
「へぇ、ますます楽しみだよ!」
融合
通常魔法
1:自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
此処で出て来るか、ファーニマルの真の姿が。
「手札の『エッジインプ・シザー』と、フィールドの『ファーニマル・ラビット』を融合!
悪魔の爪よ!諸刃の牙よ!今1つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れ出ちゃえ、全てを仕留める孤独の魔獣!『デストーイ・シザー・ウルフ』!」
デストーイ・シザー・ウルフ
融合・効果モンスター
闇属性
悪魔族
レベル 6
攻撃力 2000
「な、何あれ…!」
「う、うわ…!」
「きゃぁぁぁ!」
「お、お前、それキショいを通り越してグロいな…!」
※暫くお待ちください
まあ、その、融合魔法を発動した際に出て来る神秘的な色の渦、其処に素良の手札にあった『エッジインプ・シザー』とファーニマル・ラビットが吸い込まれた後、12歳未満の子供、特に女の子には絶対見せちゃいけない様な光景が広がった後に登場したのは、狼の様な色々ヤヴァイ悪魔、デストーイ・シザー・ウルフ。
そう、ファーニマルの真の姿であるデストーイ、それはグロ的な意味で衝撃的なのだ。
さっきまでファーニマルの可愛らしい姿に和んでいた女性陣はそのグロテスクな光景に顔を真っ青にさせているし(大丈夫か?)、対峙しているエレンも若干引いていた。
そんな周囲の光景を何ら気にする事無く、素良は効果処理を進めて行く。
「僕の墓地の『ファーニマル・シープ』を対象に、融合素材に使ったファーニマル・ラビットの効果発動!
この効果で、『ファーニマル・シープ』を手札に戻し、僕のフィールドにファーニマル・ドッグがいるからそのまま守備表示で特殊召喚するよ!」
ファーニマル・シープ
効果モンスター
地属性
天使族
レベル 2
守備力 800
グロテスクな融合召喚シーンによって雰囲気が凍り付いたフィールドに登場したのは、これまた天使の羽が生えた羊、ファーニマル・シープ。
此処でシープを出したと言う事は、覚悟した方が良いな、色々な意味で。
「僕のフィールドにいるファーニマル・ドッグを手札に戻して、ファーニマル・シープの効果発動!僕の墓地からエッジインプ・シザーを攻撃表示で蘇生するよ!」
エッジインプ・シザー
効果モンスター
闇属性
悪魔族
レベル 3
攻撃力 1200
まだまだ終わらない、と言わんばかりに登場したのは、さっきの惨劇を生み出したハサミの悪魔、エッジインプ・シザー。
「そして再び融合発動!」
「またかよ!?またあのグロいのか!?」
「フィールドのエッジインプ・シザーとファーニマル・シープを融合!
悪魔の爪よ!丈夫な鎧よ!今1つとなりて新たな力と姿を見せよ!融合召喚!現れ出ちゃえ、全てを引き裂く密林の魔獣!『デストーイ・シザー・タイガー』!」
デストーイ・シザー・タイガー
融合・効果モンスター
闇属性
悪魔族
レベル 6
攻撃力 1900→2500
デストーイ・シザー・ウルフ 攻撃力 2000→2600
「も、もう止めて…!」
「あ、あんなに可愛かったあの子達が…!」
「も、もう駄目…!」
※暫くお待ちください
締めと言わんばかりに、さっきのデストーイ・シザー・ウルフと良く似た演出と共に登場したのは、虎の様な色々ヤヴァイ悪魔、デストーイ・シザー・タイガー。
「ターンエンドだよ」
Sora
LP 4000
手札 1(ファーニマル・ドッグ)
モンスター デストーイ・シザー・ウルフ(攻撃表示)
デストーイ・シザー・タイガー(攻撃表示)
魔法・罠カード なし
さて、エレンの今回のデッキは何だ?
「随分と動き回ってくてたなぁ。俺のターン、ドロー!
まずは魔法『テラ・フォーミング』を発動!」
テラ・フォーミング
通常魔法
1:デッキからフィールド魔法カード1枚を手札に加える。
「テラ・フォーミングの効果で、デッキからフィールド魔法『影牢の呪縛』を手札に加えて、そのまま発動するぜ!ちなみにフィールド魔法は、アクションデュエル中は永続魔法扱いだ!」
影牢の呪縛
フィールド魔法(永続魔法扱い)
1:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、『シャドール』モンスターが効果で墓地へ送られる度に、1体につき1つこのカードに魔石カウンターを置く。
2:相手ターン中、相手フィールドのモンスターの攻撃力は、このカードの魔石カウンターの数×100ダウンする。
3:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分が『シャドール』融合モンスターを融合召喚する度に1度、このカードの魔石カウンターを3つ取り除き、相手フィールドの表側表示モンスター1体を融合素材に出来る。
今回のエレンのデッキは『シャドール』か。
片方はシャドールモンスター、もう片方は各属性モンスターと緩い融合素材、効果で墓地に送られた時に発動される効果、何より影牢の呪縛によって相手を融合素材に出来たり、影依融合によってデッキから融合が出来たり等の其々のカードパワー、これらが無茶苦茶なシナジーを発揮し、アニメARC-Vが放送され始めた頃に登場して以後環境を支配した。
今では光属性担当の『エルシャドール・ネフィリム』が禁止、各種キーカードが軒並み制限化と、一時の勢いは鈍ってしまったが、それでも使いこなせば強烈なのは間違い無い。
後エレン、さっきの光景でびっくりするのは分かるが、噛んでいるぞ。
「更に魔法『手札抹殺』発動!」
手札抹殺(制限カード)
通常魔法
お互いの手札を全て捨て、其々自分のデッキから捨てた枚数分のカードをドローする。
「此処で手札抹殺!?くっ僕の手札は1枚だから1枚捨てて、1枚ドロー!」
「俺の手札は4枚だから4枚捨てて、4枚ドロー!この時、墓地に送ったのは全てシャドールモンスターだから、影牢の呪縛に4つ魔石カウンターが乗るぜ!」
影牢の呪縛 魔石カウンター 0→4
残っていた4枚ともシャドールモンスターとか、手札抹殺が無かったら事故だぞ。
ともかく始まるぞ、シャドール劇場が…!
「手札抹殺の効果で墓地に送られた『シャドール・ビースト』の効果発動!それにチェーンして『シャドール・リザード』の効果発動!更にチェーンして『シャドール・ヘッジホッグ』の効果発動!まだまだぁ!チェーンして『シャドール・ファルコン』の効果発動!」
「ど、どんだけ墓地でチェーンを組むのさ!?」
「これがシャドールの力だぜ!
まずはファルコンの効果で、コイツを裏側守備表示で特殊召喚するぜ!
次にヘッジホッグの効果で、デッキから『シャドール・ドラゴン』を手札に加えるぜ!
更にリザードの効果で、デッキから『シャドール・ハウンド』を墓地に落とし、影牢の呪縛に1つ魔石カウンターが乗るぜ!
最後にビーストの効果で、ドロー!
この後、リザードの効果で墓地に落としたハウンドの効果も使えるけど、今回は使わないぜ」
影牢の呪縛 魔石カウンター 4→5
「更に魔法『
影依融合
通常魔法
『影依融合』は1ターンに1枚しか発動出来ない。
1:自分の手札・フィールドから『シャドール』融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。エクストラデッキから特殊召喚されたモンスターが相手フィールドに存在する場合、自分のデッキのモンスターも融合素材とする事が出来る。
「影依融合の効果で、お前のフィールドにエクストラデッキから出したモンスターが存在するから、まずデッキから『シャドール・ビースト』と…
此処で影牢の呪縛の魔石カウンターを3つ取り除いて、お前のフィールドにいる闇属性モンスター、デストーイ・シザー・タイガーを融合する!」
「な、なんだって!?」
影牢の呪縛 魔石カウンター 5→2→3
エレンの宣言に素良がびっくりする間もなく、エレンの背後に現れた、これまでの融合とは違いどす黒い渦から射出された無数の糸が、素良のフィールドにいたデストーイ・シザー・タイガーと、デッキから『シャドール・ビースト』のカードを捉え、渦に引きずり込み、
「闇を司る人形の怨念が、外敵の侵入を食い止めるぜ!融合召喚!『エルシャドール・ミドラーシュ』!」
エルシャドール・ミドラーシュ
融合・効果モンスター
闇属性
魔法使い族
レベル 5
攻撃力 2200
そこから登場したのは、端末世界の勢力である『ガスタ』に属する巫女ウィンダと酷似した、ドラゴンに乗る人形の少女『エルシャドール・ミドラーシュ』。
強烈な個性を持つシャドール融合モンスターの中でも、効果破壊耐性、存在する限り1ターンに1度に特殊召喚が制限されるルール介入効果、墓地送りになった時に『シャドール』魔法・罠カードをサルベージする効果、と、もう頭がおかしいと言うしかない羅列で、これによって猛威を振るい、一時は制限カード入りした。
「更に速攻魔法『
「くっこれ以上奪わせないよ!それにチェーンしてデストーイ・シザー・ウルフを対象にアクションマジック『キャンディ・コート』発動!」
神の写し身との接触(制限カード)
速攻魔法
『神の写し身との接触』は1ターンに1枚しか発動出来ない。
1:自分の手札・フィールドから『シャドール』融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
キャンディ・コート
アクションマジック
1:自分フィールドのモンスター1体を対象として発動出来る。このターン、そのモンスターは相手の魔法・罠カードの対象にならず、戦闘では破壊されない。
お、此処でキャンディ・コートか。
今更だが今回のアクションフィールドは、マドルチェの住民が住んで良そうなお菓子だらけのフィールド『スウィーツ・アイランド』、今しがた素良がゲットしたキャンディ・コート等のお菓子に因んだアクションカードが多く、そしてその効果はキャンディ・コート等、強烈な物も少なくない。
が、
「キャンディ・コートの効果でこのターン、デストーイ・シザー・ウルフは対象にならない!これで影牢の呪縛で取られる事は「おいおい、融合使いの癖して何勘違いしてやがんだ?」え?」
「影牢の呪縛、その3つ目の効果は、融合の際に相手フィールドの表側表示モンスター1体を融合素材にしても良いという効果!そして融合素材に選ぶのは対象に取る事にならないんだぜ!」
「し、しまった!」
「神の写し身との接触の効果で、俺のフィールドにいるシャドール・ファルコンと、此処で影牢の呪縛の魔石カウンターを3つ取り除いて、お前の場にいる闇属性モンスター、デストーイ・シザー・ウルフを融合するぜ!
再び現れろ!融合召喚!エルシャドール・ミドラーシュ!」
影牢の呪縛 魔石カウンター 3→0→1
エレンのシャドール達の前には無力だったな。
「バトルフェイズに入るぜ!2体のミドラーシュでダイレクトアタック!
フォール・ダウンバースト、二連打ァ!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
Sora LP 4000→1800→-400 LOSE
WINNER Elen