【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
「…と、まあコイツが俺に融合召喚を教えてくれた昔なじみだ。効果処理を挟む必要があるから『神の宣告』とか『魔宮の賄賂』とかに妨害される可能性こそあるが、逆に言えば『昇天の黒角笛』や『神の通告』など怖くない。必要なパーツこそ多く、その指定も厳しい物が多いが、合計レベルを合わせる必要が無いし、チューナーも必要ない、というかフィールドに揃える必要すらも無い。シンクロ召喚にもシンクロ召喚の良い所が有るが、この融合召喚も中々良い物だな。このアイデアを生み出した奴は良い仕事したな」
そう、ジャックとクロウが過去に此処で行ったデュエルの記録映像を止めながら話したシュドナイさん。
その姿からはアカデミアのデュエリストの様な、融合召喚を過剰に賛美する様子も無ければ、シンクロ召喚に肩入れした様子もない。
これにはこれ、それにはそれの利点がある、と言った様子だ。
この人も「分かっている」な、デュエルモンスターズのあるべき姿を。
そして柚子に対し殆ど何もさせなかったプレイング、凄いな、シンクロ次元のトップクラスの実力は。
「さて、他にデュエルを受けてくれる奴はいるか?」
「そしたら、俺が行きますよ!」
そんな人の誘いを受けないのは、デュエル出来るチャンスを活かさないのは損だ!
------------
「「デュエル!」」
先攻 Yuya LP 4000 VS 後攻 Sydonay LP 4000
さて、俺の初手は、お、最高な感じだ!
「俺のターン!先攻はドロー無し!
まずはライフを半分払って『ヒーローアライブ』発動!」
ヒーローアライブ
通常魔法
1:自分フィールドに表側表示モンスターが存在しない場合、LPを半分払って発動出来る。デッキからレベル4以下の『
Yuya LP 4000→2000
「ヒーローアライブの効果で、デッキから『E・HEROシャドー・ミスト』を守備表示で特殊召喚!」
E・HEROシャドー・ミスト(制限カード)
効果モンスター
闇属性
戦士族
レベル 4
守備力 1500
ヒーローアライブの効果で俺の場に登場したのは、黒ずくめと言って良い姿のヒーロー、シャドー・ミスト。
ステータス的には正直貧弱その物だけど、その効果は制限入りになる程の物だ。
「特殊召喚したシャドー・ミストの効果発動!
デッキから速攻魔法『フォーム・チェンジ』を手札に加えます!
次に『E・HEROエアーマン』を召喚!」
E・HEROエアーマン(制限カード)
効果モンスター
風属性
戦士族
レベル 4
攻撃力 1800
次に出て来たのは、プロペラを組み込んだ翼を持つヒーロー、エアーマン。
あ、『遊戯王GXの世界』で十代としてアカデミアにいた頃の友達だった三沢の事じゃ無いし、某アクションゲームの倒せない事を嘆いた歌で有名なボスキャラでも無いからな。
コイツもその効果で制限入りしているんだが、よりによって何でメインデッキに入るE・HEROでは手薄な属性のコイツらばっかり制限入りするんだよ、特に闇属性は他に上級モンスターのネクロダークマンしかいないってのに、お蔭でエスクリダオが出しにくいのなんのって…
「召喚したエアーマンの効果発動!
デッキから『E・HEROバブルマン』を手札に加えます!
続いて手札の『E・HEROキャプテン・ゴールド』を捨てて効果発動!
デッキから『摩天楼―スカイスクレイパー―』を手札に加えてそのまま発動!」
摩天楼―スカイスクレイパー―
フィールド魔法
『E・HERO』と名の付くモンスターが攻撃する時、攻撃モンスターの攻撃力が攻撃対象モンスターの攻撃力よりも低い場合、攻撃モンスターの攻撃力はダメージ計算時のみ1000ポイントアップする。
俺がフィールド魔法を発動すると、デュエルテーブルの俺側半分が、高層ビルが立ち並ぶ大都市へと変化した。
へぇ、テーブルデュエルだとこんな感じで映し出されるんだな。
「カードを3枚セットして…
手札がコイツ1枚のみになった事から、さっき手札に加えた『E・HEROバブルマン』を守備表示で特殊召喚してターンエンド!」
E・HEROバブルマン
効果モンスター
水属性
戦士族
レベル 4
守備力 1200
Yuya
LP 2000
手札 0
モンスター E・HEROシャドー・ミスト(守備表示)
E・HEROエアーマン(攻撃表示)
E・HEROバブルマン(守備表示)
魔法・罠カード セット×3(うち1枚は『フォーム・チェンジ』)
フィールド魔法 摩天楼―スカイスクレイパー―
そして、魔法・罠カードゾーンにカードを並べ、泡を発射する銃を武器としたヒーロー、バブルマン(コイツも某アクションゲームのボスキャラじゃないからな)、を自らの効果で特殊召喚し、俺はターンを終えた。
「随分とサーチ効果を乱発し、並べた物だな。とても初手とは思えない。
なら俺も行かせて貰う。俺のターン、ドロー」
「スタンバイフェイズに速攻魔法『マスク・チェンジ』発動!対象はシャドー・ミスト!」
マスク・チェンジ
速攻魔法
1:自分フィールドの『HERO』モンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターを墓地へ送り、そのモンスターと同じ属性の『
「マスク・チェンジの効果で、シャドー・ミスト、変身召喚だ!」
「何、変身召喚だと?」
「闇の正義を司る仮面の力で、裁きの刃を振るえ!変身召喚!『M・HEROダーク・ロウ』!
Crash the invader!」
「…それ何処のメンヘラ仮面ライダーだ?」
M・HEROダーク・ロウ
融合・効果モンスター
闇属性
戦士族
レベル 6
攻撃力 2400
シュドナイさんの突っ込みを他所に登場したのは、正義を司るとか言いながら、悪魔を思わせる仮面を纏ったヒーロー、ダーク・ロウ。
その効果は、とその前に、
「墓地へ送られたシャドー・ミストの効果発動。
デッキから『E・HEROブレイズマン』を手札に加えます。
そうそう、ダーク・ロウが場にいる限り、貴方の墓地へ送られるカードは、墓地へは行かずに除外されますので、気を付けて下さい」
「何?つまりは俺だけ『マクロコスモス』が適用されている、と言う事か?これは厄介だな…」
そう、シュドナイさんが言った通り「相手だけマクロコスモス」、そんな効果をダーク・ロウは持っている。
しかもヒーローアライブからシャドー・ミスト、という流れだけで出せるという手軽さを併せ持っている、ぶっちゃけシャドー・ミストの制限入りの原因はこの流れじゃねぇか?
「となると…
まずは『破壊剣士の伴竜』を召喚!」
破壊剣士の伴竜
効果モンスター/チューナー
光属性
ドラゴン族
レベル 1
攻撃力 400
「召喚した伴竜の効果発動!効果説明はさっき其処のお嬢さんとのデュエルでもしたから省くな」
ああ知っている、『破壊剣』カードをサーチ出来るんだよな、だったら、
「ならそれにチェーンして、さっき手札に加えたブレイズマンを捨ててこの速攻魔法を発動!」
「お、来た来た!遊矢兄ちゃんの切り札!」
「絶対無敵!究極の力を解き放て!解放しろ!『超融合』!」
超融合(制限カード)
速攻魔法
このカードの発動に対して魔法・罠・モンスターの効果は発動出来ない。
1:手札を1枚捨てて発動出来る。自分・相手フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。
「超融合は、自分及び相手フィールドのモンスターを素材にして、融合召喚を行います。簡単に言えば、手札コストが付いて、自分の手札から融合素材を出せなくした代わりに出せる融合モンスターの制限がほぼ無くなった『破壊剣士融合』ですね」
「これはヤバいな、ならそれにチェーンして速攻魔法『破壊剣士融合』発d(ビーッ!ビーッ!)何だ、この警告音は?」
「無駄です、超融合の発動に対して魔法・罠・モンスターの効果は発動出来ません。例えそれがカウンター罠だとしても、封じ込めます」
「何!?」
俺の説明に、驚愕した様子のシュドナイさん、あの様子からして後続が出せ無さそうか?
「俺はエアーマンと、シュドナイさんの伴竜を融合召喚!
光を司るヒーローよ!その太陽の如き光で、全てを浄化せよ!融合召喚!『E・HERO Theシャイニング』!」
E・HERO Theシャイニング
融合・効果モンスター
光属性
戦士族
レベル 8
攻撃力 2600
融合召喚の演出と共に現れたのは、背中に太陽を模した輪みたいな物が付いたヒーロー、シャイニング。
「くっ!だが伴竜の効果処理はさせて貰う!
デッキから『破壊剣一閃』を手札に(ザシュゥ!)なっ!?」
尚も諦めないと言わんばかりに伴竜の効果処理を終えたシュドナイさん、だが次の瞬間、手札のうちの1枚がダーク・ロウによって真っ二つに切り裂かれた。
「その時、ダーク・ロウの『2つ目』の効果発動!
相手がドローフェイズ以外でデッキからカードを手札に加えた場合、その手札からランダムに1枚選んで除外します!」
「よりによってそれで『破壊剣士融合』を飛ばされるとはな…!」
うぉ、此処でそれをハンデス出来たか、これは良い引きだったかな?
「仕方ねぇ、カードを2枚セットしてターンエンドだ!」
「ならエンドフェイズに、速攻魔法『フォーム・チェンジ』発動!対象はさっき融合召喚したシャイニング!」
フォーム・チェンジ
速攻魔法
1:自分フィールドの『HERO』融合モンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターをエクストラデッキへ戻し、そのモンスターの元々のレベルと同じレベルでカード名が異なる『M・HERO』モンスター1体を、『マスク・チェンジ』による特殊召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
このタイミングで出すのは、アイツだ!
「フォーム・チェンジの効果で、シャイニング、変身召喚だ!
酸を司る仮面の力で、あらゆる障害を溶かしつくせ!変身召喚!『M・HEROアシッド』!
Fight power!Fight power!Fight!Fight!Fight!Fight!FFFFFight!」
「…今度は何処のマッドサイエンティスト仮面ライダーだ(シュゥゥゥゥゥ…!)な、俺がセットしたカードが、本当に溶けている…!?」
シャイニングが変身して登場したのは、某『怒りの王子』の様な仮面を纏ったヒーロー、アシッド。
その登場にシュドナイさんが突っ込んだ事に反応したかどうかは分からないが、右手に持っていた拳銃型の武器でシュドナイさんの魔法・罠カードを溶かしていった。
無論これは、
「特殊召喚したアシッドの効果発動!相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊します!本来なら追加効果で、相手フィールド上の全モンスターの攻撃力を300ポイントダウンさせるのですが、今は関係ないですね」
「事実上フリーチェーンで使える『ハーピィの羽根帚』って事か…
今度こそターンエンドだ…」
Sydonay
LP 4000
手札 3
モンスター なし
魔法・罠カード なし
よし、これで俺のフィールドにはダーク・ロウとアシッド、序にバブルマンがいる。
手札誘発の危険こそ無くは無いが、このまま突っ込んでも大丈夫だろう。
「よし、俺のターン!ドロー!
このままバトルフェイズに入ってダーク・ロウとアシッドで攻撃!ダブルアタック!」
「うぉぉぉぉぉぉぉ!」
Sydonay LP 4000→1600→-1000 LOSE
WINNER Yuya
------------
「いやぁ、負けた負けた。お前さん、年端も行かねぇって感じだろうに、強いな。まさか先攻2ターンで仕留められるとは思わなかった」
「いや、あれは俺の運も味方したからこそです。初手が良かったし、ダーク・ロウの効果でハンデスしたのが『破壊剣士融合』だったのも大きかった。シュドナイさん、手札に素材を握っていたでしょ?」
「ははは、バレたか。当たりだ、あの時握っていた残り3枚の手札は、バスター・ブレイダーとドラゴンバスターブレード、後はアームズバスターブレードだ。だが、それを引き当てるのも実力って奴だ、お前さん、本当に強いな」
デュエルが終わり、俺とシュドナイさんは、互いの健闘をたたえ合い、
「ともかくありがとうな、デュエルの誘いを受けてくれて。最近じゃあ中々乗ってくれる奴がいないし、いるとしても骨のある奴がいない、旧知の奴は今忙しい様子で、デッキを持て余していた所なんだ」
「こちらこそ、ありがとうございます!」
握手を交わした、ら、
「ん…?
お前さん、その痣は一体?」
「へ?ああ、これですか?生まれつき付いている痣です」
俺の右手に刻まれた赤き龍、その頭を模した痣を見たシュドナイさんが、何か驚いた様な様子を見せた。
この反応、更に『俺の知っているジャック』と旧知の間柄、まさか…?
「悪い、少し場を空ける」
そう断りながらシュドナイさんは、店の奥に入って行った。
このシュドナイさんの行動が、この後の俺達ランサーズの運命を大きく動かす…!
「ジャックか?俺だ、シュドナイだ。唐突で悪いが、お前達に会わせたい奴がいるんだ。お前とクロウの右手に刻まれているのと関連のありそうな痣を持った少年なんだが…」