【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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55話_少女の覚悟~女王の風格~

「最初は私ね。宜しく頼むわ、柚子」

「はい、宜しくお願いします、明日香さん!」

 

私の夢の中で始まった、私と、遊矢の其々の前世で一生を共にした人達とユベルとのデュエル、最初の相手は、『遊戯王GXの世界』での遊矢と一緒にいた天上院明日香さん。

間近で対峙すると改めて思うんだけど、染めている様には見えない自然な色合いの金髪といい、グラビアアイドルとして活躍出来そうな抜群のプロポーションといい、本当に日本人なのかな…

明日香さんの兄である天上院吹雪さんは確か黒髪だったよね、だとしたら染めているのかな…?

え、だったらピンク髪の私とか、トマトみたいな髪型の遊矢はどうなんだって?そ、それは言わない約束で(汗)

 

「「デュエル!」」

 

先攻 Asuka LP 4000 VS 後攻 Yuzu LP 4000

 

「先攻は私の様ね。

まずは魔法『予想GUY』発動!」

 

予想GUY

通常魔法

1:自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動出来る。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する。

 

「予想GUYの効果で、デッキから『ブレード・スケーター』を守備表示で特殊召喚!」

 

ブレード・スケーター

通常モンスター

地属性

戦士族

レベル 4

守備力 1500

 

明日香さんの先攻で始まったこのデュエル、その明日香さんが初手で発動した予想GUYで出て来たのは、両腕に刃を装着したフィギュアスケーターの様な女戦士、ブレード・スケーター。

私のデッキに入っている『独奏の第1楽章』もそうだけど、条件付きとはいえ好きなモンスターを好きなタイミングでリクルート出来るカードってかなり強いと思う。

美琴もこれを起点にマグネット・バルキリオンを出してくるし、私自身『独奏の第1楽章』はキーカードと言っても過言じゃ無い。

明日香さんが今出したブレード・スケーターも、ステータスこそパッとし無さそうだけど、だからこそ何かある筈…

 

「次に『融合呪印生物―地』を召喚!」

 

融合呪印生物―地

効果モンスター

地属性

岩石族

レベル 4

攻撃力 1000

 

次に出て来たのは、何か岩みたいな物体を色んな所から生やした球体。

確か融合呪印生物シリーズって、名前を指定した融合素材モンスターの代わりになれる共通効果を持っていたっけ(一応光属性の物もあるけど、私の『幻奏』融合モンスターはどれもカテゴリしか指定していないから使えないのよね…)。

となると明日香さんのデッキは融合召喚が主軸なのかな…?

 

「今出した融合呪印生物―地の効果を発動するわ!

このカードと、ブレード・スケーターをリリースし、現れなさい!『サイバー・ブレイダー』!」

 

サイバー・ブレイダー

融合・効果モンスター

地属性

戦士族

レベル 7

攻撃力 2100

 

そんな私の予想に応える様に明日香さんが効果を発動すると、融合呪印生物がスライムの様に変形を始め、その過程でブレード・スケーターを取り込み、その身を、太腿まで届くほどの長髪が特徴的なフィギュアスケーターの様な女戦士、サイバー・ブレイダーへと変えた。

なんか今の演出、ちょっと気持ち悪い感が…

 

「カードを3枚セットして、ターンエンドよ」

 

Asuka

LP 4000

手札 0

モンスター サイバー・ブレイダー(攻撃表示)

魔法・罠カード セット×3

 

うわ、初手でガン伏せ…

こういう時『ハーピィの羽根帚』を打ちたいけど、エレンの『アーティファクト』の様に破壊させる為にセットした可能性もあるし、『神の宣告』とかで防がれる可能性もあるけど…

まあ良いわ、引いてから考える!

 

「私のターン、ドロー!」

 

ハーピィの羽根帚は無い、けど此処は臆さずに動く!

 

「まずは魔法『独奏の第1楽章』発動!」

 

独奏の第1楽章

通常魔法

『独奏の第1楽章』は1ターンに1枚しか発動出来ず、このカードを発動するターン、自分は『幻奏』モンスターしか特殊召喚出来ない。

1:自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動出来る。手札・デッキからレベル4以下の『幻奏』モンスター1体を特殊召喚する。

 

「独奏の第1楽章の効果で、デッキから『幻奏の音女セレナ』を守備表示で特殊召喚!」

 

幻奏の音女セレナ

効果モンスター

光属性

天使族

レベル 4

守備力 1900

 

今更だけど『融合次元の私』ことセレナと、このカードは全く関係ないからね、髪色とか違うし。

 

「貴方のフィールドにモンスターが1体存在する事で、サイバー・ブレイダーは戦闘では破壊されないわ!パ・ド・ドゥ!」

 

と、誰とも分からない存在に突っ込んでいると、明日香さんの場にいるサイバー・ブレイダーが緑色のオーラを纏い出した。

今の明日香さんの口振りからして、サイバー・ブレイダーは私のフィールドにいるモンスターの数によって発揮する効果が違うみたいね…

 

「次に、セレナをリリースしてアドバンス召喚!天上に響く妙なる調べよ、眠れる天才を呼び覚ませ!出でよ、レベル8!『幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト』!」

「リリース1体でレベル8モンスターを?ああ成る程、セレナはダブルコストモンスターなのね」

 

幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト

効果モンスター

光属性

天使族

レベル 8

攻撃力 2600

 

そういえば言い忘れたわ、セレナが天使族モンスターに対応したダブルコストモンスターだという事。

このまま攻め込んで、サイバー・ブレイダーの更なる効果を発揮させる前に倒したいけど、私のフィールドにいるモンスターは未だに1体、よってサイバー・ブレイダーを戦闘破壊出来ないし、破壊効果を持つカードは私のデッキに無い、となれば動く!

 

「今召喚したプロディジー・モーツァルトの効果発動!

手札から『幻奏の音女タムタム』を守備表示で特殊召喚!」

 

幻奏の音女タムタム

効果モンスター

光属性

天使族

レベル 4

守備力 2000

 

サイバー・ブレイダー 攻撃力 2100→4200

 

え、攻撃力4200!?何時の間に!?

 

「貴方のフィールドにモンスターが2体存在する事で、サイバー・ブレイダーの攻撃力は倍になるわ!パ・ド・トロワ!」

 

2体だとそんな効果なの!?

プロディジー・モーツァルトの効果で手札のタムタムを特殊召喚した瞬間、サイバー・ブレイダーのオーラが赤色に変色し、同時に攻撃力の表記が倍になった事にびっくりした。

まさか『巨大化』を内蔵しているなんて思わなかったわ、だけど!

 

「特殊召喚に成功したタムタムの効果発動!

私のフィールドに幻奏モンスターがいる状態で特殊召喚した事で、デッキから『融合』を手札に」

「おっと、その効果にチェーンして罠『ギブ&テイク』発動よ!」

 

ギブ&テイク

通常罠

自分の墓地に存在するモンスター1体を相手フィールド上に守備表示で特殊召喚し、そのレベルの数だけ自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体のレベルをエンドフェイズ時まで上げる。

 

ギブ&テイク?

確か『リビングデッドの呼び声』の逆バージョンじゃなかったっけ?何でそんなカードを?

 

「ギブ&テイクの効果で、貴方のフィールドにブレード・スケーターを守備表示で蘇生し、サイバー・ブレイダーのレベルを11にするわ!」

「なら改めてタムタムの効果でデッキから『融合』を…

 

あ、あれ?タムタムの効果が無効になっている!?」

 

明日香さんが発動したカードに驚きつつ効果処理を進めようとしたその時だった、タムタムの効果が無効になっていて、デッキから『融合』をサーチする事が出来なくなってしまった。

いや、タムタムだけでは無い、私のフィールドにいるモンスター全ての効果が、無効になっている…

一体、どうして…!?

 

サイバー・ブレイダー レベル 7→11

           攻撃力 4200→2100

 

「貴方のフィールドにモンスターが3体存在する事で、貴方のカードの効果は全て無効になるわ!パ・ド・カトル!」

「なっ!?」

 

な、何そのインチキ効果!?

良く見るとサイバー・ブレイダーのオーラは青色に変色していて、それにあてられたのか私のフィールドにいるモンスター達がやや青み掛かっていた。

この効果を発揮する為にギブ&テイクなんてカードを入れていたという事ね、してやられたわ…

だけどサイバー・ブレイダーの攻撃力は2100に戻っているし、戦闘破壊耐性も無い。

私のフィールドに、サイバー・ブレイダーを超えられる攻撃力(2600)を持ったプロディジー・モーツァルトがいる今なら行ける!

 

「バトルフェイズに入ります!プロディジー・モーツァルトでサイバー・ブレイダーを攻撃!」

「掛かったわね!罠『破壊輪』発動!」

 

破壊輪(制限カード)

通常罠

『破壊輪』は1ターンに1枚しか発動出来ない。

1:相手ターンに、相手のLPの数値以下の攻撃力を持つ相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動出来る。その表側表示モンスターを破壊し、自分はそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを受ける。その後、自分が受けたダメージと同じ数値分のダメージを相手に与える。

 

し、しまった!破壊輪までセットしていたなんて…!

 

「破壊輪の効果で、貴方のフィールドにいるブレード・スケーターを破壊して、1400のバーンダメージよ!(ドガァァァァン!)くっ…!」

「きゃぁぁぁぁぁぁ!」

 

Asuka LP 4000→2600

Yuzu LP 4000→2600

 

私の攻撃宣言に合わせて明日香さんが発動した破壊輪、それは、私のフィールドに登場していたブレード・スケーターの首に巻き付き、爆破した。

これで互いに少なくないバーンダメージを喰らった、だけじゃない。

今の私のフィールドには、たった今攻撃宣言したプロディジー・モーツァルトを含めて2体のモンスター、つまりサイバー・ブレイダーの攻撃力は4200へと上昇している。

そして此処が重要で、モンスターの数が変化したのは『ターンプレイヤーの、私のフィールド』、この場合は攻撃宣言の巻き戻しが出来ない。

つまり、

 

「貴方のフィールドのモンスターは2体!よってサイバー・ブレイダーの攻撃力は倍になるわ!パ・ド・トロワ!

返り討ちにしなさい、サイバー・ブレイダー!グリッサード・スラッシュ!」

「きゃぁぁぁぁぁ!」

 

サイバー・ブレイダー 攻撃力 2100→4200 VS 幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト 攻撃力 2600

 

Yuzu LP 2600→1000

 

サイバー・ブレイダー 攻撃力 4200→2100

 

オーラが赤に変色したサイバー・ブレイダーの飛び回し蹴りを防ぐ術は無く、プロディジー・モーツァルトがやられたばかりか、私も多大なダメージを負ってしまった。

う、上手い…

明日香さん、物凄く上手い、流石に『アカデミアの女王』と騒がれていただけの事はあるわ…!

けど、私だって負けていられない、遊矢の側で支える為にも、遊矢の帰る場所になる為にも!

 

「なら、カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

Yuzu

LP 1000

手札 2

モンスター 幻奏の音女タムタム(守備表示)

魔法・罠カード セット

 

「私のターン、ドロー!

…このターンでの決着は無理そうね、まあ良いわ、このままバトルフェイズに入るわ!

サイバー・ブレイダーでタムタムを攻撃!グリッサード・スラッシュ!」

「タムタム!くっ…!」

 

サイバー・ブレイダー 攻撃力 2100 VS 幻奏の音女タムタム 守備力 2000

 

「カードを1枚セットしてターンエンドよ」

 

Asuka

LP 2600

手札 0

モンスター サイバー・ブレイダー(攻撃表示)

魔法・罠カード セット×2

 

サイバー・ブレイダーの攻撃によってタムタムがいなくなり、これで私のフィールドからモンスターはいなくなった。

それは裏を返せば、サイバー・ブレイダーが何の効果も持たない攻撃力2100モンスターとなったという事だけど、どの道私のデッキは、モンスターを出していかないと勝てない。

かと言って、余り出し過ぎるとサイバー・ブレイダーの効果を発動させちゃう、そして明日香さんのフィールドにある2枚のセットカード、あの中にもしかしたらギブ&テイクがあるかも分からない。

だからと言って躊躇したら勝てるデュエルも勝てない、そんな心構えじゃ、遊矢の側に立つ資格なんて無いわ!

 

「私のターン!ドロー!」

 

よし、これなら!

 

「私は今引いた魔法『ハーピィの羽根帚』を発動!」

「なっ此処で羽根帚!?させないわ、カウンター罠『神の宣告』発動!」

 

ハーピィの羽根帚(制限カード)

通常魔法

1:相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

神の宣告(制限カード)

カウンター罠

1:LPを半分払って以下の効果を発動出来る。

●魔法・罠カードが発動した時に発動出来る。その発動を無効にし破壊する。

●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動出来る。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。

 

Asuka LP 2600→1300

 

「神の宣告の効果で、ハーピィの羽根帚を無効にするわ!」

「くっ!まさか最初のターンにセットしたカードの最後の1枚が神宣だったなんて…」

 

いや、逆に考えるのよ、これで明日香さんのLPは1300、これなら…!

 

「なら次はセットしていた魔法『死者蘇生』発動!」

「死者蘇生をセットしていたの!?随分とハイリスクなブラフね…」

 

死者蘇生(制限カード)

通常魔法

1:自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

明日香さんの言う通り、制限カードである死者蘇生をブラフとしてセットするのはかなりリスクが高い、もし明日香さんが除去カードを引いていたら躊躇なく破壊され、このターンで行う筈のプレイングが出来なくなっちゃうからね。

でもカードを1枚もセットせずに、もし明日香さんが攻撃力1000以上のモンスターを引かれていたら確実に負けていた、なら躊躇はしないわ!

 

「死者蘇生の効果で、プロディジー・モーツァルトを蘇生!

続いて、今蘇生したプロディジー・モーツァルトの効果発動!

手札から『幻奏の歌姫ソプラノ』を攻撃表示で特殊召喚!」

 

幻奏の歌姫ソプラノ

効果モンスター

光属性

天使族

レベル 4

攻撃力 1400

 

サイバー・ブレイダー 攻撃力 2100→4200

 

プロディジー・モーツァルトの効果によって登場したのは、目の部分を覆った赤毛の歌姫、ソプラノ。

これで、私のフィールドにはモンスターが2体、サイバー・ブレイダーの攻撃力は4200になった。

 

「特殊召喚したソプラノの効果発動!

墓地にあるタムタムを手札に加えます!」

 

此処でセットカードを使わない、いや、使うのをためらわざるを得ないって感じ、かな…?

此処でギブ&テイクを使って私のフィールドにいるモンスターの数を3体にし、ソプラノの効果を無効にする事も出来るけど、そうなると明日香さんのセットカードはもう無い、プロディジー・モーツァルトの攻撃でサイバー・ブレイダーは終わり、その後ソプラノのダイレクトアタックを受けて私の勝ちになっちゃうからね。

 

「よし、これで決めます!

ソプラノの効果発動!

私のフィールドにいる、ソプラノ自身と、プロディジー・モーツァルトを融合!

天使のさえずりよ!至高の天才よ!タクトの導きにより力重ねよ!融合召喚、今こそ舞台に勝利の歌を!『幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ』!」

「融合召喚!やっぱり使って来たわね…」

 

幻奏の華歌聖ブルーム・ディーヴァ

融合・効果モンスター

光属性

天使族

レベル 6

攻撃力 1000

 

サイバー・ブレイダー 攻撃力 4200→2100

 

これで今の私のフィールドには、ソプラノの歌声によって引き起こされた融合召喚の演出と共に登場したブルーム・ディーヴァ1体のみ、サイバー・ブレイダーは破壊耐性を得た、けど!

 

「このままバトルフェイズに入ります!ブルーム・ディーヴァでサイバー・ブレイダーを攻撃!」

「なっ!?此処で自爆特攻!?」

「いいえ、これこそ勝利への布石です!

ブルーム・ディーヴァは戦闘・効果では破壊されず、戦闘によって発生する私へのダメージは0になります!

更にブルーム・ディーヴァの効果発動!ブルーム・ディーヴァが特殊召喚されたモンスターと戦闘を行った場合、ダメージ計算後にその元々の攻撃力の差の数だけダメージを貴方に与え、相手モンスターを破壊します!リフレクト・シャウト!」

「なっ!?きゃぁ!」

 

Asuka LP 1300→200

 

よし、これでトドメよ!

 

「これで最後です!速攻魔法『融合解除』発動!」

「融合解除まで…

これはやられたわね…」

 

融合解除

速攻魔法

フィールド上の融合モンスター1体を選択してエクストラデッキに戻す。更に、エクストラデッキに戻したそのモンスターの融合召喚に使用した融合素材モンスター1組が自分の墓地に揃っていれば、その1組を特殊召喚出来る。

 

「融合解除の効果でブルーム・ディーヴァをエクストラデッキに戻し、舞い戻りなさい!ソプラノ!プロディジー・モーツァルト!

そしてプロディジー・モーツァルトでダイレクトアタック!グレイスフル・ウェーブ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

Asuka LP 200→-2400 LOSE

 

WINNER Yuzu

 

よし、これでまずは1勝よ!


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