【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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41話_PHANTOM MINDS、空想

『舞網チャンピオンシップ、ジュニアクラスも残すは、この決勝戦のみとなりました!これまで様々な激闘が繰り広げられたこの大会、その最後に相応しい2名を今、此処にお呼び致しましょう!』

 

いやぁ、この光景は去年も見たけど、やっぱあと少しで優勝に手が届くとなると緊張して来るなぁ。

ましてや今回の相手はアユ、互いにデッキ構成とかプレイングは知っている間柄だから、勝負は正にその時々の運が左右すると言っても過言じゃ無い。

 

『まずは1人目!ディフェンディングチャンピオンが再びこの決勝の地へ舞い降りた!連覇と言う夢まであと1勝!その勝利を、可能性の竜と共に掴めるか!

(ぷしゅぅぅぅぅぅぅぅぅ!)

エレェェェェェェェェェン!アヴェニィィィィィィィル!』

『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』

『エレンきゅーん!頑張ってぇ!』

「エレン、此処まで着たら全力で勝ちに行きなさい!」

 

俺を呼ぶMCの声と共に炭酸ガスのジェットスモークが、俺がスタンバイしている出入り口から吹き出し、それが晴れた後に俺はフィールドへと入って行った。

然し母さんはまあ当然とは言え、全体的に女性の声援が多いな。

 

『続いて2人目!エレン選手が所属する遊勝塾のプリンセスが、エレン選手の連覇に待ったをかける!その勝利を、方舟の騎士に「しまっちゃう」のか!

(ぷしゅぅぅぅぅぅぅぅぅ!)

鮎川ァァァァァァァァァァ!アユゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!』

『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!』

『アユたぁん!ファイトォ!』

「頑張ってねアユ!」

「今のアユは一段と輝いて見えるぞ!」

 

アユも同様に、MCの呼び出しと共に炭酸ガスのジェットスモークが出て、それが晴れた後にフィールドへと入って来た。

今度は(アユの両親もそうだが)男性の声が多いな、てか俺の「きゅん」呼びもそうだがアユの「たん」呼びェ…

 

「行くぜアユ!お前に勝って兄ちゃんの様に連覇して見せる!」

「させないよエレン!エレンに勝って、優勝カップを持つんだから!」

『両者気合十分の様です!それでは始めましょう!ランダムセレクト!アクションフィールド、オン!『未来都市ハートランド』!』

 

って此処遊矢兄ちゃんが九十九遊馬だった頃に住んでいた街と同じ名前じゃねぇか!なんであんの!?

 

『戦いの殿堂に集いしデュエリストが!モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!見よ、これぞデュエルの最強進化系!アクショーン!』

「「『デュエル』!」」

 

先攻 Elen LP 4000 VS 後攻 Ayu LP 4000

 

よしっ俺の先攻か!

 

「俺のターン!先攻はドロー無し。

まずは手札の『Sin真紅眼の黒竜』を墓地へ送って魔法『紅玉の宝札』発動!」

 

紅玉の宝札

通常魔法

『紅玉の宝札』は1ターンに1枚しか発動出来ない。

1:手札からレベル7の『レッドアイズ』モンスター1体を墓地へ送って発動出来る。自分はデッキから2枚ドローする。その後、デッキからレベル7の『レッドアイズ』モンスター1体を墓地へ送る事が出来る。

 

「紅玉の宝札の効果で、2枚ドロー!その後、デッキから『真紅眼の黒炎竜』を墓地へ送るぜ!」

 

うお、この手札さっきの零羅とのデュエルと同じ感じじゃん。

つまりあの展開にしちゃえって事だな?

 

「次に儀式魔法『レッドアイズ・トランスマイグレーション』発動!」

「うわ、キター!?」

 

レッドアイズ・トランスマイグレーション

儀式魔法

『ロード・オブ・ザ・レッド』の降臨に必要。

1:自分の手札・フィールドから、レベルの合計が8以上になる様にモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地の『レッドアイズ』モンスターを除外し、手札から『ロード・オブ・ザ・レッド』を儀式召喚する。

 

「鋼の鱗を纏いし闇竜、俺に力を貸してくれ!儀式変身!『ロード・オブ・ザ・レッド』!」

 

ロード・オブ・ザ・レッド

儀式・効果モンスター

炎属性

ドラゴン族

レベル 8

攻撃力 2400

 

「変身、」

「『キター!』」

「ロード・オブ・ザ・レッド!全力全開で行かせて貰うぜ、アユ!」

『エレン選手、此処で変身だぁ!エレン選手を応援する観客と一緒のコール、凄い迫力です!』

 

勿論、まだこれで終わりじゃねぇぜ!

 

「続いて魔法『死者蘇生』発動!」

 

死者蘇生(制限カード)

1:自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。

 

「死者蘇生の効果で、今墓地へ送ったレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを攻撃表示で蘇生!」

『おや?何やら先程の零羅選手とのデュエルと殆ど同じ動きの様ですが…』

 

レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン(制限カード)

効果モンスター

闇属性

ドラゴン族

レベル 10

攻撃力 2800

 

いやぁ、初手がものの見事にさっきの零羅とのデュエルを再現できる状態になっちゃってなぁ…

 

「更に『伝説の黒石』を召喚!」

 

伝説の黒石

効果モンスター

闇属性

ドラゴン族

レベル 1

攻撃力 0

 

「今出した伝説の黒石をリリースして効果発動!デッキから『真紅眼の黒竜』を攻撃表示で特殊召喚!」

 

真紅眼の黒竜

通常モンスター

闇属性

ドラゴン族

レベル 7

攻撃力 2400

 

「まだまだ行くぜ!レダメの効果発動!俺の墓地にある『真紅眼の黒炎竜』を攻撃表示で蘇生!」

 

真紅眼の黒炎竜

効果モンスター/デュアル

闇属性

ドラゴン族

レベル 7

攻撃力 2400

 

「そして、真紅眼の黒竜と真紅眼の黒炎竜でオーバーレイ!2体のレベル7モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!鋼の鎧を纏いし炎竜よ!今全てを焼き尽くし、世界を制圧しろ!『真紅眼の鋼炎竜』!」

 

真紅眼の鋼炎竜

エクシーズ・効果モンスター

闇属性

ドラゴン族

ランク 7

攻撃力 2800

ORU 2

 

『エレン選手!まるで先程の零羅選手とのデュエル、その先攻1ターン目を見ているかの様な動きです!アユ選手、零羅選手が成す術無く敗れたこの布陣を突破できるか!』

「俺はこれでターンエンド!(バサァッ!)ハァッ!」

 

Elen

LP 4000

手札 0

モンスター ロード・オブ・ザ・レッド(攻撃表示)

      レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン(攻撃表示)

      真紅眼の鋼炎竜(攻撃表示)

魔法・罠カード なし

 

よし、これでドローフェイズに七皇の剣をドローされない限り俺の勝利は近い!

 

「うわぁ、まるで積み込みしているかの様なドロー力だね。でも私だって負けないんだから!私のターン、ドロー!よし!

私が引いたカードは『RUM-七皇の剣』!」

「ゑ?」

 

RUM-七皇の剣

通常魔法

自分のドローフェイズ時に通常のドローをしたこのカードを公開し続ける事で、そのターンのメインフェイズ1の開始時に発動出来る。

『CNo.』以外の『No.101』~『No.107』のいずれかをカード名に含むモンスター1体を、自分のエクストラデッキ・墓地から特殊召喚し、そのモンスターと同じ『No.』の数字を持つ『CNo.』と名の付いたモンスターを、その特殊召喚したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

『RUM-七皇の剣』の効果はデュエル中に1度しか適用出来ない。

 

うそん。

 

「メインフェイズに入って七皇の剣を発動!カオスエクシーズ・ワープチェンジ!満たされない魂の守護者が、暗黒の騎士となって光を砕く!さあ、悪いモンスターはドンドンしまっちゃうよ!『CNo.101S・H・DarkKnight』!」

 

CNo.101S・H・DarkKnight

エクシーズ・効果モンスター

水属性

水族

ランク 5

攻撃力 2800

CORU 1

 

『アユ選手も負けていない!後攻1ターン目の通常ドローで七皇の剣を引き当てました!心なしか、エレン選手の布陣をも打ち砕かんと言わんばかりの威圧感を感じます!』

「やばっ!だけど魔法カードの効果を発動した事で『鋼炎弾』だ!」

「あいたっ!」

 

Ayu LP 4000→3500

 

うわこれマジやばい、実況の言葉が的を射ている位にやばい、どうにかしないと…!

 

「だけどこれ位どうって事無いよ!

バトルフェイズに入って、DarkKnightでロード・オブ・ザ・レッドを攻撃!ハー○ン・セイバー!」

「くっ!届け!」

 

あのアクションカード、手に取れば…!

よし!

 

「させねぇぜ!アクションマジック『回避』発動!

それにチェーン!魔法カードの効果を発動した事で『俺』の効果発動!」

「あら!?」

 

回避

アクションマジック

1:フィールドのモンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターの攻撃を無効にする。

 

「まずは『俺』の効果でDarkKnightを破壊する!『蒼炎弾』!」

「だ、DarkKnight!?」

「続いて回避の効果で、DarkKnightの攻撃は無効だ!尤もDarkKnightは既にいねぇけど、DarkKnightの蘇生効果は『時の任意効果』!よって蘇生は出来ねぇぜ!」

『あぁっとぉ!アユ選手、此処で痛恨の一撃!エースカードであるDarkKnightを破壊されてしまった!これは万事休すか!?』

 

確かにDarkKnightが破壊され、他にモンスターがいない以上、これでアユはもう攻撃出来ない。

だが今のターン、アユがやった行動は『今引きした『七皇の剣』を使った』だけである。

 

「くぅ…!

ならメインフェイズ2に入って、こっちも死者蘇生を発動!DarkKnightを攻撃表示で蘇生するよ!」

 

Ayu LP 3500→3000

 

え゛!?

 

「よーし、行くよ!今蘇生したDarkKnightの効果発動!

ロード・オブ・ザ・レッドをCORUとして「しまっちゃう」よ!ダーク・ソウル・ローバー!」

「なっ!?うわぁ!?(ぽすっ)サンキュー、レダメ」

 

CNo.101S・H・DarkKnight CORU 0→1

Ayu LP 3000→2500

 

『おぉっと、アユ選手!DarkKnightを蘇生し、ロード・オブ・ザ・レッドをしまいました!これで戦況はアユ選手に傾いたか!』

「もっと動きたいけど鋼炎竜がいるからなぁ、じゃあ永続魔法『水舞台』を発動してターンエンドだよ!」

 

水舞台

永続魔法

1:自分フィールドの水属性モンスターは、水属性以外のモンスターとの戦闘では破壊されない。

2:自分フィールドの『アクアアクトレス』モンスターは相手モンスターの効果を受けない。

3:このカードがフィールドから墓地へ送られた場合、自分の墓地の水族モンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターを特殊召喚する。この効果の発動後、ターン終了時まで自分は水族モンスターしか特殊召喚出来ない。

 

Ayu

LP 2500→2000

手札 3

モンスター CNo.101S・H・DarkKnight(攻撃表示)

魔法・罠カード 水舞台

 

おいおい、此処で『水舞台』かよ、これじゃあ『ハーピィの羽根帚』を引かない限りDarkKnightにしまわれているロード・オブ・ザ・レッドを戻せないな。

俺のフィールドにいるレダメも鋼炎竜も、DarkKnightに戦闘を仕掛けても一方的にやられるのが席の山、だからと言ってDarkKnightを何とかしない限りは、次のターンで再びアユは俺のモンスターを「しまっちゃう」だろう。

此処で何か糸口となるカードをドローしなければ…!

 

「俺のターン!ドロー!」

 

こ、これは…!

成る程、上手く行けば…

 

「此処でレダメの効果発動!今引いた黒炎竜を攻撃表示で特殊召喚し、その黒炎竜をデュアル召喚してバトルフェイズ!」

「え、此処でバトルフェイズに入るの!?」

 

今の状況下ではDarkKnightを倒せない事が分かり切っている上でのバトルフェイズ突入に、驚きを隠せないアユ達を他所に、レダメを飛ばしてアクションフィールドを回る。

おしあった、これなら…!

 

「黒炎竜でDarkKnightを攻撃!ブラック・フレア!」

「え、自爆特攻!?迎え討って、DarkKnight!ハー○ン・セイバー!」

「と思うだろう?だけど違うぜ!アクションマジック『奇跡』発動!」

 

奇跡

アクションマジック

1:フィールドのモンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターは戦闘では破壊されず、戦闘ダメージは半分になる。

 

「奇跡の効果で黒炎竜は破壊されないぜ!」

「なんで態々…?

まあいいや、ダメージは受けて貰うよ!」

「あだっ?!」

 

真紅眼の黒炎竜 攻撃力 2400 VS CNo.101S・H・DarkKnight 攻撃力 2800

 

Elen LP 4000→3800

 

『今引いたアクションマジックによって黒炎竜の破壊を防いだエレン選手ですが、果たして今の攻撃の意味は一体…』

「よし、これで黒炎竜は『戦闘した』からバトルフェイズ終了!」

「え゛!?あ゛ぁぁぁ!?」

 

俺の行動の真意に気付いたアユが急ピッチでアクションマジックを探し出したがもう遅い!

 

「バトルフェイズ終了時に黒炎竜の効果発動!2400ダメージ!ブラック・フレア・バレット!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

Ayu LP 2000→-400 LOSE

 

WINNER Elen

 

------------

 

『今年度の舞網チャンピオンシップ、ジュニアクラスの優勝は、前回からの2連覇を果たした、エレン・アヴェニール選手です!最後はド派手なバーンダメージでの勝利でしたね!』

「やったぜぇ!来年、遊矢兄ちゃんの記録に挑むんで宜しく!」

「エレン、今年は負けたけど、来年は絶対、此処でリベンジして見せるからね!」

「エレン、来年は負けない!絶対に勝って見せる!」

「そう言う訳だからクソアメリカン!首洗って待っているのだ!」

「ああ、掛かって来いよ!全力で相手してやるぜ!」

 

そして、俺の連覇と言う結果で舞網チャンピオンシップのジュニアクラスは幕を閉じ、表彰台で喜びの声を上げたり、表彰台を囲うアユ、零羅、マリアからリベンジを宣言されたりと、賑やかな時を過ごしていた。

 

 

 

 

 

だけどまだこの時の俺達は気付いていなかったんだ。

俺達の世界に『悪意』の手がもう直ぐそこまで迫っている事に…

 

------------

 

Side ????

 

「覚悟しろ、エクシーズ使い!」

 

舞網チャンピオンシップのジュニアユースクラスで1回戦敗北に終わり、失意に暮れていた僕に、唐突に仕掛けられたデュエル。

だがそれは、

 

「「デュエr(キィン!)」」

「な、こ、これは何だ!?おいお前、一体何をした!?」

「え、ぼ、僕!?僕は何もしていない!」

 

突如として僕達の周囲が白く染まり、僕達以外の物体が全く動かなくなるという不可解な現象と、

 

「嘘をつくな!此処にいるのは私達とお前だけだ!お前がしたn」

「セレナ様!危ない!(ズダァン!)がっ!ぐぅ…!」

「ば、バレット!?」

「バレットさん!?」

「へ、え…?」

 

僕にデュエルを仕掛けて来た、髪の毛や服装以外はあの遊勝塾にいる柊柚子そっくりの『セレナ』と呼ばれたデュエリスト、その側に居たうちの1人である軍人の様な男の腹部に大穴を開けた原因が発したであろう謎の銃声、そして、

 

「まさか融合次元のクズ共がスタンダードのデュエリストにまで手を出して来るなんてね…!あなた、大丈夫?」

「あ、はい…」

 

其処に赤い眼と髪の少女が乱入して来た事で有耶無耶になった。

これが、僕の『非日常』の始まりだった…


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