【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
『舞網チャンピオンシップ、ジュニアクラスも残すは2試合です!その1つ目、準決勝最終試合を開始します!このデュエルで勝利したデュエリストが、先程の試合で勝利したアユ選手と決勝戦で激突します!それでは、決勝戦最後の切符を賭けたデュエルに臨むデュエリストを紹介します!
まずは1人目!前回のディフェンディングチャンピオンが、連覇という偉業に手を伸ばそうとしている!3連覇という前人未踏の偉業を成した師匠に並び立つ、その挑戦権を得る事が出来るのか!エレン・アヴェニール選手!
続いて2人目!ディフェンディングチャンピオンに立ちはだかるは、LDSが送り込んだ秘蔵っ子!その合気道の如きデュエルで全てを組み伏せる!赤馬零羅選手!』
さあ、零羅とのデュエルだ!
準々決勝はタツヤとやって、決勝はアユとやる事が決まっているから、何気に上位陣では唯一と言って良い、手の内が良く分からない相手。
それだけでも気になる奴ではあるんだけど、零羅のデュエル中の振る舞いが、余計に気になった。
零羅の過ごしている環境で何があるのか、それが零羅の振る舞いに繋がっているのか、それは俺には分からないけど、だけど零羅をどうすれば笑顔に出来るか、楽しませる事が出来るか、それは何となく分かる。
遊矢兄ちゃん譲り、いや、遊矢兄ちゃんの教えをベースにした『俺なりのエンタメデュエル』をして、零羅を笑顔にして見せる!
「行くぜ零羅!全力でデュエルしようぜ!」
「…」
あら、無反応かよ、何となく予想ついていたけどやりにくいな。
『そ、それでは始めましょう!ランダムセレクト!アクションフィールド、オン!『エンタープラズニル』!』
え、此処がこのデュエルのアクションフィールドなのかよ!
あちゃー、これが来ると分かっていたら『あのデッキ』持って来たのに!
そう「やっちまった」と心中でがっくりしながらも、エクシーズモンスター『
『戦いの殿堂に集いしデュエリストが!モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!フィールド内を駆け巡る!見よ、これぞデュエルの最強進化系!アクショーン!』
「『デュエル』!」
「…デュエル」
先攻 Elen LP 4000 VS Layra LP 4000
流石にデュエリスト、掛け声は言ったけどテンション低いなぁ。
冷静さを保つ為だったらそれも良いんだけど…
っと、俺の初手は…
よし、まずはコイツだな。
「俺のターン!先攻はドロー無し。
まずは手札の『真紅眼の黒竜』を墓地へ送って魔法『紅玉の宝札』発動!」
紅玉の宝札
通常魔法
『紅玉の宝札』は1ターンに1枚しか発動出来ない。
1:手札からレベル7の『レッドアイズ』モンスター1体を墓地へ送って発動出来る。自分はデッキから2枚ドローする。その後、デッキからレベル7の『レッドアイズ』モンスター1体を墓地へ送る事が出来る。
「紅玉の宝札の効果で、2枚ドロー!その後、デッキから『真紅眼の黒炎竜』を墓地へ送るぜ!」
さてドローしたのは、お、これは行ける!
さあ行くぜ零羅、俺のデュエルに食いつけるか!?
「次に儀式魔法『レッドアイズ・トランスマイグレーション』発動!」
レッドアイズ・トランスマイグレーション
儀式魔法
『ロード・オブ・ザ・レッド』の降臨に必要。
1:自分の手札・フィールドから、レベルの合計が8以上になる様にモンスターをリリース、またはリリースの代わりに自分の墓地の『レッドアイズ』モンスターを除外し、手札から『ロード・オブ・ザ・レッド』を儀式召喚する。
此処で墓地にある2体のレッドアイズ達を除外しても良いんだけど、此処で使うのは手札のレベル10『レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン』!
「鋼の鱗を纏いし闇竜、俺に力を貸してくれ!儀式変身!『ロード・オブ・ザ・レッド』!」
ロード・オブ・ザ・レッド
儀式・効果モンスター
炎属性
ドラゴン族
レベル 8
攻撃力 2400
『へ、へ、変身したぁ!?エレン選手、儀式魔法を発動したかと思ったら突如炎に包まれ、自分自身がそのモンスターとなった!まるで何処かの特撮ヒーローです!』
「変身キター!ロード・オブ・ザ・レッド!全力全開で行かせて貰うぜ!」
俺が行った儀式召喚、それによってフィールドに起こった事に、会場は一時騒然となった。
そりゃそっか、今発動したレッドアイズ・トランスマイグレーションによって俺に、儀式召喚の演出で降り注ぐ光が当たり、次の瞬間には俺の身に炎(ソリッドビジョンだぜ、念の為に言って置くけど)が纏われ、それが晴れた後には俺が、儀式モンスターであるロード・オブ・ザ・レッドの、青い全身鎧を身に着けた人間がドラゴンの尻尾や翼を生やした様な姿(但しドラゴン族)に『変身していた』のだから。
しかしこの様子を見ても、MCの驚きに便乗してどっかの特撮ヒーローの様な名乗りを上げても、零羅は無反応か、なんか寂しいな。
「続いて魔法『死者蘇生』発動!」
死者蘇生(制限カード)
通常魔法
1:自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。
「死者蘇生の効果で、今墓地へ送ったレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴンを攻撃表示で蘇生!」
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン(制限カード)
効果モンスター
闇属性
ドラゴン族
レベル 10
攻撃力 2800
無論、リリースしたレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン、ああ、長ったらしいから『レダメ』で良いか、レダメも無駄にしない。
「更に『伝説の黒石』を召喚!」
伝説の黒石
効果モンスター
闇属性
ドラゴン族
レベル 1
攻撃力 0
「今出した伝説の黒石をリリースして効果発動!デッキから2枚目の真紅眼の黒竜を攻撃表示で特殊召喚!」
真紅眼の黒竜
通常モンスター
闇属性
ドラゴン族
レベル 7
攻撃力 2400
そして最後はレダメの、制限カードとなった要因と言える効果と、
「まだまだ行くぜ!レダメの効果発動!俺の墓地にある真紅眼の黒竜を攻撃表示で蘇生!
そして、2枚の真紅眼の黒竜でオーバーレイ!2体のレベル7モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!鋼の鎧を纏いし炎竜よ!今全てを焼き尽くし、世界を制圧しろ!『
真紅眼の鋼炎竜
エクシーズ・効果モンスター
闇属性
ドラゴン族
ランク 7
攻撃力 2800
ORU 2
これによって並んだモンスター達による、俺の『もう1つの』エースカード、レダメの様に鋼の鎧を身に纏った黒きドラゴン、真紅眼の鋼炎竜のエクシーズ召喚。
『エレン選手、いや、ロード・オブ・ザ・レッドと呼ぶべきでしょうか!そのフィールドに、自分自身を含めた3体のドラゴンが並び立った!何とも壮観な光景です!』
「へへっありがとうな!俺はこれでターンエンド!(バサァッ!)ハァッ!」
Elen
LP 4000
手札 0
モンスター ロード・オブ・ザ・レッド(攻撃表示)
レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン(攻撃表示)
真紅眼の鋼炎竜(攻撃表示)
魔法・罠カード なし
ターンエンドを宣言すると共に背中の翼で飛び立ち、アクションカードを探しつつ零羅を見据える。
さあ零羅、お前はどんなデュエルを見せてくれるんだ?
「ボクのターン、ドロー…
まず、永続魔法『ペルソナ・シャッター・レイヤー1』発動…
このカードは相手モンスター1体を全てコピーする…
対象はレッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン…」
「おっと!それにチェーンして『俺』の効果発動!
今出したそのペルソナ・シャッター・レイヤー1を破壊する!『蒼炎弾』!
永続カードは場を離れた瞬間、効果を適用出来なくなるからレダメはコピペ出来ないぜ!」
「っ!?」
ペルソナ・シャッター・レイヤー1(アニメオリジナルカード)
永続魔法
1:相手モンスター1体を対象として発動出来る。このカードは発動後、効果モンスターとなり、モンスターゾーンに特殊召喚される。この効果で特殊召喚したこのカードは対象のモンスターと同名カードとして扱い、同じ属性・種族・レベル・攻撃力・守備力・効果・効果として扱わないテキストを持つ(魔法カードとしても扱う)。
2:対象となった相手モンスターがフィールドを離れた場合、フィールドのこのカードを破壊する。
なんか変わった効果の永続魔法だなぁ。
モンスターになる罠カード自体は罠モンスターとして結構知られているし、確か『コピー・ナイト』ってカードは自分のフィールドに召喚したレベル4以下の戦士族の名前とレベルをコピーするんだったな。
しかしあぶねぇな、もしレダメのコピペをスルーしていたら大量展開されるところだったぜ。
そして永続カードは破壊された瞬間に効果は消えるけど、効果が『無効になった』訳じゃ無いから、
「更に、お前が魔法カードの効果を発動した事で、鋼炎竜の効果で500ダメージだ!『鋼炎弾』!」
「っ!?うぅ…」
Layra LP 4000→3500
こうして鋼炎竜のバーン効果を使用出来る!
『これは凄い!ロード・オブ・ザ・レッドと鋼炎竜の効果によって、零羅選手はカードを1枚使うごとにバーンと除去を受ける事になります!』
「しゃあ!さあ零羅、俺達をどう対処するんだ?」
「2枚目のペルソナ・シャッター・レイヤー1を発動…
今度の対象はロード・オブ・ザ・レッド…」
「だからさせねぇよ!チェーンしてアクションマジック『
M・W・空・襲(今作オリジナルカード)
アクションマジック
『M・W』アクションマジックは、1ターンに1枚しか使用出来ない。
1:相手フィールド上のカード1枚を選んでゲームから除外する。
またコピペ、今度は『俺』をコピーして来るか、だがそれを簡単に許すと思うか?
「M・W・空・襲の効果でペルソナ・シャッター・レイヤー1を除外!
更にお前が魔法カードをの効果を発動した事でもう1回『鋼炎弾』だ!」
「っ!?くぅ…」
Layra LP 3500→3000
「うぅ…
カードを2枚セットしてターンエンド…」
「エンドフェイズに鋼炎竜のオーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて効果発動!
俺の墓地にある、通常モンスター扱いの『真紅眼の黒炎竜』を攻撃表示で蘇生!」
真紅眼の黒炎竜
効果モンスター/デュアル
闇属性
ドラゴン族
レベル 7
攻撃力 2400
Layra
LP 3000
手札 2
モンスター なし
魔法・罠カード セット×2
『あぁっと!零羅選手、フィールドを制圧せんと跋扈するロード・オブ・ザ・レッド達の威圧感に成す術無しか、意気消沈してしまった様です!』
このターン見てみると、結構永続カードの使用が多かったな、そういうデッキなのか?
だとすっとレッドアイズデッキはえげつなかったな、効果からして永続カード封殺しますと言わんばかりの奴ばっかだし。
だけど、さ、『デッキの相性が悪い』のと、『絶対に勝てない』のは違うと思うぜ、というか、デュエルに限らず『絶対に勝てない』はあり得ないんだ、なのに何でもう勝負を諦めた様に意気消沈しているんだよお前は…!
「零羅。俺が榊家の養子である事、多分、赤馬の兄ちゃんから聞いていると思う」
「…兄様?」
「ああ、その兄ちゃんから聞いたよな、俺の事。んで、これは俺の義理の兄ちゃんの受け売りなんだけど、さ…
かっとビング!それは勇気を持って一歩踏み出す事!
かっとビング!それはどんなピンチでも決して諦めない事!
かっとビング!それはあらゆる困難にチャレンジする事!
決着はまだついていないんだ、見せてみろよ!お前のかっとビングを!」
「っ!」
正確には遊矢兄ちゃんの前世の受け売りだろってツッコミは無しな、実際この前、どっかの異世界から来た大輔ってデュエリストとデュエルした時も言っていたし!
「俺のターン!ドロー!」
俺のデッキも変な所で空気読むなぁ、此処で『ハーピィの羽根帚』が来ないとか、まあ良いけど。
「俺はフィールドにいる黒炎竜をデュアル召喚してバトルフェイズに入る!
今デュアル召喚した黒炎竜でダイレクトアタック!ブラック・フレア!」
「させない!ダイレクトアタック宣言時、永続罠『ペルソナ・シャッター-インスタント』発動!」
「こっちがさせねぇよ!チェーンして『俺』の効果発動!今発動したペルソナ・シャッター-インスタントを破壊する!」
「させないと言った筈!更にチェーンして1500LPを支払いカウンター罠『神の通告』発動!」
ペルソナ・シャッター-インスタント(アニメオリジナルカード)
永続罠
1:相手モンスターの直接攻撃宣言時、その相手モンスター1体を対象として発動出来る。このカードは発動後、効果モンスターとなり、モンスターゾーンに特殊召喚する。この効果で特殊召喚したこのカードは対象のモンスターと同名カードとして扱い、同じ種族・属性・レベル・攻撃力・守備力になる(罠カードとしても扱う)。また、このカードはバトルフェイズ終了時に破壊される。
神の通告
カウンター罠
1:1500LPを払って以下の効果を発動出来る。
●モンスターの効果が発動した時に発動出来る。その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを特殊召喚する際に発動出来る。その特殊召喚を無効にし、そのモンスターを破壊する。
うわ、此処で『かみつ』か!
「神の通告の効果で、ロード・オブ・ザ・レッドの効果を無効にし、破壊する!
更にペルソナ・シャッター-インスタントの効果で、黒炎竜と同じモンスターとなって自分フィールドに攻撃表示で特殊召喚!」
「(ズガァァァァァン!)へぶぁ!?くっ、変身解除されるとはやるじゃねぇか!だがかみつのライフコストと、『鋼炎弾』2発喰らって貰うぜ!」
「くっ!」
Layra LP 3000→1500→1000→500
「じゃあそのまま、黒炎竜で、黒炎竜となったペルソナ・シャッター-インスタントを攻撃!ブラック・フレア!」
「迎え討て、黒炎竜!ブラック・フレア!」
真紅眼の黒炎竜 攻撃力 2400 VS ペルソナ・シャッター-インスタント(真紅眼の黒炎竜) 攻撃力 2400
「よし、突破口が開いた!鋼炎竜でトドメだ!」
「徹底的にあがく!M・W・空・襲発動!鋼炎竜を除外する!」
くっ!流石に簡単には通してくれないか…
モンスターもセットカードも無くなり、今だと言わんばかりに鋼炎竜で突進させたけど、M・W・空・襲は除外効果、効果破壊耐性しか持っていない鋼炎竜では防げないし、これでバーンダメージ効果も無くなった。
それにしても、さっきまでとは大違いな位テンション上がっているじゃねぇか、さっきの一喝が効いているのか?
だが、
「やるじゃねぇか!だがまだコイツの攻撃が残っているぜ!レダメでダイレクトアタック!ダークネスメタルフレア!」
「うわぁぁぁぁぁ!?」
Layra LP 500→-2300 LOSE
WINNER Elen
『決まったぁ!準決勝第2試合の勝者は、特撮ヒーローの様な姿で零羅選手の場を荒しまわったエレン選手!それにしても格好良かった!』
「ふぅ。零羅、これも遊矢兄ちゃんの受け売りなんだけどさ…
ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!最後は凄く格好良かったぜ、お前も!」
「…うん!」
ははっやっと笑ってくれた。
展開的には俺の圧勝ではあるけど、やっぱ最後まで食いついたデュエルは楽しさもひとしおだよな。
さあ、待っていろよ、アユ!
零羅が使用している『ペルソナ・シャッター』カードですが、作中での描写を基に「こんな感じのテキストになるかな」と推測して書きました。