【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~ 作:不知火新夜
(題名にExと付いている話は、コラボとなります)
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
『ま、マスター!?大丈夫!?』
舞網チャンピオンシップの開幕が残り一週間に迫り、美琴と素良のジュニアユースクラス出場権獲得も決まり、大会に向けて準備をしていたこの日、俺達遊勝塾が間借りしている塾舎の敷地に、2人の少年が舞い降りた。
「痛っててて、またこのパターンかよ…
一体なんなんだこの白いカードは。プルート、お前何処でこんなのゲットしたんだよ…」
『カードは拾った(キリッ)。なんちゃって』
「お前は何処のメ蟹ックだよ!?てゆーかどこでそんなネタを覚えたんだ!?」
着陸するなり何故か漫才を始めている2人、というか、1人と1体か?ライトブラウンのセミロング、ダークブラウンの瞳の、俺より大分身長が高い、マスターと呼ばれた少年の方は人間だが、もう一方の、青いセミロング、赤い瞳の、プルートと呼ばれた少年の方は、何故かぷかぷかと浮かんでいるし、何か半透明だし、感じ取れる力からしてカードの精霊の様だな。
一先ず、声を掛けて置くか。
「一体其処でどうしたんだ?」
「ん?その声、もしかして遊矢か……
って、アイエエエエ!?ユベルにアストラル!?ユベルナンデ!?アストラルナンデ!?」
『マスター、ニンジャとエンカウントした所為で
『随分と失礼だね、ボクを化け物みたいに。確かにアニメでのボクは自ら化け物に改造させたけどさ…』
『遊矢、ユベル。ニンジャと言うと闇川が使っていたあの機甲忍者の事か?あれは中々の強さだった』
『アストラル、そこの精霊の男の子が言っているニンジャはそれじゃ無いと思うよ…』
ん?そういえば俺の姿を見るなり遊矢って呼んでいなかったか?俺とお前、初対面だよな?
というか、カードの精霊がいるからユベルが見えているのはまあ分かるにしても、ユベルがいて何か不都合でもあるのかお前は?
そしてアストラルは少し自重してくれこのデュエル脳。
「ん、どうやら初対面(?)みたいだな。前に会った奴がお前にそっくりで、勘違いしていたな。改めて、俺の名は
『初めまして!ボクの名はプルート、宜しくね!』
「俺は榊遊矢。んで、俺の隣にいるデビルマンレディみたいな奴がユベル、で、その隣にいる青い幽霊みたいな奴はアストラルだ。まあさっきの口振りから知っていたみたいだが」
『ユベルだよ、宜しくね』
『アストラルだ、こちらこそ宜しく頼む』
「それで大輔、なんか空から舞い降りた的な登場をしていたが、何があったんだ?」
「名前まで一緒同一人物か平行世界(パラレルワールド)の住人か……?
って、ああそうそう。この真っ白いカードなんだけどさ…」
一先ず何かぼそっと呟いていた大輔に事の次第を聞いてみる事にした、すると何かを思い出した様に大輔が見せて来たのは、白枠である以外は全くの更地、そう、シンクロモンスターだと分かるフレーム以外には全く以て情報が掛かれていないカードだった。
「な、なんぞこれ?」
「さあな。実を言うとさあ、コイツが持って来たこれを手にしたら、此処の上空にテレポートしちゃったみたいなんだよなぁ。一体全体これは何なんだ…」
『見た事も無いカードだ。かろうじてシンクロモンスターだという事はフレームで分かるが』
『いやいやアストラル、ひょっとしたら色塗っていないだけかも知れないよ?もしかしたら何らかの作用でカードフレームも変わるかも分からないよ?』
ああ確かに、俺が持っているペンデュラムモンスターもそのクチだしな。
けどそれは良いとしても、さっきの口振りからして俺とそっくり且つ同姓同名の存在と会っていたそうだな、それに俺の相棒であるユベルとアストラルの、その存在は知っていた様子だった。
増して、事の発端である白紙のカードを持って来たプルートが、遊星のネタ発言を使っていたのに対して大輔はそのネタが分かる奴しか入れないだろう突っ込みを入れていたし、逆に大輔が『ニンジャスレイヤー』で一般人がニンジャに遭遇した際の絶叫ネタを叫んでいた所にプルートがそのネタを分かる奴しか入れないだろう突っ込みを入れていた。
となるとコイツ転生者か?でも知らずに来ちゃった可能性もあるし、其処は一先ず飛ばすか。
「まあ事情は何となくだが分かった。そういった手の方面で詳しい知り合いがいるから、そいつに相談するとして…
一先ずうちの塾来るか?」
「塾?お前の家、塾を経営しているのか?」
「ああ、まあ正確には違うけどな。此処舞網市で新進気鋭と言われているデュエルスクール、遊勝塾に!」
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「零児。かくかくしかじかで、調査をお願いしたいのですが」
『これこれうまうまと言うわけだな、分かった、そちらに調査員を派遣しよう』
「ありがとうございます、零児。すいません、舞網チャンピオンシップも近い中で」
『構わない。その大輔と言う少年が持っていた白紙のカード、その少年をこの次元へと飛ばした力を有しているとあらば、下手に放置しては危険だからな』
一先ず零児との連絡は終わり、「折角だから遊勝塾でやっているデュエルを見てみたい」という要望から塾長と同行している大輔に報告へ向かうと、
「な、なんだここ……
OCGばりのハイレベルじゃねぇか…!」
其処にはアクションフィールドに、呆然としている大輔の姿があり、その視線の先には、
『マジックテンペスターの効果発動!私のフィールドにいるカード達のカウンターを全て取り除いて8000バーンダメージ!
喰らえクソアメリカン!スターライト・○レイカー!』
『甘いぜ!チェーンしてアクションマジック『火の粉払い』!このターン、俺が受ける効果ダメージは0になるぜ!』
『あ゛ぁぁぁぁぁ!?ななな、なんで持っているのだそれを!?』
マリアが覚えたてのシンクロ召喚で『マジックテンペスター』を出し、その効果で先攻1ターンキルを決めようとしてエレンに阻止されたり、
『ヴェルズ・ケルキオンを召喚!召喚時に効果発動!』
『オピオンを出されちゃ堪らないからな!それにチェーンして手札から『幽鬼うさぎ』の効果発動!』
『ンなァ!?やってくれンじゃねェか!』
一行がヴェルズお得意の大量展開をしようとして当麻がそれを妨害したり、
『デストーイ・シザー・タイガーの効果発動…!
フィールド上のカードを破壊しますよ…!』
『させないわ!それにチェーンして速攻魔法『融合解除』発動!
マイスタリン・シューベルトをエクストラデッキに戻して、融合素材にした墓地のアリアとエレジーを蘇生するわ!これで私の幻奏モンスターは戦闘破壊も効果破壊もされず、効果対象にも選べないわ!』
『あらら、やってくれますね…!』
素良がシザー・タイガーの効果で柚子の場を荒そうとして、柚子がアリアエレジーロックを完成させてそれを防いだり、
『よしっ手札全部捨ててやったぜ!カードを1枚セットしてターンエンド!』
『くっ、やってくれますね刃先輩!私のターン、ドロー!』
『あ、それ『強烈なはたき落とし』な』
『ちょっ!?』
刃が先攻全ハンデスループを披露しただけでは飽き足らず、美琴がドローしたカードをカウンター罠『強烈なはたき落とし』で手札に加えさせなかったりと、大輔がぽつりとつぶやく通り、OCGでたまによくある光景が広がっていた。
「大輔。一先ずこっちの連絡は済んだ。近いうちにそいつの関係者が来るそうだ」
「分かった、何から何まで済まないな。それで此処のデュエルなんだが、何と言うかすげぇな」
で、報告の為に声を掛けてみると案の定、目の前で繰り広げられていたOCGばりのガチデュエルに心なしか興奮気味に見えた。
「……なぁ、物は相談なんだが
おい、デュエルしろよ」
うん、知ってた。