【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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20話_くすくすわらってごーごー…!

「それでは師匠、宜しくお願いします!」

「何時でも良いぜ素良、全力で掛かって来い!」

 

雪乃とマリアが加わり、講師2人(どちらも現役プロ)、ジュニアユースクラスの塾生7人、そしてジュニアクラスの塾生5人となった遊勝塾の、仮の塾舎にあるアクションフィールドにて、俺と素良によるアクションデュエルが行われようとしていた。

当初は素良の加入と同時に予定していたのだが、エレンの介入でお流れになってしまった。

とはいえやはりコイツの師匠として、俺自らその実力を体感しておかないとなぁ、と思って素良の要望に応じて今日、デュエルする事となった。

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリストが!」

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ、これぞデュエルの最強進化系!」

「「アクショーン、デュエル!」」

 

先攻 Sora LP 4000 VS 後攻 Yuya LP 4000

 

「行きますよ師匠!僕の先攻!

まずは『ファーニマル・ドッグ』を召喚!」

 

ファーニマル・ドッグ

効果モンスター

地属性

天使族

レベル 4

攻撃力 1700

 

素良が出したファーニマル・ドッグの姿に、観客席の女性陣の大半がこの前のデュエルでのスプラッタな光景を思い出したのか顔を青くしている中、その時いなかった雪乃とマリアは周囲の様子が理解出来ず何処か戸惑っている様だった。

いずれ分かるさ、その意味が。

 

「召喚されたファーニマル・ドッグの効果発動!

デッキから『エッジインプ・シザー』を手札に加えます!

次に、今手札に加えたエッジインプ・シザーを捨てて魔法『ワン・フォー・ワン』発動!」

 

ワン・フォー・ワン(制限カード)

通常魔法

1:手札からモンスター1体を墓地へ送って発動出来る。手札・デッキからレベル1モンスター1体を特殊召喚する。

 

「ワン・フォー・ワンの効果で、デッキから『ファーニマル・ラビット』を守備表示で特殊召喚します!」

 

ファーニマル・ラビット

効果モンスター

地属性

天使族

レベル 1

守備力 1200

 

これ、皆下げた方が良いかな?

なんか皆して顔の青ざめ方が尋常じゃ無い、事情を知らない雪乃やマリアと比べてそれは明らかだ。

 

「更に、手札1枚をデッキの上に戻して、墓地のエッジインプ・シザーの効果発動!

効果で自分自身を守備表示で蘇生します!」

 

エッジインプ・シザー

効果モンスター

闇属性

悪魔族

レベル 3

守備力 800

 

あ、当麻たちが女性陣を引き下がらせた。

此処から先はあんな光景だからなぁ、雪乃達にも下がる様言っているみたいだが、2人は状況を理解出来ないのか留まったままだ。

 

「そして魔法『融合』発動!」

 

融合

通常魔法

1:自分の手札・フィールドから、融合モンスターカードによって決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、その融合モンスター1体をエクストラデッキから融合召喚する。

 

さて、此処で出すのはウルフか、タイガーか?

 

「フィールドのエッジインプ・シザーと、ファーニマル・ドッグとラビットを融合!くくく…!

悪魔の爪、猟犬の刃、諸刃の牙、今1つとなりて新たな力と姿となる…!融合召喚、現れ出ちゃえ、全てを仕留める孤独の魔獣…!『デストーイ・シザー・ウルフ』!」

 

デストーイ・シザー・ウルフ

融合・効果モンスター

闇属性

悪魔族

レベル 6

攻撃力 2000

 

あ、デストーイ・シザー・ウルフの融合の様子を見ていた雪乃が卒倒した。

そういえばTFの雪乃ってホラーが大嫌いだったっけな。

あとマリア、なんでお前は「おぉ…」と言いたげな顔で興味津々に見ているんだ、ホラー大好きっ娘なんかお前は?

ちなみにエレンとデュエルした時と口上の様子が変わっていると思うだろうが、これは「ホラー映画とかで良く見る殺人鬼っぽく振る舞ってみたらどうだ?」と演出面のアドバイスをした結果、まあベクター程ではないが強烈な顔芸を披露しつつやや狂気が滲み出た口調で口上を言う様になったんだ(なんだ作者?え、アニメの様な感じだって?『院ゲス』?アニメの素良、顔芸やっていたのかよ、ていうかベクターっぽく言うなや!)。

 

「僕の墓地のファーニマル・ドッグを対象に、融合素材に使ったファーニマル・ラビットの効果発動…!

効果でファーニマル・ドッグをサルベージします…!

カードを1枚セットしてターンエンド…!」

 

Sora

LP 4000

手札 1(ファーニマル・ドッグ)

モンスター デストーイ・シザー・ウルフ(攻撃表示)

魔法・罠カード セット

 

この前のエレンとのデュエルと比べると落ち着いたスタートだな、この前みたいに折角出した奴を吸い込まれたらたまったものじゃないから、か?

 

「俺のターン!ドロー!

まずは『EM(エンタメイト)ドクロバット・ジョーカー』を召喚!」

 

EMドクロバット・ジョーカー

ペンデュラム・効果モンスター

闇属性

魔法使い族

レベル 4

攻撃力 1800

 

俺の場に登場したのは、ピエロとかが着そうな黒い服に身を包み、継ぎはぎのあるシルクハットを被った魔法使い、ドクロバット・ジョーカー。

 

「召喚したドクロバット・ジョーカーの効果発動!

デッキから『EMセカンドンキー』を手札に加える!

次に俺は、スケール2の『EMペンデュラム・マジシャン』と、スケール5の『EMシルバー・クロウ』を、ペンデュラムスケールにセッティング!

この時、セットされたシルバー・クロウの効果で、ドクロバット・ジョーカーの攻撃力は300アップする!」

 

ペンデュラムスケール(青):2(EMペンデュラム・マジシャン)

ペンデュラムスケール(赤):5(EMシルバー・クロウ)

 

EMドクロバット・ジョーカー 攻撃力 1800→2100

 

俺が手札に加えたモンスター、そしてペンデュラムスケールにセットされたカード達を見て分かったと思うが、今日の俺が使用しているデッキは『EM』。

『魔術師オッドアイズ』と同じく、俺が遊矢となってから持つようになったデッキだ。

 

「此処でペンデュラムスケールをセッティングしたという事は、来ますか…?」

「ああ、これでレベル3と4のモンスターが同時に特殊召喚可能!

揺れろ、魂のペンデュラム!天空に描け、光のアーク!

ペンデュラム召喚!出でよ、我が僕のモンスター達よ!

レベル4、愛らしき毒蛇『EMウィップ・バイパー』!同じくレベル4、灼熱の地からやってきた駱駝『EMラクダウン』!そして同じくレベル4!仲間の足となる縁の下の力持ち!『EMセカンドンキー』!」

 

EMウィップ・バイパー

効果モンスター

地属性

爬虫類族

レベル 4

攻撃力 1700→2000

 

EMラクダウン

ペンデュラム・効果モンスター

地属性

獣族

レベル 4

守備力 1800

 

EMセカンドンキー

効果モンスター

地属性

獣族

レベル 4

守備力 2000

 

「俺の場にEMモンスターがペンデュラム召喚された事により、ペンデュラムスケールにセットされたペンデュラム・マジシャンの効果発動!

それにチェーンしてセカンドンキーの効果発動!

まずはセカンドンキーの効果で、デッキからシルバー・クロウを、ペンデュラムスケールにカードが2枚セットされているので手札に加える!

続いてペンデュラム・マジシャンの効果で、俺のEMモンスターの攻撃力を、ターン終了まで1000アップさせる!」

 

EMドクロバット・ジョーカー 攻撃力 2100→3100

EMウィップ・バイパー 攻撃力 2000→3000

EMラクダウン 攻撃力 1100→2100

EMセカンドンキー 攻撃力 1300→2300

 

「更にシザー・ウルフを対象にウィップ・バイパーの効果発動!

シザー・ウルフの攻撃力と守備力を、ターン終了まで入れ替える!混乱する毒(コンフュージョン・ベノム)!」

「なっ!?」

 

デストーイ・シザー・ウルフ 攻撃力 2000→1500

              守備力 1500→2000

 

よし、これでうまく行けばワンキルも出来るが…

 

「バトルフェイズに入る!」

「させませんよ…!バトルフェイズ開始時にライフを半分払って、アクションマジック『仁王立ち』発動!」

 

仁王立ち(今作オリジナルカード)

アクションマジック

1:バトルフェイズ中にライフを半分払って、『発動出来ない』効果を無視して発動出来る。バトルフェイズを終了する。

 

Sora LP 4000→2000

 

「仁王立ちの効果で、バトルフェイズを終了させますよ、師匠…!」

 

あら、このアクションフィールド『市街戦』の目玉カードと言われている仁王立ちをゲットしていたか。

LPを2000減らせたとはいえ、此処で決められなかったのは惜しいな。

 

「ならばメインフェイズ2に入る!

まずはドクロバット・ジョーカーとウィップ・バイパーでオーバーレイ!2体のレベル4モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!ペンデュラムエクシーズ!魔人オーケストラの女王よ、今こそ戦場に華麗なる音色を奏でよ!『竜魔人クィーンドラグーン』!」

 

竜魔人クィーンドラグーン

エクシーズ・効果モンスター

闇属性

ドラゴン族

ランク 4

攻撃力 2200

ORU 2

 

エクシーズ召喚の演出と共に出現したのは、人間の女性の上半身と、炎に包まれたドラゴンの胴体を持ち、右手にハープを抱えたドラゴン、クィーンドラグーン。

まあ今の口上で言った魔人オーケストラは、基本的に遊馬時代に使っていた『魔人』と名が付いた、楽器を持つ悪魔族エクシーズモンスターが属するんだが、クィーンドラグーンもハープを持っているから間違ってはいない、と思う。

 

「更にラクダウンとセカンドンキーでオーバーレイ!2体のレベル4モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!ペンデュラムエクシーズ!魔人オーケストラの指揮者よ、今こそ戦場を平定し、己が指揮する音楽を届けよ!『交響魔人マエストローク』!」

 

交響魔人マエストローク

エクシーズ・効果モンスター

闇属性

悪魔族

ランク 4

守備力 2300

ORU 2

 

更に出現したのは、軍服に身を包み、指揮刀を右手に装備した悪魔、マエストローク。

まあ今言った通りのイメージだと指揮者と言うより軍人なのだが、魔人エクシーズモンスターに破壊耐性を付ける効果等で魔人オーケストラの面々を奮い立たせる様は正に指揮者と言って良いだろう。

 

「カードを1枚セットしてターンエンド!エンドフェイズ時に、ウィップ・バイパーの効果を受けていたシザー・ウルフの攻守は元に戻る」

 

Yuya

LP 4000

手札 1(EMシルバー・クロウ)

Pスケール(青):2(EMペンデュラム・マジシャン)

Pスケール(赤):5(EMシルバー・クロウ)

モンスター 龍魔人クィーンドラグーン(攻撃表示)

      交響魔人マエストローク(守備表示)

魔法・罠カード セット

 

デストーイ・シザー・ウルフ 攻撃力 1500→2000

              守備力 2000→1500

 

一先ず、これで後に繋げるか…

 

「さあ、反撃開始ですよ、師匠…!

僕のターン、ドロー…!

まずはファーニマル・ドッグを召喚…!

効果でデッキから『ファーニマル・シープ』を手札に加えます…!

更に、手札1枚をデッキの上に戻して、墓地のエッジインプ・シザーの効果発動…!

効果で自分自身を守備表示で蘇生します…!

そして融合発動…!

フィールドのエッジインプ・シザーとファーニマル・ドッグを融合…!くくく…!

悪魔の爪、猟犬の刃、今1つとなりて新たな力と姿となる…!融合召喚、現れ出ちゃえ、全てを引き裂く密林の魔獣…!『デストーイ・シザー・タイガー』!」

 

デストーイ・シザー・タイガー

融合・効果モンスター

闇属性

悪魔族

レベル 6

攻撃力 1900→2500

 

デストーイ・シザー・ウルフ 攻撃力 2000→2600

 

流石に此処まで来ると女子でただ一人残っていたマリアの顔にも青さが出て来たが、それでもなお目が釘付けになっていた、何処までホラー好きなんだ…

 

「クィーンドラグーンとマエストロークを対象に融合召喚したシザー・タイガーの効果発動…!

このカードは融合素材に使ったモンスターの数まで、フィールドのカードを破壊する効果があるんですよ…!

さあやっちゃおうか、シザー・タイガー!」

「くっ!マエストロークの効果で、クィーンドラグーンとマエストロークが破壊される代わりに、其々のオーバーレイ・ユニットを取り除く!」

 

竜魔人クィーンドラグーン ORU 2→1

交響魔人マエストローク ORU 2→1

 

シザー・タイガーが場に現れると共にクィーンドラグーンに、素良自身が巨大なハサミを持ってマエストロークに襲い掛かったが、2人共にオーバーレイ・ユニットの1つによって展開されたバリアでそれを防御した。

マエストロークを出しておいて良かったぜ、OCGだとArkKnight(アーク・ナイト)やカステルによって環境から追い出されたマエストロークだが、やっぱ魔人を使う上でこの耐性は心強いな。

 

「あらら、防がれちゃいましたか、流石は師匠です…

ならバトルフェイズに入りますよ…!」

「おっと、こっちもライフを半分払って仁王立ちを発動させて貰うぜ!」

 

Yuya LP 4000→2000

 

そしてこの仁王立ち、『発動出来ない』効果を無視して発動出来、バトルフェイズを強制終了する、というのも強いよな、まあ『市街戦』限定とはいえ、ホープ・ザ・ライトニング等の攻撃も通るとは限らなくなったし。

 

「これも防がれちゃいましたか…

ならこれでターンエンド…!」

 

Sora

LP 2000

手札 0

モンスター デストーイ・シザー・ウルフ(攻撃表示)

      デストーイ・シザー・タイガー(攻撃表示)

魔法・罠カード セット

 

よし、何とか持ったか。

 

「俺のターン!ドロー!

まずは『EMシルバー・クロウ』を召喚!」

 

EMシルバー・クロウ

ペンデュラム・効果モンスター

闇属性

獣族

レベル 4

攻撃力 1800

 

これで『アイツ』を呼び出す準備は完了だ!

 

「更に、俺のフィールドのクィーンドラグーンとシルバー・クロウを融合!

誇り高き銀狼よ、魔人オーケストラの女王と1つになりて新たな力を生み出さん!これがペンデュラム召喚のその先の1つ、ペンデュラム融合の、特異なる形、ペンデュラムコンタクト!出でよ、野獣の眼光りし獰猛なる龍!『ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』!」

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン

融合・効果モンスター

地属性

ドラゴン族

レベル 8

攻撃力 3000

 

クィーンドラグーンとシルバー・クロウ、2体の姿が1つに重なろうとした瞬間、其処から光が噴出し、それが晴れた後には、オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが猛獣の如き姿へと変貌した様なドラゴン、ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴンが姿を現した。

 

「こ、ペンデュラム召喚からの可能性の1つ、ペンデュラムコンタクト…

融合魔法を使わない、チェーンブロックを作らない融合なら聞いた事があるけど…」

 

おーい素良、余りの事態に呆けるのも分かるが、今デュエル中だぞ?

 

「更に罠『エクシーズ・リボーン』発動!対象は今の融合素材に使ったクィーンドラグーンだ!」

 

エクシーズ・リボーン

通常罠

自分の墓地のエクシーズモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターを特殊召喚し、このカードを下に重ねてエクシーズ素材とする。

 

「エクシーズ・リボーンの効果で、クィーンドラグーンは再び舞い戻る!

バトルフェイズに入るぜ!

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴンでシザー・タイガーを攻撃!ヘルダイブバースト!」

「はっ!?うわぁぁぁぁ!」

 

ビーストアイズ・ペンデュラム・ドラゴン 攻撃力 3000 VS デストーイ・シザー・タイガー 攻撃力 2500

 

Sora LP 2000→1500

 

「よし、これで戦闘破壊したビーストアイズの効果発動!融合素材としたシルバー・クロウの元々の攻撃力、1800のバーンダメージを与えるぜ!」

「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

Sora LP 1500→-300 LOSE

 

WINNER Yuya

 

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「ありがとうございました、師匠!やっぱり師匠は強いですね!」

「そうか?素良もかなりいい動きしていたぜ、仁王立ちなんてレアなカードを見つけたのもそうだが、あそこで俺が同じく仁王立ちを引いていなかったら、かなりヤバかったな」

「あ、ありがとうございます!」

 

負けたとはいえ互角以上に立ち回れた事、自分なりのエンタメデュエルへの手ごたえを感じた事からか、素良は心からの笑みで俺に礼を言って来た。

ところでだ、俺がエクシーズ召喚をする度に何処か複雑そうな表情をしていたのは俺の気のせいか…?


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