【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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16話_恋する乙女に、不可能は無い!

「『覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン』、『相克の魔術師』、『相生の魔術師』…

あの『俺そっくりの不審者』が持っていた『ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン』を見てから、俺のデッキに入って来たカード達…

何時、何が切っ掛けで、何が目的で、俺のデッキの中に、『オッドアイズ』や『魔術師』のカードとして入って来たのか…

オッドアイズ達とダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンとの共鳴…

アイツらにどんな関係があるのか、もしかしたら、それが関係しているのかも知れないな…」

『オッドアイズ達もそうだったけど、何だか不思議なカード達だね。効果だって今まで見た事が無い、ヘンテコな物だし』

『ああ。『相克の魔術師』のペンデュラム効果は、エクシーズモンスターのランクをレベルに替え、『相生の魔術師』のペンデュラム効果は、レベル5以上のモンスター1体のレベルの数だけエクシーズモンスターのランクを変える…

如何にもこの組み合わせてペンデュラムスケールをセッティングし、レベル揃えてエクシーズ召喚しろと言いたげな効果だな、それも一旦出したエクシーズモンスターによって。

『覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン』の効果も、エクシーズモンスターを使ってエクシーズ召喚をしないとその効果を発揮出来ないというのは、もうこの1対を狙っているとしか思えない』

 

LDS関係者が次々と襲撃されていた事件は、俺がその犯人を確保し、零児達LDS上層部に引き渡した事で一応のメドは付いたが、その折に俺のオッドアイズ達とダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンとの共鳴したっぽい現象があったり、『魔術師オッドアイズ』デッキに覇王黒竜オッドアイズ・リベリオン・ドラゴン達が入り込んでいたり…

何故そんな事が起こったのか、ユベルやアストラルとも話し合ったが、正直今の情報だけでは皆目見当も付かない。

一応、『俺そっくりの不審者』と、ソイツが持っていたダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンも関係があると思う、其処から探って行けばこの謎も分かるかも知れない。

だがソイツらは今、今回の襲撃事件の犯人として取り調べを受けている最中、其処から聞き出した情報を零児経由で聞くしか方法は無い。

当分この件は保留とし、何か分かるまでは『魔術師オッドアイズ』デッキは対戦で使わない方が良いな。

さて、そうと決まれば…

 

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「あっ貴方はあの『完全決闘者』榊遊矢様!?今日、此処で会えるなんて正に運命の導き、遊矢様こそミエルの運命の相手なのね!」

「あの、えーと、君は?」

「申し遅れました、遊矢様!ミエルは此処『海野占い塾』所属の方中(ほうちゅう)ミエルです!あの、結婚を前提に付き合って下さい!」

「ウェ!?いきなりどうしてそうなるんだ!?君と俺、初対面だよな!?」

「恋するのに関わった時間なんて関係ないです!それに貴方にとっては初対面でも、ミエルにとってはずっと憧れていた存在です!というか君じゃなくてミエルって呼んで!」

「ちょっと貴方、遊矢が困っているじゃない!一先ず離れなさい!」

「ワケわかんないよ…」

 

どうしてこうなった…?

俺達は美琴の舞網チャンピオンシップへ向けてのデュエルの為に、ニコさんが選出したデュエリストの所属する塾を訪ねたんだが…

その対戦相手として紹介された、「ふわふわ」という擬音が聞こえて来そうな赤毛、猫かと突っ込みたくなる大きな眼、リンゴ型の水色の水晶を首に掛けた少女、方中ミエルと会ったは良いのだが、向こうが俺を見つけた途端に、こうして「ラブラブ」という擬音が聞こえて来そうな位にすり寄って来た。

しかも話を聞こうとしたら唐突にプロポーズされるし、突っ込みをいれても気に留めないしで、柚子が割って入るまで話が全く進まなかった。

で、落ち着いた所で話を聞いてみたんだが、俺が舞網チャンピオンシップにて、彼女がエースとしているカードと同じ天使族・儀式モンスターである『神光の宣告者』を使って相手を圧倒する様に心を射抜かれて以来ファンとなり、それ以来俺との出会いを待ちわびつつ勉強やデュエル、占いに明け暮れていたとか。

まあ聞いた話だけだと、俺を知る切っ掛けは美琴や刃と同じって事かな、しかし其処から恋に発展するとか、何百年という人生を歩んでいても、恋愛の切っ掛けって分からない所があるもんだなぁ。

え、明らかにベタなパターンだろって?いや案外そうでも無いぞ。

 

「まあアンタが遊矢先輩をどう想おうがそっちの勝手だけど、今日は私とアンタがデュエルする予定で、此処に来たのよ。其処を勘違いしないで欲しいわね。分かったならデュエルの準備をして」

「なによアンタ、そんなカリカリして。まあ良いわ、待っていて下さい、ダーリン!」

 

いや、まだ俺付き合うとは一言も言ってないんだが!?

とはいえ話題を変えてくれて助かったぜ美琴、ミエルから話を聞いている間も彼女はすり寄っているし、柚子と(俺にしか見えなかったが)ユベルはそんなミエルに怒り心頭といった様子だし、アユは「気色悪い」と言いたげなジト眼でこっち見るだけだし、一行達男子勢は「ヒューヒュー!」とはやし立てたり「こりゃァ昼ドラ的展開に突入ってかァ?」と勘繰ったり等面白がるだけだしで、どうにも居心地が悪かったからな。

 

------------

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリストが!」

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ、これぞデュエルの最強進化系!」

「「アクショーン!デュエル!」」

 

先攻 Mieru VS 後攻 Mikoto

 

「ダーリン!貴方に勝利を捧げます!

ミエルのターン!ミエルの先攻だからドローは無しね。

ミエルはモンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンドよ」

 

Mieru

LP 4000

手札 2

モンスター セット

魔法・罠カード セット×2

 

ミエルの初手はモンスターのセットと、魔法・罠カード2枚セットで終わったか。

さて美琴は、これを見てどう出るか…

 

「あんなはっちゃけた言動をしていた割に、堅実な動きね。けど、その判断が命とりだと言う事を教えて上げる!

私のターン、ドロー!

まずは魔法『予想GUY』発動!」

 

予想GUY

通常魔法

1:自分フィールドにモンスターが存在しない場合に発動出来る。デッキからレベル4以下の通常モンスター1体を特殊召喚する。

 

来たか美琴の十八番、初手予想GUYが。

 

「予想GUYの効果で、デッキから通常モンスター『磁石の戦士(マグネット・ウォリアー)α』を守備表示で特殊召喚!」

 

磁石の戦士α

通常モンスター

地属性

岩石族

レベル 4

守備力 1700

 

予想GUYの効果でデッキから登場したのは、剣と盾を構えた磁石の戦士、α。

 

「次に『レスキューラビット』を通常召喚!」

 

レスキューラビット

効果モンスター

地属性

獣族

レベル 4

攻撃力 300

 

次に登場したのは、工事現場とかで使いそうなヘルメットとゴーグルを頭に装備し、首にトランシーバーをぶら下げた兎、レスキューラビット。

見た目は可愛いのだが、その効果はOCGで一時、準制限カードに指定された程の凶悪な物だ。

それは、

 

「レスキューラビットを除外して効果発動!私のデッキからレベル4以下の、同名の通常モンスター2体を特殊召喚するわ!この効果で『磁石の戦士β』2体を攻撃表示で特殊召喚するわ!」

 

磁石の戦士β

通常モンスター

地属性

岩石族

レベル 4

攻撃力 1700

 

同名の通常モンスター、つまり同レベル・同属性・同種族のモンスターを2体リクルートする、という物。

一時期、『兎○○』或いは『○○兎』と呼ばれた、このモンスターをキーカードに据えたデッキが環境で大暴れする程流行した位、と言えばその脅威が分かるだろう。

効果自体は禁止カードである『レスキューキャット』の調整版、という事になってはいる(そして設定的にもキャットが上司となっている)が、エクシーズ召喚が出て来た関係で調整になっていないと思ったのは俺だけじゃ無い筈だ。

そして、美琴のデッキでは、それだけがメリットじゃない。

 

「よし、これで私のエースを呼び出す準備が出来たわ!私はフィールドの磁石の戦士αとβ、そして手札の『磁石の戦士γ』をリリースして、合体召喚!『磁石の戦士マグネット・バルキリオン』!」

 

磁石の戦士マグネット・バルキリオン

効果モンスター

地属性

岩石族

レベル 8

攻撃力 3500

 

そう、リクルート手段が増える事により、エースであるマグネット・バルキリオンの登場をサポート出来るのだ。

 

「攻撃力3500…

磁石の力で互いがひかれあい、繋がる事で力を増大させたって訳ね。まるでミエルとダーリンみたい!」

「あえて其処には突っ込まないけど、磁石は、

 

惹かれて繋がる時もあれば、反発して離れる時もあるわ!

マグネット・バルキリオンをリリースして効果発動!私の墓地から磁石の戦士、α、β、γを1体ずつ特殊召喚するわ!戻りなさい、磁石の戦士達!」

「え?今出したエースを態々リリースして分解した…?」

 

美琴の行動にミエルが疑問を投げ掛ける。

まあ普通ならそう思うのも無理は無いが、今の美琴にとってはこれこそが最善の行動なんだ。

後だから、付き合うって言ってないっての!

 

「見せてあげるわ、私の新しい力を!

私は磁石の戦士αとβでオーバーレイ!2体のレベル4モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!金剛石に覆われし強大なる狼よ、全てを喰らい尽くせ!『恐牙狼ダイヤウルフ』!」

「え、エクシーズ召喚!?何なのそれ!?」

 

恐牙狼ダイヤウルフ

エクシーズ・効果モンスター

地属性

獣族

ランク 4

攻撃力 2000

ORU 2

 

エクシーズ召喚を初めて見たのか驚きの声を上げるミエルを他所に、エクシーズ召喚の演出を経て登場したのは、身体がダイヤモンドになっている狼、ダイヤウルフ。

 

「まあ私も最近覚えたばっかりで上手く説明できないから、詳しくは遊矢先輩かLDSにでも聞いて。

それは良いとして、ダイヤウルフのオーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて、このカードと、アンタのセットモンスターを対象に効果発動!

対象のカードを破壊するわ!行きなさい、ダイヤウルフ!レックレス・ファング!」

「きゃあ!ミエルの『占術姫コインノーマ』が…!」

 

ミエルのデッキは『占術姫』、か。

リバースモンスター達を中心とした下級モンスター達と、それらの効果を能動的に使える効果を有する儀式モンスター『聖占術姫タロットレイ』を駆使した、長期戦を得意とするデッキ。

だが、美琴のデッキはどちらかと言うとマグネット・バルキリオンを主軸とした短期決戦タイプ、それに加えてキーマンであるコインノーマが効果を発揮する事無く除去されては、分が悪かったかな…

 

「そして、反発して離れる事があれば、再び惹かれ合うこともあるわ!

通常モンスターの磁石の戦士γを墓地へ送って、装備魔法『戦線復活の代償』発動!対象はマグネット・バルキリオンよ!」

 

戦線復活の代償

装備魔法

自分フィールド上の通常モンスター1体を墓地へ送り、自分または相手の墓地のモンスター1体を選択して発動出来る。選択したモンスターを自分フィールド上に特殊召喚し、このカードを装備する。

このカードがフィールドから離れた時、装備モンスターを破壊する。

 

「戦線復活の代償の効果で、再び現れなさい!マグネット・バルキリオン!」

 

美琴の側に再び現れたマグネット・バルキリオンと、磁石の戦士β…

これは、アクションカードを手にしていなければ決まったな。

 

「よし、バトルフェイズに入るわ!

磁石の戦士βでダイレクトアタック!マグネットタックル!」

「きゃあ!」

 

Mieru LP 4000→2300

 

「マグネット・バルキリオンでダイレクトアタック!マグネットソード!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

Mieru LP 2300→-1200 LOSE

 

WINNER Mikoto

 

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「良かったぜ美琴!ナイスデュエル!」

「ありがとうございます、遊矢先輩!」

「頑張ったわね美琴!これであの娘も少しは大人しく」

「ダーリン、ミエル負けちゃいました…」

「ちょっと待って何で、其処で俺に引っ付くの!?一応俺美琴側なんだけど!?」

「ビリビリ1年生のデュエル程度じゃ、この熱い想いは止められないわ!って訳か」

「ちょっとどういう意味よ、冴木当麻!」

「ハハハ、こりゃァ柚子に強力なライバル出現(スパァン!)あべしィ!?」

「だ、誰がどんなライバルよ、それ!?」

「なあ素良、遊勝塾の日常ってこんなカオスだっけ…?」

「入ったばっかの僕に聞かれても困るんだけど…」

 

刃に素良、嘆くばかりじゃなくて止めてくれ…


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