【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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124話_終わりの始まり

先攻 Friagne LP 4000 VS 後攻 Raiga LP 4000

 

「僕の先攻か。

なら、まずは速攻魔法『竜呼相打つ』を発動」

 

竜呼相打つ(制限カード)

『竜呼相打つ』は1ターンに1枚しか発動出来ない。

1:デッキから『竜剣士』ペンデュラムモンスター1体と『竜魔王』ペンデュラムモンスター1体を選んで相手に見せ、相手はその中からランダムに1体選ぶ。相手が選んだペンデュラムモンスターを自分のペンデュラムゾーンに置くか特殊召喚する。残りのペンデュラムモンスターは自分のエクストラデッキに表側表示で加える。

 

先攻となったフリアグネの発動した竜呼相打つ、デッキからペンデュラムモンスター2体を選んで、ランダムではあるがどちらかをリクルートかペンデュラムゾーンにセット出来、もう片方もペンデュラム召喚の為にエクストラデッキへと送れるという、制限カードに指定される程のカードパワーを持つ。

 

「竜呼相打つの効果でデッキから『竜剣士マスターP(ペンデュラム)』と『竜魔王レクターP』を選ぶよ。さあ、どっちか選んで」

「なら、俺は右側のカードを選ぶ!」

「選ばれたのはレクターP、よってこのカードを攻撃表示で特殊召喚。

選ばれなかったマスターPはエクストラデッキに送られるよ」

 

竜魔王レクターP

ペンデュラム・効果モンスター

闇属性

ドラゴン族

レベル 4

攻撃力 1950

 

その竜呼相打つの効果で登場したのは、異次元より来たと言われる竜魔族の王の、戦士としての姿。

 

「次に『竜魔王ベクターP』を召喚」

 

竜魔王ベクターP

ペンデュラム・通常モンスター

闇属性

ドラゴン族

レベル 4

攻撃力 1850

 

次に登場したのは、その竜魔族の王の、本来の姿。

 

「僕は今召喚したベクターPとレクターPでオーバーレイ。2体のレベル4・ペンデュラムモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築。奇術師の力を得た竜魔族の剣士が今、仲間達と共に大空を舞い、魔王を討つべく進撃する!エクシーズ召喚、ランク4!『昇竜剣士マジェスターP(パラディン)』!」

「エクシーズ召喚…

まさかアカデミアのモンキーにも、他の次元の召喚方法を使う奴がいたとはな」

 

昇竜剣士マジェスターP

エクシーズ・効果モンスター

風属性

ドラゴン族

ランク 4

守備力 2000

ORU 2

 

並び立った2体の竜魔王、それらを素材としたエクシーズ召喚の演出と共に登場したのは、日影が用いるマジェスペクターモンスターの力を得た竜剣士が騎士へと変貌した姿。

その姿、というよりフリアグネがエクシーズ召喚した事に驚きを見せる雷牙、以前キサラが遊矢とのデュエルでシンクロ召喚を見せる等、ホルアクティ・フォースには他次元の召喚方法を蔑視する様子は無さそうだ。

 

「エクシーズ召喚したマジェスターPの効果発動。

僕はこのターンのエンドフェイズに、デッキからペンデュラムモンスターをサーチするよ。

次にマジェスターPのオーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて効果発動。

エクストラデッキに表側表示で存在するマスターPを、攻撃表示で特殊召喚」

 

竜剣士マスターP

ペンデュラム・通常モンスター

光属性

ドラゴン族

レベル 4

攻撃力 1950

 

昇竜剣士マジェスターP ORU 2→1

 

マジェスターPの効果によって登場したのは、呪いによって竜魔族の様な力を得た剣士。

 

「更に儀式魔法『高等儀式術』発動」

 

高等儀式術

儀式魔法

手札の儀式モンスター1体を選び、そのカードとレベルの合計が同じになる様にデッキから通常モンスターを墓地へ送る。その後、選んだ儀式モンスター1体を特殊召喚する。

 

「僕は手札の『虚竜魔王アモルファクターP(サイコ)』を選び、デッキからベクターPを2体墓地へ送って降臨させるよ。寄生竜をその身に植え付けた竜魔族の王が今、その虚ろなる力を解き放ち、世界を意のままに蹂躙する!儀式召喚!虚竜魔王アモルファクターP!」

 

虚竜魔王アモルファクターP

儀式・効果モンスター

地属性

ドラゴン族

レベル 8

攻撃力 2950

 

そして、儀式召喚の演出と共に舞い降りたのは、セルゲイが用いるアモルファージモンスターを自らの身に植え付けた竜魔王が変貌し、更なる力を得た姿。

見た目は無論の事だが、その効果もまた、禍々しい事この上無い物と化している…!

 

「そして永続魔法『端末世界(ターミナルワールド)』を発動してターンエンド。

エンドフェイズに、デッキから2枚目のマスターPを手札に加えるよ」

 

端末世界

永続魔法

このカードはメインフェイズ1でのみ発動する事が出来る。

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのメインフェイズ2をスキップする。

 

Friagne

LP 4000

手札 1(竜剣士マスターP)

モンスター 昇竜剣士マジェスターP(守備表示)

      虚竜魔王アモルファクターP(攻撃表示)

      竜剣士マスターP(攻撃表示)

魔法・罠カード 端末世界

 

「端末世界か、面倒くさい物を立てやがって。

だったら俺のターンだ、ドロー!」

「おっと、アモルファクターPの効果でメインフェイズ1はスキップさせて貰うよ」

「な、何!?」

 

ターンを明け渡された雷牙、だが此処で、アモルファクターPの、その禍々しい力が解放された…!

その効果は、儀式召喚した次の相手ターンのメインフェイズ1を飛ばす、という物。

これはつまり、バトルフェイズに向けての準備が出来ない、だけじゃない。

 

「あと、端末世界の効果でメインフェイズ2もスキップするよ。

さ、スペルスピード2で使えるカードが無かったら、ターンエンドしてよ」

「た、ターン、エンドだ…!」

 

Raiga

LP 4000

手札 6

モンスター なし

魔法・罠カード なし

 

アモルファクターPと端末世界、メインフェイズを行わせず、速攻魔法以外のカードを使わせない凶悪なコンボの前に成す術なくターンを明け渡してしまった雷牙。

 

「僕のターン、ドロー。

さて、このまま決めようか。マジェスターPを攻撃表示に変えて、バトルフェイズに入るよ。

全員で総攻撃だよ!」

 

そんな雷牙の状況にも容赦しないと言わんばかりに(実際にそう仕組んだ張本人だから当然だが)、フリアグネが呼び出したモンスターの総攻撃が、雷牙に迫る…!

 

------------

 

先攻 Belpeol LP 4000 VS 後攻 Yukino LP 4000

 

「アタシのターン。

まずは魔法『名推理』発動」

 

名推理(制限カード)

通常魔法

相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキからカードをめくる。出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、それ以外のめくったカードは全て墓地へ送る。

 

一方、こちらのデュエルで先攻となったベルペオルは早速、墓地アドバンテージが重要視されるデッキでの代名詞と言って良い魔法、名推理を発動した。

通常召喚可能なモンスターが登場するまでデッキの上をめくり、それが宣言したレベルと同一なら全て墓地送り、違えばそれを特殊召喚してそれ以外にめくれたカードを墓地へ送るこのカード、その真価はむしろそれによって捲れたカードなら何枚でも墓地へ送れる点。

故に墓地アドバンテージが重要視されるデッキでの墓地肥やし手段として使われ、それが理由で制限行きとなった。

 

「さあ、レベルを宣言して貰おうかい。分かっているとは思うけど、レベルを外した場合は特殊召喚されるからねぇ、慎重に宣言するんだね」

「なら、4を選ぶわ」

「じゃあ始めるよ…

永続魔法『方界(カルマ)』、罠『スキル・プリズナー』、魔法『方界波動』、罠『方界合神』、2枚目の方界業、効果モンスター『流星方界器デューザ』…

おや、当たりだねぇ。そしたらデューザを含めて、めくれたカードは全て墓地へ送られるよ」

 

宣言したレベルが当たり、引き当てられたモンスターが出る事無く墓地へ送られはした。

だが名推理が入るデッキにおいてそれは大した事では無く、むしろ少なくない枚数を墓地へ送れた事の方が大きい、発動したベルペオルも、対峙する雪乃もそれが分かっているが故、ベルペオルは何処か余裕の笑みを浮かべる一方、雪乃は若干厳しい表情を見せる。

 

「さあて、とっとと決めちゃって他の連中の援護に出向こうかねぇ。たった今墓地へ送られた方界業を除外して効果発動!

デッキから『暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ』を手札に加えるよ。

次に今手札に加えたクリムゾン・ノヴァを、手札の『方界帝ゲイラ・ガイル』と『方界獣ダーク・ガネックス』、『方界胤ヴィジャム』を見せる事で、攻撃表示で特殊召喚!

闇、闇、闇!光を喰らい、世を眩ませ、現れろ!暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ!」

 

暗黒方界神クリムゾン・ノヴァ

効果モンスター

闇属性

悪魔族

レベル 10

攻撃力 3000

 

その墓地へ送られたカードの効果によるサーチを経て登場したのは、ヒンドゥー教における『破壊』と『再生』を司る神シヴァをモチーフにしたと思われる、禍々しき姿のモンスター、クリムゾン・ノヴァ。

 

「そして魔法『デス・メテオ』を発動!」

 

デス・メテオ

通常魔法

相手ライフに1000ポイントダメージを与える。相手ライフが3000ポイント以下の場合このカードは発動出来ない。

 

「デス・メテオの効果で1000ダメージを受けて貰うよ!」

「きゃぁ!」

 

Yukino LP 4000→3000

 

「おや、発動するカード無しかい?なら、これでターンエンドだよ。

エンドフェイズにクリムゾン・ノヴァの効果発動!

互いに3000ダメージを受けて貰うよ!」

「な!?つまりさっきのデス・メテオは…!」

 

そう、終了間際に発動したデス・メテオ、それはベルペオルが先攻1キルを決める為に放った布石であったのだ…!

驚愕する雪乃の眼前に、

 

「さあ、派手に吹っ飛ぶが良いよ、神の炎によって!」

 

クリムゾン・ノヴァの頭に刻まれた眼の紋様から放たれた真紅の業火が迫る…!

 

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Side 月影

 

先攻 Tsukikage LP 4000 VS 後攻 Kisara LP 4000

 

「拙者のターン!

まずは永続魔法『ダイナミスト・チャージ』発動!」

「ダイナミスト…!

やはり、開発中だった6つのデッキの内5つは、貴方達が盗んだのでありますな…!」

 

ダイナミスト・チャージ

永続魔法

『ダイナミスト・チャージ』は1ターンに1枚しか発動出来ない。

1:このカードの発動時の効果処理として、デッキから『ダイナミスト』モンスター1体を手札に加える。

2:1ターンに1度、『ダイナミスト』カードがフィールドから自分のエクストラデッキに表側表示で加わった場合に発動する。そのカード1枚を手札に加える。

 

む、どうやら拙者が発動したカードを見て、このデッキの出所を見抜かれた様でござるな。

まあ隠す程の事では無い以上、別段問題では無いでござるな。

 

「ダイナミスト・チャージの発動時の効果で、デッキから『ダイナミスト・プレシオス』を手札に加えるでござる」

 

さて、拙者が対峙しているキサラ殿は嘗て我らランサーズがシンクロ次元にいた頃、遊矢隊長がデュエルしたそうで、その実力は隊長と互角に渡り歩くほどの物だそうでござる。

その用いるデッキは【ブルーアイズ】、様々なサポートカードによって展開されたブルーアイズモンスターの膨大なステータスで蹂躙するのを得意とするデッキとの事でござる。

押し合いとなればかの悪名高い速攻魔法『リミッター解除』を使え、デメリットもペンデュラムモンスター故に余り気にならない我がダイナミストで返り討ちも狙えるでござるが、生憎今の拙者の手札にそれは無いでござる。

となれば、此処は耐え忍ぶのみでござるな…!

 

「臨・兵・闘・者・皆・陣・裂・在・前!拙者はスケール3の『ダイナミスト・ケラプトス』と、スケール6の『ダイナミスト・ブラキオン』で、ペンデュラムスケールをセッティング!」

 

Tsukikage

ペンデュラムスケール(青):3(ダイナミスト・ケラプトス)

ペンデュラムスケール(赤):6(ダイナミスト・ブラキオン)

 

拙者は早九字を切りつつペンデュラムゾーンに2枚のペンデュラムモンスターをセットし、

 

「これによりレベル4と5のモンスターを同時に特殊召喚可能!いざ進軍せよ、機械仕掛けの恐竜達よ!ペンデュラム召喚!レベル4、ダイナミスト・プレシオス!レベル5『ダイナミスト・レックス』!そしてレベル5『ダイナミスト・スピノス』!」

 

ダイナミスト・プレシオス

ペンデュラム・効果モンスター

水属性

機械族

レベル 4

守備力 1400

 

ダイナミスト・レックス

ペンデュラム・効果モンスター

水属性

機械族

レベル 5

守備力 2200

 

ダイナミスト・スピノス

ペンデュラム・効果モンスター

水属性

機械族

レベル 5

守備力 1800

 

3体のペンデュラムモンスターを守備表示で特殊召喚したでござる。

1体目は、とある国の湖に出没するとされたUMA(未確認生命体)に進化して今も生きながらえているのではないかと噂になった首長竜プレシオサウルスを模したロボット、プレシオス。

2体目は、恐竜で一番メジャーと言って良いティラノサウルスを模したロボット、レックス。

3体目は、背中のトサカ状の棘が特徴的で、一部ではティラノサウルス以上の強さを誇ったとまで言われる(実際、攻撃力ではこっちが上)恐竜スピノサウルスを模したロボット、スピノス。

 

「拙者はこのままターンエンドでござる」

 

Tsukikage

LP 4000

手札 0

モンスター ダイナミスト・プレシオス(守備表示)

      ダイナミスト・レックス(守備表示)

      ダイナミスト・スピノス(守備表示)

魔法・罠カード ダイナミスト・チャージ

 

一先ずはこれで急場をしのぐでござる。

ペンデュラムゾーンにセットした2枚のカード、その1つであるケラプトスは拙者のフィールドにいるダイナミストカードの戦闘及び効果による破壊を肩代わり出来、もう1つであるブラキオンは拙者のフィールドにいるダイナミストカードを対象とした効果を無効化出来るでござる。

もし仮にどちらかが破壊されても、ダイナミスト・チャージの強制効果で回収可能、よって再びペンデュラムスケールをセッティングする事も容易でござる、それら3枚に加えダイナミストモンスターが3体、これによってプレシオスによる相手モンスターの攻撃力低下効果は600となるでござる。

これで何とかこのターンは凌げそうでござるが…

 

「堅実な立ち上がりでありますな。ですが、我がブルーアイズの前にその様な布陣が無意味な事を教えて差し上げるであります!私のターン、ドロー!

まずは手札を1枚捨てて魔法『ドラゴン・目覚めの旋律』発動!」

 

ドラゴン・目覚めの旋律

通常魔法

1:手札を1枚捨てて発動出来る。攻撃力3000以上で守備力2500以下のドラゴン族モンスターを2体までデッキから手札に加える。

 

「ドラゴン・目覚めの旋律の効果で、デッキから『青眼の亜白龍』と『ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン』を手札に加えるであります」

 

む?今キサラ殿のカードの効果によって加わりし2枚のドラゴン族モンスターの中に、儀式モンスターを示す青いカードフレームが見えた様な…

 

「次に儀式魔法、高等儀式術を発動!」

 

やはり見間違えではなかったでござるな。

それにしてもブルーアイズの儀式モンスターでござるか、確かに結構前まで下火であった儀式召喚も今や融合やシンクロ、エクシーズ召喚と肩を並べるまでに地位を高め、我がランサーズにも雪乃殿やミエル殿、メアリ殿や白哉殿といった使い手がおられるが…

 

「私はたった今手札に加えたカオス・MAX・ドラゴンを選び、デッキから『青眼の白龍』を墓地へ送り降臨させるであります!今こそ君臨せよ、混沌を一身に受け止めた青き眼の龍よ!その力は天をも切り裂く!儀式召喚!出でよ、ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン!」

『ガァァァァァァァ!』

 

ブルーアイズ・カオス・MAX・ドラゴン

儀式・効果モンスター

闇属性

ドラゴン族

レベル 8

攻撃力 4000→3400

 

こ、攻撃力4000!?

今しがた儀式召喚の演出と共に登場した、その機械の様な鎧を纏った青白い姿のドラゴン、そのステータスの高さに、拙者は思わず驚愕したでござる。

然しながら、此処で驚くのはまだ早いと、直ぐに思い知らされたでござる。

 

「バトルフェイズに入るであります!

カオス・MAX・ドラゴンでプレシオスを攻撃!カオス・MAX・ドラゴンが守備表示モンスターを攻撃する時、その守備力を攻撃力が超えた分の、

 

 

 

倍の数値分、戦闘ダメージを与えるであります!」

 

ば、倍の貫通ダメージでござるか!?

倍の貫通ダメージと言えばマージョリー殿のエースカード『メタルフォーゼ・オリハルク』が持っているでござるが、まさかレベル8で左様なステータスを持ちながら…!

 

「これで決めるであります!混沌のマキシマム・バースト!」

 

左様な驚きで固まる拙者の眼前に、カオス・MAX・ドラゴンの顎から放出されたブレスが迫る…!

 

 

 

 

 

「確保対象を保護した!もう此処に用は無い、ずらかるぞ!」

「セルゲイ殿、かたじけない!」

「分かったわ、随分と早かったわね!」

「仕方ねぇ、引くか!」

「じゃあな、アカデミアさんよ!」

「なっ!?」

 

が、それが届く事は無かったでござる。

拙者及びホルアクティ・フォースのメンバーとデュエルしていた(と思われる)雪乃殿と雷牙殿へと向けて迫っていた攻撃、それが届く寸での所でセルゲイ殿と思われる声と共に我らを掴んだ触手らしき物、それによって我らが引っ張り上げられ、事なきを得たでござる。

 

「お、追うでありますよ!」

「勿論さ!」

「分かっているよ!」

「フン、ホイホイ捕まる等と美しくないヘマはしない!全速前進だ!」

 

何やら後方でキサラ殿達が追いすがろうとしていた様でござるが、セルゲイ殿がロケットエンジンらしき機構を形成、噴射した事による高速飛行によって瞬時に離脱したでござる。

それから数秒経つと、横合いから何やら巨大な飛行物体を見つけたでござる、あれは一体、

 

「月影!そちらも任務遂行した様でござるな!」

「兄者!左様にござる!」

「ほぉ、俺の手を借りる事無く、黒咲瑠璃に巣食っていた虫を排除したか。黒咲隼、実に美しい兄弟愛だ!」

「当然だ、と言いたいが、俺1人ではどうだったか、な…」

 

其処に乗っていたらしい兄者の声からしてどうやら味方のそれでござるな、しかもよく見ると何やら鳥の様な姿形、これは隼殿のRRモンスターでござろうか?

まあ何はともあれ瑠璃殿とリン殿の身柄も確保して任務完了、後は身を潜める場を探し、遊矢隊長へと連絡を取るのみでござるな。

 

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Side ????

 

「申し上げます、一大事です!東西の塔にて拘束していた2人の『ピース』が脱走しました!どうやらランサーズの者が1枚噛んでいるとの事です!」

「な…!?

警備に当たっていたホルアクティ・フォースはどうしたのだ!?」

「ど、どうやら侵入者を全て食い止めるには至らなかった様で…」

「馬鹿な、何の為の配備だと考えているのだ…!」

 

瑠璃とリンの脱走、その知らせは直ぐ様、零王の下にも入り、余りの事態に呆然自失といった状態となっていた。

 

「『ピース』は全て失い、一方で榊遊矢は別次元の自分をも手中に収めたに違いない…

別次元から連れて来た市民も粗方脱走され、デュエル戦士達の士気もがた落ち…

頼みの綱であるホルアクティ・フォースも状況を変えるには至らない…

 

もう駄目だ、お仕舞いだ、世界はまた、悪魔の手によって滅びの道を辿る事になる…!」

 

状況は最早絶望的、それを思い知ったかの様な言葉を吐くしかなかった零王。

然しながら彼は知らない、その『悪魔』は、ズァークは、既に遊矢によって『完全に』殺された事に。

その一筋の希望を掴むのは、もう少し先の話…




今回で8章は終了、次回から9章、この『遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~』の最終章に入ります!

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