【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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2章『暗躍!舞網チャンピオンシップへ向けて!』
13話_もっと、熱くなれよぉぉぉぉ!


「それじゃあ、美琴に素良、そして刃の3人!」

『ようこそ!遊勝塾へ!』

「改めて宜しくゥ、3人共!」

「此処での事で何か困った事があったら何でも聞いてね!」

「一緒に切磋琢磨して行こうぜ!」

「遊勝塾の事なら、何でも俺に聞いてくれよ!」

「一気に3人も増えるなんて、これは凄くシビれる日常が待っているぜ!」

「まあ、うちこんなテンションだけど、ともかく宜しくね!」

「3人共、宜しくお願いします!」

「はい!皆さん、ありがとうございます!」

「えへへ、ありがとう皆!これからも宜しく!」

「えーと、一応此処に入る事は決まったけど、まだ俺の所属LDSだぜ?俺も祝われて良いのか?」

「案ずるな、刃よ。それを言えば、そもそもこの権現坂は部外者だ」

「いや、それを胸張って言うのはどうなんだ?」

「気にするな、刃!部外の者とも切磋琢磨していく、これこそ熱血だぁ!」

 

LDSとの3番勝負も終わり、改めて美琴と素良の歓迎会が始まった。

因みになんでLDSに所属している筈の刃がいるのか(権現坂がいるのは、まあ何時もの事だ)と言うと、ちょっと前に連絡をくれた零児曰く「LDSも今後、他のデュエルスクールに人材を出向かせて、互いに切磋琢磨して行かないといけないと、この3番勝負で痛感した」との事、その第1弾として遊勝塾に塾生を移籍させる事となったのだが、其処で白羽の矢が立ったのが、遊勝塾に対する熱い想いを持っていた刃、という訳。

その動きに一部からは「他のデュエルスクールを偵察させ、その秘密裏になっている指導方針を探るのが目的じゃないか?」と警戒する声、つまり刃がLDSのスパイなんじゃないかと警戒する声もあった。

まあさっきあんな事が起こったばっかりだからやむを得ないけどさ、俺達の指導方針はオープン、というか決まった物が存在していないし、だったら権現坂はどうなんだって事になるよな、アイツ権現坂道場の跡取りだぞ。

それにもし俺達の指導方針が流出したとしてもだ、それで強いデュエリストが育って、将来俺達を満足させてくれるほどの奴になったとしたら大歓迎だ、むしろ俺達にとって壁となれるまで、位の意気込みでも構わないぞ(あ、カードをパクるとかは駄目だからな、それは立派な犯罪)。

だから俺達は、刃の移籍を快く受け入れたんだ。

 

「そういえば、もうそろそろ舞網チャンピオンシップだな。うちはジュニアユースで遊矢、柚子、一行、当麻が去年ベスト8に入ったからシード権を4つ得ているが、確か刃は資格を持っているんだよな?」

「そうっす。50戦以上やって勝率7割記録しましたんで」

「美琴と素良はこれから、という所か。今からじゃあ50戦して勝率6割は厳しいから、もう1つの条件である6連勝を狙うしかないか」

「は、はい!頑張ります!」

「師匠達に鍛えられているから、楽勝ですよ!」

「去年の躍進もあって今じゃ加入希望者が殺到する程になったが、やっぱり結果を残していかないとな、去年の躍進が一過性の物と言われない為にも」

 

歓迎会が始まってから大分時間が経ち、ふと今度開催される舞網チャンピオンシップの話となった。

何度もさらっと話題にしている舞網チャンピオンシップ、それは年1回開催される、LDSが主催するデュエルの大会で、小学生以下が参戦するジュニアクラス、中学生以上(基本的に高校生まで)が参戦するジュニアユースクラス、そしてプロへの登竜門と言われているユースクラスの3つの部門がある。

ユースクラスで勝利すればプロへの道が開けるとあって大人気のこの大会だが、そのハードルは高い。

まずプロへの登竜門と言われているユースクラスに出場する為には、ジュニアユースクラスで好成績を収めてユースへの昇格試験を受けなければならず、そしてジュニアユースクラスに出場する為には、それまでに行われている公式戦において、『50戦以上行って勝率6割』か『直近で6連勝』のどちらかの条件を満たさなければならない(俺達の様な例外もあるが)。

そして今の時期となると、出場資格を満たしている奴はそれをキープする為にデュエルを自粛したり、満たしていない奴が互いにつぶし合ったりと、新たに出場資格を満たすのが難しくなる。

実力が知れ渡り過ぎてしまっている遊勝塾所属となったら尚更、公式戦を受けてくれるかどうか難しくなる、余程勝率に余裕があれば「実力者揃いの遊勝塾を相手にデュエルする事、これほど良い経験は無い」と受け入れてくれそうだが…

 

「おやおや?何やらお困りの様子」

 

あれ、何かこの場面、記憶にあるんだが。

その声に皆して振り向くと事務所の入り口から、黄色と黒のストライプ模様のスーツ、黄色がかったレンズの眼鏡を掛けた、

 

「に、ニコ・スマイリーさん!?」

 

そう、ストロング石島のマネージャー兼プロモーターであるニコ・スマイリーさんが入って来た。

こんな狙ったかの様なタイミングで出て来るとか、貴方は地獄耳ですか?

 

「ど、どうして貴方が此処に!?」

「いやぁそれがですね、ストロング石島があのデュエルの後にチャンピオンの座を返上し、私に何の連絡も無く修行の旅に出てしまったので、その代わりと言ってはあれですが、遊勝塾の方々を一流のプロにしたいという想いを抱き、はるばる参上しました!」

 

マネージャーに何の連絡も無いって大丈夫か、色んな意味で?

 

「それで、話は聞きましたよ。こちらのお二方、美琴さんと素良さんの対戦相手ですね?」

「はい。宜しければ、デュエルの相手の斡旋をして頂けますか?」

「お任せください!不肖このニコ・スマイリーが、相手をご用意いたしましょう!」

 

しかしながらアクションデュエルの、チャンピオンの座を3年間守り続けたストロング石島のマネージャーをずっと務めて来たのだ、その手腕は高い筈、こんな人が遊勝塾に付いてくれるとは心強いな。

美琴と素良の対戦相手に関しては、大丈夫そうだ。

 

「それでニコさん、もう1つ、これは俺個人としての頼みなのですが…」

「はいはい、何でしょうか?」

「かくかくしかじかで…」

「これこれうまうま、という訳ですね!分かりました、それでは今の貴方の実力を拝見いたしますが、宜しいですね?」

「はい。遊矢、俺とデュエルをして欲しい。フィールドに来てくれるか?」

「分かりました、塾長」

 

塾長とニコさんが何やら会話を交わしていると、ふと俺と塾長がデュエルする事になった。

傍目からは唐突な話、だが俺達にはその訳が直ぐに分かった。

それは…

 

------------

 

「戦いの殿堂に集いしデュエリストが!」

「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」

「フィールド内を駆け巡る!」

「見よ、これぞデュエルの最強進化系!」

「「アクショーン、デュエル!」」

 

先攻 Yuya LP 4000 VS 後攻 Shuzo LP 4000

 

何気に俺が先攻になるの久々だな。

 

「俺のターン!先攻はドロー無し。

まずは手札を1枚墓地へ送って魔法『オノマト連携(ペア)』発動!」

 

オノマト連携

通常魔法

手札を1枚墓地へ送って発動出来る。デッキから以下のモンスターの内1枚ずつ、合計2枚までを手札に加える。『オノマト連携』は1ターンに1枚しか発動出来ない。

●『ズババ』と名の付いたモンスター

●『ガガガ』と名の付いたモンスター

●『ゴゴゴ』と名の付いたモンスター

●『ドドド』と名の付いたモンスター

 

「オノマト連携の効果で、俺は『ゴゴゴジャイアント』と『ドドドウィッチ』を手札に加える!

モンスターをセット、カードを1枚セットしてターンエンド!」

 

Yuya

LP 4000

手札 3

モンスター セット

魔法・罠カード セット

 

今回使っているのは、遊馬時代にメインで使用していた『オノマトホープ』デッキ。

希望皇ホープとの連携が強力な『ズババ』『ガガガ』『ゴゴゴ』『ドドド』といったオノマトモンスターを主力としたデッキだ。

ただ、塾長が恐らく今使っているだろうデッキ相手に、先攻で展開するのはちょっと不味いんだよな…

 

「やけに動きが慎重だな。ならば俺から行かせて貰う!

俺のターン、ドロー!

まずは魔法『おろかな埋葬』発動!」

 

おろかな埋葬(制限カード)

通常魔法

1:デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

「おろかな埋葬の効果で、デッキから『BK(バーニングナックラー)ヘッドギア』を墓地へ送る!」

 

そう、塾長が使っているのは『BK』デッキ。

遊馬時代、バリアン七皇の1人ではあったが同時に俺の親友だったアリトが使っていたデッキで、ボクシングをモチーフにしたBKモンスターを用いた、蘇生を主とする展開力と其処からのエクシーズ召喚、カウンターで相手を迎撃するのを主戦略としている。

嘗ては『ガッツマスター』というスポ魂漫画をモチーフにした、炎属性・戦士族のカテゴリを使用していた塾長だったが、遊勝塾にて融合やシンクロ、エクシーズ召喚を取り入れ始めた頃に「何時までも高みを目指す事を忘れない心、これぞ熱血だ!」と、俺に指導を頼んできて、その際に「ピンと来た」のが、このBKだったそうだ(何気にガッツマスターと同じ炎属性・戦士族だしな)。

それ以来エクシーズ召喚を必死で学び、そして自らのデュエルを見つめ直し、

 

「済まないな、遊矢。塾生の指導は殆どお前頼みどころか塾長の俺すら遊矢に指導を仰ぐ始末、それなのに俺の我儘を押し通す為に今、お前とデュエルをしている。男として、先輩から塾を預かった身として、情けない限りだ。だがお前達が逆境にもめげないどころか敢然と立ち向かい、互いに切磋琢磨し、そして全力でデュエルをしている姿を見て、俺も血が騒いだ。遊矢、俺はもう1度、プロのリングに立ちたい!その為に、お前に勝つ!」

 

そして今、プロデュエリストに復帰する為に、俺と対峙している。

嘗ては父さんと同じくプロデュエリストだった塾長、だが父さんが失踪した3年前、塾長が不在となり、スポンサーが相次いで離脱する等の激震に見舞われたこの遊勝塾を存続させる為にプロを引退、塾長となって立て直しに奔走した。

塾長は自分を情けないと言っているがそんな事は無い、塾長が塾の存続の為に奔走してくれたからこそ、今があるんだ。

そんな、今まで遊勝塾の為に全力で頑張って来た塾長の想いを否定する存在は此処にはいない。

遊勝塾だって去年の大躍進以後人気はLDSと肩を並べる位になったし、資金的な面でもLDSから貰った賠償金によって余裕が生まれ、規模を大きくする事が出来た。

ニコさんという敏腕マネージャーも付いた今、このタイミングを逃せば、塾長の想いを実現する機会はもう訪れないと言っても過言じゃ無いんだ。

だがデュエルはデュエル、仮に手加減をしてニコさんに見抜かれたりしたら本末転倒だ、全力で相手をさせて貰うぜ!

 

「次に『BKスイッチヒッター』を召喚!」

 

BKスイッチヒッター

効果モンスター

炎属性

戦士族

レベル 4

攻撃力 1500

 

塾長の場に登場したのは、『両利き』を意味する言葉を冠した戦士、スイッチヒッター。

 

「召喚に成功したスイッチヒッターの効果発動!

今墓地へ送ったヘッドギアを蘇生する!」

 

BKヘッドギア

効果モンスター

炎属性

戦士族

レベル 4

守備力 1800

 

スイッチヒッターの効果で登場したのは、自らの名前の元となった防具を装着した戦士、ヘッドギア。

 

「続いて、スイッチヒッターとヘッドギアでオーバーレイ!2体のレベル4・BKモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!魂に秘めた炎を拳に宿せ!『BK拘束蛮兵リードブロー』!」

 

BK拘束蛮兵リードブロー

エクシーズ・効果モンスター

炎属性

戦士族

ランク 4

攻撃力 2200

ORU 2

 

その後、エクシーズ召喚の演出と共に出現したのは、2つのオーバーレイ・ユニットが拘束具となってその身を封じられた戦士、リードブロー。

 

「更に魔法『ブラック・ホール』発動!」

 

ブラック・ホール(制限カード)

通常魔法

1:フィールドのモンスターを全て破壊する。

 

と、此処でモンスターの全体破壊魔法として名高い、ブラック・ホールが発動した。

普通ならエクシーズ召喚した所に自爆させるという正気とは思えない行動、だが、

 

「ブラック・ホールの効果でフィールドにいるモンスターを全て破壊する!

だがこの時リードブローの効果で、リードブローが破壊される代わりにコイツに纏わりつく拘束具(オーバーレイ・ユニット)を1つ取り除く!」

 

BK拘束蛮兵リードブロー ORU 2→1

 

リードブローにとっては、その真価を発揮する為にてっとり早い策だ。

が、それは俺にとっても好都合だ!

 

「破壊されたのは『ゴゴゴゴーレム』!そのゴゴゴゴーレムを対象に罠『ガードゴー!』発動!」

「それを伏せていたか!だがこっちも拘束具を取り除いたリードブローの効果発動だ!」

 

ガードゴー!

通常罠

1:自分フィールドの『ガガガ』『ドドド』『ゴゴゴ』モンスターのいずれかが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、そのモンスター1体を対象として発動出来る。そのモンスターを特殊召喚する。その後、手札から『ガガガ』『ドドド』『ゴゴゴ』モンスターを合計2体まで守備表示で特殊召喚出来る。

 

「リードブローの効果で、攻撃力を800アップさせる!」

「ガードゴー!の効果で、ゴゴゴゴーレムを守備表示で蘇生する!更に手札から『ドドドウィッチ』と『ゴゴゴゴラム』を守備表示で特殊召喚!更に特殊召喚に成功したゴゴゴゴラムの効果発動!このカードを攻撃表示にする!」

 

BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力 2200→3000

 

ゴゴゴゴーレム

効果モンスター

地属性

岩石族

レベル 4

守備力 1500

 

ドドドウィッチ

効果モンスター

地属性

戦士族

レベル 4

守備力 1600

 

ゴゴゴゴラム

効果モンスター

地属性

岩石族

レベル 4

攻撃力 2300

 

リードブローの拘束具が1つ取り外された事でその真の力が一部解放された一方、俺の場にも鈍色を基調とした岩石巨人ゴゴゴゴーレムと、バイキングを思わせる出で立ちの魔術師っぽい戦士ドドドウィッチ、そして赤色を基調とした岩石巨人ゴゴゴゴラムが出現した。

 

「まだまだだ!手札の『BKシャドー』の効果発動!

リードブローの拘束具を1つ取り除き、攻撃表示で特殊召喚する!」

 

BKシャドー

効果モンスター

炎属性

戦士族

レベル 4

攻撃力 1800

 

BK拘束蛮兵リードブロー ORU 1→0

 

更にもう1つの拘束具が破損、其処からそれを突き破る様に、名前の如く黒を基調としたカラーリングの戦士、シャドーが出現した。

まさか初手で握っていたとはな…

 

「更に、もう1つの拘束具を取り除いたリードブローの効果発動!

これでリードブローの封印された真の力が解放される!」

 

BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力 3000→3800

 

そして、拘束具が全て外れたリードブロー、その全力が解放される。

 

「更に更に!デッキの一番上のカードを墓地へ送って魔法『バーニングナックル・スピリッツ』発動!」

 

バーニングナックル・スピリッツ

通常魔法

デッキの一番上のカードを墓地へ送って発動出来る。自分の墓地の『BK』と名の付いたモンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚する。『バーニングナックル・スピリッツ』は1ターンに1枚しか発動出来ない。

 

「バーニングナックル・スピリッツの効果で、墓地のヘッドギアを表側守備表示で蘇生する!

俺は今蘇生したヘッドギアとシャドーでオーバーレイ!2体のレベル4モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!エクシーズ召喚!魂の炎が宿った拳よ、もっと熱くなれよぉぉぉぉ!『No.(ナンバーズ)79BK新星のカイザー』!」

 

No.79BK新星のカイザー

エクシーズ・効果モンスター

炎属性

戦士族

ランク 4

攻撃力 2300→2500

ORU 2

 

塾長がどっかの炎の精霊丸出しな口上と共に登場した無限大の記号型の赤い機械物体、それに『79』と刻印が刻まれたと共に変形して出現したのは、両腕に名前の由来にもなった打撃武器を装着した赤き戦士、新星のカイザー。

あ、前にも言ったかと思うけど、No.達は遊矢に転生した際、特に変わった力を持っていないOCG効果のカードに変わったから、欲望を増幅されて暴走するとか、アクションデュエルでも無いのにダメージが実体化するとか、そんな事は無いからな?後、

 

「そして!今出した新星のカイザーを対象に魔法『RUM(ランクアップマジック)―バリアンズ・フォース』発動!」

 

RUM―バリアンズ・フォース

通常魔法

自分フィールド上のエクシーズモンスター1体を選択して発動出来る。

選択したモンスターと同じ種族でランクが1つ高い『CNo.(カオスナンバーズ)』または『CX(カオスエクシーズ)』と名の付いたモンスター1体を、選択したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

その後、相手フィールド上にエクシーズ素材が存在する場合、相手フィールド上のエクシーズ素材1つを、この効果で特殊召喚したエクシーズモンスターの下に重ねてエクシーズ素材とする。

 

このバリアンズ・フォースの様なカードも、洗脳させる効果があるとか、そんな事も無い、というか初手に引いていたのかよ!?

 

「バリアンズ・フォースの効果で、新星のカイザーのオーバーレイ・ネットワークを再構築!カオスエクシーズ・チェンジ!現れろ、BKの絶対王者!『CNo.105BK彗星のカエストス』!」

 

CNo.105BK彗星のカエストス

エクシーズ・効果モンスター

炎属性

戦士族

ランク 5

攻撃力 2800

CORU 3

 

トドメと言わんばかりに塾長が繰り出したのは、バリアン七皇の『呪い』ことオーバーハンドレッドナンバーズの1体がカオスエクシーズ・チェンジした黒き戦士、彗星のカエストス。

 

『流石に君が指導しただけの事はあるな、遊矢。柊修造、彼はアリトと比べても遜色ない位にBKデッキを使いこなしている。プロに復帰しても良い結果は残せそうだ』

『これは流石の遊矢も厳しいんじゃ…』

 

そのプレイングを感心したように話すアストラルと、戦慄を覚えるユベル。

確かにこのままなら厳しいかもな、ユベル、だけどそれこそデュエルの醍醐味って物だろ?

 

「バトルフェイズに入る!

リードブローでドドドウィッチを攻撃!

更にアクションマジック『ガードクラッシュ』発動!」

 

ガードクラッシュ(今作オリジナルカード)

アクションマジック

1:自分フィールドのモンスターが、相手フィールドのモンスターを対象に攻撃宣言した時、その攻撃モンスターを対象に発動出来る。その攻撃は無効化されず、守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 

「ガードクラッシュの効果でリードブローの攻撃は無効化されず、更に貫通効果を得る!

ライトニング・ストレート!」

「ドドドウィッチ!うわぁ!」

 

BK拘束蛮兵リードブロー 攻撃力 3800 VS ドドドウィッチ 守備力 1600

 

Yuya LP 4000→1800

 

「更に彗星のカエストスでゴゴゴゴラムを攻撃!

コメット・エクスプロージョン!」

「くっ!」

 

CNo.105BK彗星のカエストス 攻撃力 2800 VS ゴゴゴゴラム 攻撃力 2300

 

Yuya LP 1800→1300

 

「破壊されて墓地へ送られたゴゴゴゴラムの効果発動!」

「ならそれにチェーンして、ゴゴゴゴラムを戦闘破壊して墓地へ送った彗星のカエストスの効果発動!

まずは彗星のカエストスの効果で、ゴゴゴゴラムの元々の攻撃力の半分、つまり1150ダメージを受けて貰うぞ!」

「ぐぁっ!」

 

Yuya LP 1300→150

 

「ゴゴゴゴラムの効果で、デッキからゴゴゴモンスター、『ゴゴゴギガース』を墓地へ送る!」

「あとちょっとか、これで俺はターンエンド!」

 

Shuzo

LP 4000

手札 0

モンスター BK拘束蛮兵リードブロー(攻撃表示)

      CNo.105BK彗星のカエストス(攻撃表示)

魔法・罠カード なし

 

あ、危なかったなぁ。

塾長が繰り出す2体のBKエクシーズモンスターの猛攻によって、俺のライフは風前の灯火状態、というか正直、もし彗星のカエストスが『No.105BK流星のセスタス』からカオスエクシーズ・チェンジされていたら、ホープレイVと全く同じ効果で残っているゴゴゴゴーレムを破壊されると同時にバーンダメージで俺はもうやられていた。

後攻1ターンキルされなかったとはいえ厳しい事には変わりない、俺のフィールドにはゴゴゴゴーレムただ1体、手札もさっきのオノマト連携で手札に加えた1枚であるゴゴゴジャイアントとばれている。

だが、それでこそ面白い、それでこそデュエルだ!

デュエルは、残りLPが1でも残っていれば、其処から大逆転できるゲームなんだ!

 

「俺のターン!ドロー!」

 

よし、これなら!

 

「Ladies and Gentleman!Boys and Girls!これより私、榊遊矢と、このデッキのエースたる希望の聖騎士による剣舞をお見せしましょう!」

「お、来るか!そのデッキのエースが!」

「まずは、先程手札に加えた『ゴゴゴジャイアント』を召喚します!」

 

ゴゴゴジャイアント

効果モンスター

地属性

岩石族

レベル 4

攻撃力 2000

 

ゴゴゴゴーレムに並び立つように登場したのは、土色を基調とした岩石巨人(決して先行者とか言ってはいけない)、ゴゴゴジャイアント。

 

「召喚したゴゴゴジャイアントの効果発動!私の墓地からゴゴゴモンスター、ゴゴゴゴラムを表側守備表示で蘇生します!

その後、ゴゴゴジャイアントは守備表示に、ゴゴゴゴラムは攻撃表示になります!」

 

ゴゴゴジャイアントがその手を、俺のデュエルディスクの墓地に当たる部分に突っ込んで何かを探していると、探し物が見つかったのか手を抜き取り、其処からゴゴゴゴラムの腕、そして全身が飛び出して来た。

これなんて四次元ポケット…?

 

「次にフィールド魔法『希望郷―オノマトピア―』発動!

尚、アクションデュエル中、フィールド魔法は永続魔法扱いとなります!」

 

希望郷―オノマトピア―

フィールド魔法(永続魔法扱い)

1:このカードがフィールドゾーンに存在する限り、自分フィールドに『希望皇ホープ』モンスターが特殊召喚される度に、このカードにかっとビングカウンターを1つ置く。

2:自分フィールドのモンスターの攻撃力・守備力は、このカードのかっとビングカウンターの数×200アップする。

3:1ターンに1度、このカードのかっとビングカウンターを2つ取り除いて発動出来る。デッキから『ズババ』『ガガガ』『ゴゴゴ』『ドドド』モンスターの内いずれか1体を特殊召喚する。

 

よし、かっとビングだ、俺!

 

「更に、ゴゴゴゴーレムとゴゴゴジャイアントでオーバーレイ!2体のレベル4モンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築!我が戦いは此処から始まる!白き翼に望みを託し、現れろ!『No.39希望皇』」

「『『『ホープ』』』!」

 

No.39希望皇ホープ

エクシーズ・効果モンスター

光属性

戦士族

ランク 4

攻撃力 2500

ORU 2

 

希望郷―オノマトピア― かっとビングカウンター 0→1

ゴゴゴゴラム 攻撃力 2300→2500

No.39希望皇ホープ 攻撃力 2500→2700

 

俺の側に出現した塔、それに『39』と刻印が刻まれたと共に変形して出現したのは、遊馬時代の俺の相棒である希望を司る騎士、ホープ。

だが、コイツの登場はほんの序の口!

 

「更に、ホープのオーバーレイ・ネットワークを再構築!カオスエクシーズ・チェンジ!現れよ、混沌を光に変える使者!『CNo.39希望皇ホープレイ』!」

 

CNo.39希望皇ホープレイ

エクシーズ・効果モンスター

光属性

戦士族

ランク 4

攻撃力 2500→2700

ORU 3

 

希望郷―オノマトピア― かっとビングカウンター 1→2

ゴゴゴゴラム 攻撃力 2500→2700

CNo.39希望皇ホープレイ 攻撃力 2700→2900

 

ホープがオーバーレイ・ネットワークに吸収された後に出現したのは、全身が灰基調に染まり、どっしりさが加わった姿、ホープレイ。

 

「まだまだここからです!ホープレイのオーバーレイ・ユニットを1つ取り除いて効果発動!エンドフェイズまでホープレイの攻撃力を500アップ、彗星のカエストスの攻撃力を1000ダウンさせます!これを2回!オーバーレイ・チャージ!」

「何っ!くぅ、ダメージを与え過ぎたか…!」

 

CNo.39希望皇ホープレイ ORU 3→2→1

攻撃力 2900→3400→3900

CNo.105BK彗星のカエストス 攻撃力 2800→1800→800

 

本当なら3つ消費する所だけど、まだ続きが残っている!

 

「更に更に!希望皇ホープレイのオーバーレイ・ネットワークを再構築!シャイニングエクシーズ・チェンジ!一粒の希望よ!今、電光石火の雷となって闇から飛び立て!現れよ!『SNo.(シャイニングナンバーズ)39希望皇ホープ・ザ・ライトニング』!」

 

SNo.39希望皇ホープ・ザ・ライトニング

エクシーズ・効果モンスター

光属性

戦士族

ランク 5

攻撃力 2500→2900

ORU 2

 

希望郷―オノマトピア― かっとビングカウンター 2→3

ゴゴゴゴラム 攻撃力 2700→2900

SNo.39希望皇ホープ・ザ・ライトニング 攻撃力 2900→3100

 

ホープレイがオーバーレイ・ネットワークに吸収された後に出現したのは、青白さを基調とした色合いとなった姿、ホープ・ザ・ライトニング。

よし、これで決める!

 

「バトルフェイズに入ります!

ホープ・ザ・ライトニングで、彗星のカエストスを攻撃!

この瞬間、ホープ・ザ・ライトニングのオーバーレイ・ユニットを2つ取り除いて効果発動!

ホープ・ザ・ライトニングの攻撃力を5000にする!」

「ホープ・ザ・ライトニングが戦闘する時は、俺はカードの効果を使えない…!

ああ、また負けたぁ!」

「ホープソード・ライトニングスラッシュ!」

「うぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

SNo.39希望皇ホープ・ザ・ライトニング 攻撃力 3100→5000 VS CNo.105BK彗星のカエストス 攻撃力 800

 

Shuzo LP 4000→-200 LOSE

 

WINNER Yuya

 

------------

 

「いやぁ、お見事でした修造さん!負けはしたとはいえ、あの流れる様なモンスターの展開とエクシーズ召喚、そして高パワーモンスターによる真っ向勝負!素晴らしい物です!」

「ありがとうございます、ニコさん!では、俺のプロへの復帰に関しては…」

「お任せください!不肖このニコ・スマイリー、貴方のマネージャー兼プロモーターとして、プロへの復帰に向けて全力でバックアップさせて頂きます!これからも宜しくお願いしますよ!」

「は、はい!ありがとうございます!」

「塾長、おめでとう!」

「良かったわね、お父さん!これでまたプロデュエリストね!」

「プロ復帰おめでとさン、塾長!」

「これからも頑張ってくれよ、塾長!」

「この男権現坂、修造さんのプロ活動、全力で応援致します!」

「塾長さん、おめでとうございます!」

「プロでも頑張って下さいよ、塾長!」

「まさかこの目でプロの誕生、いや復帰か、それをこの目で見られるなんてな…」

「塾長と遊矢兄ちゃんのデュエル、くぅ~痺れたなぁ!」

「塾長、遊矢兄ちゃんとのデュエルでの姿、凄く格好良かったです!」

「遊矢兄ちゃんのホープもそうだけど、塾長のBKモンスターも格好良かったぜ!」

「そうだねエレン、あのストレートパンチの迫力!凄かったなぁ」

 

まああと一歩の所で負けた塾長だったけど、そのプレイングはニコさんの評価を得るには充分な物だった事で、プロへの復帰が確約された。

塾長もステップアップした事だし、次は俺達だな。

けどその前に…


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