【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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109話_革命デュアリズム

繰り広げられる融合召喚の演出、響き渡るエレキギターの旋律、それらと共にフィールドへゆっくりと舞い降りた融合モンスター、幻奏の革命龍姫オッドアイズ・ショパン、その姿は柚子が持っているどの幻奏モンスターともかけ離れた、異様なものだった。

まずその服装、某バイクをモチーフにした仮面ライダーの変身者が着ていた様な赤い革の上下を身に着け、所々にシルバーアクセサリーをあしらい、藍色の宝玉をバックルにはめ込んだ白い革のベルトで留めている。

次に髪型、所々にホワイトメッシュを仕込んだ赤いロングヘアで、楽譜にて半音上げることを意味する♯の型をした髪留めでポニーテールにまとめている。

他の幻奏モンスターは殆ど見せる事のない(大半は髪で隠れているか飾りで隠している)両耳にはピアスの穴が空けられ、金色のピアスを装着している。

その顔付きも他の幻奏モンスターから感じられる柔和さなど微塵も感じられず、左目が碧、右目が赤のオッドアイで目前を鋭く睨みつけている。

そして首からは、白地に赤と緑と青の装飾が入ったエレキギターをぶら下げ、それを右手に持ったピックと左手で今まさに演奏している。

 

オペラやクラシック音楽をモチーフとした今までの幻奏モンスターに則って『ピアノの詩人』と呼ばれる作曲家フレデリック・フランソワ・ショパンの名を冠したモンスター名になってはいるが、そのロックシンガーの様な出で立ちからは幻奏モンスターらしさなどまるで感ずることが出来ない。

髪留めから辛うじてそうだと分かるとは言え、幻奏モンスターと言うよりオッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴンを擬人化させた姿と言った方がしっくり来そうだ。

彼女こそが、俺と柚子の絆が生み出した『幻奏の革命児』、柚子の新たなるエース!

 

「更に今出したオッドアイズ・ショパンとソロを、

 

リリースしてアドバンス召喚!天上に響く妙なる調べよ、眠れる天才を呼び覚ませ!出でよ、レベル8!『幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト』!」

「え?今出した融合モンスターをリリースしてアドバンス召喚…?」

「一体何のつもりだ?まさか勝利したつもりで、私達を舐めているのか!?」

 

幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト

効果モンスター

光属性

天使族

レベル 8

攻撃力 2600

 

そのオッドアイズ・ショパンと、ペンデュラム召喚で呼び出されたソロをリリースしてのプロディジー・モーツァルトのアドバンス召喚、その一見不可解なプレイングに疑問の声を上げる2人、グロリアに至っては舐めプと捉えて激昂している。

だが、これにはちゃんとした理由がある。

 

「舐めている?そんな訳無いでしょ、デュエルは何時だって全力よ!

リリースされたオッドアイズ・ショパンの効果発動!

このカードを攻撃表示で蘇生するわ!この効果で特殊召喚されたオッドアイズ・ショパンの攻撃力はこのターン、倍になる!」

 

幻奏の革命龍姫オッドアイズ・ショパン 攻撃力 2500→5000

 

「こ、攻撃力5000!?」

「この為にあんな不可解なプレイングを…!」

「まだまだこれからよ!プロディジー・モーツァルトの効果発動!

手札から『幻奏の音女エレジー』を攻撃表示で特殊召喚!」

 

幻奏の音女エレジー

効果モンスター

光属性

天使族

レベル 5

攻撃力 2000→2300

 

幻奏の音女アリア 攻撃力 1600→1900

幻奏の音姫プロディジー・モーツァルト 攻撃力 2600→2900

 

その攻撃力が5000まで上がって再びフィールドに登場したオッドアイズ・ショパンの姿と、プロディジー・モーツァルトの効果によって完成した『アリアエレジーロック』の光景に驚愕する2人、だがその表情からはまだ勝利を諦めていないと言わんばかりの様子が伺える。

もしやあのセットカードか?

 

(まだ勝機はある。相手の攻撃宣言時に私がセットした『アマゾネスの身代わり』を使って手札の『アマゾネスの剣士』を特殊召喚してしまえば、攻撃を返せるわ…!)

 

アマゾネスの身代わり(アニメオリジナルカード)

通常罠

1:自分フィールドの『アマゾネス』モンスターが攻撃対象に選択された場合に発動出来る。手札からレベル4以下の『アマゾネス』モンスター1体を特殊召喚する。その後、攻撃対象をそのモンスターに移し替える。

 

「バトルフェイズに入るわ!」

 

そんな2人を尻目にバトルフェイズに入る事を宣言する柚子。

2人の様子から拙速過ぎやしないか、危険じゃないかと普通ならツッコミが入る場面、だが、

 

「オッドアイズ・ショパンでアマゾネスペット虎獅子を攻撃!」

「掛かったわね!その攻撃宣言時、罠『アマゾネスの身代わり』を(ビーッ!ビーッ!)け、警告音!?」

「無駄よ!自身の効果で特殊召喚したオッドアイズ・ショパンのもう1つの効果!このターンにオッドアイズ・ショパンが攻撃する場合、そのダメージステップ終了時まで誰もカードの効果を発動出来ないわ!それと一応言って置くけど、このオッドアイズ・ショパンは元々、戦闘破壊されず、他のカードの効果も受けないわ!」

「『古代の機械』モンスターと同じロック効果!?」

「それに戦闘破壊耐性と、効果耐性まで持っているのか!?」

 

そう、それ故にセットカードに対して無警戒でバトルフェイズに入るという暴挙も出来たのだ。

それにしてもセットカードは『アマゾネスの身代わり』か、聞いた事が無いが名前からして攻撃対象を変える感じの奴、それも手札か墓地、ひょっとしたらデッキから特殊召喚しつつ的な物か?

となればアマゾネスには、戦闘ダメージを相手にだけ与えるアマゾネスの剣士がいる、此処でオッドアイズ・ショパンの攻撃を返されたらこのターンでの決着は無理だったな。

だがオッドアイズ・ショパンはそれを通さない!

 

「これが、このオッドアイズ・ショパンの力が、私と遊矢との絆の証!例え離れ離れになっても想いを通じ合わせ、心から信じ合える強い絆!誰であろうとそれを断ち切る事は、手出しする事は出来ない!」

「このオッドアイズ・ショパンの力は俺達の絆、愛の証!愛の前に、華々しく散れ!」

「行きなさい、オッドアイズ・ショパン!」

「その激しく熱かりし旋律を響かせろ!」

「「革命の迅雷!グレイトフル・アークブラスト!」」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

幻奏の革命龍姫オッドアイズ・ショパン 攻撃力 5000 VS アマゾネスペット虎獅子 攻撃力 0

 

Grace LP 4000→-1000 LOSE

 

「ぐ、グレース!?」

「よそ見している暇はあるのかしら?次は貴方よ!行きなさい、我が幻奏の姫君達よ!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

幻奏の音女アリア 攻撃力 1900 VS アマゾネスの聖戦士 攻撃力 0

 

Gloria LP 3100→1200→-1100→-4000 LOSE

 

WINNER Yuya&Yuzu

 

「これが俺と柚子の、愛の絆!」

「単純なデッキ相性では生み出せない!」

「「俺(私)達2人のタッグデュエル!」」

 

幻奏モンスター達による総攻撃によってデュエルの決着が付き、俺と柚子が息を合わせてそう言い放つと共に、戦闘ダメージによる衝撃で倒れた2人に近づき、

 

「今度は逃がさない。俺達の下に来てもらおう」

「くっ…!」

「うぅ…!」

 

デュエルアンカーを射出・拘束し、連れ帰る形でカイト達の待っている拠点へと向かった。




幻奏の革命龍姫オッドアイズ・ショパン
融合・効果モンスター
光属性
天使族
レベル 7
攻撃力 2500/守備力 2000
『幻奏』融合モンスター+『ペンデュラム・ドラゴン』融合モンスターもしくはエクストラデッキから特殊召喚された『オッドアイズ』ペンデュラムモンスター
このカードは融合召喚及びこのカードの効果でのみ特殊召喚出来る。
1:このカードは戦闘破壊されず、他のカードの効果を受けない。
2:このカードがフィールドを離れた場合に発動出来る。このカードを自分フィールドに攻撃表示で特殊召喚する。この効果で特殊召喚されたこのカードはエンドフェイズまで以下の効果を得る。
●このカードの攻撃力は倍になる。
●このカードが攻撃する場合、ダメージステップ終了時までカードの効果を発動出来ない。

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