【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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106話_追い詰められしアカデミア

Side ????

 

「野呂副司令官、申し上げます!今入って来た報告によると、フェニックス総司令官が重傷を負った状態で発見されたとの事です!フェニックス司令官は現在、医務室に運ばれて手当を受けております!」

「な、何!?司令官ともあろう存在が、一体何処をほっつき歩いていたのだ!?ただでさえエクシーズ次元におけるアークエリア・プロジェクトが予定より3日と18時間44分遅れている上に、アカデミア本校にてランサーズとか言う私兵部隊が総攻撃を仕掛ける等という連絡で人員が削減され、予定の更なる遅れが予測できるというこの状況で!」

 

エクシーズ次元にあるアカデミア軍の本拠基地、其処で1人の非戦闘員から報告を受けた、野呂と呼ばれた幹部が声を荒げながらさらに詰め寄った。

 

「は、ハハッ!どうやら廃墟の中で倒れていたとの事で、救援に駆け付けたデュエル戦士によると、呼びかけに答えず「おのれ…榊遊矢…この屈辱…忘れないぞ…!」とうわ言の様に話していたそうであります!」

「さ、榊遊矢だと!?確か報告によればランサーズを率いていたのは榊遊矢では無かったか!?馬鹿な、総攻撃の為に融合次元に渡ったのではないのか!?何故このエクシーズ次元に!?まさか先程報告にあった、デュエル戦士達が先攻1ターンで大量にやられたという馬鹿げた事案も、榊遊矢によって…!?」

 

だが詰め寄られた非戦闘員からの更なる報告を聞いた野呂は如何にも狼狽していると言わんばかりの様子を見せた。

無理もない、アカデミア側は先のシンクロ次元における侵略の失敗、及びその際に遊矢が主導して実行した『アンドバリの指輪』作戦による戦力の大幅な喪失、その副産物として生まれたデュエル戦士同士の疑心暗鬼によって士気が一気に削がれた状態、そんな最中にフォース・ハウンドによって流された「ランサーズは近々アカデミアに総攻撃を仕掛ける」という噂、そしてそれを証拠づけるかのように頻発する爆破テロ、それによってアカデミアの方針が本拠防衛にシフトした影響で人員が大幅に減らされたエクシーズ次元へ派遣されている部隊、それがランサーズに勝てるかどうかの答えは言うまでもない。

部隊を指揮する総司令官が重傷を負って手当を受けているというだけでも緊急事態だが、想像もしていなかった強大な敵が間近に迫っているらしいという報告に、本拠基地は絶望感に包まれていた。

 

「こんな時にタイラー姉妹は何をしているのだ、もう29分もの遅刻だぞ…!

ランサーズ、増して榊遊矢相手となると焼け石に水だが…」

 

------------

 

その頃、

 

『デュエル!』

 

先攻 ????×6 VS 後攻 ランサーズ第1部隊

 

「1番手は俺だ!

まずは『古代の機械(アンティーク・ギア)猟犬(ハウンドドッグ)』を召喚!」

 

古代の機械猟犬

効果モンスター

地属性

機械族

レベル 3

攻撃力 1000

 

本拠基地にてそんな事態が起こっているとは露知らぬデュエル戦士達がランサーズ第1部隊と遭遇した事で始まった6VS6というチームマッチ、1番手となったデュエル戦士が召喚したのは最早お馴染みとなった機械仕掛けの猟犬。

だがとある事情からその効果は今までと比べて細部が異なっている。

 

「召喚した古代の機械猟犬の効果発動!

まずは其処の女に600のバーンダメージだ!ハウンドフレイム!」

「熱っ!」

 

Mikoto LP 4000→3400

 

まずはそのバーン効果、今までは相手フィールドにモンスターが存在しなければ発動出来ない起動効果だったが、その制限が無くなった代わりに召喚成功時に誘発される様になった。

次に融合召喚を行う効果、これも『アンティーク・ギア』融合モンスターしか特殊召喚出来なくはなったが、代わりに自分自身を融合素材にしなくても良くなった。

 

「古代の機械猟犬の3つ目の効果発動!

このカードと手札、計3枚の古代の機械猟犬と、手札の『古代の機械巨竜(ガジェルドラゴン)』を融合!古の魂受け継ぎし機械仕掛けのモンスター共よ!その首混じり合わせて混沌にして絶大なる力とならん!融合召喚!現れろ、レベル10!この世の全てを形無き混沌に返す究極破壊神!『古代の機械混沌(カオス・)巨人(ジャイアント)』!」

 

古代の機械混沌巨人

融合・効果モンスター

闇属性

機械族

レベル 10

攻撃力 4500

 

「ふはははは!どうだ、これぞ我らが誇る究極のモンスターだ!これで貴様らを叩き潰してくれよう!」

 

その効果によってフィールドに君臨した禍々しいオーラを放つ機械仕掛けの巨人、その姿を見届けたデュエル戦士は既に勝った気でいるのか高笑いを上げる。

だが4500という凄まじい攻撃力に加え、魔法・罠カードの効果を受けない耐性、バトルフェイズ中のモンスター効果発動を封じるロック効果、そして全体貫通攻撃と、高笑いを上げる気持ちも分かる程のポテンシャルを、この古代の機械混沌巨人は持っている。

しかもこのモンスターもとある事情から、融合素材が良い意味で様変わりしている。

嘗てこのモンスターを融合召喚する場合、古代の機械猟犬の他、『古代の機械双頭猟犬』に『古代の機械参頭猟犬』、そして『古代の機械究極猟犬』と3種類もの融合モンスターを融合素材に指定していた。

尚、その3種類共に古代の機械猟犬を融合素材に指定している(古代の機械究極猟犬に至ってはもう片方の融合素材が古代の機械参頭猟犬である)、つまりまともに融合召喚しようとなると古代の機械猟犬を用いた融合召喚を何度と繰り返さなければならない(古代の機械双頭猟犬は辛うじて『簡易融合』で出せるが)。

それが何と『アンティーク・ギア』カテゴリに属するモンスター4体に変更された事で、専用サポートと言って良いカードの一部や『融合識別(フュージョン・タグ)』の恩恵こそ受けられなくなるも、代わりに先攻1ターン目から融合召喚するのも容易となった、その手軽さ(?)もまた高笑いを助長していた。

 

「カードをセットしてターンエンドだ!」

(くくくっセットしたのは『神の通告』。例えモンスター効果でコイツを除去しようとしても、コイツで返り討ちだ!)

 

????×6

LP 4000×6

手札 5×5

モンスター 古代の機械混沌巨人(攻撃表示)

魔法・罠カード セット(神の通告)

 

「俺のターン!ドロー!ならば見せてやる、その究極のモンスターとやらを破壊する、チームワークを!

まずは魔法『ハーピィの羽根帚』を発動!」

「何っ!?」

 

ハーピィの羽根帚(制限カード)

通常魔法

1:相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。

 

何やらフラグを立ててターンを明け渡したデュエル戦士に続き始まった文録のターン、其処で文録は魔法・罠除去カードの定番と言って良いハーピィの羽根帚でセットカードの除去に掛かる。

 

「ハーピィの羽根帚の効果でそのセットカードを破壊する!」

「ちっ」

「次に『ブンボーグ003』を召喚!」

 

ブンボーグ003

効果モンスター

地属性

機械族

レベル 3

攻撃力 500

 

それに対し何のアクションもする事無くセットしていた神の通告を破壊されたデュエル戦士達、それを見届けた文録は、右手にコンパス型の武器を持ち、左手に定規型の盾を装備した機械戦士を呼び出す。

 

「召喚した003の効果発動!

デッキから『ブンボーグ002』を攻撃表示で特殊召喚!」

 

ブンボーグ002

効果モンスター

地属性

機械族

レベル 2

攻撃力 500

 

ブンボーグ003 攻撃力 500→1000

 

その効果で登場したのは、右手に消しゴム型の武器、左手に修正液型の銃を持った機械戦士。

その2つ目の効果によって003の攻撃力が500アップしたが、今の時点でそれは重要ではない。

重要なのは1つ目の効果だ。

 

「特殊召喚した002の効果発動!

それにチェーンして速攻魔法『地獄の暴走召喚』発動!」

 

地獄の暴走召喚

速攻魔法

相手フィールド上に表側表示でモンスターが存在し、自分フィールド上に攻撃力1500以下のモンスター1体が特殊召喚に成功した時に発動する事が出来る。その特殊召喚したモンスターと同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から全て攻撃表示で特殊召喚する。相手は相手自身のフィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターと同名モンスターを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。

 

「何も無ければチェーン処理だ。

まずは地獄の暴走召喚の効果によって、002を2体、デッキから攻撃表示で特殊召喚!」

「ちぃ、俺は古代の機械混沌巨人を選択するが、コイツは融合召喚でしか特殊召喚出来ない」

「次に002の効果でデッキから『ブンボーグ009』を手札に加える」

 

ブンボーグ003 攻撃力 1000→2000

ブンボーグ002(×3) 攻撃力 500→1500

 

その効果にチェーンして発動された地獄の暴走召喚によって、002が大量展開される。

本来なら相手の特殊召喚も許してしまうデメリットがある地獄の暴走召喚、だが今回は相手フィールドに融合モンスターである古代の機械混沌巨人しかいなかった事(エクストラデッキから特殊召喚は出来ない)、そして古代の機械混沌巨人の召喚条件に引っ掛かった事からそれは無い物となった。

 

「その後改めて、特殊召喚した2体の002の効果発動!

デッキから『ブンボーグ008』と『ブンボーグ007』を手札に加える。

さあ行くぞ!俺はスケール1のブンボーグ008と、スケール10のブンボーグ007を、ペンデュラムスケールにセッティング!」

「何、ペンデュラムモンスターだと!?ま、まさか…!」

「お前達、ランサーズか!?」

「馬鹿な!?ランサーズは確か、融合次元に攻め込む様子だと言われていた筈…!」

 

ランサーズ第1部隊

ペンデュラムスケール(青):1(ブンボーグ008)

ペンデュラムスケール(赤):10(ブンボーグ007)

 

そして002の効果でサーチした2枚のペンデュラムモンスターをペンデュラムゾーンにセットしたその時、殆ど静観を決め込んでいたデュエル戦士達に驚きが広がった。

 

「これでレベル2から9のブンボーグ達を同時に特殊召喚出来る!さあ行くぞ、自由と平和を求め戦う機械戦士達よ!そのチームワークで、あらゆる強敵を打ち破れ!ペンデュラム召喚!『ブンボーグ009』!」

 

ブンボーグ009

効果モンスター

地属性

機械族

レベル 9

攻撃力 500→2000

 

そんな驚きを他所にペンデュラム召喚で登場したのは、様々な文房具型の武器を纏った機械戦士。

 

「更にフィールド魔法『ブンボーグ・ベース』発動!」

 

ブンボーグ・ベース

フィールド魔法

1:フィールドの『ブンボーグ』モンスターの攻撃力・守備力は500アップする。

2:1ターンに1度、自分メインフェイズに発動出来る。手札の『ブンボーグ』カードを任意の数だけ相手に見せ、デッキに戻してシャッフルする。その後、自分はデッキに戻した数だけデッキからドローする。

3:『ブンボーグ・ベース』以外の自分のフィールド・墓地の『ブンボーグ』カード9種類を1枚ずつ除外して発動出来る。相手の手札・フィールド・墓地のカードを全て持ち主のデッキに戻す。

 

ブンボーグ003、ブンボーグ009 攻撃力 2000→2500

ブンボーグ002(×3) 攻撃力 1500→2000

 

だがエースと言って良い009を出して尚、文録は展開を止めない。

今度はランドセル型の基地みたいなフィールド魔法を発動し、ブンボーグ達のステータスを底上げする。

だがそれでもその攻撃力は2500止まり、4500ある古代の機械混沌巨人には及ばない、が、

 

「そして、003の2つ目の効果発動!

ターン終了時まで009の攻撃力を、我らのフィールドにある『ブンボーグ』カードの数×500ポイントアップする!

今フィールドにあるブンボーグカードの数は8枚、よって」

 

ブンボーグ009 攻撃力 2500→6500

 

「ろ、6500!?」

「そうだ!009の攻撃力は4000上がり、6500となる!これこそが、例え1体1体は貧弱であろうと、仲間達と共に大いに強くなる、ブンボーグ達のチームワークだ!」

 

それを考慮していない文録では無い。

003の効果によって大幅にパワーアップした009、これによって古代の機械混沌巨人を余裕で倒せるラインに達した。

 

「バトルフェイズに入る!009で古代の機械混沌巨人を攻撃!オーバークロック・フルバースト!」

「ぐぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

ブンボーグ009 攻撃力 6500 VS 古代の機械混沌巨人 攻撃力 4500

 

????(赤) LP 4000→2000

 

「3体の002でダイレクトアタック!さあ、元いた世界に帰るが良い!」

「「うわぁぁぁぁぁ!?」」

 

????(赤) LP 2000→0 LOSE

????(青) LP 4000→2000→0 LOSE

 

「そして003でダイレクトアタック!オーバーダイブ・バースト!」

「がぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

????(緑) LP 4000→1500

 

そのブンボーグ達による総攻撃によって古代の機械混沌巨人はあっさりと破壊され、その余波で2人のデュエル戦士は敗北により強制転送、残った4人の内1人も決して少なくないダメージを負う。

 

「カードを2枚セットしてターンエンド!エンドフェイズに、009の攻撃力は強化前に戻る」

 

ブンボーグ009 攻撃力 6500→2500

 

ランサーズ第1部隊

LP 4000×5、3400(Mikoto)

手札 5×5

ペンデュラムスケール(青):1(ブンボーグ008)

ペンデュラムスケール(赤):10(ブンボーグ007)

モンスター ブンボーグ003(攻撃表示)

      ブンボーグ002(攻撃表示)×3

      ブンボーグ009(攻撃表示)

魔法・罠カード セット×2

フィールド魔法 ブンボーグ・ベース


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