【完結】遊戯王ARC-V~遊の力を矢に束ね~   作:不知火新夜

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幕間のコラボ祭、2番バッターは、以前にもコラボして頂きましたAMsさんの『遊戯王ARC-V 次元漂流者』です!


Ex23話_海音との再会

「申し上げます!シティの路地にて、次元転送の反応をキャッチしました!」

 

来たるアカデミアとの戦いに向け準備を進めていた俺達、そんな或る日、その報告が入って来た。

 

「その詳しい場所と、転送の規模はどの様な感じだ?」

「詳細な場所は北地区、規模はごく小規模です。精々2・3人が転送された程度です」

 

2・3人か、となるとアカデミアが送り込んだ可能性は低そうだ。

この間の戦いで、アカデミアは送り込んだ一個旅団規模の軍勢がほぼ全滅に陥ると言う惨敗を喫したばかり、その折に実行された『アンドバリの指輪』作戦の効果もあってデュエル戦士達の間に不信感が渦巻いていて士気は急降下、その状況下故に本拠の足場固めに重点が置かれている中、幾ら小規模とは言えみだりに兵士を他次元に送り込む程の余裕は無い筈だし、ランサーズとデュエルチェイサーが睨みを利かせている中にその程度の人数では戦力と士気を無駄にするだけだからだ。

とは言え、アカデミアでも精鋭中の精鋭と思われる『ホルアクティ・フォース』の者が送り込まれた可能性もある。

リーダーであるキサラの実力は、この前のデュエルが互角の勝負だった様に、俺でも苦戦する程。

そのキサラが選び抜いたデュエル戦士とあれば、幾らランサーズメンバーであっても1対1では厳しいかも知れない。

となれば、

 

「了解、私がその現場に行こう。案内を頼む」

「遊星様!?危険です、此処は我らにお任せを!」

「危険だからこそ、私が出向かなければ。君達の命を、笑顔を奪われる訳には行かない」

「ははっ!では、ご案内致します!」

「エレン、お前も来い」

「あいよ!遊矢兄ちゃん!」

 

俺自らその現場に向かう事を伝え、何人かのデュエルチェイサーの案内で其処へと向かった。

 

------------

 

「反応をキャッチしたのは、こちらです」

「分かった。此処からは予期せぬ危険が待ち受けているかも知れない。各自、警戒を怠るな」

「「「はっ!」」」

「おっしゃ!」

 

デュエルチェイサー達の案内で俺達が行きついた場所、それはシティ北側のとある路地だった。

此処に恐らくは次元転送された存在が…

その未知に対応する覚悟を周囲に促しつつ、俺を先頭に突入する、と、

 

「となると今すぐこの世界を出るのは危険だな。お前ら、しばらくこの世界に滞在するぞ」

 

ん?この声、何処かで聞いた事が有る様な…!

 

「か、海音!?海音じゃないか!久しぶり!」

「何だって!それは本当か、遊矢兄ちゃん!?本当に、海音兄ちゃんが…!」

「お前らは…久しぶりだな。って事は、ここはあのパラレルワールドか」

 

路地へと入った俺達の目前には、以前事故で俺達の世界に転送されて来た1人である海音がいた。

その周りには某ポケモンマスターを目指す永遠の十歳と、高二病絶賛発症中な目の腐ったボッチらしき2人がいるが、さっきの会話からして海音の仲間かな?

しかし今度はこのシンクロ次元で会う事になるなんてな、運命ってのは分からない物だな。

と、此処でいろいろ話すのはあれだ、場所を変えよう。

 

「遊星様、この者達は遊星様の知り合いでしょうか?」

「ああ。彼は私にとって旧知の間柄だ。彼に同行している者と共に、客人として迎える様に!」

「「「はっ!」」」

「海音。色々と聞きたい事はお互いあると思うが、一先ずついて来て貰っても良いか?其処にいる君達も、恐らく海音の仲間だろう?良ければついて来て欲しい。大丈夫だ、悪い様にはしない」

「解った。だがその前に2人とも少し話させてくれ」

 

移動の準備を前以てデュエルチェイサー達に指示しつつ、海音達に提案すると快く応じてくれたが、その前に仲間らしき2人の元に向かって行った。

その2人はどうもこちらに警戒する様子を見せていて、特にあの、確か『俺ガイル』だったかな?そのラノベの主人公そっくりな奴のそれは顕著だった。

まあ海音というクッションがいるから良かったが、そうで無かったら向こうは何処からともなく次元転送されて来た不審者、こっちはそれを捕える為に参上した警察、向こうにしたら恐怖感もひとしおだろう。

その警戒感も海音の説明によって氷解したらしく、海音を含めた3人は此方に来てくれた。

 

「待たせたな」

「ああ。各員、客人たちを其々1人ずつ、各自のD―ホイール後部座席に案内せよ!」

「「「はっ!」」」

 

そう言いつつ、此処に来るまでの移動手段としていたD―ホイールを止めてある地点へと移動する。

 

「つかなんでこれだけいて車が1台もないんだ?」

 

さっさとD―ホイールの後部座席に乗った永遠の十歳な少年の一方、高二病絶賛発症中な少年はその光景に違和感を覚えたのかそんな疑問を口にしていた。

今回は最初から送迎する為に此処に来た訳じゃ無い、次元転送の反応を調査する為だ、それには加速力や運動性能に優れたバイク、それも直ぐデュエルに移行できるD―ホイールが最適だったって訳。

え、お前まだ14歳、D―ホイールの免許取れる歳じゃないだろって?其処は遊星時代に培った運転技術と、権力に物言わせて特例で取得したのさ。

そんな少年と海音が話し合っていると、

 

「海音さん!早く行きましょ!」

 

と、既にD―ホイールに乗っていた少年の言葉に、

 

「これ以上待たせるのはあれだしとりあえずいくぞ」

 

と言って互いに残ったD―ホイールの後部座席に乗り込んだ。

よし、これで準備は完了だな。

 

「では戻るぞ」

「「「はっ!」」」

 

その出発の合図と共にD―ホイールを発進、元の道を辿って行った。

 

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「よし、到着っと。此処までの送迎、ありがとう。持ち場に戻り、引き続き任務に当たる様に」

「「「はっ!ありがとうございます!」」」

 

俺達ランサーズメンバーが今現在滞在している迎賓館的な施設に到着、海音達を降ろしたデュエルチェイサー達にねぎらいの言葉を投げ掛け、彼らが帰って行くのを見送った。

 

「なああいつ何者なんだ?」

「さあな、少なくとも俺がいた世界の遊矢は普通の中学生なんだがな」

 

そんな俺の姿に違和感を覚えたのか、海音達がそんな会話をしていた。

まあ確かに海音の言う通り、原作での俺は、エンタメデュエリストとして知られている父さんがいる以外は普通(?)の中学生、そんな俺が警察組織の者から敬意を示され、指図している姿に違和感を覚えるのも無理は無いか。

 

「色々と気になる事はあるだろうけど、詳しい事は中に入ってからにしようぜ。移動中、皆に海音の事を連絡したら、出迎えの為にロビーまですっ飛んできたらしいし」

「ああ、皆待っているぜ!『また会えるなんてこれ程嬉しい事は無い!』ってさ!」

「それもそうだな。行くぞお前ら」

 

そんな海音達に施設内に入る様促し、入って行くと其処には、

 

「海音、久しぶり!元気だった?」

「この男権現坂、異世界の友人との再会に、猛烈に感動している!」

「おォ、久しぶりじゃねェか、海音!」

「れ、レナさんはい、います…?」

「お前は何びくついてんだ、当麻」

 

以前海音達と出会ったARC-Vメンバーが勢ぞろいして、海音達を出迎えていた。

 

「ああ。久しぶりだな」

「ン?おい、櫂とレナがいねェが、別行動かなンかか?」

 

と、櫂とレナがいない事に気付いた一行が海音に尋ねて来た。

まあ俺も以前みたいな事故で、今度は櫂とレナとは別に、今いる2人と転送されたのかと思って余り気にしていなかった、が、

 

「あ…」

 

と、何故か海音は言葉を逃がしていた。

何か、地雷踏んだ感じか、これは…?

 

「む?何か、2人の身に何か、あったと言うのか…?」

「レナと櫂…あいつらはアカデミアに…」

 

あぁ、やっぱりそういう事か。

レナと櫂、2人は一行や当麻にも互角以上に立ち回ったデュエリスト、余程の事が無い限りはと思っていたがその『余程の事』、向こうの世界のアカデミアにもこっちの世界でのキサラみたいなデュエリストがいて、ソイツと遭遇してやられた、という事か…

 

「え、えーと…

そうだ、まだ其処の2人の事紹介して貰っていないし、海音、紹介して貰っても良い?湿っぽい話は此処までにして、ね?」

 

その事実が伝えられた事による重苦しい雰囲気を変えるべく(後、さっきから気になっていたのか)、柚子が2人の紹介を促して来た。

 

「そう言えばまだ紹介がまだだったな。サトシと比企谷八幡だ。2人ともデュエリストとしてはほぼ初心者だが実力は俺が保証するぜ」

「初めまして」

「うっす」

「こちらも自己紹介だ。ランサーズ最高指揮官、榊遊矢だ。ランサーズというのは、この世界におけるデュエルアカデミアによる侵略に対抗する為に結成された私兵組織の事だ。今後とも宜しく!」

「ランサーズ精鋭部隊『ARC-V』所属、柊柚子よ。宜しくね!」

「ARC-V所属、権現坂昇だ。宜しく頼む」

「ARC-V所属、上村一行だ。宜しくなァ!」

「ARC-V所属、冴木t「変態」だ、って誰だ被せたの!?」

「ARC-V所属、エレン・アヴェニールだ!宜しく頼むぜ!」

 

何か当麻の紹介の際に誰かが被せて来たがまあ合っているし良いか。

 

「あ、そうだ!海音兄ちゃん、この前の約束、覚えているか?」

 

と、自己紹介を終えるや否や、エレンが早速切り出して来た。

約束、というと別れ際の、アレか?

 

「そう言えば今度会ったらまたデュエルするって約束してたな」

「おう!早速だけどさ、デュエルしようぜ!」

 

本当に早速だな、まあこの世界ならではだが。

 

「ああいいぜ。だがもう一つの約束も忘れてないだろうな?」

「勿論さ!今回使うデッキは、このシンクロ次元ならではのデッキだ!」

「なら俺はこれでいこう。こいつは前回遊矢とのデュエルで使ったデッキだ。最もその時はこのデッキの真の力を発揮できなかったがな」

 

互いの口振りからして、エレンは『幻獣機』、海音は『バミューダ△』かな。

 

「おっしゃ、今からワクワクして来たぜ!遊矢兄ちゃん、デュエルフィールドの予約は大丈夫?」

「勿論だ!エレン、1度デュエルしたから分かっていると思うが、海音は相当なデュエリストだぞ。最初からクライマックスな気持ちで行けよ」

「OK!じゃ、行こうぜ海音兄ちゃん!」

「ああ」

 

そう言い、エレンと海音はデュエルフィールドへと行った。

俺達も観客席に移動するか。

 

------------

 

「行くぞ!」

「全力で行くぜ!」

「「デュエル!」」

 

こうして、エレンと海音のリターンマッチが、始まった…!


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