ちょっと文が荒いですが……
~三河国・岡崎城下~
「や~、何だかんだで賑わってるねぇ」
「ブルル!」
松風の上で寝転びながら往来を眺める。今日も良い天気の昼寝日和だ。だからという訳ではないが、茶屋や商店が大勢の客で賑わっており、活気が凄い。
ここ、岡崎は代々松平家が治めている土地なのだが、今川と斯波、もとい織田という戦の強い大名の間にいたがために度々戦に巻き込まれたり、領土を切り取られたり、従属を余儀なくされたりとかなり不運な土地ではあるのだが、そんな土地であるが故に今川も織田も岡崎の民にこちらに付いて貰おうと善政を敷く。その結果、岡崎は非常に賑わうという松平にとって良いのか悪いのかわからないような状況になっている。
ちなみに、今は今川領だ。でなければ俺はまだ追いかけられてるし。
まぁそんな事はどうでもいいとして、俺がそんな岡崎の町の中でどの茶屋で一息つこうか考えていた時だった
「そこの素浪人!往来でそんな馬の乗り方をするな!馬から下りるか普通に乗るかしろ!」
「…………ん?」
急に誰かがそんな事を叫んだ
多分松平の家臣か何かだろうと思い、同時に馬に普通に乗らないとか変わった奴もいるもんだな~とか思いながら再び茶屋を物色しようとすると……
「オイ!聞こえているのか!お前だよ!そこの馬の上で寝転んでるお前!」
まだ叫んでいた。それにしても馬の上で寝転びながら歩くってまた面白い事をしでかしてる奴も……
「………ああ、俺か」
「今気付いたのか!?」
おお、いいツッコミだ
そう思いながら後ろを振り返ると、そこには色素の薄い、長い青色の髪を後ろで一つの三つ編みにして纏めている、めちゃくちゃデカい槍を持った気の強そうな女がいた
「お前!そんな馬の乗り方で往来を歩いたら危ないじゃないか!」
「後悔はしてない。反省もしないけどな」
「お前悪いと思ってないだろ!?」
ノリがいい奴はお兄さん大好きです
……この時の慶次の顔はとてもイキイキとしていたとこの時回りにいた町人達は語った
「してるの反対の反対の反対の反対の反対」
「……?……??結局どっちなんだ?」
頭の上に疑問符を大量出現させて首を傾げる青髪。コイツ、オチビと同じイジられ役の才能あるな
「だからしてないしするつもりもないって言ってんだろうが」
「しろよ!反省しろよ!」
「うるせーな……イライラは早死にの元だぞ?もっと魚食え魚」
「お前のせいだァァァァァァァ!!」
荒い息を吐きながらもしっかりとツッコミをこなす青髪。周りの人達が生温かい目で見ているところを見るといつもの事なのだろうか
しばらく青髪をからかって遊んでいると、不意に町の奥の方から桃髪の幼女が駆けてきた
「たっちゃ~ん!お団子もらった~!」
天真爛漫に両手に団子の串を持った幼女が駆けてくる。そんな微笑ましい光景を見た青髪は何故か額に青筋を立てて全速力で迎え撃ちに行った
………え?
「正信ゥゥゥゥゥゥ!!おまっ、警備中にサボるなと何回言えばわかるんだァァァァァ!!」
「だって団子屋のおじちゃんがくれるんだもん~。はい、たっちゃんにもあげる~」
「あ、ありがと……じゃなくて!お前はもうちょっと真面目に仕事をだな……」
「おいひ~♪」
「聞けェェェェェェ!!」
「いひゃいいひゃい!たっひゃんいひゃいよ~!ふぇ~ん!」
青髪に頬を引っ張られて手をバタバタさせて青髪の魔の手から逃れようとする桃髪幼女
……何でだろう。凄くほわほわする
俺は何か物凄く癒されたような気になりながら、そっとその場を離れた
「たっひゃんたっひゃん」
「何だ正信?反省したのか?」
「むきゅ!いたた……あの人行っちゃったけどよかったの~?」
「え?…………ハッ!そうだ!あの男、武の才があるように見えたから姫様に会わせて仕えさせようとしたのに……!この本多平八郎忠勝、一生の不覚……!!」
「あはは~♪たっちゃんはドジだね~」
「そんな口を利くのはこの口か正信!?」
「いひゃいいひゃい!ゆるひへ~たっひゃ~ん!」
ーーーーーーーー
~甲斐山中のどこか~
「あ゛~……疲れた……」
一気に三河から信濃に行く途中の山に逃げたせいで迷子になってしまった。松風も心なしかやつれて見える
何故俺が山の中で遭難してるかと言うと、昨日に遡るのだが……簡単に言うなら今川の御曹司をボコっちまった☆
……ごめんなさい。忘れてください
とにかく、俺が宿屋を探していると、麿呂っぽいガリ男とその他取り巻きっぽい奴らが酒屋で暴れていたのだ
流石に見かねて注意したんだが……何故か逆ギレされて囲まれた。まぁ、見るからに雑魚とわかるようななんちゃって侍ばっかりだったので気絶させてから見逃したのだが……一時間後には駿河、三河、遠江で指名手配されていた。俺が気絶させたのが今川の御曹司だと知ったのもその時だ
幸い名前はバレてなかったので国境までは簡単に辿り着けたが、流石に関所はごまかせなかった。仕方なく強行突破し、見つからないように街道や道を避けた結果、今の状況に至る
「それもこれもあの麿呂のせいだ……!」
あの麿呂……今川氏……なんとか。相当事実をねじ曲げて当主の今川氏親に報告したらしく、もう二度と今川の領土には入れねぇんじゃねぇかってくらい尾ひれがついていた
暴行とか不敬はまだしも、窃盗強盗放火殺人強姦誘拐食い逃げ偽令って何の事だよ。二条河原落書でも多分もうちょっと正しい事書いてるぞ。多分。
ムカつくけど俺は一介の素浪人だしな~……
にしても
「本当に疲れたな~……なぁ松風」
「ブル……」
本当に疲れた。心なしか松風の声にも元気がない
今すぐにでも休みたいところだが……生憎ここは山の中。しかも標高もそれなりにあるので夜になると異様に冷え込んでしまう。春なのに凍死したくはない。いや春じゃなくても嫌だけど
……親父の『追手を撒くならとりあえず森とか山に逃げ込め』って言葉を信じた俺がバカだった。……今度帰ったらシバく。シバくったらシバく
そんな決意を密かに固めながら勘を頼りに歩いていると、かなり先の方にかすかに火のような光が見えてきた
「ま、松風!火だ!人だ!町だ飯だ宿だぁぁ!!」
「ヒヒーン!!」
舞い上がってテンションやら何やら色々ブッ飛んでる自覚はあるがそんなの今はどうでもいい!!今はとにかく飯と宿だ!
そして俺は松風に飛び乗り、勢いよくその光に向かって走る
いよいよ光が近づいてきて、それが松明の灯りだと視認した後、俺と松風は全力で茂みから飛び出す
すると……
「ほーすぶれーくっ!?」
「「「頭ぁぁぁぁぁ!!?」」」
「「………………え?」」
「……え?何この空気。俺何かやった?」
俺以外の全員……野盗っぽい集団と黒髪の姉妹っぽい女二人の視線が俺の下に集中していたので、足下に目を向けると、そこには頭から血を垂れ流した男が一人倒れていた
………殺っちまったZE☆
駿河なんてなかった!
今川の御曹司は野望シリーズでもトップクラスの低能さを誇るあの方です