城下町のダンデライオンー偽物の10人目ー   作:雨宮海人

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今回からアニメ3話の話となります。冒頭は光しか出てなかったのでカットですぐに本編にいくのでよろしくお願いします。
そして、評価してもらえました。めっちゃ嬉しいです!この調子で評価したり感想くれたりすると嬉しいです!(評価が低いとしょげるかもしれませんが笑)

そして今日27日は城下町ダンデライオン第3巻の発売日でしたが皆さんは読みましたでしょうか?
作者は色々あり買えておりません。できるだけ早く入手して読まなければ……

それでは今回もよろしくお願いします!


第8話

「ええぇぇぇ!? 今週もまた買い物!?」

 

茜の絶叫が家に響き渡る。理由は、今週のお手伝いくじで茜が再び買いものを引いたからだ。

 

ついでに俺は2週連続で休みである。

 

「よく引いたな茜。褒めてやるよ」

 

「全く嬉しくない……式、代わってよ~」

 

「決まりだからダメだ。頑張れ」

 

「そんな!何でもするから!」

 

「そんな言葉を気やすく使うな。修や奏に変な条件突き付けられても知らんぞ」

 

「うぅ……」

 

俺とのやり取りで茜が机に突っ伏してしまう。そして、俺は奏に睨まれるが気にしないことにする。

 

「私、カレー食べたい!」

 

そして、光。お前はどんだけカレーが食べたいんだ。俺も食べたいけどさ。

 

「外に出たくないんだって」

 

「茜ちゃん!やっぱりカレーが嫌いなの!」

 

「だから、監視カメラが嫌いなんだって!」

 

「今更気にすることないじゃん。パンツ見られてるんだし」

 

「やめてぇ~~!」

 

光。茜の傷を抉りまくってるな。もう茜ショック死するんじゃないか?

 

こんないつもと変わらない家族の雰囲気の中で奏が口を開く。

 

「あんたたち、選挙活動する気ないわよね」

 

「僕はあります!」

 

「私もあるもん!」

 

その奏の言葉に対して輝と光が反論する。俺はその通りなので葵姉さんが洗った食器を拭く作業を続ける。

 

「輝や光じゃ、相手にならないって言ってるの」

 

「「えっ!?」」

 

「そんなことないよね。輝も光も頑張ってるよね」

 

復活した茜がフォローをするが、それ以前にまともな選挙活動してるのなんて奏しかいないだろ。

 

「頑張ってはないかも」

 

「フォローした私のためにも頑張って!」

 

そんなことだろうと思ったよ。むしろ、小学生に選挙頑張れってのもすごいことだ。

 

「大丈夫!いざとなれば能力で……大人の魅力でメロメロにしてあげちゃうんだから」

 

まぁ、その体よりは票が集まるかも?しれないが……

 

「24時間限定だけどね」

 

「うっ……」

 

「それ以前に国民のみんながお前の年わかってるんだから意味ないし、そんなで票が集まった国王なんて俺は嫌だぞ。茜は無意識だからいいとしてな」

 

「式!今聞き捨てならないこと言ったよね!?」

 

「そうね、見た目で人を釣ろうという考えはよくないわ」

 

奏が手鏡を見て、前髪を気にしながら言った。説得力のかけらもないな。

 

「自分も見た目めっちゃ気にしてるじゃん!いいもん将来は胸私の方が大きくなるし!」

 

えっ?それに一体何の意味があるというんだ。

 

「式、このお皿で最後だよ」

 

「あ、わかったよ。葵姉さん」

 

最後の皿を拭き終え、食器を置く。

 

「大きさより形が大事なの!」

 

「大きさだよ!修ちゃん言ってたもん!」

 

「言ってねぇ!強いて言えば感度――」

 

もう、何の関係もない話になっていた。兄弟とはいえもう少し自重したらどうだろうか。

 

そして、修に至ってはなんてこと言ってやがる。遥が窓の外に視線が向いちゃってるよ。

 

「茜ちゃんはどう思う!おっぱ――」

 

光が茜の胸を見た瞬間言葉を失ってしまった。光、それは一番やっちゃいけない対応だよ。

 

「ごめんなさい」

 

「謝らないで」

 

「ごめん」

 

「やめて……」

 

姉妹なのにどうしてここまで差がついたんだろうな。葵姉さんも奏もけっこう大きいし、光も絶対大きくなりそうだしな。栞は……さすがに今じゃわからんか。光の能力使えばわかりそうだが。

 

「気にするな茜!俺は感度さえ――」

 

茜の湯のみによる攻撃(能力使用版)が修の頭を直撃して、修はそのままひれ伏した。

 

訂正。一番やってはいけない対応は修のような事だった。ひどすぎて忘れてた。

 

「遥は、そういうのどうなの?」

 

「僕は……そういうのは気にしない」

 

岬の質問に遥は顔を真っ赤にして応えていた。相変わらずのムッツリである。

 

「式はどうなの。胸」

 

向くだろうなと思っていた矛先が奏によって飛んできた。さっきの仕返しだろうか?

 

「俺は胸限定じゃなくて体全体のバランスでみるから、胸だけにこだわりはないかな」

 

「そうなの?私と茜の胸を見比べても?」

 

奏はそういいつつ胸を強調するように腕で持ち上げてくる。

 

俺は死にかけの茜と奏を見比べて。無言で茜の肩に手を置いた。

 

「ねぇ!それってどういう意味かな!?」

 

「大丈夫だ。その胸にだってちゃんと需要はあるはずだ。確かちっぱいでも柔らかいんだ――」

 

「式の変態ぃ!」

 

自分で言ってて修と同レベルでやらかした事を後悔しながら湯のみを受け、俺はそのまま床に倒れ込んだ。

 

意識は何とか繋いでるが湯のみの威力が強すぎて頭がグラグラする……

 

「式にしては珍しい失言ね。それにしても茜もそうだけど。葵姉さんも式も選挙に興味がなくて助かるわ」

 

「興味がないわけじゃないけど。式、こんなところで寝てたらだめよ」

 

「……わかってるよ。葵姉さん」

 

「あっ、生きてたんだ」

 

さすがに変な発言をしたものに対して葵姉さんの慈悲はないらしい。自力で起き上がると。葵姉さんはそのまま居間から出てしまう。

 

そして、茜なんてこと言うんだ。ひどすぎだろ。人のこと言えないが……

 

「特に葵姉さんに本気出されたらかなわないもの……」

 

「でも、現状一位葵姉ちゃんだけど?」

 

「なんでかわからないけど、葵姉さんは王になることを拒んでるから。何かしらの方法で順位を下げてくると思うのよ。式も同じことが言えるけどね」

 

「ん?そんなことする気ないぞ面倒だし。仮にもし王様に選ばれたら普通にやるつもりだし」

 

もちろん自分の秘密を公言したうえでだけどな。もしそれでも国民が期待してくれるのなら応えるのが、父さんの言うとおり王族の責務というものだろう。

 

「そうなんだ。でも、葵姉ちゃんの場合どうするんだろう?なんか悪いことするのかな……」

 

確かに、順位を下げる方法はあるが、どれも葵姉さんがやりそうなことではない。意外に浮かばないな。

 

「そうね……茜のプリンを勝手に食べちゃうとか?」

 

「想像以上にしょぼいね!?それに私に嫌われるだけだし」

 

「そんなことより!買い物行こうよ!私も付き合うから」

 

光の言葉によってこの会話も終わり、茜と光は買い物に出かけていった。

 

 

 

 

 

「夕飯に間に合うか。前、茜が買い物に行った時、帰るの遅くて晩飯遅くなったよな」

 

「いくらなんでもこの時間から、遅くなることはないでしょ」

 

茜たちが買い物に行ってからまぁまぁ経ったところで俺は少し不安になる。

 

「俺もそう思いたいんだけどね。でも、近くのスーパーなら俺だともう帰って来てる時間なんだよな」

 

「茜があんたよりはやく買い物すませてくるわけないでしょ」

 

「ですよね~」

 

「式兄は心配性だね。あか姉だって今まで買い物してきたじゃん」

 

「んー、そうなんだけどな。どうも、嫌な予感がするんだよ。茜たちの身に何かがっていうわけじゃないんだが」

 

「やめてくれ、式兄さんのそういう直感は僕の能力以上に当たる気がするんだよ」

 

夕飯までの時間を残りの兄弟たちでのんびり潰していたのだが、どうも嫌な予感がぬぐえなかった。

 

 

 

結果、茜たちが帰ってきたのは少し遅い時間になるのであった。

 

「ただいまー」

 

「おかえり。なんだ、式の予想は外れかって……誰だお前ら!?」

 

「なになに!」

 

「どうしたの?」

 

「何かあったのか」

 

修の声に俺は少し驚きつつも、奏、岬と一緒に玄関に行くと、そこにはでかい光と小さな茜がいた。

 

「何これ!どこで捕まえてきたの!」

 

「ほんと、可愛いわね!」

 

「カナちゃんの妹で、岬のお姉ちゃんだよ!」

 

「「なるほど~!」」

 

奏と岬は小さくなった茜を抱きしめて、頭を撫でるなどめっちゃ遊んでいた。

 

「なんでそうなったかは知らんが。光が大きくなって服がやばいから茜を小さくしたんだな」

 

「そう、それで服を取り替えたの」

 

まぁ、24時間戻らない以上、変な格好で歩きまわるよりはマシだろうけど……

 

「それにしては、小さすぎじゃないか?」

 

そう、修の言うとおり、茜は光の服なのにもかかわらずダボダボだった。

 

「うん、やりすぎた」

 

この会話をしているうちに、小さい茜は奏と岬の手によって連れ去られていた。

 

確かに可愛いのは認めるが、あそこまでになるとは……

 

「で、なんで大きくなったんだお前は?」

 

俺の質問に光は買い物袋から猫を取り出して、見せつけるようにして。

 

「ネコちゃんが木から降りれなくなってたから、それで」

 

「それなら木を小さくすればよかったんじゃないか?」

 

「あっ!」

 

修の言うことがもっともである。そして、やっぱり光は気付いてなかったご様子で、それに

 

「光、今買い物袋から猫出したけど。買い物はどうなってるんだ?」

 

「ああーー!!」

 

光の悲鳴で今日の夕食は出前になることが確定しました……

 

 

 

 

『今週の世論調査の結果です』

 

買い物騒動から数日後、テレビでは世論調査の結果が出ていたが、目立った変動はなく、俺も3位のままだった。

 

「えぇ~、ネコちゃん助けたのに順位上がってないじゃん。何で!」

 

「なんでって、あの辺カメラないじゃない」

 

今週のサクラダファミリーニュースで取り上げられない時点で、ご察しである。

 

「光は昔っから抜けてるとこがあるよね。でも、次があるって」

 

「うん、まっ、いっか」

 

岬に撫でながら慰めれた光は機嫌よさげにつれて帰ってきた猫、ボルシチを撫でるのであった。

 

こうして、我が家に新しい家族ボルシチが加わったのである。

 

というかこの名前考えたやつ誰だよ……

 




というわけでボルシチ加入回でした。
どうでもいいですが私は給食でボルシチを食べた時、土の味しかしなくて食べられなかった記憶が曖昧ながらあります。
おいしいボルシチはおいしいのかなぁ……?

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