佐藤さん可愛いですよね。
それでは今回もよろしくお願いします。
いつも通りクラスメイトと昼食を食べながら会話している時、ある話題に傾いていた。
「そう言えば葵様。今日告られたって噂聞いたぞ」
そう、なぜかうちの家の恋愛事情になっていた。
「噂だろ?どうせ事実でも断られてるだろうし問題ない」
「あっさりだな。葵様はもちろんだけど奏様も茜様も美人で可愛いし、引く手数多だろ?」
確かにうちの家族はレベルが高いからそういうのも多いと思うが、
葵姉さんはそういうのに根本的に興味がなく、奏も告ってきた相手を営業スマイルで断った話も聞いたし、茜はそういうのは論外な気がする。色んな意味で。
「想像できないな。確かに三人ともファンクラブができるくらいには人気あるけど。あ~、そのファンクラブが抑止力になってんのかもな」
「お前それ人のこと言えないから?女子でファンクラブ結成されてるの知ってるんだろ?」
「どうせ、男どもだけずるいと思った女子が対抗意識で作っただけだろ?モテないよ俺は。何回かは告られた事もあるけど姉さんたちほどじゃない」
だが、俺のこのセリフにクラスメイトは何言ってんだこいつという目をしてくる。
「はぁ、お前はもう少し自分の人気を自覚した方がいいと思うぞ?選挙でも3位だったんだろ。お前は自分が考てえるよりも人の注目を集めてるんだよ」
選挙の話を出されると非常に反論しずらかった。でも、そんなに告られたことないしな……
「うーん、そういうものなのか……」
「そういうことだ。そう言えば修様の浮いた話とか聞いたことないなー」
「あれに浮いた話?ないない。……いや一つぐらいはあるかもしれないけど」
完全否定しようとしたところで、一人の女性が思い浮かび俺は訂正する。
「お前、実の兄に対してそれはひどすぎねぇか?」
「実の兄だからわかるんだよそういうこと。ほれ、昼休み終わるぞ。次、移動教室だろ?」
「やばっ!そうだった急ごうぜ」
こうして、昼の会話は終わるのであった。
ところかわり櫻田家では中学生以上の兄弟が家の手伝いをするというシステムがある。
これだけ子供が多いのだ。ただでさえ王妃である母さんに家事を任せるのはよくないということで一週間の始めに買い物・掃除・洗濯・料理の4つの手伝いをくじにより選出する。
くじを引くのは葵姉さん、修、奏、俺、茜、岬、遥の7人なので3人は一応休みということになる。まぁ、休みでも自主的に手伝うのは当たり前なのだが。
なので、俺自身このくじはどの手伝いをやるかを決めるだけの大したことではないのだが……
「毎週、毎週くじで決めるの面倒だな」
「じゃあ、修ちゃんが買い物やって!それなら私他のこと全部やってもいいから!」
一人だけ完全にテンションの違うやつがいた。その様子は戦争にいくかいかないかの瀬戸際みたいな感じだ。
「茜姉さんさすがに言いすぎじゃ……」
「だって買い物は外に出ないといけないんだもん!」
「引きこもりみたいな発言やめろよ……」
「じゃあ、あか姉にやってもらおうよ!」
「みんなでやるって決めたでしょ?サボるのはダメよ」
葵姉さんにそんな事を言われたらどうしようもないので、みんな茜の持つくじ入れからくじを引いていく。
「俺、掃除」
「私は洗濯ね」
「えぇー料理」
修が掃除、葵姉さんが洗濯、岬が料理。ということは残ってるのは休みか買い物だけか。
「ラッキー、休みね」
「僕も休みだ」
「えっ、嘘……」
奏と遥が休みか。だんだん茜の顔色が悪くなっているが知ったことではない。
「式。式は私の味方だよね!?」
「いやいや、これくじだから。味方も敵もないから……あっ、休みだ」
俺が持っているくじには紛れもなく『休み』と書いていた。
「ということは……買い物ぉ!?」
茜は絶叫しているが、くじは一つしか残ってないからな?
「引くまでもなかったわね」
茜がそのままテーブルにひれ伏してしまう。
「カメラ……映りたくない……」
「冷蔵庫の中に何かあればそんなに行かなくてもいいだろ?」
「冷蔵庫の中何もないらしいぞ」
落ち込む茜に精一杯のフォローをしたが修が現実を突き付けて台無しである。
「私カレー食べたい!何なら一緒に行ってあげるから」
「だから、外に出るのが嫌なんだって」
「茜ちゃん!カレー嫌いなの!」
「カメラが嫌なの!」
代わってやりたい気もするが家族で決めたルールである以上情けは無用だろう。
「最近カメラに映りまくりじゃん」
「そんなつもりじゃなかったの。これ以上テレビで目立ちたくないの」
「能力でぽんぽん飛んでパンツ見せちゃってるのに?」
そう、俺が特番のときに頑張って茜の名誉を守ってやったというのに、能力で空を飛びすぎたため一回テレビでパンツを映されてしまったのだ。俺の努力を返してほしいものだ。
「やめてぇ~言わないでぇ~……」
光の止めの言葉で茜は完全に沈黙してしまう。
「わかった。俺の掃除と代わってやろう。ただし、一ヶ月間ツインテールの位置を高くすることが条件だ」
うわぁ、一方的な条約みたいな内容だな。さすが修やることが汚い。でも、なんでツインテールの位置なんだろう?
「割りに合わない!当番は一週間で代わるんだよ。……そんな子供みたい髪形」
茜、全国の同年代のツインテールの位置が高い女の子に謝った方がいいな。それに――
「いいじゃん茜。高くしても似合うと思うぞ?」
「えっ、式いきなり何言いだすの!?……でも、それなら……どうか、三週間で」
「いいだろう」
茜に買い物に行かせて問題を起こすよりもこっちの方がいいと思った俺は茜の背中を押すと、茜は意外にもそれを受け入れていた。
ま、俺からすればどっちも似合ってると思ってるから何の問題もない。
「ふーん、受けるんだ」
なぜか奏がこっちを睨んでいたのは気にしないことにしよう……
結果。ツインテールの位置が高くなることの確定した茜の三週間が始まったのである。
しかし、そんなことをしただけで何かが特別起こることはなくて。
俺は珍しく朝一人で登校していた。
奏は生徒会で先に行ってしまい。修は俺が出るまで部屋から出てこなかった、寝坊であろう。
茜と葵姉さんは……もう語る必要もない。
だが、一人で登校するのもなんだか寂しいなと思いだした俺は通学路で、誰か知り合いがいないか見渡すと一人見知った人を見つけた。
「おはようございます。佐藤先輩」
「えっ!?式君おはよう。珍しいね。一人なんて」
佐藤花先輩は俺の挨拶に驚きながらも返してくれる。
この佐藤先輩は俺が知るうちで唯一修のことを好きという変わった人である。
俺が高校に入学して間もなく奏に会いに行った時に偶然修を見つめている佐藤先輩を見かけ、最初は不審人物何かと思い聞いてみたところ。修に片思いだということをしり、たまに話す仲になっているのである。
登校中ということなので俺も佐藤先輩も学校に向けて歩き出す。
「今日はみんなとタイミングが合わなかったので、すいません修と一緒じゃなくて寝坊してると思うんでちょっと遅くなると思います」
「い、いや。いいの。むしろ櫻田君と一緒だと私何も喋れなくなると思うから」
「相変わらずですね佐藤先輩。もう少しアタックしてもいいんじゃ?」
「む、無理だよ!それに私のことなんか見てくれてないかもしれないのに」
いや、さすがにそれはないと思うんだが。修に印象を聞いた時も悪い感じじゃなかったし、
「謙虚ですね。佐藤先輩、それもいいところなのかもしれないですけど」
しかし、こんな調子ではいつ告白できるのだろうか?修から告白することは絶対ないから必然的に佐藤先輩に告白しなければならないのだが、先は長そうだ。
そして、学校にはもうついてしまうと、二人の距離もこれぐらいなら楽なんだろうけどな。
「俺は変わらず応援してますよ」
「あ、ありがとうございます!私も頑張ります!」
「いつでも相談乗りますんで、じゃあ」
俺は自分の教室へと歩いていった。ちょっと変わった朝だがなかなかおもしろかったと俺は満足するのであった。
だが、この後遅刻回避のために瞬間移動した修が目の前にいた佐藤先輩に口に含んだいた牛乳をぶっかけたという話を聞いた時、俺は盛大に頭を抱えるのであった。
そして、その日の放課後。俺は生徒会の仕事を頼まれていたので、茜と帰るのを断っていたのだが、
「ごめん、式!手伝ってほしいの明日だったから今日は帰ってもいいわよ」
どうやら手違いだったようで奏に門前払いされてしまい。俺は帰宅しようとしていた。
確か茜は修と帰るって言ってたか。茜嫌そうな顔してたけど……
下駄箱まで辿りついたところで、急いで学校から出ていく佐藤先輩の姿が目に入る。
「どうしたんだろ?あんなにに急いで」
靴を履きながらその方向を見ていると、修と茜の姿が見えた。
「なるほど、修に話でもあったのか?あれ――」
話しかけると思ったのだがなぜか佐藤先輩は固まっていた。
そして、なぜか二人を尾行するような動きをしていた。ものすごく下手くそな尾行だけど。
「なにやってるんだ?」
しかし、佐藤先輩はストーカーするような性格ではないはず……
と思うので、何か理由にある違いないと……考えたかったので、俺もつけることにする。
結構距離が離れているので、二人の会話は聞こえないが、佐藤先輩は会話が聞こえているのかリアクションが激しい。
というか、遠目からみると茜が修の腕に抱きついているので、まるで恋人のように――
「あ~、そういうことか。佐藤先輩らしい」
おそらくツインテールが高いせいで茜を茜とわかっていないのだろう。それで、茜を修の彼女とでも勘違いしたのだろう。
でも、そんなリアクションして尾行してたら、いくらあの二人ですら気付かれそうだが。
その予想は当たっていたようで、二人は急ぐように細い路地に入っていく。
もちろん、追いかけていた佐藤先輩も急い曲がるが――
「えっ!茜さん?」
「あれ?修ちゃんのクラスの先輩?」
三人とも路地に入ったところで見つからないように俺は聞き耳を立てる。
「さ、櫻田君も!?」
「佐藤、なんで俺たちをつけていたんだ」
「えっ、あの、その」
お前が彼女作ったと思って気が気じゃなかったんだよ。そろそろ察してくれないかな修……
「理由を説明してくれないか?俺達は王族だからしてくれなとクラスメイトといえども黙ってるわけには――なんだそんなに言いにくいのか?」
あ~、佐藤先輩フリーズしちゃったかな?ここは助け舟でも――
「――っき、だから」
「ん?なんだって?」
あれ?なんか雰囲気がなんか変な気が、
「私、櫻田君のことが……好きだから」
言ったああああぁぁぁ!?えっ、今そのタイミングで言うの?なんだ、俺まで混乱してきた。
「はぁ!?……マジか」
それはいくら修でも驚くだろうな。俺ですら驚いてるもん。茜も顔を赤くしている。
「なんだ、その佐藤の気持ち俺も嬉しい。でも、今は選挙に専念しようと思ってるんだ」
あれ?修って王様になる気あったのか?知らなかった。
「今は奏の妨害工作に忙しいんだ!奏を王様にしないためにな!」
いきなり何言ってるんだあのバカ兄貴は!?確かに修からすれば奏が王様になることに思うところがあるかも知れないが今そんなこと言わんでもいいだろう!
一瞬、能力を使って頭を壁にぶち当ててやろうとしたが、俺は何とか思いとどまる。
頑張って佐藤先輩、もうひと押しですよ!
「じゃあ、待っててもいいですか……?選挙が終わるまで」
「待つって、二年以上先のことだぞ?」
「私はそれでも平気です!」
すごい、なんかのたがが外れたように佐藤先輩積極的!そして、ここまでいわせる修も随分と罪作りなことで。
「……わかった。約束しよう。必ず佐藤の想いに応える!」
やったあああぁぁぁ!ナイス修!よく言った。何か自分の事みたいに嬉しく感じる!
「あ、ありがとう……」
そういって佐藤先輩は泣き出してしまう。まぁ、あれだけ頑張って報われたのだ当然だろう。
というか二人とも完全に茜の事を忘れていませんかね?すぐ近くで顔真っ赤なんですけど。
「きょ、今日は二人で帰りなよ。その方がいいよ。うん」
茜にしてはナイスだ。しかし、お前が一人で帰るなんて言ったら、修も佐藤先輩も心配するだろ。
見つかりたくなかったが、誤魔化すか。
「あれ、修に茜何してるんだ?こんなところで。佐藤先輩も一緒でしたか」
「式、いいところに!じゃあ、私たち先に帰るから!」
「おい、茜!」
修の言葉を無視して、茜は俺の手を引っ張って行こうとする。
そこで、俺は口にするわけにはいかないので、佐藤先輩にだけ気付くようにウインクをするのだった。
最後に見えた佐藤先輩の顔は真っ赤で可愛く、修にはもったいないなと俺は思うのであった。
「ごめんね式、いきなり引っ張っちゃって」
「いや、別に――」
言いかけたところで俺は言葉をやめてしまう。茜の掴んでくる力はいつもより強く、心なしか機嫌が悪く見えたからである。
「機嫌悪いのか?」
「悪くない」
こりゃ、相当だな。珍しい、でも佐藤先輩のためだ。我慢するとしよう。
「はぁ、佐藤先輩に修がとられたとか思ったのか?修はお前の兄だけどものじゃないぞ?」
「先輩のこと知ってたの!?」
俺が何回か佐藤先輩と話してるところ見てるはずなのに今更だな。
「片思いの相談に乗るぐらいわな。妹ならしっかりと祝ってやれ」
「うん…… 式もいつか誰かと付き合ったりするの?」
「そりゃ、そうだろうな。独り身なんて嫌だし」
「そう」
やばい、茜の機嫌がさらに悪くなった。どうにかフォローしないと……
「でも、俺はずっとお前の双子の兄だからな」
「うん!」
俺の言葉で茜は少し元気を取り戻したようだが、俺はこのセリフを言ったことを心底後悔した。
茜に嘘をついて励ますとか、心が痛いんだよな。
そんな事を考えつつ、俺と茜は家に帰宅するのであった。
そして、俺はその夜に一通のメールを佐藤先輩に送るのであった。
ただ一言「おめでとうございます」という文面を。
というわけでこれでアニメ2話まで終了となります。
茜と奏は色々書いてるのに、葵の出番がかなり少ない、どうにかしなければ。
一応、軽い推敲はしてるのですが、かなりのペースで書いてるので間違いがあるかもしれませんが、見つけたらご指摘して下さるとありがたいです。
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