長い、5000字超えています。もう少し細かく分けた方がよいのだろうか……
少しずつですがお気に入りの数とかも増えて嬉しい限りです!
それでは、今回もよろしくお願いします。
『視聴者の皆様こんにちは!』
『なんと、今週のサクラダファミリーニュースは、王家御兄弟全員に来ていただきました』
結局、兄弟全員でテレビに出ることになってしまう。内容は俺たちの特殊能力を使って簡単なゲームをしてもらい。国民に自分たちの事を知ってもらうというものだった。
「えっ!そんなの聞いてないよ!」
「父さんがちゃんと伝えてくれるわけないだろ。だが予想よりも面倒なのに巻き込まれたな」
思ったよりも面倒な内容に茜だけでなく俺までも逃げ出したい気分だった。
『そのゲームの内容は、「危機一髪ダンディ君を救え!」』
ルールは単純、ビルの屋上にあるぬいぐるみことダンディ君を下に置いてあるかごに多く入れるという玉入れのような内容だ。
にしても、修に有利な内容だな。俺も人のこと言えないが……
『国王からの激励のメッセージがあります!』
『皆、惜しみなく力を発揮し、国民の皆さんに自分達の事をよく知ってもらえるように頑張ってほしい。一番成績の悪かったものには城のトイレ掃除をしてもらう!」
父さんの激励のせいでめんどくささが倍増した。一位になっても意味ないし、最下位で罰ゲームって……
茜じゃないがあんまり目立ちたくないからこういうのはない方が俺的に嬉しかったんだけど……
「えぇ!」
「お城のトイレ掃除!?」
これには兄弟からも不満の声が出るが、今更変更はないだろう。
やるしかないか。あんまり目立たずに罰ゲームを回避するとしよう。
『それでは制限時間は60分です。 それではスタートです!』
この番組の趣旨から考えて普通にやるのはマズそうだな。それなら待機しておくか。
最初から全力でやらずともビリにならなければよいので周りに合わせた方が楽だろう。
「僕はこのビル、登ります!」
どうやら一番手は輝のようだ。
『四男、輝さまの能力は
『ものすごいパワーを発揮し、順調にビルを登っております』
輝の能力は大人以上の力を発揮するものなので、ビルを登るなんて容易いだろう。
だけど、まだ輝は幼いからな力加減に難がありそうだ。
「あれっ!?」
言わんこっちゃなく、ビルの一部分を壊してとってしまった輝は捕まるものがなくなり、落ちそうになるが何とか持ち直して再びビルを登っていく。
「よし、あたしだって!」
「あんまり無理しないでね」
次は光のようだが、さっきの輝のこともあり葵姉さんは少し心配のようだ。
「わかってるって!よいしょ、っと」
その返事を聞くと俺も不安になってくるのだが、そんな俺の気も知らず近くの木に登った光は、
「じゃあ、始めちゃおっかな。よし!」
光が手を当てると木がどんどん成長していく。
『五女、光様の能力は
『考えましたね。木を成長させて屋上へ一番乗りです!』
確かに光にしては考えたが、24時間はそのままになってしまうので帰りはどうするつもりなんだ?それに往復する競技だってのに……
「あれ~!?伸び過ぎた~~!」
それどころか、木を成長させ過ぎて動けなくなってしまった。何やってんだ……
「な~にやってんだか。よく考えたら自分で登るなんて効率悪いですね」
次に奏が目をつぶるとドローンが5機生成される。
『次女、奏様の能力は
だが、奏の能力は生成したものの金額が通帳から引かれる。いつもはケチなくせにこういう場では遠慮なしなんだな。あれ一機でもかなり値段しそうだし、
「私も頑張らなくっちゃ!」
今度は岬が能力を使い岬の分身が7人現れる。
『四女、岬様の能力は
「みんな、頼んだわよ!」
「私はエレベーターでいきますわ」 「じゃあこっちは非常階段で」 「めんど~ね~」
「遥も一緒に登ろう」 「お菓子、もらえる?」 「ゆっくりいこ~と」 「ふわぁー」
岬の能力によって現れる分身は岬の感情の一部分となっており、七つの大罪である、暴食、傲慢、憤怒、嫉妬、強欲、怠惰、色欲に分かれる。
つまり、岬は結構普通の性格なのだが、分身たちは個性ある人物になるのである。
よく考えたら、岬の能力もこの競技だとかなり有利だな。それに対して、葵姉さんや栞はどうするんだろうか?
「えっ、そうなの。ごめん、ちょっとわからない」
その栞は消火器に向かって話しかけていた。普通の人間なら精神を疑うが、栞の場合は意味が違ってくる。
「栞、何話しているの?」
「消火器さんがせっかく近道を教えてくれたんだけどわからなくて」
「B2、荷物用エレベーター、27階で乗り換え……」
「あぁ、あのルートね」
栞の言っていることを聞いてもさっぱりわからなかったが、葵姉さんは理解したようだ。
「お姉ちゃんわかるの?」
「前に一度見学に来たことがあるから」
茜の質問に答えながら葵姉さんは栞と一緒にビルへ入っていった。
『六女、栞様の能力は
これなら栞がビリになることもなさそうだ。いざとなったら助ける気だったが、しっかりと能力を活用できて国民にもアピールできて偉いな栞は、
「じゃあ、俺も。ずっと映りっぱなしってのもな」
「うわぁー!忘れてたー!」
ようやく、この競技で最強の修も動き出すようだ。というかもういないな。
修が突然消えたことにより、カメラにさらされるようになった茜はパニックになっていた。
『長男、修様の能力は
すでに、修は屋上でダンディ君を捕まえ、もう地上に戻ってきていた。便利だな~。
「あんたは動かなくっていいの式、差がついちゃうわよ?」
なにもせずのんびりしていた俺に対して、奏が声をかけてくる。
「いや、特に一位を目指す必要ないから。しかもやりすぎたら疲れるし、ゲームにならないからな」
「まぁ、一理あるわね」
そんな話をしていると、今度は遥に動いた。
『三男、遥様の能力は
大方、ビリになる確率を調べてそこからそれを回避するための確立を調べたってところか。
頭のいい遥ならわかっていると思うが、一応釘刺しておくか。
「遥、わかってると思うけど俺は手伝わないからな」
「ぐっ、さすが式兄さんは鋭いね。式兄さんを味方にできる確率は5%しかないから諦めるよ。茜姉さん」
まぁ、普通そうなるわな。茜もまだ参加してないだけでこの競技では有利な部類だ。
「どど、どうしよう遥!わわ、私何すればばいい!」
そして、本来なら有利なはずの茜さっき以上にテンパっていた。
「まずは、落ちついて姉さん。このまま姉さんが何もしなければビリになる確率は87%、僕も74%。でも、二人が力を合わせればその確率は25%まで下げられるって僕の予知では出てる」
「別にビリだっていいよ。これ以上目立ちたくないし、トイレ掃除くらいなら……」
茜、この罰ゲームの意味を理解できてないな。家のトイレ掃除じゃないんだぞ……
「姉さん、お城のトイレいくつあるか知ってるの?」
「へっ?」
「茜、しかも城だぞ。家とはわけが違うから人に会う機会も増えるぞ」
「あ、あぁ……」
一応、味方はしてやらないが、茜を焚きつけるぐらいはと思った俺の一言で茜の顔は青ざめる。
「やるわ、私!絶対8位になってみせる!」
「じゃあ、二人で頑張ろっか」
やる気を出した茜は、遥と一緒に飛んで行った。いつもよりもかなり遅い速度でだが、
『三女、茜様の能力は
「にしてもかなりゆっくりだな。スカート気にしてるのか?」
だが、全員能力を使い始めた以上、俺もそろそろ動かないとだめか……
「さて、やるかなって、何してるんだあいつら?」
「遥、兄妹だからってやっていいことと悪いことが!」
「ごめん!姉さん!だから、落ち着いて!」
俺がようやく動き出そうとしたら、遥が茜のスカートを抑えようとしたせいで茜がすごい軌道で飛び回りだした。
「はぁ、遥も遥だが、茜も茜だな」
「何やってんの、あの子たちは……」
奏もかなり呆れているようだ。俺も同じだけど。
「しかたない、あれを止めてくるよ」
「まぁ、あんなの止められるのあんたぐらいだし、お願いするわ」
「了解」
俺は自身に能力を使い、空中に浮き上がる。一見すると茜と同じ能力に見えるが俺の能力は全然別物だ。
『次男、式様の能力は
「基本、動かせるものは自分の視界に入っているものと自分の体に限定されるんだけどなっ」
本来なら地上からでもいいのだが、さすがにあの速度で動かれると完璧に減速させるには近い方が楽なのでわざわざ俺はビルを登っていく。
「はぁ、本来なら屋上を映してるモニターがあったから地上からでもぬいぐるみ回収できたのに、手間かけさせてくれるな~」
愚痴りながらも登っていくと、それよりも先に二人は屋上に突っ込む形で飛んで行ってしまう。
「おいおい、危ないぞ!」
確か屋上にはちょうど輝がいるはずだ。ぶつかりでもしたら一大事だぞ!
能力全開で登っていくと、二人が輝に直撃するコースで飛んでいた。ちょうど近くに修がいた。
「ダメだって!」
「危ない!どいて―!」
「えっ!?」
「やばいっ!」
茜に対して能力を使用するが距離が短すぎる。減速が間に合わない!
「ぐっ!」
だが、そこで隣の修が輝を押すようにしてそのまま消えた。
「ナイス!修!」
輝が修の瞬間移動で安全になったことを確認した瞬間。俺は周りに残っていたダンディ君を一点に集め、二人のクッションになるように動かした。
そして、二人は俺が作った即席クッションに突っ込んでいった。
「おい!大丈夫か?茜、遥!」
「うぅ、私は大丈夫、遥は?」
「痛つ……兄さんたちのおかげでなんとか――姉さん!下、下!」
「へ?」
茜が下を見ると、履いていたはずのスカートはなくなっており、パンツだけになっていた。
俺も屋上に着いた瞬間、茜の状態を即座に把握し、周りの確認して目に見えるカメラを全て壊した。
その後、茜は顔を一気に赤くして、
「キャアアアァァァ!?!?」
叫んでいたが、その様子がカメラに映ることはなかった。
「はぁ、状況説明に行かないと。遥、茜の事頼むぞ」
「う、うんわかった」
俺はそこらへんにあるダンディ君を取って、ビルから落ちた。もちろん、着地で能力を使い綺麗に着地する。
「カメラさん、ちょっと画面こっちに下さい」
「は、はい。式様」
画面が急に暗くなったことに困っていたカメラマンに俺は一声かける。
そして、軽く息を吸ってからスイッチを切り替える。
「皆さん、いきなりカメラを壊して混乱させて申し訳ありません。しかし、さっきのアクシデントで怪我人が出ませんでしたが、放送事故になるような内容が放送されそうだったのでカメラを壊させてもらいました。これ以上の競技続行はまずいと思うのでこれで終了とさせていただきたく思います」
俺はその場で一礼し、国民に不安を与えないためできるだけの笑顔で対応した。そして、自分のかごとついでに遥のかごにダンディ君を入れ、カメラマンさん達にアイコンタクトをすると……
『せ、制限時間前ですが。ゲームは終了とさせていただきます。この後はスタジオから結果と国王選挙の順位についてお伝えしたいと思います。それではCMです』
伝わったらしく、番組はCMに入ったようだ。
「ここに来て下さって皆さまもお騒がせしてすいませんでした。カメラは後で俺に請求書送ってください」
もう一回、見に来てくれた人とスタッフの皆さんに一礼する。
「はぁ、こんなもんか」
「ちょっと、何があったの?」
真面目モードを解除して大きくため息をついた俺に対して奏が寄ってくる。まぁ、見えてないから疑問に思うのも当然か。
「修が茜のスカートごとテレポートしちまったんだよ。あのままだったら全国に茜のパンツが晒されるところだったから可哀想に思ってな」
「あ~、そういうこと。でも、いいのカメラ結構高いわよ」
「わかってるよ。はぁ、せっかく貯めたんだけどな」
茜の名誉のために俺の貯金が犠牲になるのは痛いが、こればっかりは自分でやってしまったものなのでしょうがない。
「お金、貸してあげようか?」
「いいよ、奏に借り作りたくないし、これでも結構金あるから大丈夫だよ」
「ちょっとそれどういう意味よ!」
「ん?がんばって稼いでるんだよ」
「違うわよ!その前のことよ!」
「なんのことやら?」
奏の抗議を受け流しながら、この後撮影するスタジオに俺は足を向けるのであった。
はい、式の能力はサイコキネシスでした。
かなり普通ですね。まぁ、他の家族たちとレベルが違いすぎるのも変な気がしたのでこれにしました。
というか、一番の理由は修の瞬間移動、栞の物質会話を見た時に、栞はかなり違いますがある超能力漫画の三人娘を思い出してしまったので、式の能力が決まった次第です笑
それと、式の口調ですが基本は修と遥の間の感じ(差別化ができてない)で時折、奏と同じように猫を被ったような喋り方になる時もあります。
いや、難しいですね。こういうの……
次話でようやくアニメ第一話分が終わります。