今回はアニメ第一話の前半部分をやっていきます。
駄文ですがよろしくお願いします。
朝食をとって、母さん達が父さんを見送った後。高校生組である葵姉さん、修、奏、俺、茜は一緒に登校していた。
「もう桜も終わりねぇ」
「うん、今週末が花見最後のチャンスかも」
俺はその会話から道すがら咲いている桜に目をやる。
「花見か」
「特番やってたよな。どこも綺麗で花見にはよさそうだった」
そんな会話をしていると、向こうから人がやってきて。
「おはようございます」
挨拶をしてきた。普通通行人同士で挨拶してくるのは珍しいが、皆が王族であるせいか必然とこういうのは多くなる。
「「おはようございます」」
葵姉さんと奏は挨拶を返し、俺と修は軽く会釈する。そして、茜は葵姉さんの後ろにすかさず隠れていた。
「……おはようございます」
そして、近くにいる俺ですらギリギリ聞こえる声で挨拶を返していた。
他のみんなはすでにまたかという顔をしている。
「だから、みんなでお弁当でも持っ――」
「おはようございます」
話を続けようとした茜は言いきる前に他の人から挨拶をされてしまい。茜はまた葵姉さんの後ろに隠れてしまう。
「おはようございます」
その茜に変わるように葵姉さんが挨拶を返して、俺達も軽く会釈する。
「バイバイ」
挨拶してきた主婦が連れていた幼稚園児と思われる子供が可愛く手を振ってくる。
「……バイバイ」
茜も葵姉さんの後ろに隠れながらだがそれに応えていた。だが
「「はぁ……」」
葵姉さんと奏がため息をついた。しょうがない、俺もそんな気分である。
俺と双子の兄妹で妹ということになっている。三女、茜は極度の人見知りである。王族なので人前に出るのも慣れそうなものだが、高校一年生にしてまだ治る気配すらない。
「相変わらずだね。あんたの人見知り、どうにかなんないの」
「うぅ……」
「茜の人見知りが治るなんてもし起こったら次の日は雪だろうな」
「奏、式くん。それぐらいにしなさい」
「「はーい」」
気を取り直して、歩いていくと目の前の電柱にカメラが目に入った。
「ひっ!?」
次の瞬間に、茜はカメラの視界に入らないようにわき道に逃げ込んでいた。
このカメラは、王族にも関わらず普通の生活をさせたいという、父さんの方針なのだがそうなると王族の安全確保が難しくなる。そのためにこの町内には200以上のカメラが設置されているわけだが、
「週末に監視カメラの位置変わったんだよね。せっかく全部覚えたのに」
えっ、全部覚えるって普通じゃないだろ……
「全部ってすごいね」
葵姉さんでも若干引くレベルである。これはひどい。
「だって映りたくないんだもん!」
「しょうがないだろ。これも俺たちのことを思ってのことだってお前もわかってるはずだろ」
「わかってる。わかってるけど。町内だけで200台以上って多すぎじゃない!」
修に諭されたが茜はまだ納得のいかないご様子だ。
「まぁ、やり過ぎって言うのは否定しないけど。さすがに慣れただろ?」
俺も茜ほどじゃないがこのカメラに対しては抵抗があった。茜と違い自身が王族ではないのにという理由だが、もう慣れたけど。
「無理!絶対に!」
「そんな力強く否定しなくても……」
「カメラの位地なんてよく全部覚えたわね。私ならそれ国民へのアピールに使うのに」
「国民へのアピール?」
修の質問に奏が自信満々に語り出した。
「だって、私たちみんな次の国王選挙の候補者なんだから」
「もー!なんで選挙で決めるのよ」
茜は泣いているが、その言葉を聞くと俺は内心穏やかじゃなくなる。
ほんと、俺この選挙に出なきゃならんのか……
父の意向で俺もこの選挙に出されることになり、国民全員が俺のことを知らないのに……
「はぁ、憂鬱だ」
「茜も式も仕方ないでしょ。お父さんが決めたことなんだから」
「わかってるよ、葵姉さん。ちょっと口に出ただけだよ」
しかし、こんなところで道草を食い続けるのは時間的にまずいか。
「奏、生徒会あるはずだけど時間大丈夫?」
「え?ああ、ナイス式!もうこんな時間じゃない生徒会に送れるわ!」
そういうと奏は学校に向かって走り出してしまった。
「じゃあ俺も、また学校でな」
修もその後を追うように行ってしまう。正直言って茜とこのまま行動をともにすれば遅刻の可能性すらある。それは避けたいところだ。
「修待って、俺も行くよ。じゃあな茜、そしてお願いするよ葵姉さん」
「待って!式、私を見捨てないで!」
「いいよ。先に行って」
「ありがと、葵姉さん」
茜のいうことは無視し、葵姉さんに許可をもらったので俺も歩き出す。
「いいのか。茜見捨てて」
「同じく見捨てた修に言われたくない。それに俺の予想だと能力を使う事になるから振り回されるのは御免だよ」
茜の能力はざっくり言えば重力を操ることなので空を飛ぶこともできる。
「さすが双子、よくわかってるんだな」
「まぁな」
修の言葉に少し苦笑いを浮かべながら俺はゆっくりと登校した。
ついでに茜は予想通り能力を使い、葵姉さんと遅刻ギリギリで登校してきたとさ
俺は学校に登校してから普通にクラスメイトと楽しく授業を受けた後、放課後を迎えていた。
「式、今日は予定開いてるのか?このあとカラオケ行くんだけど」
「悪い今日はパス。葵姉さんがいるから大丈夫だと思うけど、茜と一緒に帰る約束してるんだよ」
「あー、茜様か。いいな兄妹仲良くて」
「これだけ多いと嫌でも仲良くなるもんだよ。じゃあな」
中のいいクラスメイトと軽く会話して俺は教室を出た。
茜のクラスは隣なのですぐに着く。
「茜、もう帰るぞ……って葵姉さん来てたんだ」
俺が入った逆側から葵姉さんが入ってきたのでそこに人が群がっていた。
「あー、式様だヤッホー」「よう、式様」
と思ったら俺の方にも結構な人数が寄ってくる。
「様付けは止めてくれ。どうもむず痒く感じる」
そんな調子で茜のクラスメイトを捌いていると。
「式、お姉ちゃん帰ろう」
茜が出てきたので俺は葵姉さんとともに下校することになる。
「式も姉ちゃんもすごいねどこでも人気者で」
ふと茜が言い出したが、俺はそれに疑問を覚えた。
「確かに葵姉さんは人気者だが。俺はそんなんじゃないだろ」
「式ちゃんはそういうことに対して自覚が薄いからね。部活の勧誘とかないの?」
「一応運動部からはいくつかあったけど、断ったよ」
高校生なのだからスポーツに打ち込むのも悪くはないかもしれないが、興味がわかずそんな気持ちでスポーツをや
るのは同じ部の人たちに失礼と思い。俺は現在帰宅部である。
「もったいないなー。あっ、私演劇部とかやってみたいな。それでお姫様役とか!」
「は?茜がお姫様役?確かにお前は本物のお姫様のようなものだが――」
「こんにちは」
茜の方を見てると、前からいきなり挨拶をされ、俺は少し反応に遅れると。
茜はもう葵姉さんの後ろに隠れていた。
「こんにちは」
いつも通り葵姉さんが挨拶を返し、俺は会釈で返すと
「……こんにちは」
茜もいつも通りだった。
「人見知りで、無人カメラすら直視できない茜が人前に立てるの?」
「立てないよっ!」
葵姉さんの言葉に茜は泣きながら答えていた。
じゃあ、なぜ演劇部に入りたいと考えが浮かんだのか。俺には理解できん事だった。
「そういうのは光なんかが一番お似合いだろっ――」
俺が言いかけたところでいきなり男が俺の視界に入った。
その男は俺の隣を通り抜けそのまま茜に軽くぶつかってしまう。
「うわぁ!ごっごごごめんなさい!後ろに目がついてなくて」
「そんな人間いないだろって、おい!」
「っつ!」
茜のバカな発言にツッコミを入れてる間に男は何かから逃げるように走っていってしまった。
マナーの悪いやつだな。一瞬能力を使ってと考えたが、一般市民にそれはまずいとわかっていたので舌打ちをしつつも茜の心配をすることにしたのだが――
「ひったくり!お願い誰か捕まえて!」
「ひったくりだと!?」
男がひったくりだとわかった瞬間能力を使おうとしたが、すでに男は道を曲がっており俺の視界から消えていた。
「くそ!しくじった!」
俺が悪態をつくと、茜が葵姉さんに鞄を渡していた。
「ちょっと、行ってくるね」
「あっ、うん。茜、気をつけてね」
「大丈夫!エレガントに行くよ。 正義は、勝ぁーーつ!」
俺が言葉をかける間もなく、茜は能力を使いものすごい勢いでひったくり犯を追いかけ始めた。しかし、その姿はエレガントのかけらもないものだった。
「エレガントって……」
葵姉さんも困惑した表情を浮かべていた。
「茜に任せれば大丈夫そうだけど、心配だから俺も追っかけるわ」
「お願いね。式ちゃん」
能力を使ったらものを壊す可能性があるので、俺は今できる全力疾走で追いかける。
「さすがに茜は速いな、追いつける気がしない」
これでも脚は速い方だからあの男よりは遅くないはずなので、そろそろ追いつけると思うんだが……
「待ちなさいって、言ってるでしょー!」
曲がり角を曲がったところで俺の視界に入ったのは、男にライダーキックをかまそうとしている茜の姿だった。
いやでも、その角度だと男にパンツ丸見えなのでは……
「はっ!」
それに気がついた茜は、パンツを見せないように空中でスカートを抑えるような形になる。だがその体制では茜の両膝が男の顔面に直撃するコースだった。
いくらひったくり犯でもあれが直撃するのは可哀想だ。と思い俺は茜に対して能力を使用した。
「ぐあぁ!」
そのまま茜の両膝は男にクリーンヒットしたが、男は気絶で済んだようだ。
「やっ、やりすぎたぁ!……と思ったけどそこまでじゃない?」
「茜、お前は能力で国民を殺す気か、俺が何もしなければ鼻の骨とか折れてたぞ」
「あっ、式!だから、大丈夫だったのか。ありがと」
最初はキョトンとした表情だった茜だったが、俺を見て合点がいった様子だ。
「まぁ、お礼はいいけど。いいのか茜?」
「へっ?なんのこと」
俺は最初から気になっていた事を茜に聞くことにした。
「お前、この後のことどうするつもりなの。もうすぐ警察も来るだろうし、野次馬とかも来ると思うんだが」
俺の質問に茜の顔がどんどん青ざめていき――
「忘れてたー!どうしよう、式!そうだ、替わりに式がやったことにすれば」
「茜、そこにカメラがあることを忘れてないか?」
「あっ……」
その言葉を聞いたとたん茜は魂がどっかに飛んで行ってしまったようだ。
そして、倒れた男と魂の飛んだ茜。それを眺める俺というよくわからない構図は数分もしないうちに、たくさんの人が集まる場所に変わるのであった。
「チクショー!パンツだけじゃ割りにあわねぇぞ!」
「茜様!犯人逮捕の経緯を詳しく!」 「茜様犯人に何か言いたいことは?」
「み、見ないでぇ~……」
「……そんなに嫌?」
「はぁ……」
犯人を逮捕したはずの茜がブレザーを頭から被っているせいで、警官と葵姉さんが容疑者に対して話しているようなこれまた訳の分からない様子に俺は一つため息を吐くのであった。
「以上、茜様がひったくり犯を捕まえたニュースでした」
「こんな貴重なVTRが見られるのもサクラダファミリーニュースならではですね」
家に帰ってきて暇だった俺はテレビを眺めていたが、ちょうどさっきの話をしていた。
「茜、さっきのやつ映ってるよ」
「もう、やめてよ。やっぱり恥ずかしいよ毎週テレビで放送されるなんて」
食器の用意をしながら不満げそうな顔をする茜だが、それなら最初から目立つようなことをしなければよいのではないのだろうか。
「茜、頑張ったんだからいいじゃない」
「そうよ。国民に知ってもらうのも大切な仕事よ」
「うぅ~~」
夕食を作っている母さんと葵姉さんに励まされるが、茜のテンションは変わらずのようだ。
「それに選挙もあるしな」
「いいな。茜ちゃんテレビに映って」
「よくないよ!もう勘弁して~~」
「ただいま~」
そんな感じで話していると、父さんが帰ってきたようだ。いつもよりも早いな。
「パパ、お帰りなさい!」
「あら、本当に早かったのね」
「はい。お前たち週末は予定あるか?」
「えっ、別にないけど」
「どっか連れて行ってくれるの?」
いきなりの父さんの質問に茜は首を傾げ、光は期待するような声を上げた。
しかし、俺からすると父さんがいきなりこんなことを聞いてくるのはいい予感がしないんだが……
「いや、急な話だがお前たちのテレビ出演が決まってな」
ほら、面倒事を持ってきちゃったよ……
「……えっ!?」
茜が驚いた顔をするが、今週末は誰も何かあるとは言っていなかったはずなのでテレビ出演はほぼ確定だろう。
茜ほどではないが俺もテレビに映るのは好きではないので、軽く肩を落とすのであった。
ちょっと急いだので誤字脱字や意味のわからない日本語を書いてるかもしれませんがご了承ください。
もし見つけられたら、報告してくれるとありがたいです。
オリ主の能力ですが次話が能力紹介回のつもりなので、まとめた方がいいと思ったので詳細は書きませんでした。てきとうに予想してやってください。